ハイスクールD×D 神器使いは静かに暮らしたい 作:ベロリンガRX
吉良SIDE
結論から言おう。リアス・グレモリーとライザー・フェニックスのレーティングゲーム。その結末はライザー・フェニックスの勝利で、リアス・グレモリーの投了で幕を閉じた。
踏んだ場数も、兵の数も劣っていたリアスたちにしては随分と健闘しただろう。ただ、一誠が『洋服崩壊』とか巫山戯た技を使ってたのが……まぁ、とにかく、後でお仕置きしておけばいいか。とにかく、ライザー・フェニックスの勝利が決まったので、リアスはライザーと結婚することが決まった。正直、僕から言うことは特にないが、向こう側から婚約パーティの招待状が来てしまった。もちろん露伴先生のおまけだが……
これはライザーとリアスたちの問題だ。僕が口出しをする場面じゃあない。だが、一誠たちは行くだろう。自分の王を取り戻すために、ライザーと再び戦うのだろう。あいつらは魔界の将来とか、そんな先のわからない事よりも、リアスの笑顔のために、戦うのだろう。眷属として、友人として。露伴先生はただ、傍観するだけなのだろう。岸辺露伴は動かない。ただありのままを見て、そのリアリティを自分の漫画に映し出す。それが岸辺露伴という人間だ。
僕は……どうだろう。一誠たちのように殴り込みに行くべきか?露伴先生のように傍観者に徹するべきか?そもそも……僕はこの婚約パーティに行くべきなのだろうか?
僕は何だ?『キラヨシカゲ』
僕の願いは何だ?『植物のような平穏な人生』
彼らにまだ関わるべきなのか?『………………』
………………答えがでない。少し前の僕ならば、迷うことなくここで彼らとの関係を断ち切っていただろう。だが、今は………
未練がましい、というべきか、僕は未だに悩み続けている。本当にこのままでいいのか?仮にライザーに手を出したとして、僕の平穏は乱される事はないだろうか?
…………………………………………………………………………………………………。
あぁ、そうだな。
そういえば、彼女と出会ってからは、僕の平穏は乱されっぱなしだったな。
ならば、僕は手を出すべきではないのだろう。
『ホントウニ?』
頭の中で、ここにいないはずのドラゴンが問いかけてきた気がした。
一誠SIDE
夢を見ていた。赤い、赤い夢を。
この赤は何だ?俺だ。だが、俺であって俺じゃない。俺の中にある何かだ。
赤が口の端を釣り上げ、俺に話しかけてくる。
『そんなんじゃおまえはいつまで経っても強くなれない』
赤が俺に話しかけてくる。
『おまえはドラゴンを身に宿した異常なる存在。無様な姿を見せるなよ。「白い奴」に笑われるぜ?』
赤の正体がわかった。赤の正体は俺の左腕に宿るドラゴンだ。もしかして、あの時のパワーアップもドラゴンの仕業か?
『ああ、おまえが望み、俺も望み、そして「白い奴」も望んだ。だから、新しい段階に入ったのさ』
俺が望んだ。何を望んだ?何かを望んだ。思い出せない。そして、『白い奴』とは何だ?
『いずれ、奴はおまえの前に現れる。そうさ、俺とあいつは戦う運命にあるからな。そうだ、ついでだ。俺の力、その本来の使い方を教えてやる』
何を言っているのかわからない。理解不能。理解不能。理解不能。
赤に問いかける。お前は誰だ。
『赤い竜の帝王、ドライグ。兵藤一誠、おまえの左腕にいるものだ』
ウェルシュ・ドラゴン。ドライグ。それが赤の名前。
『負けるのもいい。死ななければ敗北も力の糧になる。だが、それは次に勝ってこそ意味のあるものだ。負けて勝って、そして勝ち続けろ。そうすれば、奴とおまえは出会う』
赤は、俺に勝ち続けろと、戦い続けろといった。
『戦わなければ生き残れない。世の常だ。なに、おまえは今とても良い環境にいる。あのスタンド使いは敵に回せばとてつもなく恐ろしい奴だが、今はおまえの仲間だ。奴の背を追え。そして強くなれ。俺はいつでもおまえに力を分け与える。だが、それは大きな犠牲を払うと頭に入れておくといい。なに、犠牲を払うだけの価値をおまえに与えてやるさ。嘲笑った連中に見せてやればいい。「ドラゴン」って存在をな』
