ONE PIECE ~Sibling~   作:ゆんあ

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20.海軍の少佐

 何人たちの賞金稼ぎを撃退したか……。

 エースたちスペード海賊団は、新世界入りしたばかりのルーキーたちに比べて少し? 賞金が高くついてるらしい。主にエースが。

 

 あたしが1人浮遊して、あんだけ間違えられたのも頷ける。新世界入りしたばかりじゃ、狙い目だと思われてもしょうがない。が!!

 

「あいつら、お前のこと愛してるってよ」

「首を持っていけば、金になるからな」

「人気者だな」

「最近はあんな連中ばかりだ。嬉しくもねェ」

 

 いや、エース。それ、自業自得!

 それで間違えられたあたしの方も、嬉しくもねェ!

 なんて、エースとディースの軽口に文句を今更言っても手遅れだから諦めた。

 

 だけど、賞金稼ぎが来てもあたしは存在が気付かれるまでは何もしないぞ! って意気込みで、マストの見張り台で観察してた。

 団体で来る賞金稼ぎの中には、上に誰か居るのに気付く人は居ても、そこまで来れる人は居なかった。

 

 エースが船長なだけあって、エースのことをあたしより弱いって言ったものの……エースはやっぱり強い。

 

「あっっっっつ?!」

「エースッ! ちぃっとは気を付けろ!!」

「へっ、すまねェな。これでも大分安定して来たんだぜ? ほら」

「うぉ?! だから、やめろって!」

 

 なんてメラメラの能力を出しながら、軽口を叩きながらでも、チームワークと言うのか、エースを中心として自由に闘ってるようで連携がとれてる。

 

「……よいしょっと」

「あぁ? なんで、アンが降りて来てんだよ。おめェの出番なんてねェよ」

 

 見張り台からジャンプして降りると、それを見たエースが嫌そうな声であたしに声をかける。

 

「あー、違う違う。もう終わりそうだし、夕食の準備でもしてようかと思って」

「お、じゃあ、頼む! これ終わらせたら宴にしようぜ!」

 

 数人の賞金稼ぎに睨まれた気がしたのは、気のせいだと思っておこう。

 ちなみに、とりあえずは帽子を深く被って顔を隠してるから、エースと似てるとはバレてないはず。

 

「んじゃあ、用意……あ、ごめん。夕飯の準備するから、そこどいてくれる?」

「こんの、舐めやがって──!」

 

 船室の入口のとこで、へばってる賞金稼ぎに声をかけたら、殴りかかられた。

 

「──シャボン。えぇっと、この人たちの船はあっちか。暴れると海に落ちるから気をつけてね」

「なっ?! うぉっ?! 空飛んでるだとーーーー?!?!」

 

 あれ? へばってると思ってたけど、意外と元気だったなぁ。あの人。

 

 ◆◇

 

「よっし、野郎ども! 宴にするぞおおおお!!」

「おーーーー!!」

 

 賞金稼ぎを追っ払ったのか、エースの掛け声にみんなが反応する。

 

「お、やっぱり、アンの作る飯はうめェ」

「あぁ! こら、つまみ食いしないでよ、甲板で宴会だか宴だかするんでしょ!」

「へへへっ」

 

 あたしが、怒ると笑いながら出来た料理を手に持って甲板にエースは運ぶ。

 昔はあたしの作った物なんて、褒めたことなかったのに。

 

 やっぱり、あたしの再会の仕方が悪かったのか……?

 

「アンも早く来いよ。歓迎会だってあいつら騒いでるしな。おめェが来ないと始められねェだろ!」

 

 やっぱり、エースはいい意味で変わったな。

 

「って、もう始めてるじゃん!」

「動いた後は、腹減るんだよ」

「まぁまぁ、アンの姐さんも酒行きますかい?」

「あたしはジュースでいいよ。ありがとう」

 

 二日酔いが怖ろしいから、とは言わずクイッとお酒を飲む仕草をしながらお酒をすすめてくれたスカルに断りを入れて、ジュースを自分のジョッキに注ぐ。

 

 兄弟盃を交わして二日酔いになって、船の旅で何があるかわからない状況では、あれから飲んだことないあたしは怖くて飲めないっす。

 

「あはは。エース楽しそう」

 

 食べ物を取り合ったり、ゲラゲラ笑いながらお酒飲んだり。昔荒くれてた時と比べると、エースの表情が豊かになった。

 少しだけ離れた所でその様子を見てるだけで、あたしも楽しくなる。

 

 シャンクスたちの海賊団も、こんな感じだったなぁ。

 エースの手配書の目付きが悪かったから、どんな悪いことしてるのか少しだけ心配だった。だけど、この様子だとあたしの方が何かの弾みで……死刑台に──。

 

「直行しそうだ。やっぱり」

「何に直行するんだ?」

「死刑……ん?! え、あ、なんでもない!!」

 

 独り言に声を掛けられて、流れで返答してしまった。

 甲板から呑気に海を眺めてた体勢から、後を振り向いて誰に声を掛けられたか確認する。

 

「……し、死刑ィ?」

「あ。いや、あははは」

 

 あたしと皆と騒いでるエースを交互に見ながら「物騒だな」と、目を丸くして驚いてるディース。

 

「…………」

「…………」

 

 沈黙!!

