ONE PIECE ~Sibling~   作:ゆんあ

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16 あたしの生死

 革命軍の船に乗ってからあれから数年。

 サボの記憶は相変わらず戻ってない。エースとルフィの記憶がないから、寂しいけど革命軍であたしとサボは上手くやってる。

 

 そういえば、エースとルフィ……フーシャ村のみんな、じぃじとも連絡取っていない。あたしのことは、どうなってるのだろうか。

 

 サボが銃撃された時は天竜人を見ようと、野次馬たちがたくさんいたらしいからドラパパに助けられたとこを見られるか、死んだかのどっちかだとは思わられてるだろうけど。

 

 あ、あたし……急にいなくなった系だよね?

 

「なぁに、しかめっ面してるのー?」

「んん? あ、コアラか……」

 

 年が近い女友達はフーシャ村に住んでた時も居なかったから、コアラが革命軍に来てからはよく一緒に行動してる。

 

 この子は小さい時に奴隷にされて、魚人に助けられて色々とあったみたい。

 魚人が差別されててどうのこうのって、言ってた気がしたけどそこいらの話はあたしには難しくてよくわからない。

 ただ、助けてくれた人たちが差別で殺されたことを知って世界に幻滅したってことはわかった。

 差別で殺される……かぁ。ゴミ山の人たちが邪魔だから火事で殺してしまうとか同じ種族同士でもやるから、難しい。

 

 みんな、仲良く出来ないもんかねぇ?

 

「で、どうしたの?」

「あ、あぁっと……」

 

 話がそれてた。

 

「あたし、ここにいる事はまったく不満もなんにもないし賛同してるんだけど……何も知らない兄弟とかじぃじに生きてることすら報告してないの」

「え、アンちゃんと、サボくんって駆け落ちじゃなかったの?!」

「か、駆け落ちって……!! なんだ、なんだ?! あたしとサボってそんなにピンクな空気出てるの? それにサボは記憶ないの知ってるでしょ、それにこの革命軍に来たの何年も前だし年齢考えて!!」

「冗談だよ、冗談!! それ、今更すぎる悩みだけど今まで忘れてたの?」

「サボの記憶をどうしようとか、ドラパパのスパルタ修行のせいですっかり抜けてた……」

 

 しっかりしてそうで、なんでそんな大事な事を忘れてるのかな〜っと、ブツブツ言いながら笑ってるコアラ。

 

「あ、でも、ドラゴンさんってアンちゃんのじぃじの子供なんでしょ? 連絡とか取ってるかもよ?」

「えー、海軍と革命軍が? ないでしょー?」

「前は急げだ、聞くだけ聞いてみよ!」

 

 ──と、ずるずると引きずられてドラパパのとこに連れてかれた結果。

 

「じじいが、アンが生きてることは知っている。他の奴らが知っているかどうかはおれは知らんが」

「へっ?!」

 

 あたしはポカーン。

 海軍の親と連絡とか取ってるのね、ドラパパさんよ……。

 

「なんだよ、アン。そんな大事なこと忘れてたのか? おれに構ってたからか、なんか悪ィことしたな……」

 

 ドラパパと一緒に居たサボが申し訳無さそうな顔をして、こっちを見る。

 

「アンとサボがここに来た頃に伝えた。なにか文句言っていた気はするが、覚えとらん」

「そ、それは、それは……ありがとうございます?」

 

 じぃじには伝わってるのは、少しだけ安心したけども、だ!

 じぃじがあの2人に話してるかどうかと問われれば……自分だけ満足して伝えてる確率は非常に低い気がする。

 

「んー……」

「アン、帰りたいのか?」

「えぇ、アンちゃん、帰っちゃうの?!」

 

 帰りたくないと言えば嘘になる。

 でも、あの国に帰って普通に暮らしたいかと聞かれたらNOだ。

 革命軍と色々な国を回って色々な国があることを知って、平平凡凡に暮らしてるのもなと。

 それに、父さんのことも少しだけだけど知ったり出来た。

 ただ2人とは会って話がしたいと……思う。

 

「アン? 帰りたいならおれも付いてくけど、おれの帰る場所はここだから送るだけになる」

「帰りたいわけでは……あぁああああ!?!」

「?!」

 

 っと、待てよ?

 あたし忘れてること、多すぎだけどエースの処刑なんたらとかいつだ?!

