魔法少女リリカルなのは~蒼銀の護り手~ ※凍結   作:天御柱

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第27話 『闇の終焉と、打ち明けられた秘密』

防御プログラムは破壊した。.....よし!

 

「はやて、もう少しいける?」

 

「うん。大丈夫や」

 

「ならここで作業を終わらせるよ」

 

「うん!……リインフォース!」

 

「はい、我が主」

 

はやてのユニゾンが解除されて、リインフォースが姿を現す。

 

「そういえば龍姫君、その目……」

 

「ん?ああこれ?……実は僕もユニゾンデバイス持ちなんだ。後で紹介するよ」

 

「……なんや、龍姫君には驚かされてばっかりやな」

 

「そうかな?」

 

「せや。……まぁ話は後やね。今はリインフォースを助けてあげな」

 

「そうだね。……修正プログラム、スタート!」

 

もう一度最初から修正プログラムのインストールを始める。

 

 

――25、37、49、54.....

 

 

順調にデータの上書きが進んでいく。

 

 

――63、68、75、80.....

 

 

.....いいぞ、エラーも出ない!

 

 

――85、89、94、99、100

 

 

「修正プログラムのインストール、全て完了しました」

 

「「ぃやったぁー!」」

 

リインフォースのその言葉を聞いて、俺とはやては手を取り合って喜ぶ。

 

「……っと、そうだった。リインフォース、どこかシステムに異常があったりするか?」

 

「……ないな。新たに組み込まれた防御プログラムが暴走する様子もない」

 

俺の問いにそう返してくれるリインフォース。

 

「ほんなら……」

 

「うん。これでリインフォースはもう大丈夫だよ」

 

「よかった!リインフォース!」

 

「わ、我が主っ!?」

 

いきなりはやてに抱きつかれたリインフォースが慌てる。

 

「よかった……ほんまによかった……リインフォース……!」

 

はやてはリインフォースに抱きついたまま、大粒の涙を流す。

 

「わ、我が主……な、なぁ、こんな時私はどうすればいいんだ……」

 

困ったリインフォースが俺に助けを求めてきた。

 

「どうするも何も、そのままはやてを抱きしめてあげればいいんだよ」

 

「わ、わかった……」

 

俺にそう言われて、はやてをゆっくり抱きしめ返すリインフォース。

 

「あ~……ほんまよかったわ……んん……なんや安心したら眠く……」

 

「わ、我が主!?」

 

「落ち着けリインフォース。目覚めてから初めての実戦で、魔力を使い過ぎただけだ」

 

「そ、そうか……」

 

取り乱したリインフォースが俺の言葉を聞いて落ち着く。

 

「とりあえず病院へ運ぼう。シャマル、石田先生に連絡してくれるか?」

 

「はい♪」

 

シャマルに石田先生への連絡を任せ、俺は皆を見渡して言った。

 

「よ~し!皆、お疲れさま!これにて一件落着だ!」

 

『『『やったぁー!』』』

 

その場にいた全員が歓喜の声を上げた。

 

 

 

 

 

あれから3日が過ぎた現在。

 

「たっくん、今日こそお話を聞かせてもらうの!」

 

「そうだね。はやてももう回復したし、いいよね?」

 

「せやね。色々聞きたい事もあるしな」

 

『『『そうだそうだ!』』』

 

俺はなのは、フェイト、はやてを筆頭に今回の騒動に関わった全員から詰め寄られていた。

ちなみに今俺達がいるのは本局にある俺の執務室だ。本当は3人だけを連れて来るつもりだったんだけど、何故か呼んでない客が多数ついて来た。

 

.....え?中には一般人や局に顔を出しちゃマズイ人間がいるだろうって?.....細かい事は気にしない方向で。

 

「話を聞かせてと言われても、具体的に何を話せばいいんだ?」

 

「ならば、まずは私から聞こう。龍姫、お前は何故失われたはずの『夜天の書(オリジナル)』の構成データを知っていたんだ?」

 

そう言って俺の前に出てきたのはリインフォースだった。プログラムの暴走の危険がなくなった今、彼女もはやてや守護騎士達と共に穏やかな日々を送っている。

 

「……いきなり核心だな……」

 

しかしどうする?これを話すとなると、俺が転生者である事も明かす必要があるんだよな.....

 

「むぅ……」

 

いつか話さなければならない日が来るとは思っていた。それが今日という事なのだろうか?

