ナメック星の上空。最長老の家から、やや離れた辺り。
ギニュー特戦隊の接近を感じ取ったナッツは、悟飯と共に全速力で父親達の元へ向かっていた。
「あいつら、もう動き出してる……!」
少女の顔には、焦りが浮かんでいる。潜在能力を引き出された二人の飛行速度は以前の倍以上となっていたが、それでも真っ直ぐにベジータ達の元へ急行している特戦隊の速度と比べると、明らかに遅い。
迷いの無い動きからして、奴らは間違いなくスカウターを持っている。自分達の接近も、既に感づかれているだろう。戦闘力を消す事はできたが、それでは移動に時間が掛かりすぎるため、この状況では論外だ。
それにドラゴンボール。父親達の気配は、既に5つのボールを隠した場所に辿り着いているというのに、願いが叶う前兆という、空が暗くなる様子も無い。考えたくはないが、何らかのトラブルがあって、まだ不老不死は叶っていないのだろう。
彼らの方でも、既に特戦隊の接近は感知しているだろうが、戦闘力を隠したり、逃げたりする気配はない。願いを叶えるべく、ギリギリまで試しているのか、隠れてもボールを奪われては意味が無いと、迎え撃つつもりなのか。
危機が迫っている父親達の状況が判らない事に、ナッツの中で、ますます不安が高まっていく。せめてスカウターがあれば、通信機能で情報を共有できるのに。その存在に慣れ過ぎていて、代わりの通信機を用意するという発想が無かった事を、少女は後悔していた。
「このままじゃ、父様が殺されちゃうわ……!!」
半ば叫ぶような、悲痛な声。彼女にとって、それは自らの死よりも恐ろしい事だった。
3年前に母様が死んだ時は、まだ傍に父様がいてくれた。その父様までいなくなったら、自分は本当に一人になってしまう。沈まぬ太陽に照らされながら、ナッツはにわかに、凍えるような寒気に襲われていた。
想像しただけで、心が苦しかった。悟飯やブルマは優しいけど、父様や母様の代わりにはなれない。父様と母様の代わりなんて、どこにもいないのだ。
「ナッツ、落ち着いて!」
「……っ!」
少年の叫びと、握られた手から伝わる温もりが、暗い思考に沈みかけた彼女の心を呼び戻す。気付けば周囲は明るく、寒さなんてどこにもなかった。少女はわずかに赤くなりながら手を握り返し、高速で流れていく眼下の景色を眺めながら、小さく息をつく。
「……ありがとう、悟飯。落ち着いたわ」
その言葉を聞きながらも、悟飯は、彼女の事が心配だった。父親の事を案ずるその気持ちは、痛いほど理解できたし、ナッツが苦しんでいるのなら、何とかしてあげたいと思った。
「きっと大丈夫だよ。そうだ。調子が悪いなら、ボクが先に行って、様子を見てこようか?」
「駄目よ。確実に気付かれて殺されるわ。相手はギニュー特戦隊よ」
反射的に少女の脳裏に浮かんだのは、父親達と悟飯の戦闘力が次々に消えて行って、遠くで震えながらそれを見ているだけの自分の姿。そんな事になるくらいなら、自分が死ぬ方が遥かにましだと思った。
「そいつらって、そんなに危ない奴らなの?」
「ええ。宇宙中から一流の戦士だけを集めた、フリーザ軍のエリート部隊よ。最前線での戦いを何十年も続けてきて、落とした惑星は数知れず。あと多彩な芸とポーズを得意とするわ」
「最後のは今関係ないよね?」
「? けど、そういう奴らなのよ」
「……わからない」
まあ、実際見なければ、あのノリはわからないだろう。
ふと少女は、まだ母親が生きていた頃の記憶を思い出す。フリーザ軍のパーティーで見た余興とポーズが凄いと思って、彼らの所に行ってサインをお願いしたら、特別だという凄く格好良いポーズを見せてくれて。あと青い人が、欲しかったビンゴの景品を譲ってくれて、一緒にいた母様とお礼を言って。
