ONE PIECE ~Sibling~   作:ゆんあ

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5.兄とあたし

 あれから、よくよく考えてみた。

 あの時、あの男の子はあたしのことを助けてくれたわけではないと。

 

 山賊たちにとって、ルフィもあの男の子も鬼の子とか言われて厄介者。

 そんな所に、男の子と同じ年くらいのあたしがあの場に居たら「誰だこいつは」と、怒られるのはあの男の子だ。

 

 あれ? でも、山賊たちはルフィのことは鬼の子って言ってなかった気が……まぁ、無事になんとかなったんだし、とりあえずは……よし?

 

 そんなことより、あたしはこれから兄のエースを探すためには資金が必要だ!

 と言うことで、コルボ山でイノシシを捕まえたから売るために、町に出てみました!

 

 あたし、実はやれば出来る子なんです。

 ルフィみたいに正面からイノシシと戦うなんて、バカな真似なんかしなくてもイノシシ一匹くらいは少し頑張れば狩るのは簡単。

 

 シャボンってば、罠にも使えることを発見! あたしの意思で、シャボンの中の空気とか自由に操れるみたいだから。

 血とかブシュ―! とかは抵抗があるから、イノシシをあのシャボンに入れて空気濃度を減らせば不思議と気絶してくれる。

 

 しかも、便利なことにそのままシャボンの中に入れたまま持ち運び可!

 って、言っても鬼の子の話があるから、町の中では能力は使えないから必死にイノシシを引きずって歩いてます。

 

 重い。調子に乗ってデカいの狩るんじゃなかった。

 

「あれ? お前、あの時の! イノシシ引きずって何やってんだ?」

「えっ?!」

 

 後ろから声を掛けられて、驚いて後ろを振り向くと海であたしを助けてくれた男の子が、不思議そうな顔であたしを見てる。

 や、でも……この状況なんか少しヤバい気がする。

 

 あたし、今まで知らなかったんだけど……グレイ・ターミナル突っ切れば、町にすぐ着くってことを。

 じじちゃんと町に出る時は別のきちんとした、入り口から入ってたから結構な大回りだったんだよね。

 

 だからか、鬼の子の男の子が一緒に居たりしそうな気がなんとなくする。

 

「おーい! サボー!」

 

 この声は……やっぱり居たーっ!

 今は顔を合わせたら、非常にヤバい気がする。

 逃げるにはこのイノシシを捨てて走って逃げるしか無い。だけど、せっかく捕まえたんだから、捨てて行くのはもったいなさすぎる。

 

「今からやること、誰にも言わないでね!」

「は? ちょっと、おい!」

 

 それだけ言って、都合のいいことにこの道は裏通りだから人はこの子しかいない。

 イノシシをシャボンに入れて、屋根の上に飛ばしてあたしは走って逃げたと見せかける。

 からの、男の子が見えなくなった所で自分もシャボンに入って、イノシシを飛ばした屋根の上に飛んだ。

 

「……こっちの方を、2人してやっぱり見てる。あー、早くどっか行かないかなぁ。肉屋すぐそこなのに」

 

 言わないでって、言ったのに早速言ったのか……それとも見られたのか。

 2人を観察していると、キョロキョロはしつつも諦めたのか裏通りから離れて行った。

 

「よし、どっか行った!」

 

 他の人に見つかったらまた面倒な事になるから、先に自分だけ降りて周囲を見渡す。

 

 ──うん、誰も居ない。

 

 イノシシを降ろしてシャボンを割って、一息ついて油断してたのがいけなかった。

 

「すげェ! お前、空飛べるのか?」

「へっ?!」

 

 声をかけられ恐る恐る振り向くと、案の定さっきサボと呼ばれてた子はニコニコ。

 もう1人は、腕を組んであたしを睨みつけてる。

 

「お前、昨日の……!」

「き、昨日? な、なんのことだろう? あははは……」

 

 どっから、2人は湧いて出て来た! 居なくなったんじゃなかったの?!

 サボはあたしと男の子を見比べて、不思議そうにとんでもない言葉を発した。

 

「ん? エースもこいつと知り合いなの?」

「……っ!」

 

 今、なんと言いました? あたしの聞き間違いじゃなければエースって……。

 

「おい、人の部屋に勝手に入って来たやつに、なんでおれがガン飛ばされなきゃいけねェんだよ!」

「え?! あんたの名前、エース?!」

「はぁっ?! だから、なんだよ!」

 

 ……よく、あたし考えてみろ。

 3才の時にじぃじがルフィを連れて来た日、コルボ山方面に向かって行った。

 じぃじは危険とは言わないで、まだ早いって言った。

 

 それに、じぃじがこの子も山賊の所に連れて来たって。

 

「……エース」

「だから、なんなんだよ!」

 

 じゃあ、やっぱりこの人はあたしの兄のエースでいいんだ!