 あ、やだ。なんか重い! 楽しそうにしてたのに、ぶっ壊した。ここだけ、なんか変な空気になってる!

 どうする、あたし。どうすればいい、あたし!!

 

「あー……あれだ、おれはエースの冒険記を書くんだ。そのペンネームをエースが考えて、おれはディースになったんだゼ?」

「えぇ、ディースの名前ってエースが考えた名前だったの?!」

 

 どれ位、沈黙があったのだろうか。

 然程長くはなかったはずだけど、ディースが先に沈黙を破ってくれた。

 この人はあたしとエースがロジャーの子供だって事を、きっと気付いてる。

 死刑ってあたしがポロっと言っちゃったことを、それ以上は突っ込まないで話をそらしてくれた……?

 

 ディースから話を出してくれたことで、あたしの表情が変わってエースとディースが仲間になった時の話しをしてくれた。

 

 名乗る名なんてねェ。って、キレて適当に自分もエースだって言ったら、それは困ると言われディースにしろ。って、言われたこと。

 無人島で知り合って、エースの方が漂流期間長いのに諦めないでイカダを失敗しても何回も作ってたこと。

 ディースがキレて関わるなって言ったのに、エースが見付けた悪魔の実を半分に分けてくれて食べたこと。

 

「エースじゃない人の話を聞いてるみたい」

「そうなのか? アンの知ってるエースはどんなやつなんだよ」

「触ったら噛み殺す! って、雰囲気出しまくりのクソガキだったよ!」

 

 あははっ! と、ディースとあたしはエースを見ながら笑ってると、みんなと騒いでたエースと目が合った。

 笑われてると気付いたのか、ヒュンっと軽やかにこっちに来た。

 

「おめェら、おれの悪口言ってただろ!」

「言ってない、言ってない! あはは」

「言ってたな……特にアンは!」

「痛っ! そうやって、すぐ殴るの変わってない!」

 

 ポカンとエースに殴られる。

 殴った後に「へへへっ」と、笑ってるエースを見ると拗ねてないことに驚きつつも、やっぱりエースだと思って嬉しくなる。

 

「しかし、アレだな。エースは賞金稼ぎにもアンにもやっぱり愛されちゃってんな」

 

 ニヤっとディースが笑う。

 

「だ、誰がこんなバカ兄貴っ!」

「なんだよ、照れんなよ」

 

 今度は笑いながら、ディースに背中をバシッと叩かれる。

 

「んもうっ! エースもなんとか言ってよ」

「ん? あぁ、でも、まぁ……なんだ? 誰であろうと愛されてんなら、嫌われてるよりかは、いいかもしんねェな……」

「でしょ、でしょ……って、あれ?」

 

 ディースからは何故か生暖かい目を向けられてる気もするけど、エースがしんみりしてしまった。「気持ち悪ィこと言うな」とか言って暴れると思ってたんだけど。

 八つ当たりされる! と思って、ガードしようと気合い入れたけど、それが空振りしどうしたのかとエースの顔を覗き込む。

 

 ──海賊王の子供。鬼の子が人から愛されるわけがない。

 

 エースから聞こえた気がした。

 エースの心の声が聞こえたわけではない、複雑そうな顔して何か考えてる表情であたしが思ったこと。

 

 愛されるわけない……か。

 恐怖でもなんでもいいから、名を上げる! とか言ってた癖に実は寂しがり屋とか、そういうとこも変わってないや。

 

「なに、エースは泣いてんのよ!」

「はぁ?! おれのどこが、泣いてんだよ!」

「バカで短気でも少なくてもあたしは、エースの妹でしょ! それにルフィとさ……」

「何言ってんだ、おめェ?」

 

 サボと言いかけて、あたしは言葉を飲み込む。

 エースと再会してから、ルフィのことはちょいちょい話してくれてる。バカだのアホだの言いながらも、話すときは楽しそうに。

 やっぱり死んだと思ってるのか、エースからはサボの話は一切出ない。

 サボは生きてる、けど……記憶がない。エースとルフィの話をあたしがしても、楽しそうには聞いてくれるが、どこか他人事の用に話を聞いてる。

 