その後も基地で偶然会うたびに話をして、フルーツパフェをご馳走してもらったりもした。今思うと、地球のお菓子とは比べ物にならないレベルの品だったが、それでも確かに、美味しかったことは覚えている。
「ナッツ?」
「……何でも無いわ」
昔の事なんて、関係無い。フリーザ軍の奴らは、全て母様を殺した敵なのだ。それに今も彼らはフリーザの命令で、父様や自分を殺す気でいるのだろう。
彼らと父様達の気配が近づき、戦闘が始まったのを感じる。一際大きな戦闘力を持つ気配、おそらくギニュー隊長が離れていくが、それでもなお、戦力の差は絶望的だ。
隣を飛ぶ少年に、視線を向ける。おそらく自分は、今日これから死ぬのだろうと思う。けどこれは私や父様と、フリーザとの間の因縁で、悟飯はたまたま巻き込まれたに過ぎない。
自分のせいで、彼まで死んで欲しくは無かった。それに悟飯にはカカロットも、お母様もいる。私と違って、地球という、帰るべき故郷の星もまだあるのだ。
「悟飯。これ以上近づいたら、あなたは死んでしまうわ。戻ってブルマを連れて、逃げてくれないかしら?」
透き通るような笑みに、少年は息を呑む。綺麗だけど、とても儚げで、ここで目を離せば、二度と会えなくなるのだろうと、悟飯は直感的に理解した。
「いや、クリリンさんを置いていけないし……それに、君はどうするの?」
「私は父様と、最後まで一緒に戦うわ」
ナッツが見せたのは、見惚れるような、凛とした戦士としての顔。けど、その身体が微かに震えているのを見て取って、少年は覚悟を決めた。
(お父さん、お母さん。……ごめんなさい)
ギニュー特戦隊。感じられる彼らの気はとてつもない大きさで、行けば死んでしまうという、彼女の言葉は確かなのだろう。今さら自分が行ったところで、どうにかなるとは思えない。
けどクリリンさんと同じように、そんな所へ向かおうとしている、ナッツの事も見捨てるわけにもいかない。彼女が死んでしまうのは、絶対に嫌だと思った。
けど向かったら向かったらで、ベジータさんは怒るだろうなと思う。なぜナッツを連れて逃げなかったと、また殴られてしまうかもしれない。それが何だかおかしくて、つい笑い声が漏れてしまう。
「……悟飯、笑ってる場合じゃないのよ」
「ごめん。ちょっと考え事をしてたから」
そして少年が見せた顔に、少女は思わず目を見開いた。
「一緒に行こう、ナッツ。君のお父さんと、クリリンさんを助けに行こう」
少年の顔は、地球で彼女に戦いを挑んだ時と同じ、地球人のような優しさと、サイヤ人の戦士としての強さを併せ持ったものだった。見ているだけで、胸が苦しくなる。彼の代わりも、きっとどこにもいないのだ。
「……そうね。ありがとう」
死を前にして、不思議と心は安らかだった。少女の顔には、穏やかな笑みさえも浮かんでいた。
サイヤ人の戦士として、最期まで戦って、そして私が先に死のうと思った。
命に代えても、自分の大切な人達には、少しでも長く生きていて欲しかった。
彼女の母親も、死地へと向かう前、同じ事を考えていたことを、ナッツは知る由も無かった。
戦場に近づいた二人が、気を消して物陰から様子を窺う。グルド、バータ、ジースの3人は戦わず、少し離れた場所で戦闘を眺めている。
クリリンは倒れ伏し、ベジータも満身創痍で片膝を突き、彼らと戦っていると思しきリクームは、戦闘服こそ全損しているものの、目立った負傷は見られない。
戦闘力の差から予想できていた結果とはいえ、その光景を見て、ナッツが唇を噛む。
(サイヤ人の頂点である父様が、あんな奴一人に……! 地球で尻尾さえ失っていなければ、たとえギニュー特戦隊でも、今の父様の敵じゃないのに!)