 

「う~ん……」

 

.....潮時、か。

 

「少し長い話になるが、聞いてくれるか?」

 

その問いに、全員が頷いた。

 

「……わかった。ただ先に断っておくと、今から俺がする話は皆にとってかなり突拍子のない内容だと思う。だから、信じる信じないは個人の裁量に任せる」

 

そう前置きをして、俺は話を始めた。

 

「まずはじめに、俺は元々この世界にいた人間じゃない。別の世界から転生してきたんだよ」

 

『『『っ!?』』』

 

いきなりのトンデモ話に、全員が驚愕の表情を浮かべる。

 

「俺は前いた世界で、ある日突然足元に開いた穴に落ちた。そして落ちた先で神に会い、取引を持ちかけられた。その結果として、俺はこの世界に転生する事になったんだ」

 

.....自分で言ってて何だけど、頭がおかしいと言われても文句は言えない話だよな。

 

「ちなみに前の世界では、この世界の事が創作の物語として伝えられていた。4月の事件の事も、今回の騒動の事も、そしてこれから先の未来の事も」

 

「そんな……」

 

「わたし達の事が……?」

 

「嘘や……」

 

俺の言葉に一部が動揺する。とそこへ――

 

「つまり、龍姫は今の『この未来』の事を知っていたのかしら?」

 

プレシアさんがそんな質問を投げかけてきた。

 

「答えはNoだ。俺の知っていた未来は、もっと別のものだった」

 

「別……とは一体どういう事だ?」

 

そう聞いてきたのはリインフォース。

 

「俺が知る未来では、プレシアさんは亡くなったアリシアと共に次元の狭間に消えていたし、リインフォースはプログラムの暴走を再発させない為に消えた」

 

「「っ!?」」

 

「母さん……」

 

「リインフォース……」

 

呼ばれた本人達は驚きに目を見開き、フェイトとはやてはそれぞれ名前の挙がった自分の家族を見る。

 

「じゃあ、あなたはその未来を回避する為にこの世界に来たのね?」

 

「ああ。それが神が俺に課した取引の条件だったからな」

 

本当はそんな大層なものじゃないけどな。まさかこの場で最高神(バカ)の暇潰しの為、とは言えない。

 

「ではお前が『夜天の書(オリジナル)』の事を知っていたのは……」

 

「俺が取引の条件として神に要求したからだよ」

 

「そうか……」

 

「まぁそれ以外にも色々と要求したけどな。この桁外れの魔力とか、龍召喚の力とか」

 

「召喚魔法だと!?龍姫、お前はそんな事も出来るのか!?」

 

そこで話に喰いついてきたのはシグナムだ。.....何か目がキラキラしてるんだけど、これってまさか.....

 

「ぜひ一度私と模擬せ――」

 

「やめとけ。俺が龍召喚なんてしたら怪我どころじゃ済まないぞ?」

 

「そうですよシグナム。私だってまだ龍召喚なしでしか模擬戦して――」

 

「そんな事よりだな!」

 

俺は大声を出してフェイトの爆弾発言をかき消す。.....聞かれてないよな?

 

 

――ガシっ!ガシっ!

 

 

「たっく~ん?」

 

「龍姫く~ん?」

 

.....遅かったか.....

 

全身に黒いオーラを纏い、イイ笑顔で俺の肩を掴むなのはとはやて。

 

「フェイトちゃんと模擬戦してたなんて知らなかったな~……一体いつから?」

 

「龍姫君、わたし友達に隠し事するんはアカンと思うんよ~……正直に話してな?」

 

「あ、あはは……」

 

や、ヤバい!予想はしていたけど、それを遥かに上回る危険を感じる.....

 

「「早く答えるの(てや)!」」

 

「は、はいっ!フェイトと模擬戦を始めたのは、『PT事件』終了の2週間後くらいですっ!」

 

2人の剣幕に押され、思わず丁寧語で返事をしてしまう俺。

 

「む~、そんな前からやってたなんて……」

 

「あ、いや、でもはやてと友達になってからはあまりやってなかったし……」

 

「……そういえばそうだったね……龍姫ってばある日突然付き合い悪くなって……」

 

しまったぁっ!今の不用意な発言のせいでフェイトまで黒く!?

 

何か.....何かこの状況を打破、あるいは回避する為に使えそうなものは.....ハッ!そうだ!

