彼は、一言で言えば最強だった。
そう、ある戦争において常勝を誇っていた彼は、ある日突然世界から忽然と姿を消した。だが、彼がいなくなった世界は、以前より増して戦いが増加した。だが、戦いを止めようとする者はいない。
なぜならば、彼等は己の為に戦い続けているのだから・・・・。
(ん・・・ここはどこだぁ?)
彼は闇の中を漂っていた。
何故、と言われても彼自身に心当たりは無い。つい先程までアリーナ近くの酒場で酒を飲んでいたばかりであったからだ。
いつの間にか相棒の姿もない。彼は持ち前の頭で状況を把握し始めた。
こういった状況は、あの戦争では日常茶飯事だ。いつの間にか自分の現在地がわからなくなってしまい、敵陣に突っ込むなんていうのもザラにある。
だがどう考えてもおかしい。酒場からこんな闇の中に移動できるのと言えば、忍者とかマスターぐらいしか思いつかない。
あれこれ考えているうちに、遠くの方に小さな光が見えてきた。なんだかイヤな予感がする。彼は直感的にそう思った。
徐々にその光が近づいてきて、その光に飲み込まれた瞬間―――――
目の前には、3人ぐらいの大人達が現れていた。
「よか・・・げん・・・おとこ・・・・」
「お・・!それは・・・・」
金髪の男と茶色のナース服をきた女が喋っているのが分かった。が、何を話しているかは聞き取れなかった。彼は、静かに悟った。
(俺は・・・・赤ん坊になっちまったのか・・・・)
その後、彼の大きな産声が病院内に響き渡った。
その産声が、この世界を否定する声だったのか、これからの人生を期待する声だったのか、それは彼自身にしかわからないことだった。
そして15年後・・・・
彼、ジャック・デュノアは父親のオフィスに呼ばれていた。
金髪の前髪を後ろにかきあげ、一瞬マフィアのボスにも見えなくない姿で、会社の廊下を歩いていた。先に進むにつれて、スーツをきた大人が、白衣を着た研究員が、自分に向かって礼をする。
やがて父のオフィスに近づくと、一人の執事がドアの目の前に立っていた。
「おはようございます、ぼっちゃん」
「おはよう。んで、オヤジは?」
ジャックをぼっちゃんと言った執事は、左側にずれてドアを2度ノックする。木を叩く軽快な音が、廊下を走る。
「旦那様、ぼっちゃまがお見えになられました」
「入れ」
父の声を合図に、ドアが開く。ドアの向こうには長い机に大きな椅子、そしてガラスの壁から街を見下ろす父が、机の向こう側に立っていた。俺が中に入ると、執事は静かにドアを閉めた。
「朝早くに済まないな、ジャック」
「いいって、それよりなんか用があるんだろ?」
ジャックの父、ロドルフ・デュノアは机の上にあるテレビのリモコンを手にし、ボタンを押した。
画面に現れたのは『世界初の男性適合者!』という文字。
よく顔を見てみると、日本人であることがわかる。
ちなみに、この世界ではある兵器が存在する。
名はIS。元は宇宙空間においても活動できるようにある人物によって開発されたらしいのだが、白騎士事件をきっかけにISは世界に兵器と認識された。
ちなみに、白騎士事件というのはアジアにある日本という国に対して2341発以上のミサイルが飛来した。それを全て撃墜したのが白騎士という、謎のIS。
その後ISは世界に混ざっていった。その後の世界の変わりようはすごかった。
ISは女性にしか扱うことができない事によって、世界は男尊女卑から女尊男卑に。
実弾兵器が主だったのがレーザー兵器に。世界各国の代表に女性が増え始めたり。
まぁ、何年前の世界よりも科学的にはるかに進歩した。
ISがスポーツの乗り物のような扱いになってから、人類は人間性としては低下していってると思うが。
「お前にも適正検査を受けてもらう事になった。いいな?」
「わぁーった。先に検査室に向かっとくわ」
俺はオヤジに背を向け、入ってきたドアを通って元の道を帰っていった。
これが、俺を戦場に戻すには、十分なきっかけだった。