そしてリクームが技名を叫びながら口を大きく開いたのを見て、焦った様子で少女は言った。
「私は出るわ。父様はもう、大技を避けられる状態じゃない。助けないと」
「わかった。じゃあ、ボクがあいつに攻撃するから」
「ありがとね。悟飯」
二人は頷くと、同時に物陰から飛び出した。特戦隊の三人が、スカウターに反応の無かった彼らの登場に驚く。
「ナッツちゃん!?」
「隠れてたのか!? いつの間に?」
「来ちまいやがったか……」
集中していたリクームはそれに気付かず、口からベジータに向けて、渾身のエネルギー波を放つ。
「父様!!」
動けぬベジータにエネルギー波が命中する直前、横合いから飛び込んできた少女が、父親を半ば抱きかかえるような形で、間一髪、エネルギー波の進路上から離脱させる。通り過ぎていったエネルギー波が地面に着弾し、大爆発を起こした。とっさに父親に覆い被さった少女の髪が、爆風に大きく揺れる。
同時に、リクームの真上に出現した悟飯が、そのまま彼の脳天に強烈な蹴りを叩き込む。強引に閉じられた口の中で、行き場を失ったエネルギーが暴発し、顔面から煙を上げながら、リクームが倒れ伏す。
ナッツは息をつきながら爆発の跡を眺め、星の地形を変えるほどの、その威力に戦慄する。
(あ、あんなのを食らってたら、間違いなく父様は死んでいたわ……)
「な、ナッツか……」
「父様! 大丈夫ですか!」
傷付いた父親は呻きながら、途切れ途切れに言葉を絞り出す。
「どうして来やがった……相手がギニュー特戦隊だと、わかっていただろう……?」
ああ、やっぱり父様を悲しませてしまった。けど。
少女は内心の恐怖を隠そうとしながら、精いっぱい気丈に笑った。
「だって、私が父様を、見捨てられるはずないじゃないですか」
「馬鹿野郎……!!」
初めて言われた言葉に、娘が俯く。
ごめんなさい。そんな苦しそうな顔をしないでください、父様。
父様を見捨てて生きていられるほど、私は強くないんです。
視界の端で、リクームがよろよろと起き上がるのが見える。あれで倒せていればよかったけど、そう上手くはいかないらしい。悟飯と睨み合っている。私も行かないと。
「それに私は、誇り高きサイヤ人の王族ですから。最後まで戦います」
ナッツが立ち上がり、凛とした顔で敵を睨み付け、歩き出す。
その後ろ姿が、彼女の母親と重なって。父親は動けぬまま、血を吐くような声で叫ぶ。
「やめろ……!! 逃げるんだ……!! お前まで死ぬんじゃない!!!」
一瞬、少女の足が止まる。それでも彼女は振り向かず、歩き続けた。
近づくナッツに、歯の欠けたリクームが笑顔で手を上げ、声を掛ける。
「よう、久しぶりだな。ナッツちゃん」
まるで親戚の子供に対するような、気安い様子だった。
「リクーム、よくも私の父様を、あんな目に遭わせてくれたわね……!」
対照的に、少女の顔は怒りに歪み、声色にも激情が滲んでいる。
「悪いが、それがフリーザ様の命令なんでな。ここで死んでもらうぜ」
「……っ!?」
表情を消したリクームから放たれた、凄まじい殺気と圧迫感に、少女の身体が震えだす。
ギニュー特戦隊。最強のエリート部隊という肩書に似合わない明るさと愉快な姿で、フリーザ軍の中でも人気は高い。
だがそれは、彼らの一側面にすぎない。敵対した人間だけが、その真価を知る。
(これが、本気のギニュー特戦隊……!)