 

「待て!落ち着け!お前らさっきまでの俺の荒唐無稽な話を聞いて何とも思わなかったのか!?」

 

俺はこんな事になる前にしていた話の事を持ち出して事態の回避を試みる。しかし――

 

「え?さっきのたっくんの話?私は信じるよ。だってたっくんは1人ぼっちだった私を助けてくれて、今こうしてフェイトちゃんやはやてちゃん、ここにいる皆と出会わせてくれたんだから!」

 

「私だって龍姫の話を信じるよ。龍姫は母さんとアリシアの事を知ってて助けてくれた。私の夢を応援するって言ってくれた。龍姫のおかげで、私は今とっても幸せだから!」

 

「わたしも同じや。龍姫君はわたしの大切な家族を助けてくれた。その龍姫君を疑うなんて、そんな事するはずない!」

 

『『『そうだそうだ!』』』

 

3人は何を当たり前な事をと言わんばかりにそう返し、周りの皆も3人に同意したように頷く。

 

「龍姫はここにいる全員の為に、自分の知ってた悲しい未来を変えようとしてくれて、実際に変えてくれた」

 

「だから龍姫君はわたしらにとっての恩人や。その恩人が打ち明けてくれた大事な話を信じない人間は、ここには1人もおらんよ」

 

「皆……」

 

俺はそこで言葉に詰まってしまった。

 

もしかしたら拒まれるかもしれない。化け物と蔑み罵られるかもしれない。

 

少なからずそんな不安を抱いていた俺に、皆の言葉は心の芯まで響いた。

 

「ありがとう……こんな俺を受け入れてくれて、本当にありがとう……」

 

そう言って頭を下げる。両の目から涙が溢れては床を濡らしていく。

 

 

 

それから俺が落ち着くまで10分弱の時間を要した。

 

「うぅ……////」

 

今更ながら、俺は皆の前で泣いた事が恥ずかしくなった。

 

「龍姫君、そんな恥ずかしがってないで話を続けてや。まだ何やあるんやろ?」

 

「あ、ああ。……前回と今回の2つの事件では、俺が考えうる限り最高の結果を出す事ができた。今回に関しては若干のイレギュラーがあったがな」

 

「それって、あの防御プログラムの暴走の事?」

 

「そうだ。俺の予測では、防御プログラムに反抗させる事なく修正を終えられたはずだったからな」

 

「でも、それも皆で力を合わせて何とかしちゃったもんね!」

 

「その点に関しては、本当に皆の協力に感謝したい。改めてお礼を言わせてくれ。ありがとう」

 

「どういたしまして、や」

 

「そしてこれから先に関してだが、今回イレギュラーが発生したようにまた何かが起こるかもしれない。だから俺はその為の準備を始めようと思う。ただし、お前達をこれに関わらせる事はできない」

 

「ど、どうして?」

 

「当たり前だ。もし未来の事を話してみろ。それこそ何が起こるかわからなくなる。それに自分の未来を知るなんて面白くないだろう?」

 

「せやね。自分の人生は自分のもんや。わたしの歩く道はわたしが決める」

 

「そういう事だ。だからまたしばらく皆とは別行動を取る事が多くなると思う」

 

「でも……龍姫がいないと寂しいよ……龍姫は私達と離れて寂しくないの?」

 

「そんなわけあるか。俺だって寂しくないわけじゃない。でもな、俺達はいつでも繋がってるだろう?友達や仲間っていう強い絆で」

 

「う、うん……////」

 

 

――シュンッ!

 

 

「よくそんなクサい台詞を恥ずかしげもなく口にできるわね龍姫」

 

と、そこで突然部屋に入ってきた人物が1人。

 

「何だアテナか……戻ってきたって事は、もう済んだのか?」

 

「ええ。ついさっきマリーから引き取ってきたんだけど……寝ちゃったみたいね」

 

その人物とは、アテナだった。局の制服の胸ポケットをチラッと見たって事は、そこにアイツがいるようだ。

 

「そっか。……そういえば、アテナの事も説明しないといけないな。いいか?」

 

「龍姫が話したのならいいわよ」

 

「ありがとう。……というわけで改めて紹介しよう。ギリシャ神話における戦いの女神、アテナだ」

 

「改めまして、今は元・女神のアテナよ」

 

『『『え、ええぇぇぇぇっ!?』』』

 

衝撃の事実発覚に、全員が驚きの声を上げた。

 

「え?えぇ!?どうしてそんな神様が!?」

 

「龍姫をサポートする為にお父様に遣わされたのよ」

 

「ん?アテナさんのお父さんって事は、もしかして龍姫君が取引したのって……」

 

流石はやて。その辺りの本も読んだ事があったみたいだな。

 

「当たりだよ。俺が取引したのはギリシャ神話の最高神、ゼウスさ」

 

『『『ええぇぇぇぇっ!?』』』

 

本日2度目の大合唱。っていうかちょっとうるさい。

 

「龍姫!お前神様と知り合いなんてスゲぇな!」

 

ヴィータが興奮した様子で俺に話しかけてくる。

 

「いや、でもそんないいもんじゃないぞ?アイツ性悪だし、自己中だし」

 

『『『(神様を“アイツ”呼ばわりする龍姫(君)って……)』』』

 

何だ?何で皆俺に呆れたような視線を向けてるんだ?