 ……だからと言って、感動な再会みたいなことをする前にすることがある。

 

「……お前、自分たちの弟を橋から突き落とすとか、何してくれてんじゃー!」

「なんのこと……げっ、あ、うわっ! ぐはっ……!」

 

 エースのお腹にバッチリ蹴りが決まった。

 ふぅ、スッキリした。

 

「お、お前っ! んだよ! 自分たちの弟とか、意味わかんねェこと言ってんじゃねェ!」

 

 あたしに蹴り飛ばされたエースは、うずくまりながらあたしを睨んで叫ぶ。

 

「しかも! 同じ鬼の子なんだからもっと分かりあいなさいよ!」

「おい、鬼の子って……」

「あたしだって、鬼の子でしょ! さっきの見たんでしょ!」

 

 それだけ文句を言うと、サボはなんのことを言ってるのかわからない顔をして、エースはかなりイラッとした顔をしてる。

 

「おれには家族なんて昔からいねェし、自分たちの弟とか言ってお前……なんなの? お前もおれの姉だか妹とか言うのか?! ばっかじゃねェの? しかも、さっきの見たとかも意味わかんねェ」

「じぃじ……家族だったら、ガープが居たでしょ!」

「はぁ? 何言ってんだ? あれは、海軍の他人のじじぃだ!」

「他人?」

 

 他人のじじぃ? エースの言ってることが本当なら、じぃじもあたしのじぃじじゃない……?

 

「それに、俺の名前はポートガス・D・エースだ!」

「……え?」

 

 あたしは今、モンキー・D・アイって名前だから全くもって……じぃじと血縁関係じゃないとか疑ったことは無かった。

 

 エースはモンキーの名前を使ってない?

 

 ううん、その前にポートガスの名前は知ってる。

 

 じぃじから、母方の名前だとは聞いてたから、モンキーの方は勝手にじぃじの息子なのかと思ってた。

 

 3才の時にルフィが来たけど、母さんが死んで3年しか経ってないのに……父親は女作ってルフィも捨てたのかと思ってた。

 

 だけど、ポートガスの名前は嘘はつかない……!

 

「……や、やっぱり、あだじのにいぢゃんじゃんぐわあああああ。うわあああん。なんで、あたじのこと覚えてないいんだよおぉぉぉぉぉぉ!」

「ひぃっ! お、おいサボこいつなんとかしろよ!」

「お前のこと、兄ちゃんとか言ってんだからお前がなんとかしろよ!」

 

 あたしが泣きだして、慌てる2人。

 泣き止もうにも、泣きだしたらやっぱり涙は止まらないからどうしようも出来ない。

 

 でも、あたしのことを覚えてないなら、今これ以上はエースに何を言ったって無駄かもしれない。

 

「あたじ……イノシシ売って来る……」

「……お、おう。おい、エースいいのかよ?!」

「ふんっ。あんなやつ、知らねェよ。名前すら知らねェ!」

 

 あんなやつと言われて、あたしはカチンと来て思わず叫けぶ。

 

「母方で名乗れば、ポートガス・D・アン。10才であんたの双子の妹だよ! くそ兄貴!」

 

 ……あれ? そう言えば、赤ちゃんの時の記憶があるのって普通は変な事なんだっけ? だったら、エースにじぃじが教えてない限り、あたしのことは覚えてないのが普通なんだ。

 もう少しきちんと説明するべきだった?

 

 ま、いっか。

 ルフィとエースの居場所が一緒なんだから、また話す機会もあるよね。

 

 

 ◆◇◆◇

 

 

 と、言うことでっ!!