自分はここで死ぬのだと、そう思った。覚悟が決まり、身体の震えが止まる。
最後に戦う相手としては、悪くは無い。欲を言えば、もっと生きていたかったけど。
悟飯に目を向ける。彼もまた震えていないのを見て、さすがはサイヤ人だと思い、嬉しくなってしまう。
死を前にしたサイヤ人の少女は、とびっきりの笑顔で少年に言った。
「行くわよ、悟飯」
「うん。行こう」
そして二人は叫びながら、リクームに向けて走り出した。
3年前の事だ。
フリーザ軍の基地の食堂で、幼いナッツが、目の前の大きなフルーツパフェに夢中になっている。同じテーブルでそれを眺めるのは、隊長を除いたギニュー特戦隊の4人。
基地の廊下でたまたま出会った彼らは、彼女がまだパフェを食べた事が無いと聞いて、ご馳走すべく誘ったのだ。
「あっ!」
少女が叫ぶ。使った事のない長いスプーンに、力加減を誤って、パフェを入れたグラスがぐらりと傾いていく。
その中身がこぼれそうになった瞬間、重力に逆らったかのように、傾いたグラスが中身ごとぴたりと止まった。
泣き顔になりかけていた少女が、その不思議な現象に目を丸くする。
「え? どうして?」
周りの皆と同じ方向へ顔を向ける。黄緑色の肌をした、彼女と同じくらい小さな男が、短い指をグラスに向けていた。
全員が見守る中で、彼が指を上げると、その動きに合わせて、傾いていたグラスが戻っていく。
パーティで見た覚えがある超能力だ。ナッツはそれを間近で見れた事に感激し、拍手した。
「凄い! ありがとう!」
「……気を付けろよ」
混じり気のない賞賛を受けたグルドが、照れを隠すように、ぶっきらぼうな口調で言った。
再びパフェを、気を付けながらゆっくりと食べ始めた少女に、バータが話し掛ける。
「そういえば、ナッツちゃん。今日はお使いか?」
「ええ。食べ物を買って来たの」
ナッツが買い物袋を示して見せる。その中身がすぐに食べられる物ばかりで、食材の類が無い事を、彼は訝しんだ。
「母ちゃんは料理とかしねえのか? あの人、そういうの上手そうなイメージがあるんだが。こう、サイヤ人にしては儚げっていうか、知的っていうか……」
そうした言葉は、ナッツにとって褒め言葉ではなく。むっとした様子で、少女は言った。
「母様は戦闘力も高いのよ。身体の調子が良い時なら、父様にだって匹敵するわ」
少女の母親は、生まれつきの病気で、本来ならばとっくに死んでいるはずのところを、やはり生まれ持った高い戦闘力による生命力で、かろうじて生きている状態だという。
そんな身体でありながらベジータと共に活躍して戦果を上げ、子供まで育てている彼女のことを、その可憐な容姿も含めて、バータは好ましく思っていた。
「そうだな。お前の母ちゃんは、強い人だよ」
「わかれば良いのよ」
えへんと胸を張る少女に、バータが食い下がる。
「ところで、結局どうなんだ? あの人、エプロン着けてキッチンに立ったりするのか?」
「エプロンって何?」
「……その、こう、布製の長い前掛けみたいな」
「多分それっぽいのを、こないだ着けて料理をしてたわ」
「マジで!?」
「ええ。この間、何かの本を読んだ母様が、女子力?を上げたいって言い出して。それで前掛けを着けてお肉を焼いてたら、エネルギー波の加減を間違えちゃって、今キッチンが無いのだけど」
その直後に帰宅したベジータが、部屋の惨状と、血を吐いて倒れた母親に縋り付くナッツの様子を見て、色々勘違いして大変な事になったのだが、それはまた別の話で。
バータの額から、一筋の汗が流れる。確かに数日前、宿舎で爆発音を聞いた覚えがある。てっきりフリーザ様が刺客でも送って、返り討ちにされたとばかり思っていたが。
「……ベジータも大変だなあ」
しみじみとバータが呟く。やっぱりあの人もサイヤ人なんだなあと、失礼な事を思いながら。
フルーツパフェを半分ほど食べ終えた少女は、頬っぺたにクリームを付けたまま、思い出したように言った。
「そういえば、さっき帰っちゃったあの人なんだけど、何か用事でもあったのかしら?」
「ん? ギニュー隊長の事か?」
近くにいたジースが、こっちはチョコレートパフェを食べながら応える。
「そうなの。前に見た時、あの人のポーズが一番上手かったから、よく覚えているわ」
「おお、ナッツちゃん、見る目があるなあ」
