魔法少女リリカルなのは~蒼銀の護り手~ ※凍結   作:天御柱

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第28話 『とある管理局員の業務風景』

あれから3ヶ月が過ぎて、今は11月も半ば。

この3ヶ月で起きた出来事といえば、氷護・高町両家への暴露会(8月末)、足のリハビリを終えたはやてが聖祥に復学したり(9月末)、フェイト達の保護監察期間が終わって海鳴に越してきたり(10月半ば)、そのフェイトが聖祥に転入してきたり(引越しの翌週)、といった感じだ。

 

そして俺はというと――

 

『……というわけだ』

 

「ハァ……面倒くさ」

 

『……仮にも管理局の人間だろう、君は』

 

「わかってる。その任務、引き受けた」

 

『頼んだぞ』

 

クロノとの通信を終えた俺はもう一度溜息を吐くと、隣に控えていたアテナに声を掛けた。

 

「聞いての通りだ。……それにしてもこれで今月何回目だ?」

 

「4回目ね」

 

俺の問い掛けに即答するアテナ。

 

「まだ半月しか経ってないってのに……俺を過労死させる気なのか、管理局は?」

 

「仕方ないんじゃない?何せ龍姫は管理局最高位のSSSランク魔導師なんだし」

 

「俺は一応9歳のガキなんだが」

 

「それだけ管理局が人材不足ってことよね」

 

「ったく、おかげで最近はロクに学校の方に顔を出せてないっての」

 

.....いや。それに関して言えば、正直ありがたいと言えなくもない。

2学期に入って以降、学校は俺にとって心休まる場所ではなくなりつつあるからな。

 

主な原因は白い悪魔と金色の夜叉と腹黒子狸にあるわけだが.....

 

「……龍姫、どうしたの?何だか顔が青くなってきてるけど」

 

.....あれ?そういえば、前回あいつらに連絡入れたのいつだっけ?確か先月の.....

 

「……あ、いや、なんでもない」

 

世の中考えない方が幸せなこともあるよな、うん。

 

「そう?ならいいんだけど……」

 

アテナが心配そうに見てくるので、大丈夫だと伝えて、頭を切り替える。

 

「今回の任務は無人世界で見つかった不審な研究所の調査、か。どうせロクでもないことをしてるんだろうな」

 

「そうでしょうね」

 

無人世界での違法研究といえば、大体相場は決まっている。

 

「よし、さっさと行ってサクッと終わらせるぞ。イリス!」

 

「は~い!行き先の座標の算出は終わってるですよ、タツキパパ」

 

「いい子だ。それじゃ……転送!」

 

そうして俺達は現地へ向かった。

 

 

 

「あれが調査対象の研究所か」

 

「みたいね」

 

『なんだか研究所それ自体から嫌な空気を感じるです』

 

現地に到着した俺達は早速件の研究所を探し出し、今はそれを上空から見下ろしながら話をしている。

ちなみにイリスとは到着してすぐにユニゾンし、バリアジャケットも展開済みだ。

 

「まずは内部に突入して、これを制圧。それから調査を行い、最後に研究所を破壊する。これでいいな?」

 

「そうね。いいんじゃないかしら」

 

『イリスも頑張ります!』

 

「よし。それじゃ、作戦開始(ミッションスタート)!」

 

それを合図に、俺とアテナは研究所に向かって突っ込む。

 

「うっ!?」

 

「えっ!?」

 

突入したと同時に、俺達はそれぞれに驚きの声を上げることになった。

研究所の中に入った瞬間、急に身体が重くなったような感覚に襲われたからだ。

 

「……これってもしかしなくてもAMFだよな?」

 

「……そうじゃない?」

 

『ちょっと息苦しい感じがするです……』

 

AMF(アンチマギリンクフィールド)とは、魔力結合・魔力効果発生を完全に無効化するAAAランクの魔法防御だ。

フィールド内では攻撃魔法はもちろん、飛行や防御、移動や機動に関する魔法でさえも妨害される。

高ランクの魔導師であればフィールド内でも魔法を行使できるが、それも簡単な技術ではない。

 

「まさかこの研究所って……」

 

「可能性はなきにしもあらず、よね」

 

俺はこのようにAMFを使う人間に心当たりがある。だがしかし、本当にここは『ヤツ』の研究所(ラボ)なのか?