吉良SIDE
会場は随分と賑やかになってきた。露伴先生に連れられていろいろな悪魔たちを見て回った。リアスは赤いドレスに身を包み、ここに居ない『アイツ』を待っている。もう遅いと理解していながら、それでも、もしかしたら、と思わずには、縋らずにはいられないのだろう。
「やぁ、君たちが特別招待を受けた人間たちだね?」
唐突に声をかけられた。リアスと同じ紅い髪の男だ。
「珍しいね。悪魔の方から話しかけてくるなんて。いくら招待されてるからといっても、人間がこの場にいるのは不釣り合いだとか言ってそうな感じなのにね」
「いや、私も君たちとは一度話してみたいと思っていたんだよ。漫画家の岸辺露伴先生。スタンド使いの吉良吉影君」
「あんた……いや、あなたは部長殿の兄……つまり、魔王様でしょうか?」
「ハハハ、そんなにかしこまらなくてもいいよ。君は人間なんだからさ。サーゼクス・ルシファー。リアスの兄だ」
「へぇ、君が魔王か。なるほど、見た感じは他の悪魔とあまり変わりはないんだな。まぁ、中身の問題というやつか」
「露伴先生、君の漫画は私も読ませてもらっているよ。これからも、一読者として応援させてもらうよ」
「そいつはどうも。魔王さまのお墨付きとは、魔界の連中はアメリカ人なんかよりもよっぽどセンスが良いじゃあないか」
「それで、ただ興味があったから話しかけてきた。ってわけじゃあないんだろう?魔王さま?」
「あぁ、吉影君。君にこれを渡しておこうと思ってね」
サーゼクスから渡されたもの。それは悪魔の駒だった。しかし、普通のコマとは違う。兵士でもなければ戦車や僧侶、騎士や女王でもない。そう、王だ。これは王の駒なのだ。
「グレイフィアから君たちの話を聞いてね。ひとつだけだが、特別に作らせたんだ」
「生憎だが、僕は人間をやめるつもりはないんだが」
「それも承知している。その駒は人間がレーティングゲームに参加する為の特別製の悪魔の駒。人間の駒、ヒューマンズ・ピースとでも言うべきものだよ」
「人間の駒……」
「フゥン……随分と安直な名前だな」
「僕は君の力をこの目で見てみたい。吉良吉影君。君の今後の活躍に期待するよ」
サーゼクスは言いたい事は全て言い終わった。と言わんばかりにその場を後にする。そしてその直後、会場全体に響き渡る一誠の声が聞こえてきた。
一誠SIDE
サーゼクスさま。部長のお兄さまのおかげで、俺とライザーの決闘が行われることになった。この戦いに勝てば、部長を取り戻せるんだ。絶対に勝ってみせる!
「全く、随分と恥ずかしい台詞を大声で叫んでくれるじゃあないか。一誠」
「吉良……お前も来てたのか」
「まぁね、僕は露伴先生のおまけだが、キチンと招待状を貰ったのさ」
「吉良……俺、絶対勝ってくるからな!」
「フン、勝手にしろ。僕には関係ない話だ。」
「えっ?関係ないって……」
「これはライザーとお前たちリアスの眷属。つまりは悪魔の問題だ。人間である僕が今回出る幕はない」
「確かに、そりゃそうだけど、関係ないなんて言い方は」
「まぁ、悪魔だとか人間だとか、そういう難しい話は無しにしても、お前の友として、お前を応援してやるくらいしかできないからな」
そう言うと吉良はズボンのポケットから何かを取り出して、俺に渡してきた。
「何だよ、これは?」
「お守りってやつさ。しっかりと持ってろよ。それは“ただのお守り”なんだからな。ただ、僕が“うっかりキラークイーンで触れてしまったかもしれない”がね……」
「えっ!それって……」
「いいか一誠。くれぐれもそいつを手放すんじゃあないぞ!もし“誤ってお前の手から離れたお守りがライザーに触れた時にうっかりスイッチを押してしまうかもしれない”からな……」
「吉良………お前………」
「ほら、さっさと行って勝ってこい。あんな死なない事しか取り柄のないへっぽこに負けるんじゃあないぞ!」
「おう!サンキューな!」
吉良から秘密兵器を受け取り、俺はライザーとの決戦に望む。ここまでされて勝てなきゃ男じゃねぇぜ!
