ONE PIECE ~Sibling~   作:ゆんあ

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18 海兵と魚人

 ていうか、海中からすんごい勢いで何かがこっち向って来てない?

 

「ちょっと、まじであんたヤバイよ?!」

「ひぇぇぇぇぇぇ、ひひひひひひひ火拳すわああああん」

「あー、もうっっっっ!! ──シャボン、硬化。リーフ"ウォール"」

 

 衝撃でシャボンが割れないように、シャボンを硬化させてカミカミ少年をシャボンに包んで船から引き離す。

 リーフ(葉)を壁のように出してみたけど……。

 

 ドーーーーンッと、リーフの壁に海中からすごい勢いで来た何かが、こっちに向かって飛び付いて来ようとして壁に激突する。

 その衝撃でリーフはパラパラと崩れ落ちて消え、七部海らしき人が海に衝撃で帰って行き、水しぶき……大波がカミカミ少年の乗っていた船を飲み込む。

 

 あぁ……あたし、なんだか七部海とかすんごい大物に喧嘩を売ってしまった状況になってしまった。

 

「あたし、これから人に会いに行かなきゃ行けないのに、あんたのせいで七部海だかに喧嘩を売ったみたいになっちゃったじゃないの!!」

「ずみばぜぜん、ひひひ火拳ずわぁぁぁん」

「だから、火拳じゃないって言ってるでしょ! 炎なんか扱えてないでしょ!!」

 

 って、叫んでる場合じゃなかった。

 ものすごく、怒ってる感じがヒシヒシと水中から感じる。

 けど、水中から出て来る気配は感じず、辺りはシーンと静まりかえる。

 

「……も……の……」

「ひひ火拳ささん、なな何か海のの中からここ声がががが」

 

 う、うん。

 あたしも何か聞こえた気がする。

 

「──こんの……大馬鹿者がぁぁああ!!」

「ひ、ひええええええええ」

「ぎゃあああああああっっ」

 

 海中から飛び出て来た七部海の人が、この世の終わりかと思うくらいドスのきいた声で叫んだ。

 

 こりゃ、もう……あたしも詰んだ! 本当にまじで本当のまじほんで詰んだ!!

 

 ◆◇

 

「──本当にすまなかった!!」

 

 腰を90度に曲げて深く、ふかーく頭を下げる魚人さんが何故かあたしの目の前にいらっしゃる。

 

「い、いえ? あ、あの?」

「謝るんじゃ、ササ!!」

「すみばぜん、火拳ずわぁあんん」

 

 そして、ササと呼ばれた男の子の頭を押さえつけながら、あたしに向かって頭を下げさせる。

 いや、だからね。あたし、エースじゃないってば。

 

「馬鹿者!! この者の何処が火拳じゃ! ……ササ、先日の火拳だと思ったおなごは似てるだけの別人という話を忘れておったんか!!」

「ひぃぃぃ、ずみばじぇぇん!!」

 

 何故か魚人さんが、あたしのことを火拳じゃないと否定してくれた……はて?

 

「あぁ。こやつ、こんな身なりをしてるが、先日もお嬢さんに誤発砲したらしい馬鹿な海兵じゃ」

「え、この子が海兵?!」

 

 ……まじか。

 こないだはオロオロしてるのが気配で分かったし、自分から当たったことにしたから顔まで確認はしてなかった。 

 

「たまたま、わしが近辺に居てイスカに会って話してる時に、わしの船を……! わしの船だったから、まだ良かったとしてもだ! 謝罪じゃなく火拳だと?!」

 

「ひぃぃぃ、じじじジンベイさんんんん、すみばぜぜん!!」

「わしに謝罪する前にお嬢さんに、謝罪せいっ!! 謹慎中に勝手に飛び出し、また民間人を巻き込むとは」

 

 謹慎中だったのね……カミカミ少年ことササって言ったけ。

 あれ? そういえばこの魚人さんのことを、ジンベイさんとか噛みながら言わなかった?

