暇つぶしネタ集   作:原罪

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黒い白鳥

―――さよならなんて、したくない

 

 

 

 

 

 

◯ ◯ ◯

 

混沌なる箱庭、牽牛星の姫によって産み落とされた殺戮の舞台

 

エリア北西部B-3――『アバル村』

 

 

 

『ある少女』の運命の始まりたる祠の前に、一人の少女が立ち尽くしている

少女の頭には、あの時軍服の姫君が発した言葉の意味が分かっていた

 

 

 

―――それに、『運命の改竄』も可能だな。例えば『使命を果たし終えたら存在そのものが消滅してしまう者たち』を生かすことも、な

 

 

あの言葉の意味を少女は知っている。いや、否応なく理解してしまっている。

いや、最初から分かっていた、だけど嫌だった。そんな事を思ってしまう自分が嫌だった

 

 

『優勝して、ユズとライムが居なくならないようにする』

 

 

 

そんな考えが思いついてしまった自分が嫌だった

もし無事元の日常に戻ったとして、リフレクターとして原種を倒して使命を果たして、それで結局二人が消えることには変わりはない

そんな残酷な運命を受け入れられない自分の心を嘲笑うかのようにあの軍服の女性はあの発言をしたのだろうか

どちらも選べなかった。全て解決した所で二人が消えてしまう。だからといって殺し合いには――

 

 

「やっほー、マガネちゃんの声聞こえてるー?」

 

そんな彼女――白井日菜子の心境に土足で入り込んできたのは、自分とは対称的な、黒いセーラー服の女性であった。

 

 

 

◯ ◯ ◯

 

 

「いや~、よかったよかった~! いきなり変な所へ飛ばされたもんだからマガネちゃん寂してくてさぁ。こんな所で可愛い子ちゃんと出逢えるなんてラッキーハッピーうれぴーなー!」

 

「………何なんですか本当に、あなたは」

 

「何なんですかと言われましても、マガネちゃんは十中八九マガネちゃんなのだ! というよりもマガネちゃん名乗ったんだからそっちも名乗るべきだと思うのだよ」

 

「……白井、日菜子。」

 

「日菜子ちゃんねぇ……じゃあヒナちゃん、かな?」

 

「……」

 

まるで何を考えているか分からない。高いテンションと軽いノリ、今の日菜子にとって面倒くさくて煩わしい存在に過ぎない。それによりにもよってこんな胡散臭い女性に『ヒナちゃん』呼ばわりされる事が無性に腹が立っていた

 

「……それで、私に何か用事ですか?」

「用事も何も、ヒナちゃんがなんだか悩んでるようだったので気になったのだよ。何なら人生相談は受け付けてあげるけど?」

「……人の悩みを踏み荒らさないで。あなたに私の何がわか「分かるよ? お友達を、ユズちゃんとライムちゃんを生きながらえさせたいんでしょ」――!?」

 

日菜子の脳内は一瞬白紙に塗りつぶされそうになった。何故か自分のかけがえのない友達、ユズとライムの名前を、そして私の友達であることをズバリ引き当てたのだから

 

「どうし、て、それ―――」

「ルール説明の時、マガネちゃんは周りの会話やら顔やらをちゃんと確認していたのだ。いやぁ、知らない単語ばっかでマガネちゃんもこれにはびっくらこいたさ。で、マガネちゃんの近場にヒナちゃん達や他数名がいたから、バレないように聞き耳を立てていたのだよ。」

「そしてその中で『ユズ』、『ライム』って一人称を使っていた女の子を見つけたわけ。この時は別になんともなかったけど姫君ちゃんの説明に露骨に反応していたヒナちゃんを見かけてさ、事情はわかんないけどビンゴ!ってわけ」

「まあ他にも人語を解するステッキやら禍々しいオーラを醸し出してるおっかない女もいたし、そういやあの姫君ちゃんに真っ向から啖呵切った幻想殺しの少年も気になるかなぁ? まあそれはお・い・と・い・て――」

 

 

「――ぶっちゃけ乗っちゃっても良いのだと思うのだよ、殺し合い」

「―――は? ―――え?」

 

わけがわからない。目の前の彼女が何を考えているのか、日菜子には分からない。自分にどうしてほしいのか、自分をどうしたのか。マガネと名乗った女の考えが、何一つ理解できない

 

「だってさ? どうせどんな夢でも叶えられるのなら、友人も知り合いも赤の他人もみんな殺して、そっから自分の友達や知り合いのみを、殺し合いでの記憶を消した上で蘇らせれば良いのだよ」

「―――!? そんな、そんな事出来るわけ――!?」

「じゃあどうするの? このまま泣き寝入りする? 大切な友達が消えちゃうっていう運命受け入れるの? 嫌だよねぇ? 諦めるよりやって見る価値あるよね? ねぇ? ねぇ?」

「でも、殺し合いに乗るなんて私は―――」

「いい加減受け入れるのだよ、これは面白可笑しい殺し合い、すなわちバトル・ロワイアル。生き残ったただ一人がどんな願いでも叶えることが出来る。それこそ『どんな願い』でも」

 

 

―――もうやめて、これ以上私の心を惑わさないで、私の心をかき乱さないで

「どうせ蘇るから」なんて考えはしたくない。そんな事をして生きながらえることなんてユズもライムも望んでいない。私はみんなを傷つけたくない

 

