ONE PIECE ~Sibling~   作:ゆんあ

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1.プロローグ

 騒がしく、慌ただしく、人はバタバタと倒れ、キズだらけになり血を流してる人たちが沢山いる。

 

「うわああああああああああああああっ──!!」

 

 聞こえてきた叫び声は……悲しみ? そんな簡単な一言で、表せる声ではない気がする。

 

「なんとかしねぇと! あいつら、もう……エースを処刑する気なんだ!!」

 

 エース? 処刑? その言葉が耳に入り、胸が締め付けられる。

 エースって誰? エースって人はなんで処刑されなきゃいけないの?

 

 でも、エースを処刑させるわけにはいかない! あたしも行かなきゃ! ルフィだけには任せてはいけない……!!

 

 知らないはずの名前が、急に自然と頭に浮かび上がる。

 ルフィ? それにエース。知らないはずの名前だけど、モヤモヤとした気持ちだけが何故か膨れ上がる。

 

 何かをしようと身体を動かそうとしても、何故かあたしの身体は動かない。

 この戦場であたしは、ケガをしてしまったのだろうか?

 

 そんなことを考えていると、ふとガタイの良い老人が目に入る。知らないはずの人の名前と顔が、何故か一致した。

 

 ガープのじぃじとルフィ? そうか、じぃじは海軍だもん。

 海賊のエースを助けるには、ルフィも海賊だから海軍のじぃじとぶつからないといけない。

 

 じぃじ……ゴメン。2人ともじぃじの事を文句言いつつも、特にルフィはじぃじの事が大好きなの知ってるでしょ?

 だけど、エースはあたしのたった1人の肉親──そうだ、双子の兄のエースを助けたい。

 

「エースーーーー!!」

 

 声も出ない、動けないあたしの代わりに、ルフィがエースの手をとった。

 

 良かった!! ……でも、本当に良かった? エースは、助かったの?

 

 ──ルフィの叫び声が聞こえた瞬間、あたしの意識はここでプチッと途切れた。

 

 

 ◆◇◆◇

 

 

「うぎゃああ、おんぎゃあああっ」

 

 もう、うっさいなぁ! 人が寝てるのに、わざわざ泣いて起こさないでよ! もぅっ!

 隣で泣いてる、兄のエースを睨もうと身体を向けようとするが動かない。

 

 あれ? なんで、カラダが動かない?

 そんな事を考えてると、ふと自分の小さい手が目に入る。

 

 あぁ、そうか自分は、まだ赤ちゃんだった。

 エースと双子なのに、あたしが赤ちゃんじゃないわけがないよね。

 

 ん? エースって誰? なんでエースと自分が双子って知ってるんだ? そして、あたしってば赤ちゃん?

 えーっと……なんで、赤ちゃん? まぁ、人だから人生は赤ちゃんから始まるのは当たり前なんだろうけど、赤ちゃん? こんなにはっきり赤ちゃんって、状況判断出来るの?!

 

 それに、変な夢を見ていた気がする。

 戦場でルフィが暴れていて……あれ? ルフィって誰だっけ?

 

「おうおう、泣いとる泣いとる」

 

 この声はじぃじだ。

 待てよ。またまた、初めて聞く声のはずなのに、じぃじってわかるんだ? 知っていることに疑問を持つってなんか変だよね?

 

「お前は女の子だからのぅ……どうしたもんか」

 

 泣いてるエースを無視して、あたしを抱き上げるじぃじ。

 

「とりあえず、アンだけは村長の所に連れて行くかのぅ」

 

 村長? ってフーシャ村の村長のことかな? って「アンだけは」という事は、エースとあたしは別々にするということ? 

 何故か胸が苦しくなって、嫌という気持ちが膨らむ。

 

 ……あたしは、エースと離れたくない!

 

「おぉ……妹の方が泣くなんて珍しいのぉ。おー、よしよし!」

 

 あたしは言葉を話せない……のか。

 文句を言おうとしたら「おぎぁ」と、自分の口から甲高い泣き声が漏れる。

 

 ──さっき見た夢が、あたしが生まれてない世界での出来事なんて……あたしが知るわけもなかった。

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