 

俺がそんな皆の様子に首を捻っていると――

 

「タツキパパーっ!ただいまですーっ!」

 

目を覚ましたらしいイリスがアテナの胸ポケットから抜け出して俺に飛びついてきた。

 

『『『タツキ“パパ”!?』』』

 

二度ある事は三度ある。本日3回目の全員がハモった声。

 

あ、ヤベ.....そういえば皆がいるんだった.....ハッ!殺気!?

 

「たっくん、どういう事なのかな?カナ?」

 

「龍姫、流石に今回は許してあげられそうにないよ……」

 

「龍姫君、覚悟はええか?」

 

後ろを向くと、そこにはさっきよりも濃密な暗黒オーラに染まった般若が3人。

 

「くっ……戦略的撤た――」

 

「レイジングハート!ユーノ君!」

 

「バルディッシュ!母さん!アルフ!」

 

「リインフォース!シャマル!ザフィーラ!」

 

「なっ!?」

 

俺は一時その場から転移して逃亡しようと画策したが、まさかの5重バインド+3重ケージで封殺された。

 

「ちょっ!?何やっちゃってるの君達!?」

 

なのは、フェイト、はやてと一緒になってこの状況を作ったヤツらに思わず叫ぶと――

 

『『『ごめんなさい!でも、あの3人には逆らえません!』』』

 

全員が涙目になりながらそんな言葉を返してきた。

 

.....そ、そうだ!

 

「アテナ!俺を助けてくれ!頼む!」

 

「イ・ヤ♪」

 

何故かとても楽しそうな笑顔でそんな事を言ってくれたアテナ。

 

「ど、どうして!?」

 

「だって……何だかその方が面白そうだから♪」

 

「畜生!お前もやっぱりゼウスの娘だなっ!」

 

「頑張ってね~」

 

無責任な応援を送るアテナ。

 

「な、なぁ3人とも?せめて穏便に話し合いで解決しようじゃないか。昔の偉い人も言っただろう?『話せばわかる』って」

 

俺は最後の望みを懸けて3人にそう提案してみる。しかし――

 

「「「問答無用なの(だよ/や)!」」」

 

「ギャァァアアアっ!」

 

 

 

結局最終的に誤解は解けたものの、3人の気が済むまでO☆HA☆NA☆SHIさせられた俺は心身共にズタボロになっていた。Fin.




あとがき

作者 「これにてA's編、終了~!」

龍姫 「だ、誰か……た、助け……」

作者 「おおっ!何か見るも無残な感じにやられてるな」

龍姫 「さ、流石にあれは俺でも無理……」

作者 「不意打ちで8重の捕縛魔法はな……」

龍姫 「平穏が欲しい……少しでいいから俺が安らげる時間が欲しい……」

作者 「しかーし!残念ながら、次回からは早速10年後へ向けた準備編がスタートだ!」

龍姫 「っ!って事は、だ。なのはやフェイト、はやてとは別行動だよな?」

作者 「まぁ基本的にはそうなるな」

龍姫 「ぃよっしゃあ!よくやった作者!今はそれだけでも充分だ!」

作者 「……時々外伝的なものを入れて、3人とは定期的に絡ませるけどな(ボソッ)」

龍姫 「ん?何か言ったか?」

作者 「別に何も」

龍姫 「そっか。気のせいだったか」

作者 「それでは区切りの回という事で、恒例のヤツをやるぞ!」

龍姫 「恒例ってまだ1回しかやってないだろ」

作者 「まぁまぁ、そんな固い事言わずに」

龍姫 「わかったよ。……という訳で、ここまでこの作品を読んでくれた読者の皆に感謝を」

作者 「そして、これからも引き続き拙作をよろしくお願いします!」

龍姫 「それじゃ次回予告だ!

   次回、第28話『資格ゲッター龍姫、参上!(仮)』

   に」

作者 「ドライブ・イグニッション!」
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