箱物語   作:SATO 1940

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暦影臥。モノの影は臥せるってか?

「のう阿良々木。ひとつ聞きたいことあるんやけれどええか?」

「い、いいですけれど。聞きたいことって何ですか?」

「前回忍野のやっちゃがいとった阿良々木ハーレムってやつ。あれホンマにないんやな?」

「......ないですよ」

「おどれなんで返事遅れたんや。心配するやんか」

「本当にないですって。それに前回言ったじゃないですか。僕はひたぎ一筋だって」

「せやたっけ?じゃあ愛人は誰になるんや」

「そりゃもちろん八九寺......ってなに言わせるんですか!」

「余接はどの立ち位置にいるんやろな思って」

「斧乃木ちゃんは......妹、ですかね」

「おどれはやっぱアホやわ。どこの世界に妹に妹の上半身消されたりチューされたり火事から救われたり指先に立たされたりする兄がおるねん——そんな奴に余接つけてた思うたら寒気がしてきたわ。頼むからおどれはまだ童貞って言ってくれや」

「童貞ですよ。まだ——童貞ですよ」

「まあまあそんな悲壮な面持ちで告白すんなや。なんならウチが貰たろか?その童貞」

「高校生の頃なら多少の魅力は感じたかもしれませんけれど、今はひたぎが居ますから」

「どんだけ思春期やったんやおどれ——しかし、そないな言い方されると振られた気分やわ——ウチも女やからな、傷つくわ」

「......すみません」

「でもまあ、これからも余接のこと頼むわ。余接とそのひたぎなんていうやっちゃのドロドロした三角関係は見たくないからな。そんなのは昼ドラで十分ちゅうもんや」

「ええ」

 

「こよみーん、お久しぶり」

「あ、臥煙さん。お久しぶりです」

「ねー本当にお久しぶりだねー、こうやって久しぶりに顔を合わせたわけだし——何か話そうか」

「何を話すんです?」

「そうだねー何を話そうか——ぶっちゃけネタ切れなんだよねー。なんでも知ってるお姉さんを謳っちゃいるけれど、それでも中身は人間だ。限界はあるのさ」

「なんでも知っている——そういえば、臥煙さんの呪いってなんなんですか?」

「流石こよみん、お姉さんの予想してた中でも最も低い確率で話題に上がると思ってた話を初っ端から出してくるんだね。それは恐れ知らずというか命知らずというか、まあそんな事はどうでもいっか......いいよ、教えてあげる——だからこよみん、心して聞いていてね?」

「.......はい」

「そうそう、先にこれを言っておかなくちゃいけないね。この箱物語は物語シリーズの二次創作です。二次創作なので、向こうの世界——こよみんと楽しい仲間たちが繰り広げるドタバタハートフルコメディ恋愛ハーレム小説の本家とは何の関係もありません」

「ってそれ1番最初に書いておかなければダメなやつじゃ」

「いいんだよこよみん、ここは二次創作だ。世界軸の設定をつけておくなら君達が傾物語で世界線移動を使ったじゃない?ここはそのルートのどこかなんだよ。原作のルートAでもなく、キスショットアレロラオリオンハートアンダーブレードに世界を亡ぼされたルートXでもない。ましてや幼い頃に出遭ってしまった伝説の変態がトラウマでこよみんを殺してしまった翼ちゃんがいるルートYでもない。強いて言うならばルートCといったところかな?」

「ちょっと待ってください。ルートYってなんなんですか?もう臥煙さんの呪いとかどうでもいいのでそっちを語ってくださいよ」

「傷つくなーこよみん——ひょっとして、こよみんは幼女趣味だけじゃなく年上のお姉さんさんを傷つける趣味も持ってるのかな?」

「グググ......」

「まあこよみんがどんな趣味を持とうがそれはこよみんの自由というものなんだけれども——くれぐれもこよみん、警察のお世話にならないようにね」

「それは——ええ、分かってますよ」

「じゃあ脱線した車両を元に戻そうか。私の呪いについて——だったね。そうだねーこの呪いを出来の悪いお姉さん泣かせのこよみんが理解できるように説明するにはどこから語ったものか......そうだこよみん、メメや泥舟、余弦、正弦の呪いについてはどこまで知っているのかな?」

「忍野と貝木は上半身になんらかの呪い、影縫さんと手折は地面が歩けなくなる、という呪いってことは聞きました。たしか——斧乃木ちゃんを造るときに担当した部位、だとか」

「そうだねこよみん。だいたいあってるよ——それぞれがそれぞれ担当した部位に呪いを受けたんだよねー。ちなみにメメは寒さを感じない呪いに、泥舟は暑さを感じない呪いのかかってるよ」

「だから、忍野はどこに行ってもあんな格好を」

「逆に泥舟は戦場ヶ原ちゃんに呼び出されて沖縄に行った時もスーツだのタキシードだの暑苦しい格好のままにしようとしたってわけだね」

「ひたぎがですか!?」

「口が滑った——再び本線に戻ろうか。私の呪いに関してだったね——簡潔に言おう、私に呪いはあんまりかかっていないよ」

「え?」

「なぜかって顔をしているねこよみん、そんなに私が呪いにかかっていない理由を知りたいのかい?」

「え、ええ——好奇心からですけれど」

「好奇心か、いいね。私の呪いに関してはさして問題もないから教えてあげるけれど、でもこよみん、誰からも言われておるだろうけれど好奇心だけでものを知ろうとしちゃいけないよ?」

「......分かっています」

「まあまあそんなに肩を気張らなくてもいいから楽して聞いててね。それとこよみんも薄々私がどの部位を担当したのか、分かっていると思うけれど先ずはそれを言っておこう。私が担当した部位は頭だ。......実際のところはさ——知ってたんだよねー。余接を——人造怪異を造るとこで何かしらの代償を払わなければならなくなることは。いや、もちろん私だけじゃないよ?これは皆が知っていた事実さ。だから私は呪いを受ける身代わりを作った。古臭いかもしれないけれど確実な身代わり、藁で作った藁人形さ。こよみんも聞いたことくらいだろう?藁人形の仕組み自体は少しややこしいから省くとしても、なんとなくは知っているだろう?憎い人の髪の毛を藁人形に入れて呪うという呪いの方法をさ。私はいわば、その逆をやったんだよ。本体から藁人形の方へ呪いを逃す。悪く言えば押し付ける。というのかな?まあ結局のところ、少し失敗してしまって担当した部位、頭に呪いを受けてしまったのさ。頭が良くなるという呪いをね。今考えるだけでも恐ろしいよ。もし、呪いに対して何の対策も打たずにやっていたのだとしたら。少し失敗した程度でなんでも知っているお姉さんになってしまうわけだ。対策をしていなかったら、していなかったら——きっと五億年ボタンのようになってたかもね」

「......」

「どうしたの?こよみん」

「臥煙さん、酔ってますか?」

「正解」

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