 あたしが急に奇声を上げたのをビックリしたのか、サボが目を丸くしてあたしのことを見てるがサボの顔をガン見する。

 

 サボとエースとあたしは同じ年齢。

 ジッとサボを見る。

 目の前にいるのは、エースじゃなくてサボだけど処刑の夢の時のエースよりはまだ若い気がする。

 

 ふと、ドラパパの机にある伏せられてる手鏡が目に入った。

 それで自分の顔もガン見する。

 

「あたしとエースは双子なの!!」

「お、おう? らしいな?」

「????」

 

 あたしの独り言の叫びにサボとコアラが、それぞれの反応をしてくれてるがそれどころではない。

 

「まだイナズマさん、ここに居る?!」

「明日、イワと旅立つはずだが」

「いるのね?! ちょっと行ってくる!!」

「え、アンちゃん?!」

「……なんだ、あいつ?」

 

 一人で騒いで走ってイナズマさんを探しに、ドラパパの部屋から出た。

 

 ◆◇◆◇

 

「居た!! イナズマさん、髪の毛切って!!」

「アンさん、急に……髪の毛ですか?」

「そう、髪の毛!! バッサリさっぱり!!」

「バッサリですか……??」

 

 今あたしの髪の毛は、腰くらいまで伸ばしてある。

 別にこだわりがあって伸ばしてたわけではないけど、この長さをバッサリと切ると言うことにイナズマさんは驚いているみたい。

 

 この髪の毛を切って、エースと同じ顔になってやるんだ!!

 

 と、意気込んでチョキチョキの悪魔の実の能力で腕をハサミに変えられるイナズマさんにお願いをする。

 

「何かあったのですか、アンさん?」

「あったと言えばあった!! だから、切って!!」

「女の子が髪の毛をバッサリ切ると言うことは……サボくんと何かあったのですか?」

「え、サボ?! なんで?!」

「い、いえ……」

 

 なんでサボの名前が? と、思ってイナズマさんを見ると何処かに視線を送っているらしい。

 その視線の先を見ると……。

 

「ん、イワさんとサボ? 何やってんの?」

 

 くっ、慌てたせいで覇気で誰か付いてくることを気にしてなかった。

 それに別に髪の毛切るだけだったし、ここには革命軍の人しかいないはずだし気を張る必要もない。

 

「いや、アンの様子が変だったから追いかけたら、おれはイワさんに捕まった」

「髪の毛を切るってどうしたっチャブル?! ハットボーイに何かされたのかしら」

「アン髪の毛切るのか? それだけで、あんなに慌ててたのか。ん? なんでおれの名前が出てくるんだ?」

 

 なんでイナズマさんとイワさんの口からサボの名前が出てくるのかあたしとサボには意味不明だ。

 

「なんか、よくわかんないけどイナズマさんよろしく!」

「あ、はい。本当にいいんですね? バッサリで」

「そう!! バッサリ!!」

 

 さっきまで少しだけ渋ってたイナズマさんだったけど、イワさんとサボが出てきてすんなりと切り始めてくれる。

 

「この2人には色恋はまだ早いチャブルねぇ」

「そうみたいですね」

 

 2人が何を言ってるのかよくわからず、サボの顔を見たらサボも何を言ってるのかわかってないみたいで「どういう意味だ?」と口パクであたしに聞いてきたから「さぁ?」とだけ答えといた。

 

 

「アンさん、出来ましたよ」

「ありがとうございます。イナズマさん!!」

「初めてヴァナータに会った時を思い出すわね」

「サボ、ちょっとそこの鏡とって!!」

「おう、ほら」

 

 サボから受け取った鏡の中の自分を見つめる。

 

「少しやっぱり、男らしさというかごっつさはないけど……」

「ヴァナータ……もしかして、やっぱりボーイになりたいっちゃブル?」

「「「へっ?!」」」

 

 イワさんの言葉にあたし、イナズマさん、サボが同時に声を上げる。

 

「アン、男になるのか?!」

「アンさん、話には聞いてましたが……」

「なんで、そうなるの?!」

「男らしさが欲しいとかなんとかって……」

「欲しいとは言ってないでしょ! ちょっと、エースの顔を想像したかったの!!」

「「「……??」」」

 

 3人の頭の上にクエッションマークが見えた気がした。

 夢の中でエースが処刑されるのを見たから、その年頃を想像したかった。なんて言ったとしても、信じてくれないだろうし言うだけ無駄だ。

 

「アン、そんなに兄貴に会いたいのか……?」

「そう言うこと。アンったら、今更ホームシックのブラコンだったのね」

「……なんか、違う。とてつもなく、エースにそう思われてたら腹立たしいから本当に違う」

 

 元々、生まれてからじぃじに離れ離れにされてて会えないことが寂しいとかは今更すぎるほどない! とは、断言出来る。どちらかと言うと、ルフィとの方が長い時間一緒に居たからむしろそっちの方が心配で会いたいわ!!!!

 あたしとサボがいない状況で、エースはきちんと兄ちゃんしてくれてるかも心配だ。

 あ、そういう意味ではやっぱり会いたい。

 

 けど、髪の毛を切った自分を見てエースはまだ処刑されたりはしない。

 それに、考えてみれば年齢的にも処刑されるには早い……はず。

 

「やっぱり、アンの居た村だっけ? 帰るか?」

「だから、そうじゃないって! エースには会いたいけど、まだ海賊になってなさそうだし。今はまだいい」

 

 またしても、3人の頭の上にはクエッションマークが見える気がするけど。もう、ほっとこ。

 死刑になる位だ、エースが海賊になればすぐに賞金とかつきそうだし少額の賞金ついた時に会えて、その時に対策を考えれば。

 それまでに、海渡れるように航海術とかもっと勉強をここでさせてもらおう。

 