 

「あのぉ? つかぬことを伺いますが、ジンベイさんって魚人のハックと人間のコアラと知り合いです?」

「あぁ、知っておるが……お嬢さん、なぜその名前を?」

「あたし、コアラと仲いいんです! それに、子供の時によくハックに孤児たちと一緒に、かかか……」

 

 って、危ない危ない。

 カミカミで弱々な子だけど、一応だけど海兵が居たんだ。

 

 思わず、革命軍の仲間と武道教えてもらったってことを話すとこだった。

 

「おぉ。そうか! コアラと友なのか、ハックも元気にやっているか?」

 

 あたしが革命軍と言うのを飲み込んだのを気付いてくれたのか、知らぬ顔でジンベイは話を続けてくれた。

 ジンベイはハックとコアラが革命軍に居ることを、なんとなくだけど知ってる気がする。

 

 共通の友人が居ることでジンベイもさっきよりも、顔が穏やかになって楽しそうに話してくれる。ササは何の話をしているか、わからないみたいでオロオロ……って、さっきから様子は変わってないか。

 

「ていうか、あんた……ジンベイと知り合いの海兵の癖に、ジンベイの海賊旗をなんで知らないのよ。それでも海兵なの?」

「ぼぼぼく、まだ見習いというかかか雑用というか、助けられたといいいうか」

「んもうっ! もう少しまともに話せないの?!」

「すすすすすみましぇん!!」

 

 なんというか、ジンベイも呆れた顔をしてる。

 そして、あたしが気になることをジンベイが呆れた顔をしながら教えてくれた。

 

 カミカミ少年ことササは、元々は海賊に占領されてた村の出身の子供。

 そこで海賊に雑用で使われてたらしいが、この性格。邪魔だからと、海に投げ捨てられた所をジンベイが拾って海軍に届けたらしい。

 

「たたた助けてくれたたた良い人ととだから、海賊だななんて知らなくてててて……」

 

 そして、自分から海軍に入るというのを決めたらしい。

 

「だたからら、ジンベイさんはは命の恩人でしっ! イスカ少佐もよよよくしてくれてまひゅ」

「こんな性格じゃ。誰かにからかわれて、真に受けてイスカと話してる隙にわしの船を盜んでここ来たんじゃろうて」

 

 無駄に航海術だけはあるのね……馬鹿そうなのに。いや、馬鹿だけど。

 あの女海兵さん、少佐だったんだ。ササの上司やってる位だ、面倒見かなり良い人だ。

 がんばれ、少佐……!! あたしには到底面倒見るなんておおらかな心はきっとない。

 何故か心から応援したくなる。

 

「わしはササを連れて帰る。懐かしいやつらの話が出来て楽しかったわい! ……所でお嬢さん、名は?」

「あたし、アンって言います!」

 

 ここは家名を言う必要はないと判断して名前だけ名乗る。きちんと名乗ったところで、また面倒になりそうだし。

 

「ササが悪かった! ほら、ササも謝らんかい!」

「ははいい! ひひ火拳しゃうわん、すみばませんでひた!」

「今、名前聞いておらんかったのか!! アン、すまんな。ほら、行くぞササ」

 

 ポカンとジンベイに殴られるササ。

 もう、なんでもいいよ。名前……。

 

 

 ◇◆

 

 

「……なんか、どっと疲れた」

 

 ジンベイたちと別れた後に、火拳と間違えられること数件。

 

 その中で攻撃してきた賞金稼ぎは、あたしの声と姿を確認した癖に1件だけされた。

 ボーンとは出てないけど、一応あるんですよ、女子の象徴おっぱいが!

 

 ここいらの賞金稼ぎは、一応はまともな? 賞金稼ぎが多いみたい。

 前半の海とは言ってもグランドラインだし、何があるかわからないから無駄な労力使ってもしょうがないしね。

 しかしまぁ、攻撃してきた人はまじクソだった。「首だけ持ってけりゃあ、賞金は3割減るが間違えるほど似てるし女だ手軽でいい」とか、クソ発言してたよ?!

