今日も俺は仕事で世界を回る。
俺の仕事は依頼を受けた犯罪者を狩る、言わばクリミナルハンターだ。
何故このような仕事をしているかと言うと俺の戦闘の腕を買われたからだ。
仕事を辞めた俺がたまたまいざこざになった相手をぶちのめして警察に連れていかれた時だった。その相手が実は指名手配犯で、警察から表彰を受けた。
その時に表彰されたのが嬉しくて賞金を使って他の指名手配犯を探しては捕まえて警察へ連れていくことを繰り返していた。それが今の仕事をするきっかけとなった。
今では世界各国の警察や政府の重役、大富豪などから依頼が殺到しているため世界中を飛び回っている状態なのだ。
今日の依頼は麻薬密輸組織の頭、ジェイソン・ジャッカルを捕らえて欲しいとの事だった。組織の本部はニカラグアの密林地帯にあるらしくこれからその密林地帯に潜入する所である。
「全く、こうも見通しが悪いと敵の数を見誤る可能性があるな‥‥。近くの敵を捕まえて情報を得ることにしよう」
辺りを警戒しながら進んでいくと小さな小屋のような建物が見えてきた。そしてその近辺を巡回しているやつが一人見えた。
「見回りは一人か、いかにも下っ端っぽいが何らかの情報は得られるだろう。武装していても所詮は素人、武器を使えるとは思えないな」
敵が巡回している後ろに回り込み少し様子を伺う。どうやら小屋の前側の方だけを見ているようだった。
俺は敵が背を向けたのを確認してから足音を立てずに近づき背後から拘束した。
「なっ!誰だ!!」
「おっと声を出すんじゃない。頭蓋骨を割られたくなかったら俺の質問に答えるんだ」
「ぐっ‥‥」
男は素直に応じたので幾つか質問をした。
「お前は麻薬密輸組織のメンバーで間違いないか?」
「そ、そうだ」
「お前のボスはどこにいる。メンバーは何人くらいいる?」
「ボスはここから北の方へ五キロほど行ったところにある屋敷だ、そこにいるメンバーは二十人くらい‥‥」
「そうか、最後に一言言わせてもらう。この汚い裏の世界から足を洗うことをオススメするぜ。このまま続けているといずれパクられることになる。そうなればお前の人生はパァだ。こんなものをも捨てて自分の故郷へ帰るんだな」
そう言って俺は相手が持っていたアサルトライフルを取り上げて打てないように壊した。
やつを解放するとボスのいる屋敷とは反対方向へと走って逃げていった。
「全く、素人にアサルトライフルは持たせちゃいけねーだろ、だがあいつのお陰でだいぶ情報を手に入れることが出来た。これは大きい。しかし見張りが手薄とはいえ)ここを見張らせる必要があったこの小屋の中に何があるのか見ておいた方が良さそうだな」
俺は小屋の中へと入った。
中は綺麗にされていてこれと言って怪しいものはパッと見では見えなかった。しかしよく見ると部屋の隅の床だけ一部色の違う部分があった。近づいて確認してみるとどうやら地下の階段が隠されていた。ライトを付けてその階段を降りていく。その先には扉がひとつありその扉を抜けると3畳位の小さな部屋に入った。荷物などはなかったが奥に鎖に繋がれた女性が一人身を震わせながら座っていた。
「おいおい、大丈夫かい?」
「ん‥‥あれ‥‥あなたは‥‥?」
「俺は仕事でこっちに来てる辰巳悠稀って者だ。君の名前は?」
「私は紫って言うの」
「紫さんね、とりあえずこの鎖外そうか」
俺は彼女の繋がれている手枷の鍵を針金で開けて外す。
そして俺達は小屋の外へ出て座りながら話をすることにした。
「紫さんはどうしてここに捕まってたの?」
「私はアメリカの友人に用事があって来ていたのですが、その友人と決めていた待ち合わせ場所で待っていたところを後ろから襲われて連れ去られてしまいまして」
「酷いとばっちりだなぁ」
「友人に連絡も取れないので心配で‥‥」
そりゃそうだよな、友達に用事で来たのに連れ去られて拘束されるんじゃ無理もない。全くなんて事を考えてやがるジェイソン‥‥。
とりあえず俺は彼女をアメリカへ戻れるように手配をする。
「もしもし、俺だ。ニカラグアのジェイソンの屋敷の近くで拉致された女の子を見つけた。依頼内容の追加項目の子で間違いなさそうだ、直ぐに迎えを頼む。場所は‥‥」
こうして30分程で迎えは来たので彼女を保護してもらい俺は仕事に戻った。
いよいよ屋敷の近くまで来た俺は様子を伺っていると警備は厳重という訳でも無さそうだ。しかし見つかるのは俺としてもバツが悪い。という事で裏口から中へと潜入することにした。
中へ入るとそこには大量のダンボールの山があった。どうやらここが麻薬の保管庫らしい。にしてもまぁ、こんな所に纏めて置くって注意散漫ってとこだな。だが好都合、バレずに全て終わらせることが出来そうだ。
保管庫を抜けて廊下へ出る。人の気配は全くない、屋敷が思いのほか広いからだろうか、グズグズしていては見つかる可能性もあるな。
俺は注意しながら二階への階段へと向かいたどり着いた。
その途中何人か敵はいたが全て気絶させて来た。
仕事も大詰め。いよいよジェイソンがいるであろう部屋の前まで来た。ここまでで倒した敵は約七割程数えてあと四、五人だろう。それなら余裕だぜ。
そして俺は扉を開けた。
予想通り敵の数は五人、ターゲットのジェイソンもいた。
「お前ら全員動くな!」
「な!?なにもんだぁ!?」
先に気づいた一人が銃を構えて撃ってきたが撃つまでが遅すぎる。すぐさま死角へ回り込み背負い投げの要領で他の敵に向かって投げ飛ばす。それだけで三人片付いた。
「くそっ、いったい警備の奴らは何をしているんだ!」
「残念だったなジェイソン、全員気絶してのびてるよ」
「おい!お前ら早く殺せ!!」
「ここから生きて帰れると思うなよ」
残りの手下はアサルトライフルを持ち出し構えるが俺に言わせればそんなもの柔い玩具にしか感じないわ。
それぞれ銃口を曲げてやると暴発して手下は自滅。残るジェイソンは腰を抜かしてもはや動ける状態ではなかった。
「もしもし、俺だ。ジェイソンを捕らえたぞ、あとの処理は頼んだわ」
こうして俺は指名手配犯、ジェイソンを縛って後処理班が来るのを待っていた。