ギャラクシア・ヒーローズ 〜ニュービュー、空に手を伸ばす〜   作:旅人アクア

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実は舞台裏では……っていうのは結構好き。
主役級じゃなければ適宜設定生やして問題ないよね?

あと予約投稿ミスった


2頁 「エキストラのガヤ」

泣き疲れた私はバニラを枕にして寝転がり、青空を見上げる。

 

ゲーム内の青空といえど、太陽が照らし出す光はとても眩しく、焦がれるものがそこにはあった。

 

0と1のコードから作られた世界とは到底思えず、まるでもう一つの世界に来ているように感じられた。

 

風が頬を撫でる度に彼岸花は揺れ動き、葉擦れの音は心のさざ波を落ち着かせる。

 

パッチリ目薬の効果がまだ切れていないせいか、眠くはないがとても気持ちが心地良い。

 

ただ、それでも心の湖には粘着質な氷山が浮かんだままで、遣る瀬ないこの想いは息苦しさとして表れていた。

 

 

主役(ヒーロー)にはなれない、か」

 

 

行き場のない感情を吐き出すようにして呟く。

 

シャングリラ・フロンティアにおいて、そして現実においてもしっかりと学んだはずなのに、手を伸ばすの諦めたはずなのに、性懲りもなくまだ掴もうとしていて、思わず自嘲してしまう。

 

そんな誰かに宛てる訳でもない溢れた声は、唐突な形で拾われる事になった。

 

 

「何言ってるんだお前」

 

 

 

ガバっと跳ね上がって前を見ると、そこには阿修羅会のクランマスターが呆れた様子でこちらを見ていた。

 

 

「【フルスロット】?」

 

 

思わず名前を口走るとクランマスターは、懐かしい感じで苦虫を1ダース噛んだかのような表情を浮かべた。

 

 

「【オルスロット】だ! ったく、どうして何度も名前を間違えられるんだ。頭上のプレイヤーネーム見ればすぐに分かるだろ」

 

 

そう言って頭を掻くクランマスターの上を見れば、確かに【オルスロット】表示されていた。

 

ただ記憶が確かならば、PKerはプレイヤーネームが真っ赤になるはずなのに一般プレイヤーと同じ黒色になっていた。

 

 

「もしかしてPKer洗った?」

 

「洗ったんじゃ無く、強制的に洗わされたんだよ。ロンダリングしていた装備以外全部オジャン。武器は全部失ったからNPCからパクるしか無かったがな」

 

 

そう言ってオルスロットは大袈裟にため息を吐いた。

 

確かに記憶にある装備と違い、見慣れない真新しい装備を身に纏って、サードレマ辺りで入手出来そうな武器を担ついでいた。

 

 

「どうしてここに?」

 

「それはこっちの台詞だ。【ゆずれもん】。あの大型アップデート以降パタっとログインしなくなってよ。こっちはそれから色々大変だったんだぜ。【サバイバアル】を中心に着せ替え隊っていう意味不明なクランに鞍替えするわ、【京極】や新入りも『なんか違う』って言って勝手に抜けていくわ、それはもう酷かったんだぜ」

 

「ご愁傷様? 私は【破壊の土左衛門】が倒されたって言うから久々にログインしてきた感じだよ」

 

「……またお前名前を間違えてるぞ。【墓守のウェザエモン】だ、このバカが。お前と会話してると俺がアホらしい事考えてるみたいで疲れるわ」

 

 

これまた盛大な溜息を吐きながらこちらへと近付き、ドカッとオルスロットは隣の地面に腰を下ろした。

 

めんどくさそうな視線を飛ばしていたのだがまるっきりスルーだった。

 

何だかどうでもよくなった私はもう一度バニラを枕にして寝転ぶ。

 

ペシペシと尻尾で叩いてくるが痛くはないので許してくれているのだろう。

 

 

(よーし、お礼に喉を掻いてあげよう、おーよしよしよし)

 

「なんかお前らのいちゃつきっぷり見てると、こっちまで調子が狂うというかなんというか……」

 

「へへー、褒めてる?」

 

「……褒めてねぇよ」

 

 

心底呆れてると言ったような声色が呟かれるようにして返ってきた。

 