もし仮にそうだとしたら、ここで接触できたならば何らかの手を打つべきだろうか?

 

「龍姫?」

 

思考の海に沈んでいた俺をアテナが呼び戻した。

 

「……悪い。まぁ、まだ『そう』と決まったわけじゃないしな。とりあえず中枢を目指そう」

 

「了解」

 

そうして俺達は研究所の奥深くまで進んでいった。

 

「『コントロールルーム』、ここがそうだな」

 

「ええ。でも、ここまで侵入を許していてもセキュリティが働かないなんて妙ね」

 

「確かにな。もしかして俺達が来る前に逃げ出したか?」

 

「その可能性は高そうね」

 

「何にしろ、中に入ればわかることだよな」

 

「ええ」

 

俺達はそんな会話を交わしながら、その部屋のドアを開けた。

 

「時空管理局だ!大人しく……って、やっぱりもぬけの殻か」

 

「残念。逃げられちゃってたわね」

 

案の定、開いたドアの先には人っ子1人いなかった。

 

「いないものは仕方ないな。とりあえず何かしら研究データみたいなのが残ってないかチェックしよう。イリスも手伝ってくれるな?」

 

「わかったわ」

 

『はいです、タツキパパ』

 

それからしばらく、俺達は室内のコンソールを弄ってデータのサルベージ等を試みた。

 

「……とりあえず、『ヤツ』個人の研究所ってわけじゃなさそうだな」

 

一通りデータを漁った結果、俺達はその結論に至った。

 

「そうね。『彼』ならこんなに簡単に復元できるようなデータの残し方はしないでしょうし」

 

「ただ、そうなると研究所内に張ってあったAMFの出所が気になるところだが……」

 

「それに関してだけは何の手がかりもなかったわね」

 

「ああ。直接は関わっていなくても、間接的に『ヤツ』が絡んでいた可能性は捨てきれないな」

 

余計な心配事は作らないで欲しいもんだ。

 

「それにしても、この研究所って随分と地下深くまで潜ってるみたいだけど」

 

「そうだな。もしかして何か隠しているのか?」

 

「その可能性も充分考えられるわね」

 

「……よし。ならアテナはここに残って、もし万が一何かあったら知らせてくれ。イリスは俺とまたユニゾンだ」

 

「了解。まぁ何もないとは思うけどね」

 

「わーい!タツキパパと一緒です!」

 

そうして俺はイリスと再びユニゾンし、コントロールルームにアテナを残して研究所の地下階層へと向かうことにした。

 

 

 

「イリス、この研究所ってもちろんある程度の衝撃には耐えられるように作られてるよな?」

 

コントロールルームを出てしばらく廊下を歩いたところで、『ある事』を思いついた俺はそうイリスに尋ねた。

 

『はいです。余程でない限りは大丈夫だと思うです』

 

「オーケー。それじゃ床抜きして一気に最下層まで降りよう。威力計算は任せる」

 

手っ取り早く下まで行くなら、やっぱりコレだよな。

 

『わかりましたです!……深度計測、完了。……施設耐久率測定、完了。……威力計算、完了。タツキパパ、いけるです!』

 

「『瀑龍砲』!」

 

 

――ズドォォン!