「そんなくだらない良心なんて綺麗サッパリ捨ててしまえばいいのに」

 

―――黙れ

 

「こんな薄情者な友達を持ってそのユズちゃんとライムちゃんとやらも可哀想だねぇ」

 

―――黙れ、黙れ、黙れ

 

「君が一歩踏み出せば彼女たちは生きながらえられる。なのに君は一歩踏み出すことをしない。薄情者じゃなかったら何ていうのかな? 偽善者?」

 

―――黙れ、黙れ、黙れ、黙れ、黙れ

 

 

 

 

「―――君ってさ、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■―――」

「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇッッッ!!!」

 

 

 

 

 

 

◯ ◯ ◯

 

 

 

 

 

「―――あ」

「満足した?」

 

 

気付いた時には既に遅かった。日菜子の衣装は白いセーラー服ではなく、リフレクターとしての綺羅びやかなものとなっており、手にした剣には――血が滴っていた

目の前の女の頬には自分が切ったであろう傷が付いており、そこから血がポトリと落ちている

 

 

「――わ、わた、し――ちが、そんなつもり―――」

「やれば出来るじゃないか? マガネちゃんはちゃんと一歩踏み出してやれる子は大好きなのだよ。そう、結局君は自分の願いのために他人をゴミをのように切り捨てられるのだよ。おめでとうヒナちゃん! 相手がマガネちゃんじゃなかったら殺人童貞卒業だよ!」

「あ――ああ―――」

「いい加減認めたらどうなのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ヒ ナ ち ゃ ん は 友 達 を 失 い た く な い ん で し ょ ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心が黒く染まっていく。底なし沼に沈んでいく

足掻いても足掻いても白鳥は沼から抜け出せない。

 

そうだ、私は失いたくないんだ。失いたくない

更紗も、有理も、麻央も―――何より、ユズも、ライムも

 

失うなら、一度自分で捨てて直せばいい

全てやり直せばいい、リセットすればいい

どうせ全て忘れてやり直せるから

 

声が聞こえる。優しい声が、自分を止める優しい声が

でももう聞こえない。泥の中では何も聞こえない

 

泥の奥底に星が見えた。赤い、朱い、紅い一番星(エトワール)

手を伸ばす、私はそれに手を伸ばした――心が晴れやかになった気分だ

 

 

 

 

 

 

 

ああ、なんて清々しい気分

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい目をしてるよヒナちゃん、すごく'悪い’『いい目』」

「言いたいことはそれだけですかマガネさん、だったら早く消えてくれませんか?」

「そう言われちゃ仕方がない、ではマガネちゃんは退場するといたしましょう――あ、これはマガネちゃんからのプレゼントなのだよ」

 

マガネが投げた『何か』を日菜子はキャッチする。それは何かの『仮面』

 

「この仮面、アクルカって名前らしいんだけど、マガネちゃんはあまり仮面とか興味ないからヒナちゃんにプレゼント、困った時はこれを使ってね~」

「………」

 

最後の最後まで何を考えているかわからない女、マガネは夢のように去っていった。残されたのは血に落ちた孤独な星が一人だけ

もう決めた、決めてしまった。後戻りはできない。

 

 

「――ごめんね、みんな。でも安心して、全て短い悪夢になるだけだから」

 

 

 

 

―――黒鳥は、もう二度と白鳥に戻ることはないのだ

 

 

 

【B-3/アバル村/一日目 黎明】

【白井日菜子@BLUEREFLECTION 幻に舞う少女の剣】

[状態]:異常

[服装]:リフレクターの衣装

[装備]:

[道具]:基本支給品一式、スマートフォン、願望カード、不明支給品3つ(本人未確認)、ヴライの仮面@うたわれるもの3 二人の白皇

[思考・行動]

1:優勝してユズとライムを消滅の運命から救う

2:邪魔をするなら例え友達でも容赦はしない、どうせ蘇らせるから

[備考]

※本編第11章、原種イェソド一戦目終了後からの参戦です

 

◯ ◯ ◯

 

 

「――斯くして、人魚姫は魔女へと変わってしまいました、と」

 

所離れて別のエリア。鼻歌を軽快に鳴らしながら歩く嘘つき道化師(築城院真鍳)

 

 

(しっかしまあ、あの姫君ちゃんも面白そうな催し物を考えたものだにゃ、こりゃ騎士サマは一本取られた感じ、かな?)

 

様々な物語(世界)から呼び寄せられた登場人物(さんかしゃ)たち。

其れ等が何を紡ぎ、何を奏でるかは彼女には関係ない。

 

ただ自分が面白そうだと思う事を、実行する。彼女が通り過ぎた跡が例え更地に成ろうが血の海になろうが彼女の知ったことではない

 

 

(さて、次は何処に向かおうか、例の幻想殺しちゃんにも会ってみたいところだけど、まずはちょっとした仮拠点でも確保しよう、かな?)

 

 

彼女の瞳が写すは真実か、それとも嘘か

 

 

 

 

【B-3//一日目 深夜】

【築城院真鍳@Re:CREATORS】

[状態]:

[服装]:いつものセーラー服

[装備]:なし

[道具]:基本支給品一式、スマートフォン、願望カード、不明支給品2つ(本人確認済み)

[思考・行動]

1:自分が面白いと思った事に身を委ねよう!

2:仮拠点作り

3:幻想殺しには会ってみたい

[備考]

※本編15話、アリステリアとの対談後からの参戦です。

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