 

 クソ発言してる位だから多少は強いのかと思ったら、すごく弱かったし。

 

 ……あいつは、海賊とやってること何が違うんだ? 関係ない人を賞金首だとか言って、殺してたらもう海賊なんじゃないのだろうか。

 あたし、生きてるけど。あれは、とっ捕まえて海軍に連れて行けば捕まえてくれるのかな?

 それに、エースがまじクソな海賊であたしが賞金首に狩られてエースだと思われたら……普通にやばくない?!

 

「あー。そんなことより今は静かに眠りたい……シャワーも浴びたい……もう夜……」

 

 夜の方が何かが起こりそうだけど、暗くて本も読めないから、夜の闇に紛れてサクっと移動したかったんだけど。

 昼寝があまり出来なかったのが辛い。

 

 ──みゃ〜、みゃ〜!

 

 ん、何処からか猫の声が聞こえる。

 暗闇の中で目を凝らして辺を見回す。 

 

「……海賊船か」

 

 ここからは少しだけ距離はあるけど、そっちの方から猫の鳴き声が聞こえて来てるみたい。

 あたしが海に出て初めて出くわす海賊船! 出来る海賊だったら、あたしが気付いたみたいにあっちも気付いてそうだけど、こっちに気付いた様子は感じられない。

 もしかしたら、猫ちゃんだけ気付いて鳴いてるのかも。なんて、出来る子!!

 

 ジッと海賊船の様子を窺う。

 グランドラインの入ってすぐの場所だけど、海賊だって夜に無茶するのは少ないか。

 

「それにしても、警戒心なさすぎじゃない?」

 

 数人は乗ってそうなのに、その海賊船からは人が起きてる気配がしない。

 

 ──みゃああっ

 

 猫ちゃんが気になる……気になる気になる気になる!

 

「……来てしまった」

 

 面倒なことはエースに会うまでは自分から首は突っ込まないようにって、思ってたけど猫ちゃんの誘惑には勝てなかった。

 これが罠とかだったら、猫に釣られて来るような馬鹿はあたしくらいしか居ないだろうし。

 

「えぇっと、何処に……あ、いたいた!」

 

 マストの見張り台の所に猫ちゃんは、いらっしゃった!

 気配を消して見張り台にそっと降りる。

 ……見張り台に誰もいないとか、本当に警戒心がないというかなんというか。

 

「偉いねぇ、君が見張りしてるの?」

「みゃあ」

 

 小さい可愛い猫を想像してたけど、思ってたのより大くてイカつい猫だった。

 だけど、あたしには警戒してないのか喉をゴロゴロ鳴らして、甘えてくるような仕草で擦り寄って来る。

 

「わぁ! もふもふっ」

 

 ぎゅっと猫を抱きしめる。

 こんな人懐っこいと見張りの役目も出来てない気もするけど、まぁいいか。懐っこい感じがかわいいしっ!!

 

「みんなが起きて来るまで、ここにあたしお泊りしたもいい?」

「にゃんっ」

「あはっ、ありがとう」

 

 お猫様の許可は得た! 空中でふわふわと寝てるより、ここで寝てた方がまだ安全そうだ。

 こんな人懐っこい猫ちゃん飼ってる位の海賊だ、極悪人ではきっとないでしょ。

 それに、あたしが船に乗っても誰も気付いてない位だし、寝起きに襲われてもなんとかなる。

 

 ……あたしにも警戒心がない? き、気のせいです。サボにバレたら怒られる案件ぽいけど。

 

 それでは、おやすみなさーい。

 

 ◇◆

 

 

「──あれ? なんだこんなとこで、こたつと寝てるんだ? おい、起きろよ。おーい」

「……んんぅ?」

「エース起きろって!!」

「あたしはエースじゃないって、昨日から何回も言ってるでしょーーーー!! 静かに寝かせろーー!!」

「はぁ? あ、あたし?! わ、わ、わ、わああああっ!」

 

 おはようございます!