 

 

俺が拳を床に撃ちつけると、そこから出た水の龍が床を次々に撃ち抜いて一気に最下層まで道(?)を作った。

 

「これでよし、と」

 

『ふわぁ……タツキパパ、スゴイです!』

 

「それほどでもないさ。それより、早く降りよう」

 

『は~い!』

 

そうして俺はたった今作った穴の中に飛び込んでいった。

 

 

 

降下することしばらく、俺とイリスは最下層に辿り着いた。

 

「う~ん……暗すぎて何も見えないな。ここには電気が通ってないのか?」

 

『えぇっと……どうやらこの階への電力供給はカットされているみたいです』

 

「ここにいたヤツらが意図的に切ったってことか?」

 

『はいです』

 

ってことは、ここには『何か』があった、もしくはある、ってわけか.....。

 

『周辺の生体反応及び魔力反応をチェックしてみるですか?』

 

「……いや。それよりもまずはここがどんな場所なのか確認しよう。『フラッシュ』!」

 

俺の声に続いて閃光が走ると、目の前の空間がその姿を見せた。

 

『……酷いです……』

 

「……クソッ!やっぱりそうか……」

 

俺達の視界に映ったもの、それは生体ポッドの森だった。

更にポッドの中には、電力が通っていなかったために腐敗した人間や動物の身体の一部と思われるものが培養液中に浮かんでいるものも目に入った。

 

.....そう。この研究所で行われていたのは生体兵器を作り出す研究だったのだ。

 

「やってくれる……!連中は生命を何だと思ってやがるんだ……!」

 

この任務を受けたときから大方の予想はつけていたが、こうも予想を裏切らない展開が待っているとなると頭に血が上る。

 

『っ!タツキパパ、大変です!』

 

そのとき、イリスが突然強い声を出した。

 

「何かあったのか!?」

 

『はいです!研究所の更に地下深くから強大な魔力反応が突然発生したです!』

 

「何っ!?」

 

イリスの報告を聞いて反応を探ると、確かに下の方で大きな力が膨らんでいるのを察知した。

 

「チィッ、(トラップ)か!規模は……研究所消滅レベルだと!?」

 

どうやら侵入者の施設最深部への到達がトリガーだったようだ。

 

「アテナ!そっちでも反応は捉えているな?すぐに脱出するぞ!」

 

「(わかったわ。龍姫は間に合うんでしょうね?)」

 

「俺を誰だと思ってる?」

 

「(……そうね。心配するだけ無駄だったわ)」

 

「いや、心配してくれたのは素直に嬉しいよ。ありがとう」

 

「(ハァ……。まったく、そういう返事を無自覚にするから龍姫は……)」

 

「なんだ?何か変なことでも言ったか?」

 

「(なんでもないわ。私は先に外に出てるから、龍姫も急いでね)」

 

「ああ。いくぞ、イリス、ハイペリオン!」

 

『はいです!』

 

『Yes, my master』

 

「『ソニック・ブースト・フルスロットル』!」

 

『Sonic Boost full throttle』

 

 

――ズドンッ!

 

 

床を蹴り飛び上がった俺は、入ってきた穴から弾丸のようなスピードで地上を目指した。

 

「このまま研究所をブチ抜く!いけるな、イリス!」

 

『はいですっ!』

 

穴から抜けた先、地上への道を塞ぐ研究所の天井へ向けて俺はハイペリオンのカートリッジをロードすると

 

「『瀑龍砲』!」

 

その圧縮魔力を乗せた一撃を撃ち出した。

 

 

――ドガァァンッ!

 

 

俺の両手から放たれた水龍が行く手を遮る天井を吹き飛ばし、開いた穴の先に空が見えた。

 

「ぃよしっ、抜けた!アテナは?」

 

穴から無事に地上へと脱出した俺は、すぐにアテナの所在を確認した。

 

「ここにいるわよ」

 

声のした方に目を向けると、俺から少し離れたところにその姿を見つけることができた。

 

「研究所の地下にあった(トラップ)だが、結構ヤバイっぽい。やり過ごすから俺の後ろについてくれ」

 

「そんなにスゴイの?」

 

「とりあえず研究所が跡形も無く消えるくらいには」

 

「……それは確かにヤバイわね」

 

そうしてアテナが俺の背後に寄ってきたのを確認した俺は

 

「『アイギスⅡ』!」

 

アイギスを球形のフィールド状に展開し、来る衝撃への備えとした。その直後、

 

 

――ズドォォォォンッ!!