 ……サボが生きてるって、言った方がいいよね。あたしとより、サボとエースの2人の方が一緒に過ごした期間が長い。

 あたしもエースとより、サボと過ごした期間は長くなっちゃってるけど。

 

「エース……あのね……」

「にゃうっ!!」

 

 突然、コタツが声をあげた。

 ワイワイと賑やかだった雰囲気から、船内が静かになる。

 

「にゃーーーーーっ!!」

 

 いつの間にか霧が出ていた。

 その霧の出ている遠くを、コタツは見ながらうなり声をだしてる。

 

 その視線を辿るように、みんなも霧の向うに視線をやりジィっと見つめている。

 

「また、賞金稼ぎでも来たか……?」

「賞金稼ぎより、厄介なの来たね」

「海軍か?!」

 

 見聞色で様子を伺う。

 あたしが海軍に見つかった時は一隻だったけど……。

 

「数隻いるね、こりゃ」

「こいつァ『釘打ち』の船だな。やべェやつに目付けられちまったぜぃ。海軍の少佐っつー噂ですぜぃ」

 

 海軍の船を確認出来たスカルが説明を始める。

 流石、情報屋! 船見ただけで、わかるなんてすごい。

 

 少佐って言えば、こないだ会った女海兵さんもササが少佐だって言ってたけ。

 なんて、考えながらみんながバタバタと船の進路を変えたりしてるのを横目に隠れようとした時──。

 

「いい船だな」

「「?!」」

 

 あたしたちエースの船から、あたし以外の女の人の声がした。

 

 その声を聞いて、あたしはとっても嫌な予感が。もうこれは、冷や汗をダラダラと流すしかない。

 

 そう、ササの上官であるイスカ少佐が、この船に単身乗り込んで来てるとかって!!

 

 隠れよう! そうだ、隠れよう!

 ででででも、あたしも余裕かましてたのもいけないが、この船に単身で乗り込んでみんなを驚かす存在。

 

「……ん? あなたは! なんで、この船に乗っている!!」

「ひぇっ!!」

 

 見つかった! 余裕かまして、油断してて帽子を被って無かったのがいけなかったのか。

 

「こいつら海賊の仲間だったのか……? いや、だが……」

 

 あたしを睨みながら、他にも何か言っているみたいだが独り言なのかブツブツと言っていて聞こえない。

 

「今は、そんな事を気にしてる場合いではなかった。残念ながら、お前たちの航海はここで終わりだ」

 

 ──バンッ

 

 イスカ少佐が剣に手を伸ばしたと同時に銃声が鳴り響く。

 みんなに先生と呼ばれてる、ミハールが銃の引き金を引いた。

 が、イスカ少佐は、引き抜いていた剣でそれを防ぐ。

 

「やりますねぇ……」

 

 先生の声を始めて聞いた!

 そんな事に驚いてる暇も、あたしもないんだけどいつも船室に引きこもってて、あまり戦闘にも参加しない先生が動いた。しかも、先手を取ろうとして。

 この感動は許して頂きたい!

 

「おい。おめェ、あの海兵と知り合いか?」

「知り合いと言うか、エースのせいで知り合っちゃったと言うか……」

「あっそ」

 

 わざわざ、聞いといてエースはなんなんだ!

 

「じゃあ、おめェはさっさと避難してろ!」

「出来てればとっくにして……うぐっ?! あ、あ、きゃああああっっ」

 

 さぁて、少し冷静に考えようか。

 エースに背中を掴まれた。そして、空にまっ直線に飛んでいる。

 

 エースに投げられましたけどーーっ?!

 

「──シャボンっっ!」

 

 ひぃぃぃ。

 海軍の船の真上なんですけど!! そして、銃口がこっちに向けられてるのは、気のせいじゃないはず。

 そりゃ、そうなりますよね……海賊船から飛んでくれば。避難とか以前の問題になってますけど?!

 

「ひひひ火拳しゃああんんんんーーーー!!」

「げっ、ササ?! てか、この状況であたしのことを火拳って呼んでるのって、わざと? ねぇ、わざと?!」

 

 その口まじで、塞ぎたい。

 そして、どこかに吹っ飛ばしたい!!

 

「あぁぁ……すみままませぇんんん! アイしゃああああああああん!!」

「そうそう、あたしの名前はモンキー・D・アイであって火拳では……ん?」

 

 なんでモンキーとかあたし言った──?? 

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