ハイスクールD×D 神器使いは静かに暮らしたい 作:ベロリンガRX
このままでは『神器使いは動かない』になってしまう(錯乱)
吉良SIDE
僕とアーシアが使い魔を手に入れて一週間くらいの時間が経った。アーシアの使い魔である蒼雷竜のラッセーは男に対してとても攻撃的な性格をしていたが、露伴先生がへヴンズ・ドアーで『岸辺露伴と吉良吉影を攻撃できない』と書き込んでくれたので一切被害を被っていない。ちなみに書き込んだことには誰も気づいていない。あと、書き込む際に『電撃を実際に浴びてみるのも僕の求めるリアリティの為には必要なことかもしれない』と言ってわざと電撃を浴びていた。改めて露伴先生の漫画に対する思いを再認識することになった。今更な気もするが……
そして僕の使い魔のストレイ・キャットだが、こちらは何の問題もない。はっきり言って普通の猫とあまり変わらないので、キャットフードとゴルフボールを与えていれば大体おとなしくなるのだ。だがらストレイ・キャットの方は問題ない。そう、“ストレイ・キャットの方は”僕が使い魔にしたのはストレイ・キャットだけだが、あれ以降、僕の家に頻繁に出入りするようになった奴がいる。そう、天魔の業龍ことティアマットだ。あの悪夢のような一件のせいで、どうも僕は奴に大変気に入られてしまったらしく、僕が朝目覚めると当たり前のように朝食の用意何かをしていたので、一瞬頭がどうにかなってしまったかと思ったほどだ。奴が言うには『自分を退けられる力を持つ僕こそ自分の主にふさわしい』とのことだ。何がなんだかわからない。オーフィスといいコイツといい、僕の家はドラゴンを惹きつける何かがあるのだろうか?でもまぁ、あいつの作る料理がなかなか僕好みの味だったので、とりあえず家に来るぐらいならいいかな、と思っている。主云々は置いておくとして。
さて、現在僕は露伴先生とオカルト研究部の部室へ向かっている。ついさっきまで露伴先生は漫画の原稿を書き上げていたので僕は書き終わるまで待っていたのだ。それにしても最近の露伴先生の漫画を描くペースがとてつもなく早い。普段でも19ページを4日ほどで仕上げてしまうのだが、最近は1日で仕上がってしまうらしいのだ。初めて僕らと出会った時も同じような状態になっていたらしいが……
程なくして部室に到着した。だが、妙に騒がしい。覗いてみると、どうやら誰かが来ているらしい。恐らく悪魔関係の人物だろう。少し警戒していたが、露伴先生がこういった時に行動しないはずもなく、一切のためらいもなく部室に突入していった。
「失礼するよ。リアス君、見知らぬ人たちが居るが、彼らも悪魔なのか?」
「ん?何だお前?オイオイリアス、下僕は好きにしたらいいとは言ったけど、人間風情までここに呼ぶなんてどういうつもりだ?実に不愉快だ」
「ッ!彼はオカルト研究部の顧問よ!ここにいたっておかしくないわ!」
どうやらこの悪魔は人間にいい感情は抱いていない……というよりも見下している節がある。しかし露伴先生はそんな態度でもお構いなしに話を続ける。
「オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ、僕はそういうことを聞いてるんじゃあないんだよ。僕は彼がどんな悪魔で、どんな理由でこの人間界にやってきたのかに興味があるんだ」
「俺に興味があるだと?お前みたいな人間風情がそんなこと知ってどうするって言うんだ?」
「もちろん漫画のネタにするのさ。この岸辺露伴の行動原理は、漫画を描く為のリアリティを手に入れるためだ!」
「ん?岸辺露伴?どこかで聞いた名だな……そういえば、ピンクダークの少年の作者の名前じゃあないか!」
「へぇ……冥界でも僕の漫画は人気だってリアス君たちからは聞いていたけれど、君の反応を見る限り本当みたいだね」
「俺も初めは人間のくだらない娯楽程度にしか見ていなかったが、一度読み始めると妙に先が気になってしまってな」
「フフフ……気に入ってもらえたなら良かったよ。それで、君の事を取材したいんだが、いいかな?」
あ、ありのまま今起こった事を話すぜ………
『露伴先生が見知らぬ悪魔に今にも殺されそうな状態だったのに名前が判明しただけで態度が一変してしまった』
な、何を言っているのかわからねーと思うが僕自身もわからない。あ、頭がどうにかなりそうだった。催眠術だとかご都合主義展開だとかそんなちゃちなもんじゃあ断じてない、もっと恐ろしいものの片鱗を味わってしまった。オカルト研究部一同も頭を抱えだした。露伴先生に付き合っているとどんどん僕の平穏が遠ざかってしまう気がする。というより遠ざかっているんだと思う。
「なるほど……リアス君と結婚するために迎えに来て、リアス君がゴネてしまったからレーティングゲームとやらで意見を通そうってことか。なぁ、そのレーティングゲームってのは人間じゃあ出られないのかい?出来れば現場の雰囲気を直接味わって漫画のネタにしたいんだが」
「へぇ、アンタは漫画の為なら自分の命すら投げ出せるっていうのかい?はっきり言ってただの人間がレーティングゲームに出て生き残るなんて不可能だぜ?」
