「吾輩は刀である。銘はまだ無い。どこで打たれたのかとんと見当がつかぬ。気がつけば我輩は暗くシンとした場所で経をあげられていたのだ。吾輩は二振りの刀である。一振りは細くとても繊細で美しい物干し竿でありもう一振りは直刃の太刀である。奇しくもそれは吾輩が遠き昔に振るった刀——怪異のみを殺す妖刀『心渡』と怪異を活かす妖刀『夢渡』によく似ている。——そうだお気づきのように吾輩は元死屍累生死郎である。元人間で元吸血鬼で元鎧で現在は臥煙伊豆湖が所有する日本刀。名乗って大丈夫なのかはわからないから元をつけて元死屍累生死郎。吾輩は刀である。銘はまだ無い」
「いつもニコニコ!あなたの周りに這い寄る混沌!忍野扇!です☆......この紋所が目に入らぬかっ!こちらにおわす方をどなたと心得る!恐れ多くも先の副将軍!阿良々木暦公にあらせられるぞ!......これでは阿良々木先輩のご紹介になってしまいますね——もっと他の決めゼリフがありますか。この扇さんの闇吹雪。散らせるもんなら散らしてみろい!......俺のこの手が真っ赤に燃える!勝利を掴めと轟き叫ぶ!......私はこんなに熱血なキャラではありませんしねえ——作者の趣味では登場シーンの決め台詞を叫ぶ幅に限界があります。さてどうしましょうかと言ったらこうしましょうか——私達のヒトリゴトは、
「おいお前さま!儂はドーナツが食べたいぞ!ミスタードーナツへ連れて行けい!」
「おいおい待てよ忍。ミスタードーナツなら先週にも行っただろう?だからもう暫くは行かないよ」
「そんな!後生じゃからお前さま——我が主人さまよ!儂をミスタードーナツに連れて行ってたもれ!」
「ならば僕を萌えさせてみろ!」
「にーに、しのぶどーなちゅたべたい!」
「......」
「今日は何にしようかの!おお!コレは先日のポスターにあったポン・デ・リング プレーンではないか!そしてなんと!こっちはダブルショコラではないか!迷うのお......いったいどれにしようか——よし決めた!おい店員さまよ、ここから——ここまでを全部頼むぞ!」
「頼まねえよ——いったい僕にいくら使わせる気なんだ。お前の分とひたぎの分、そして僕の分を3つずつだ!合計9個までだ!」
「そんな!儂にこの宝石達のなかから無慈悲にも3つだけを選別しろというのか!そんなのは嫌じゃ!儂は——儂は此処に並ぶ全てのドーナツを食すと決めたのじゃ!」
「お前のドーナツへの愛にはただただ帽子を脱ぐことしかないが忍——考えてもみろ。別に今すぐにでも食べなくてもこの先もちょくちょくここに来るんだ。その時にまた別のものを食べればいいだろう?」
「むむ——それもそうじゃな!では店員さまよ!儂にはポン・デ・リング プレーンとポン・デ・ヨロイヅカ・キャラメルショコラとゴールデンチョコレートを頼むぞ!お前様は何にするのじゃ?儂はこのクリプスショコラ ダブルチョコがいいとおもうのじゃが」
「それはお前が食べたいだけだろ——これとこれとこれを店内で。であとポン・デ・ストロベリーとこのいちごのカスタード」
「ストロベリーカスタードフレンチ」
「......とストロベリーリングを持ち帰り用でお願いします」
「儂も店内で食すぞ!」
「なにこれマジありえなくない?砂糖という鎧やチョコというドレスで着飾っていないポンデリング本来の、まるで赤子の頬のようなモチモチ感が際立ち口の中ではマシュマロを食べているかのような程よく口当たりも良い硬度!クリームという武器も一切がないから本当にプレーンな味わいで噛めば噛むほどに普段の甘さという美しいドレスで着飾っていないポン・デ・リング本来の高貴で質素な味!バスケットに入っている時には煌びやかな周囲から地味なもので浮いていてまるで舞踏会にいるメイドのような雰囲気を放っていたがそれは違った!このメイドこそが国の王妃、人は見た目で判断できないというがその言葉をそっくりそのまま表したかのようじゃ!これは甘いものが好きではない人でもあっと言う間に食べ終えてしまうじゃろうな!マジぱないの!」
次回予告!!
ポイ捨て禁止看板がポイ捨てされていました——近所の子供のイタズラでしょうか?
ギガンみたいな顔で迫って来ないで——画面がうるさいわ。
はいこれバナナの皮——阿良々木くんたちの恋のキューピット。