やはり俺の『本物』はまちがっている。   作:冬野ロクジ

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何とこの作品のPVが10000を超えました。
見てくださった皆さん、本当にありがとうございます。
これからも完結に向けて走っていくつもりなので、最後まで皆さんお付き合いよろしくお願いします。




翌日、放課後

 その翌日。

 一日経ったからとて、周囲からくる視線が治るわけもなく。

  かといってそれ以外に特に大きな被害があるわけでもなく、学校での時間は過ぎていった。

「部活か……」

放課後、来て欲しくなかった時間は無情にもやってくる。

 このまま帰ってしまおうか。

「市原、お前部活始めたの? 生徒会に入ったんじゃなかったっけ?」

  前の席で帰る用意をしていた有岡が訪ねてくる。

  先程まで眠りこけていたためか、その動きは少し緩慢だ。

「世間ではそうなってるらしいが、俺は生徒会に入った覚えも、雪ノ下の下僕になる気もない。ただ……」

「ただ?」

「何というか、意図せずそんな流れになったというか、人質を取られたというか……まぁ、色々あって始めたんだ」

  そう、あの後色々あった。

  あれよあれよという間に部活の準備が整っていき、帰る頃には外堀が全て囲われていた。

  手際が良過ぎて、あらかじめ示し合わせていたのかと勘違いするほどだ。

  というか奉仕部って何だ、奉仕部って。

  流されてオッケーしてしまったが、今考えると訳がわからん。

「そっか……。今日はせっかくどっか遊びに行こうと思ったのに」

  有岡はがっくり肩を落とす。

  サッカー部の副部長かつ、頼みごとを断れない性格の彼はいつもこの時間になると忙しそうにしている印象だったが。

「珍しいな、有岡が誘ってくるなんて」

「今日は休みにしたんだよ。新人戦前に再来週は新人戦もあるしな。今のうちに休養をとって、後は大会まで一直線って寸法よ」

「なるほど……。というか有岡、お前スケジュール管理までやってるのか?」

「本来なら顧問とか部長と一緒にまとめるんだけど、部長が最近忙しいらしくて部活に来てないんだわ。だから副部長の俺がその代役してるんだ」

「なるほどな」

「まぁ、任されたからにはしっかりやらないとだからな」

 しっかりしているヤツだな、と思う半分、責任感が強いヤツだから倒れたりしないといいが。

「ところで何部に入ったんだ?」

「それは……」

「はじ……市原せんぱーい?」

 答えようとしたところで、教室の入り口から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 そちらに視線を移す。

 そこには授業が終わったのだろう、カバンを持っためぐりの姿があった。

 目と目が合う。

 その瞬間、ぱぁっと花が咲くような笑顔がほころんだ。

「はじめちゃん!」

「誰、この子?」

「はじめちゃんの幼なじみの、城廻めぐりです。有岡先輩のことは市原先輩から聞いてます。よろしくお願いします」

 ぺこりと頭を下げるめぐり。

 こいつ相手にそんな丁寧にしなくていいぞ。

「おぉーさぁーなぁーなぁーじぃーみぃー? お母さんそんな話聞いてませんわよ!?」

 誰がお母さんだ。

「そりゃ言ってなかったからな。……ところで『城廻』、何か用か?」

 突き放すように、名字を呼ぶ。

 ここは俺の教室の中だ。

 もう無駄かもしれないが、めぐりまで変な目で見られるようになることは避けた方が━━

「せっかくだから一緒に部活行こうかなって思ったんですけど……」

 迷惑だった?

 こちらを上目遣いに見上げ、言外にそんなことを告げる。

 その表情はずるいと思うのだが。

「……そうだな。一緒に行くか、めぐり」

 どうやら俺に逃げることは許されないらしい。

 あぁ、そうだ。ちょうどいい、有岡に聞いてみよう。

「有岡。最近、何か悩み事とかないか?」

「ウキ、悩み事? まぁ、あるにはあるけど……」

「ついでに今、時間は?」

「そりゃ、部活もなくて暇だぞ」

 よし、決まりだ。

 最初の犠牲者……いや、客人はこいつにしよう。

 ちらりとめぐりの方を見る。

 俺の意図を察してくれためぐりは、笑顔でコクリとうなずいた。

「行くぞ、めぐり、有岡」

「一名様ご案内、だね!」

「ウキッ!? 何だ何だ!?」

「いいからいいから」

 戸惑う有岡を連れ、俺とめぐりは部室へ向かうのだった。

 

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