 

「みーなーさーん! あーさーでーすーよぉ! ご飯できましたよーー!」

 

 バンバンと鍋を叩きながら、寝てる人たちを起すため部屋を回る。

 

「……今日の朝飯はなんだニー?」

「あ! おはようございます! 今日の朝ごはんはイノシシが売れたので、あたしが用意させて頂きました!」

「ん、おはよう……?! って、おミィ、誰だニー!」

「自己紹介まだでしたね、今日からここでお世話になります! アイです!」

「アイか! よろしく……じゃないニーっ! お頭ーーっ!!」

 

 ちっ、やっぱり普通に自然に入り込むのは無理だったか。

 最初に顔を合わせた人は、走ってお頭さんのところに行ってしまった。

 

「あれ、やっぱりアイだ! 何してんだ? ここには住まないって言ってなかったか?」

「あ、ルフィ。うん、色々と事情が変わったから」

「ふーん。ま、いっか!」

 

 気にしないようにはしてたんだけど、ルフィの後ろに素晴らしく怖い顔で仁王立ちのエースにあたしは、ガン飛ばされてます。

 

「お、おはよう?」

「お前、名前……アンって言わなかったか?」

「アン……誰それ?」

 

 何言ってんだ? そんなにエースは記憶力ないの? 

 「家族なんかいねェ」とか言ってるエースには、あたしと双子だって話はビックリ事件なんだろうから、覚えててくれてもいいじゃん。

 

「ガキが増えたって一体なんだい!!」

 

 き、来た……! お頭さんが来た! あたしの前に厄介者が2人も居るんだから、そう上手くは行かないはずだから慎重に対応しなければ。

 

「は、初めまして。ルフィの姉で多分エースの妹のアイです! 今日からお世話になるので朝ご飯を用意させて頂きました!」

「姉で妹……おい、お前らどういうことだいっ!」

 

 ペコリとあたしが頭を下げると、怒りの矛先は2人に向かったらしい。

 

「うん! アイはおれの姉ちゃんだ!」

「……バッカじゃねェの?」

 

 うん。

 期待はしてなかった! エースがあたしのことを妹って言ってくれるわけはないとは、思ってた! 思ってた通りの反応で悲しいやら、笑いが出そうやら。

 

「で、ここでお世話にとか、意味不明なことも聞こえた気がしたんだか?」

「……あ、朝ご飯、冷めちゃいますし食べて下さいっ!」

「お頭ーっ! これ、旨いっすよー!」

 

 当たり前ではないか、マキノ姉ちゃん直伝ですから。

 

「お頭さんも、はいご飯!」

「おめぇら! あたしより先に何食ってんだ! このくそガキ3号、話はまだ終わってないからね!」

 

 あたしを睨み付けて、女山賊……ダダンだったけ? は、あたしが渡したお茶碗を持っておかずのある方に行ってしまった。

 

 それにしても、あたしのことをくそガキ3号って言ったけど、くそガキっぽいことまだしてないと思うけど。

 

 てか、くそガキみたいなことを、する予定も全くありませんけど……。

 

「あれ、もう食べたの?」

 

 ガタンと、食べ終わったお皿を下げに来たエース。

 声を掛けたのに、あたしの方も見ないでさっさと外に出てってしまった。

 

 無視かよ。くそ兄貴っ!

 ……あたしエースと会ってから、とんでもなく口が悪くなってる気がする。

 

「アイ! エースどっち行った?!」

「え? あ、多分あっち行った」

 

 次は慌ててルフィがお皿を下げたというか、慌ててたせい……じゃないけど、割ってから走って外に出ていった。

 

「……んで、おめぇ、ルフィの姉とエースの妹どっちが本当なんだい!」

「うわっ! 鬼ばばぁ!」

「あぁっ?!」

 

 思わず、見たまんまのことを言ってしまった。

 

 でも、どっちが本当なんだい? って聞かれると……エースがじぃじのことを血縁と聞かされてないのか、あたしがルフィのことをじぃじに嘘をつかれてるのか。

 

「今のところは、ルフィの姉でエースの双子の妹。これ以上のことは、多分……あたしでもガープのじぃじに聞かないとわからないです」

「わからないって、なんだいっ!!」

「じぃじのことを知ってれば、なんとなく想像できません?」

「…………」

 

 ダダンも何か思うところがあったのか、ポカーンとした顔で何か考えてるようだ。

 

「おめぇ……飯・掃除・洗濯・クツ磨き・武器磨き! 窃盗・略奪・サギ・人殺し! やってもらうからね!」

「飯・掃除・洗濯・クツ磨きは、それなりに、やりますっ! その他は出来ないので、食費は自分で稼ぎます!」

「じ、自分で稼ぐならその3つで……って、大人を丸め込むんじゃないよっ」

「あ、でも、掃除と洗濯はルフィとエースにもやらせます! って、ことで2人を探して来ます。じゃっ!」

「お、おい、クソガキ! ちょっと、待て話は──」

 