吉良SIDE
「フフフ……吉影君も結構変わったね」
「露伴先生……やっぱり、僕らしくなかったですか?」
「何をもって君らしいと言うかは知らないけど、今の君も、より魅力的な主人公として成長しているだろうさ」
「そうですか……」
会場の中央の空間には全身を赤い鎧で身を包んだ一誠。それと対峙するライザーだ。
それにしても、十秒間だけの強化か……まるでファイズアクセルだな。しかし色合い的にはブラスターフォームか?別に早くなるわけではないし、巨大な魔力の塊を飛ばしてたし。
かと思えば、結構なスピードでライザーに突っ込む。が、そのまま壁に激突。どうやら力に振り回されている現状らしい。
一誠が立ち上がると今度はライザーが動いた。背中に現れる巨大な炎の両翼。鳳凰、フェニックスか。伊達や酔狂で名乗ってはいないということらしい。だが、所詮はそれまでだろう。一誠はなんでもないように炎を受け止める。それどころか押し返しながらライザーに突進している。そこから一誠とライザーの殴り合いが始まった。あの鎧のおかげで何とか戦えている状態だが、あのまま戦える時間も残り少ない。それでも一誠は殴るのをやめない。ライザーの顔に一誠の鋭い一撃が突き刺さる。吐血の量が尋常じゃない。そして、一誠は自分の手に持っていたものを見せつけた。十字架。悪魔とは真逆の聖なる力。確かに悪魔には効果絶大だろう。だが、それは一誠にも当てはまるはず。だが、どういう理由かは知らないが一誠には効かないらしい。これにはライザーも焦りを見せたのか、より一層炎を大きくする。だが、一誠は怯まない。そして、一誠とライザーがぶつかりあった瞬間、まばゆい光が辺り一帯を覆い隠す。そして、次に僕の目に入ってきた光景は、赤い鎧を失った一誠の姿だった。
「タイムリミットには少し早い……どうやら時間切れの前に燃料切れらしいな」
「さて、ここでどう逆転する?この逆境を乗り越えてこその主人公だぜ、兵藤一誠」
ライザーに襟元を掴まれて宙に浮かされる一誠。だが、一誠は懐から小瓶を取り出す。さっきは十字架を使っていた事を考えると、恐らくあれは聖水だろう。神器で聖水を強化してライザーにぶちまける。ライザーもこれにはたまらず一誠を手放してのたうちまわる。
精神的にボロボロなライザー。肉体的にズタズタな一誠。もはやどちらも次の一撃が限界だろう。そして一誠には聖水はなく、十字架もボロボロになってしまっている。ただ一つ、僕の渡したお守りだけが無事らしい。
さて、それじゃあうっかりスイッチを押してしまうとしようか。
一誠SIDE
「よくもやってくれたじゃないか、だが、頼みの聖水も十字架も無くなってしまったらしいなぁ!」
「あぁ、確かに、もう俺には聖水も十字架も残ってない。このままじゃあやられちまうかもしれないなぁ」
ライザーがニヤリと口元を吊り上げる。油断している今しか、チャンスはない!これが最後の一撃。俺と、吉良の、最後の爆弾だ!
「吉良が言ってた。切り札というものは、最後の最後まで敵には見せないものだってな!」
ポイッ。と軽い感じでライザーに投げつける。ライザーもあまりにも軽く投げたのが不思議だったのか、避けることもせずキャッチしやがった。この勝負、俺たちの勝ちだ!
「代わりに言うぜ!キラークイーン!第一の爆弾ッ!!!」
「点火ッ!!」
カチッ。
ドグオォォォォォオオオォォォオオオォオォォォォン!!!
強烈な爆発音が響き渡る。凄まじい衝撃が全身を襲う。とてつもない爆風で体が吹っ飛ぶ。
そして、煙が消えて、現れたのは地面に倒れたライザーだった。
吉良SIDE
ライザーとの決闘に一誠が勝利し、リアスの婚約が破断になった翌日。部室では相変わらず鼻の下を伸ばした一誠がいた。なんでも、リアスのファーストキスをもらい、さらにリアスも一誠の家に住まうことになったらしい。まぁ、アイツもいろいろ苦労したらしいし、今回くらいは大目に見てやる……なんてことはない。
「なぁ、ところで一誠」
「んー?なんだよ吉良?もしかして、お前も案外俺のこと羨ましがったりしてるとか?」
「そんな馬鹿なことは天地がひっくり返ってもありえないよ。ただ、ちょっと尋ねる機会がなかったから今聞きたいことがあるんだけどさ」
「なんだよ、そんなに改まって」
「……あの時、レーティングゲームの時に使ってた、『洋服崩壊』とかいう巫山戯た技の事なんだけどさ……確かにあれは実践では使えたかもしれないけどさ、僕は散々言ったはずだよね。『おフザケで戦えるほど世の中甘くない』ってさ……兵藤、お前、僕を馬鹿にしてるのかい?」
「い、いや、馬鹿にしてるとか、関係ねーじゃん!実際役に立ったんだからいいだろ!つーか巫山戯てねーし!お前も男子なら分かれよ!」
「いいや、わからないし分かる必要もないね。さて、そんな訳で兵藤。あんなに僕を不快な気分にさせてくれたんだ。お礼をしなくっちゃねぇ」
「い、いや、なーんでキラークイーンを出すのかな~吉良くんは~、あ、あは、あはは、あはははははは~」
「変態死すべし、慈悲はない」
「アイエエエエエエエエ!!ナンデ!キラークイーンナンデ!!」
「しばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばッッ!!!」
兵藤一誠 全身打撲により全治一週間 再起可能
TO BE CONTENUED……
吉良さんのラッシュの声は『しばばば』になりました。
被検体の一誠くんお疲れ様でした。
さて、ここまでが『神器使いは静かに暮らしたい』のプロローグ的なものになります。
吉良吉影の本当の戦いはここからだ!
完
引き続き第二部に続きます。