 とっても忌々しい朝ですね。今日の目覚めは賞金稼ぎにエースと呼ばれながら、揺さぶられて起こされました。

 

 ……あれ? 賞金稼ぎに起こされた?

 

「うげっ?! どこぞの海賊船で勝手に寝てたんだった!!」

 

 寝ぼけてた頭がスッキリ全開に覚醒する。

 やばっ、ぶっ飛ばした人は何処に行った?!

 

「ごめーーーん、どこぞの海賊さん! 寝ぼけてました!!」

 

 吹っ飛んで行くどこぞの海賊が、海に落下する前にシャボンで包んで救助すると、船がザワザワし始める。

 

「ディース?! なんだ、誰だ!! ──ひけ……っ?!」

「って、エースのせいで何回も海軍だの賞金稼ぎにあたしは、狙われたんだよ。このばかーーーー!!」

「は? え、おまっ? げ、わわ、なああっ?! ぐはあっっ!!」

 

 ん。あたし、今エースって言った?

 うん。言った。そして、あたしの所に飛び込んできた人を殴った。あれ?

 

「お、おい?! エース船長が殴られて海に落ちたぞ!!」

「殴られただと?!」

「ん? エース船長……?」

 

 あれ、あたし誰かにエースと間違えられて起こされたんだっけ?

 で、今……エースを?

 

「って、この船、エースの船だったのおお?!?!」

 

 

 ◆◇

 

「確か……ディースさんだったよね? 勝手に船に乗ってたくせに、あたしをエースと勘違いして、狙ってきた賞金稼ぎかと思って寝ぼけて殴りました。ごめんなさい」

「あ、い、いやぁ……」

 

 船員の誰かが海からエースを引き上げて、ディースに謝ってるとシーンと静まりかえる。

 

「おい! ディースに謝る前におれに謝れ、クソばか!」

「はい?! エースのせいであたしが、どんだけ面倒な目に合ったと思ってんの?!」

「それじゃねェ! 別のことだ、別のこと!!」

 

 またもや、シーンとする。

 あたしとエースが知り合いのように会話してることが、船員たちは状況に混乱をしてるっぽい。

 それで、あたしとエースのやり取りにどうしたらいいのかと、オロオロしてる気がする。

 

「あ、皆様。このバカ兄貴がお世話になってます。バカですみません!」

「だから、それじゃ……」

「「兄貴ぃぃぃぃ?!」」

 

 あたしがエースのことを兄貴と言うと、オロオロしてた皆がザワザワし始める。

 

「だから、似てるのか!」

「それにしても似すぎだろ、双子か?」

「あ、そこの人、正解! 双子です!」

「おぉ!」

「おめェらも、和んでクイズやってんじゃねェよ!」

 

 相変わらずピリピリしてるエース雰囲気は、かわってないみたい。

 

「いっつも、エースこんなにピリピリしてるのみんな疲れない? こんな兄貴でごめんねぇ……」

「いつもは、もっとヘラヘラしてんなぁ」

「エースがヘラヘラ! え、それ、本当にエース?!」

「イライラさせてんのはおめェだろうが!!」

 

 あたしがイライラさせてる? いや、イライラしてるのあたしですけど?!

 海軍とか賞金稼ぎとかのせいで、楽しい快適な空の旅が出来なかったんですけど?!

 

 だけどのだけれどもだ。そんな事にプンプン怒ってる場合ではない。

 

「この船にシャワーあるなら、とりあえず貸してくんない?」

 

 怒りで頭が真っ白になったのかエースは、プルプルと震えながら拳を握ったまま固まった。

 まだあたしが何か言い出すと思ったのか、誰かが慌ててあたしにシャワー室にその場から追い出すように背中をグイグイと押して案内をしてくれた。

 




ササはオリキャラ。
イスカ少佐はエースノベルに出てくる少佐です!
エースの仲間もノベルに出てくる人たちですが、キャラ設定とか微妙にわからないので適当な場合あります。
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