 よし! 適当に言いくるめて、ダダンを無視して外に出る。

 

 ルフィには適当にエースはグレイ・ターミナルの方に行ったって教えた。

 こないだサボとエースは、あそこで何かコソコソしてたから今日もきっと行ってるはず。

 

 ここら辺の道は普通に歩いてると、危ないから……シャボンに乗ってこっと。

 

「って、なんでルフィは、河でワニと遊んでんの! エースは?!」

「え、エースは消えた! わっ! ぶっ、ぐっ、あばばばば……」

 

 消えた……あ、こないだみたいに、巻かれたのか。

 

「ん? あ、ルフィ、もしかして溺れてる?」

 

 沈んでるけど、ここは丁寧に助けるべきか……いや、じぃじに聞きたいことを聞くときに少しはルフィを鍛えたほうがいいかも。

 うん。簡単に助けて次はエースを探そう。

 

「あ、ワニ一匹捕まえて行こうっと」

 

 シャボンでルフィを包んでっと!

 息吸えれば、なんとかなるでしょ。

 

「ルフィは、これでいいからワニワニーっ」

 

 ワニ革って、確か結構……高いよねぇ?

 

 ワニはイノシシより、ちょっと危ないから気絶させる程度じゃ危険だよなぁ……。

 刃物とか使って殺して血を見るのも嫌だし、刃物持ってても真っ向勝負じゃワニはどうにか出来ないし。

 

 でも、シャボンにそのまま入れても、暴れられたらすぐ割れちゃうだろうし。

 

「うーん……」

 

 あれ? シャボンの中に入れれば、空気濃度変えれるじゃん? だったら、あれを鼻とか空気吸うところを塞いじゃえばなんとかなるかなぁ。

 

「この位置なら、ワニが跳ねても来ても大丈夫だからやるだけやってみよっと」

 

 ピンっと、人差し指を立てる。

 

「──シャボン"砲"っ!」

 

 ……とか、言って格好つけて技の名前つけて、バーンってな感じでやったけど。

 鼻の穴の中なんかに、ピンポイントで命中なんかしないよねぇ!

 

 鼻の穴は外したけど、目には当たったみたいで目潰しには成功してた。

 

「これじゃあ、さっきより暴れてるからさっきの作戦は無理だよなぁ……」

 

 うーん。

 

「おーーい! アイ、危ないぞーーっ!」

 

 いつの間にか川から出られてたのか、下からルフィの声がする。

 

「危ない……なっ?! げっ!」

「ごぉぉぉぉぉぉぉっーー!!」

 

 どうしようか考えてると……。

 

「なんで、ワニがこんな高さまで、飛び跳ねてるのぉっ?! ちょっと、あたしのシャボンや、やばい……え、あ、うわっ! おーちーるーっーーーー!」

「うわあああっ! アイがワニに食われるーーっ!!」

 

 ルフィがスローモーションで、ギャーギャーこっちを見てうろたえてるのが見える。

 

 

 ──あぁ。あたし、ここでワニに食べられて死んじゃうのか。

 

 

「って、食われてたまるかこのやろーっ!」

「ぐへはっ?!」

「へっ?! うわっ! いたっ!」

 

 あたしが叫んだと同時に、ワニが変な声を出して口から血とシャボンを吐いて、切り傷がいっぱい……倒した?!

 

「アイ、すんげぇ! すんげぇ! シャボンと葉っぱたくさん出して何したんだー?!」

「いでででででで……」

 

 自分が乗ってたシャボンはワニに見事に割られたから、もちろんあたしは落下した。

 ……た、確かに、ルフィが言う通りシャボンは確かにいっぱい出てるけど、あたし何した?! そして、なぜにワニの口から血っ?!

 それに、ルフィがあたしが葉っぱ出したとか言わなかった?

 

「……何、あたし凄いことしたんだろ?」

 

 ワニを観察しながら、シャボンに入れる。

 

「なんか、よくわかんないけど、あたし先にエースたちのとこ行って来んねー?」

「えっ! エースのとこに行くのか?! おれも連れてけよ!」

「じゃあ、着いてくれば?」

「おうっ! って、飛んでくんなんて、ずりぃぞーっ!」

 

 ワニを運ぶことしか考えてなかったから、普通にルフィ着いてくると思ってたけど、置いてきちゃった。

 

 まっ、いっかぁー!

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