「ああ、そうだろうね。でも、死ななければよりリアリティのある漫画が描ける。僕からすればメリットの方が断然大きいね」
「ですが、人間がレーティングゲームに参加することは認められておりません。今回はお諦めください露伴様」
「ちょっと待てよグレイフィアさん。確か今回はフツーのレーティングゲームとは違う非公式のゲームなんだろう?それだったらもうちょっと融通聞かせてくれたっていいじゃあないか」
「公式だろうと非公式だろうと、レーティングゲームに参加するには悪魔の駒が必要になるので人間が参加することは出来ないのです」
「ちっ……なんだい、この岸辺露伴がせっかくお願いしてるっていうのに、アンタはそれを断るっていうわけだ。まぁいいさ。僕はそんなに過去のことを根に持ったりしない心の広い人間だからね。どうしても出来ないっていうのなら、観戦するだけでも良しとしておくよ」
めちゃくちゃ根に持ってるとか言ってはいけない。言ってしまえば露伴先生の矛先がそちらに向かうだけだからだ。
「いやめっちゃ根に持ってるじゃないっスか!」
「ん?なんだ一誠?お前は僕がこんな些細なことを根に持つような心に狭い人間だと言いたいのか?へぇ、そうかい。せっかくこの岸辺露伴がこの部活の顧問をしてやっているというのに、その恩を忘れて僕を批難するなんて、随分と偉くなったじゃあないか?ええ?」
「いや顧問してやってるって露伴先生が勝手にやってるだけじゃないっスか!!?」
「確かに初めはそうだったかもしれないがね。今は僕はここの顧問になっている。僕が顧問になったことで、ほとんど非公式部だったオカルト研究部も一目置かれるようになったんだ。そんな今の状態で僕が抜けたらどうなると思う?顧問のいない部活動は活動停止。部室も使わせてもらえなくなるだろうさ」
「んなっ!?そんな無茶苦茶な話ないっスよ!!」
「いいんだぜ?僕はこの部活がどうなっても。ここの他にもネタになりそうなところは結構あったしな」
「ぐぬぬ……わ、わかりましたよ……俺が悪かったっス、露伴先生は何も気にしてなかったっス」
「フン、始めからそうしていれば良かったのさ」
とまぁこういった具合に無茶苦茶だが勢いで言い負かしてしまうのだ。
「さて、それじゃあ俺はそろそろ帰るとするか。リアス、次はゲームで会おう」
そう言って悪魔『ライザー・フェニックス』は魔法陣の光の中へ消えていった。
一誠SIDE
ライザーの焼き鳥野郎をぶちのめす為に今日から山篭りの修行を始めることになった。しかし、いきなりこんな尋常じゃない量の荷物を背負ってこんな険しい山道を登らせるなんて、部長もかなりのSだ。
「ほら、イッセー。早くなさい」
「……あの、私も手伝いますから」
「手を貸しちゃあいけないよアーシア。これは一誠が超えるべき壁なんだ。コイツにはそれを超える義務がある」
「えらそーなこと言ってんじゃあねぇよ吉良!だったらお前も同じぐらいの荷物持って登ってみやがれ!」
「そうしても良かったんだが、生憎荷物の残りは塔城が持って行ってしまってね。ほら、噂をすれば……」
「……お先に」
小猫ちゃんが俺以上の荷物を背負っている。なんなんだあの量は!?そんな大量な荷物を背負ってるのに涼しい顔して追い越しちゃったよ!怪力少女、ここに極まる!
「くっそおぉぉぉ負けるかァァァァァ!!」
全身に力を込めて一気に山道を駆け上がる。全身の筋肉が一斉に悲鳴を上げ始めた。
「ほらほら、どうした一誠。そのくらいで息を乱してどうするんだ?」
「だからお前も俺と同じくらい荷物背負ってからいえってええええええええええぇぇぇぇええぇえぇえええぇえぇ!!?!!?」
後ろを少し振り返ると、俺は驚愕した。
吉良は走っていた。表情一つ変えずに“露伴先生を背負いながら”俺とほぼ同じペースで走っていたのだ。
「な、何やってんだお前!!」
「いや何、お前が何か背負って登山してみろというから、露伴先生に協力してもらってちょっと」
「ちょっとってレベルじゃねえぞ!!?どうしてそうなった!!?!?」
「いや、こういった経験もなかなか珍しいものだからね。何事も経験。そしてその経験がよりいい漫画を描く為のリアリティを生むのさ」
「訳分かんねぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
そうして露伴先生を背負った吉良に追いかけられながら、俺は目的地の別荘へたどり着いたのだった。
ちなみに、別荘にたどり着いた時点でも吉良は汗一つかいてなかった。コイツやっぱり人間じゃねぇよ絶対!
TO BE CONTENUED……
現在の自分のティアマットのイメージはFate/Extraのキャス狐です。何故かは分からぬ。
つまり……
ティ「ご主人様~朝食のご用意が出来ましたよ!今日も私の愛をたっぷり込めて作っちゃいましたから~」
吉良「もう少し静かに起こせないのか……」
こんな感じか……初めのイメージどこいったんや!?(驚愕)