「何度言ったらわかるんだ忍野?焼肉屋で野菜を焼くな食うなそもそも店員に注文するんじゃない」
「でも貝木くん——肉はシャキシャキな野菜と一緒に食べるとすごく美味しんだよ?あ、白米大と韓国海苔と温玉お願いしまーす!」
「お前は物凄い間違いを犯している、それになぜ気づかない?その肉はまだひっくり返すな、その肉はまだ焼けていない」
「つってもねえ貝木くん——貝木くんだって刻みネギ付けたりして食べているじゃん?それに僕は少しレアな方が好きなんだ。肉が柔らかいからね」
「それとこれとは全く存在が別だろう。タレの野菜は肉という主人公を立てる脇役であって野菜そのものは肉から主人公の座を奪い取る悪役だ。あと豚肉と鶏肉をレアで食べようとするんじゃない、病気になっても知らんぞ——レアで食べたいなら牛肉を注文しろ」
「そうかな?僕の口の中じゃ肉と野菜は同じように咀嚼されて胃の中に入っていくんだけれどなあ——店員さーん!ハラミ3人前もお願いしまーす!でも牛肉はさぁ、味が違うんだよね。焼肉に求める味って言うのかな?そういう味がさ」
「ならばなぜ焼肉屋に来た——寮でホットプレート使ってやっていればいいものを」
「貝木くんが誘ったからさ」
「......そうだったな」
「失礼しまーす、白米大と海苔、温玉とハラミです」
「ありがとう、じゃハラミ焼くよ?」
「隙間があくまで待て」
「これ焼けてる?」
「いつも通り焼けている肉は温度の低い端の方だ」
「貝木くんと焼肉に来ると楽で頼もしいよ」
「Believe!人は悲しみ重ねて大人になる。いま、寂しさに震えている愛しい人の——その哀しみを胸に......」
「そんな、こよみが98点なんて......信じられないわ」
「悪かったなお前より点数が高くって」
「いえ、これはある意味しかたのないことかもしれないわ——だってこれ以外に私に勝てることなんてないんですもの」
「おいそれどう言う意味だ!」
「そのままの意味よ、深く考えなくてもいいわ——歌唱力では私が負けているかもしれないけれど総合的に考えれば私が勝っているわ。ファンの多さも私の勝ちよ。でも安心して、私の1番はこよみだから」
「うぐ、ぬ」
「というわけで歌うわ——staple stable」
「自分の曲で勝ちに来てんじゃねえか!」
「今ならまだ間に合うから、撤退した方がいいよ......」
「ウソよ、こんな——こんなことがあってはいけないわ。自分の曲で97点だなんて......」
「......」
「さてはこよみ、何かいじったわね?」
「そんなわけあるか!これは正真正銘お前の歌唱力の点数だ!てかなんでそんなに点数にこだわるんだ?僕はひたぎの歌声好きなんだけれど」
「......そうね、やっぱり点数なんてどうでもいいわよね。所詮人の感情も理解できないような機械の出す点数なんてアテにはならないわ——次はこよみの番よ」
「おう」
「さてこよみは何を歌ってくれるのかしら?」
「お前を嫁にもらう前に 言っておきたい......」
「0点、宣言失脚よ」
「なんでだ!」
「こよみが私に逆らおうなんて100年早いわ——お義母さんの子宮、いえ私の子宮からやり直したらどうかしら?」
「それだとお前が僕の母親になるだろうが!」
「いいじゃない!私がこよみの母親......ねえこよみ、試しに私のことを〝ママ〟って呼んでくれないかしら?〝お母さん〟でもかまわないわ」
「お前、怖いぞ」
「あら?いいじゃないの別に——キャラ崩壊してツンデレがヤンデレになったところで二次創作だから許されるのよ」