 

 

凄まじい轟音と共に研究所のあった地点を中心にして、大爆発が起きた。

 

 

 

しばらくして爆発によって生じた土煙も収まってくると、俺達の目の前には大地にぽっかりと開いた巨大な穴と、爆風によって消し飛んだ元・森林とが広がっていた。

 

「これはまたとんでもないものを隠してたもんだな」

 

「そうね。この任務、受けたのが龍姫じゃなかったらきっと大変な事になってたわね」

 

「……そうだな」

 

もしかしたら時空管理局が被ったであろう人的損害が一瞬頭に浮かんで気が沈んだ。

 

「まぁ、とりあえず今回の任務はこれで完了だ。お疲れさん」

 

「ええ。お疲れ様」

 

『お疲れ様でした、タツキパパ』

 

「イリスもよくやってくれたな。偉かったぞ」

 

『えへへ。タツキパパに褒められたです』

 

「ハイペリオンも、サンキューな」

 

『いいえ。タツキの力になれたのなら幸いです』

 

そうして俺達の任務は終了した。

 

 

 

 

 

執務室帰還後――

 

「――っと、だいたいそんなところだ。詳しい報告書と、研究所でコピーしたデータはまた後で提出する」

 

『そうか……。わかった。こちらでも改めて捜査が始まるだろうな』

 

「頼んだ。違法な生体実験が行われていたとなると、また厄介な事件の匂いがするからな」

 

『ああ。とりあえずご苦労だった』

 

「それほどでもない。じゃあな」

 

『何かあったらまた頼むよ……っと、そう言えば伝え忘れるところだった』

 

「どうした?まだ何かあるのか?」

 

『いや、仕事ではないからそんなに睨まないでくれ。突然だが、君達にはしばらく休暇を取ってもらうことになった』

 

「は?休暇?何でまた急に?」

 

『夏以降、君達のところにはだいぶ任務が集中していたらしくてね。人事部から強制的に有給を消化させるようにと苦情が来たんだ』

 

「あー、じゃあ何だ。俺達はしばらく仕事をしなくていいと?」

 

『そういうことになるな。ちなみに人事部からの通達には1ヶ月は休ませろ、と書かれていた』

 

「え?マジで?1ヶ月も休んでいいの?」

 

『……嬉しそうだね』

 

「そりゃ嬉しいに決まってるだろ?いやぁ、しかし1ヶ月か。何しようかねぇ」

 

『わかっていると思うが、休暇中も緊急用の回線だけは開けておいてくれよ』

 

「わかってる。大丈夫だって」

 

『せっかくの休暇だ。存分に息抜きしてくれ』

 

「おう」

 

 

……さて、休みか。……とりあえず学校に顔を出さないとマズイな。(主に俺の生命的な意味で)




あとがき

龍姫 「……何か今回は嫌にシリアスな話だったな。最後以外」

作者 「勢いで載せてみた。今は少し反省している」

龍姫 「反省するくらいなら最初から載せるな!」

作者 「管理局に勤めてる龍姫の日常的なものを書こうとしてたんだけどなぁ……どこで間違えたんだろう?」

龍姫 「知らんわ!俺に聞くな!」

作者 「フラグが乱立していそうな本編ですが、今回の伏線はどこかで回収される予定です。多分」

龍姫 「お前が書いてるんだろ!無責任すぎるわ!」

作者 「次回からは龍姫が休暇中という事で、内容的には軽い話になると思います」

龍姫 「いやぁ~、久しぶりの休暇だからな。思い切り楽しませてもらうさ」

作者 「それでは今回はこの辺で。龍姫、次回予告よろしく」

龍姫 「次回、第29話『一体何時から学校は魔窟になったんだ!?(仮)』

   を」

作&龍 「「よろしくお願いします!」」
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