「シャボン……硬化」

 

 ふわっと手のひらに出したシャボンを武装色の覇気で硬化させる。

 あたしのどこからともなく聞こえてた、エース、サボ、ルフィの声とかは見聞色の覇気というもので、聞こえたものだと言うのを教えられた。

 覇気には覇王色、武装色、見聞色と3種類あるみたいだがあたしには覇王色とやらは今の所はなさそうだ。

 

 サボとあたしはドラパパに鍛えられ、武装色と見聞色は最低限は使えるようになったが、見聞色はあたしは少し人より特化してるのか心の声まで聞こえてしまってるらしい。

 普段はそんなことしないし、ここに居る人たち……革命軍のトップの人達の心の声なんてあたしじゃまだ聞こうとしても、塞ぐって言い方で良いのかわからないけど、塞がれちゃって聞けたことなんて修行中に緩めた時だけで普通の時でも聞けた試しがない。

 

「武装色、硬化!! ほれっ!!」

「う、うわっっ?! ぎゃあ、いだっっっいっっっ」

 

 ぼけぇっとしながら硬化させたあたしの手のひらにあったシャボンが、ガツーンっとサボの拳で壊された。

 ぼけぇっとしてたのもあったけど、硬化させたシャボンを割るには武装色で硬化させた何かじゃないと壊せないわけで……サボがこれを壊しに来る気配を感じて、気合いを入れたものの気の緩みの方が上回った。

 そのせいで、シャボンを割られた反動で自分にも衝撃が来てしまった。

 見聞色はサボより出来るのに、あたしの気の緩みのせいでどうしてもサボより強くなれないのは悔しい。

 

「あ、わりィ。いつもの調子で壊してみたけど、力入れすぎた」

「だ、大丈夫。ビックリしただけだし」

「さっきから、ボッーと何考えてんだ?」

 

 さっきから、ぼけぇっとしすぎだ!!

 もうこれ以上悩んだってどうもこうもない。

 

「もう考えないことにした!! ほら、サボ行くよ!! シャボン、武装色っっ。えいっっ」

「ぬおっ?! いきなり、投げんなよ。壊さねェで思わず避けちまっただろ!!」

「ここで避けて、部屋散らかったら片付けるの面倒だから避けないでよっ」

「いや、外行こうぜ……そこは」

「はいはい、行くよ!!」

「って、外に行くんじゃなくて投げてくんのかよ?!」

 

 硬化させたシャボンをサボに向かってポンポン投げる。

 

「ヴァナータたち!! 流れ弾がこっちに来てるんですけど?!」

 

 イワさんが何か文句言ってるけど、聞こえないふりをした。

 

 

 ◆◇

 

「ふぅ、久々にガッツリ投げたぁ」

「……なぁ、アン」

「なにー?」

 

 硬化させたシャボンを室内で投げまくってたら、イワさんにとっ捕まって外にほっぽり出された。

 存分に暴れたお蔭で少しだけ頭がスッキリした。

 

「……エースってやつも、アンみたいな顔してんのか?」

「あれから年数経ってるからなぁ。それでも、あたしとそんなに顔は変わらないと思うよ」

「ルフィってやつは? ドラゴンさんに似てるのか?」

「ドラパパとルフィ……あ、そういえば、あんまり似てないかも。怖い顔はしてないし、ルフィは元気だけが取り柄って感じの顔してる」

 

 聞いて来た癖に「ふーん」と、素っ気ない感じになるサボ。

 それでも、あたしは話を続けてみる。

 

「エースはバカだし人のことを滅多に信用しない、自己中人間だけど仲間だと思った人はとことん信用する。サボのこともきっと戻ってくるって言ってた」

「……」

「ルフィは基本的にエースを上回るバカだけど、嘘を吐けない真っ直ぐな子。アイーって、あたしたちの後ろをチョコチョコ追っかけて来る子だったけど大きくなってからどうなってるのかは楽しみ!!」

「? アイってアンのことか?」

 

 そういえば、あたしがアイって名乗ってたの今のサボに話したことなかったけ。

 あたしも普通にドラゴンさんのことをドラパパって呼んでたし、てっきりサボも知ってるものだと思い込んでた。

 

「──って、訳でアイって名乗っててルフィにはそれが定着してたの」

「あぁ、だからドラゴンさんのこともドラパパとか意味不明な呼び方してたのか!!」

「そこっ?!」

 

 何か違うとこに反応をしめされた。

 海賊王の娘とかサボには関係のない話だったらしい。驚かれて質問攻めにされるかと思ったけど、サボらしくて何故か嬉しい。

 

「アンはアンだろ? おれもおれだし、貴族とか関係ねェしな……」

「サボ?! 貴族って、思い出したの記憶?!」

「記憶? おれが貴族だったて前に言ったのアンだろ?」

 

 思い出したのかと思って、ちょっとビックリして取り乱しそうになったわ。

 まっ、あたしはあたし、サボはサボ!! 今はまだきっとそれでいい──。

 

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