「ありがとう。それでまた見せて欲しかったのだけど、何か用事でもあったのかしら?」
「そうだな……」
ジースは頬に付いたクリームを拭いてやりながら、ぱたぱたと振られるナッツの尻尾を見る。
(フリーザ様がサイヤ人を嫌ってるから、隊長が大っぴらに仲良くするわけにはいかないとか、子供に言っても仕方ねえよなあ)
「隊長は忙しい人なんだ。これから攻めに行く星の事とか、戦略担当の奴らと打ち合わせしないといけないしな」
「そう。父様と同じで、頑張ってる偉い人なのね」
その言葉に、ジースだけでなく、他の特戦隊員も笑顔になった。
彼らが敬愛するギニュー隊長を褒められたのだ。嬉しくないはずがない。
「ナッツちゃん見る目があるなあ! うちの隊長は働き者で面倒見も良い、フリーザ軍最強の戦士だからな」
聞き捨てならないといった様子で、少女が口を開く。
「……フリーザ軍最強の戦士は、私の父様よ。サイヤ人の中で一番強くて、いつでも月を作れるもの」
ジースの方も、譲れないとばかりに続ける。
「確かに、戦闘力では厳しいかもしれないけど、ギニュー隊長にはオレ達がいるからな」
「父様にだって、母様や私やナッパやラディッツがいるわ!」
ベジータとギニュー特戦隊、どちらがより強いかというのは、フリーザ軍でよく囁かれる話題の一つだ。この少女の前では言えないが、特戦隊が想定している仮想敵の一人が、フリーザ様への忠誠心が低く、いつ裏切るかわからないベジータだった。
ナッツの挙げた他のサイヤ人達は、病弱で満足に戦えないか、または元の戦闘力が高くなく、たとえ満月の下であっても特戦隊メンバーの一人もいれば対処可能な事から、それほどの脅威とは見なされていない。
そしてベジータは、変身されてしまえば戦闘力では一歩譲ってしまうが、向こうには尻尾という明確な弱点がある上、こっちには数の有利を活かした連携やグルドの超能力といった搦め手もある。いざ実戦となったら、五分には持ち込める自信があった。
正直なところ、本気のベジータと一戦交えてみたいという思いはある。惑星攻略の際に物量で押されて苦戦する事はあれど、個としての実力で彼らと互角に戦える敵など滅多にいないのだから。
だが目の前でこちらを睨む少女を見ていると、どうにもやりづらいと思ってしまう。子供に向かってその父親と殺し合う話など、するべきではないだろう。
ジースは手を振り、ナッツのパフェに自分の苺を乗せてやりながら、軽い調子で言った。
「まあ、同じフリーザ軍だし、戦う事なんてないだろ。仲良くやろうや」
「! そうね! ありがとう!」
ぱたぱたと尻尾を振りながら、少女は笑顔で苺にかじりついた。
やがてパフェを食べ終えたナッツは、口元を拭いてから、ぺこりと頭を下げて言った。
「ごちそうさま。ありがとう、おじさん達。甘くてとても美味しかったわ」
「何、良いって事よ。次はお前の父ちゃん達に連れてきてもらいな」
リクームの何気ない言葉に、少女は小さく俯いた。
「……父様は任務で忙しいの」
「ああ、悪い悪い」
フリーザから良く思われていないベジータ達サイヤ人には、危険性の高い任務が割り振られる事が多いことを思い出し、リクームは済まなさそうに頭を掻く。
「けど、たまの休みの日には、私や母様を連れて、攻略しやすい星に遊びに連れて行ってくれるのよ」
にっこり笑うナッツの言葉に、聞いていた一同の顔が引きつった。つまりそれは、ベジータが実質、休日返上で惑星の攻略をしているという事だ。
「家族サービスって奴かよ……」
「……ベジータも大変だなあ」
「偉いわ、ほんと」
「そうよ。父様は偉いのよ」
誇らしげに胸を張る少女を見たリクームには、ベジータの頑張る理由が判った気がした。
彼女の母親が命を落とす、一月ほど前の出来事だった。
リクームのくだりだけちょいと短いですが、彼は現在、ナメック星でも話す機会がありますのでこんな感じです。
今回いなかったギニュー隊長についても、きちんと後で出番を入れる予定です。
それと感想、評価、お気に入りなどありがとうございます。
最近、楽しみにしているという言葉を頂く事が多く、嬉しい限りです。
次回の話は、章タイトルと大体同じ感じです。
週1で投稿するペースはなるべく守るつもりでいますので、楽しみにしていて下さいませ。