一瞬の静寂、私は黙ってバニラの喉をかき続ける。

 

オルスロットの方も言うことが無くなったのか無言になる。

 

先ほどよりも穏やかな風が吹き、葉擦れも良い音色を奏でる。

 

そして幾分かの時が流れる。

 

 

「なぁ、さっき聞いt――

 

「パス。私の聴き上手(へー、そうなんだね)時間はもう全てクラスメイトの友人に使われたのです」

 

「――まだ何も言ってねーだろうが」

 

 

オルスロットに唇に当てて人差し指でバッテンの形作りながら言うと明らかに不満気と言った感じで返される。

 

 

「んー、んじゃなに?」

 

「はぁ、お前の所為でどれだけのクランメンバーが信者に……ってその話はまた後で良いか」

 

 

一応話し相手の方向を見ないと失礼かなと思い、寝返りを打つ。

 

オルスロットはお猪口らしきもので何かを飲んでいる様子だった。

 

 

「まださっき質問に答えてなかっただろ。……クソ姉御に売られ(潰され)たんだよ、阿修羅会を」

 

「ふーん、お姉ちゃんが阿修羅会を……ってうそぉっ!?」

 

 

慌てて所属クランを見ると確かに無所属になっていた。

 

目を瞬かせてオルスロットを見ると完全に馬鹿にした様子でこちらを見ていた。

 

 

「疎すぎるだろ」

 

「うっさい」

 

 

明らかに気取った感じでやれやれをされて若干腹がたつ。

 

まさか久しぶりにログインしたと思ったら、PKer最大のクランが潰されてたなんて思わないじゃん。

 

そんな脳内の言い訳を他所にオルスロットは続ける。

 

 

「しかも売った理由、なんて言われたか分かるか? 『PKerの()を理解していない()()ってるだけのド三流クランに成り果てたから』だぜ? ふざけんじゃねーよ!!」

 

 

その時のことを思い出したのか、お猪口をギュッと握りしめて地面を叩く。

 

オルスロットの中々の荒れた様子にちょっと引き気味になる。

 

私の様子に気が付いたのか苦々し気に息を吐いた。

 

 

「……ふー。まぁクソ姉御のことだ、少なからず俺のことを考えてやったんだろうが流石に度が過ぎるだろ」

 

 

そう言ってまたお猪口に謎の液体を注いでいく。

 

ちょっと内容物が気になるけれど大丈夫なのだろうか? ゲーム的に。

 

 

「このままじゃ抜けたクランメンバーにも顔を合わせる気にもなれねーし、取り敢えず自分を見直すためにここに来たんだよ。その花束を見る限りクソ姉御と鉢合わせせずに済んで良かったとは考えてるがな」

 

「へー、脱退した人達のことも考えてたんだ」

 

 

普段のイキリっぷりからは想像できない言葉に率直な言葉を投げかけるとオルスロットはふいっと顔を横に逸らした。

 

 

「あんだけ慕ってくんなら少しは考えるだろ。だからこそ俺に巻き込まれる形でPKKされた奴らを考えるとな」

 

 

そう言って傷心気味に一気呑みしては、またお猪口に注いでいる姿を見ながら想う。

 

 

(んー、もしかしてそれって慕ってたんじゃなくて、お零れ預かりたくて胡麻すってただけなんじゃ)

 

 

オレツエーしてたオルスロットは知る由もないのだが、実力もなければヒールにもなれない癖に、虎の威を借りる感じでイキがってたクランメンバー(チンピラ共)は少なからずいた。

 

大型アップデート前まではそう言うチンピラ共を教育していた先輩方がいたのだが、大型アップデート以降そう言う先輩たちが大勢抜けたのではないだろうか。

 

そうして阿修羅会に寄生するような形で、チンピラ共がぶくぶく集まってきたのでは。

 

胡麻擂りされて調子にのっているオルスロットに対しての愚痴話はよく聞かされていたし、勝手な推測だがそう考えるとオルスロットの姉の行動も理解できる。

 

 

(これを機に大局的な目を養って欲しいって事なのかもねー)

 

 

――更に知る由もないのだが教育していた先輩たちはゆずれもんがログインしなくなった一週間後に辞めている。推して図るべし。

 

 

「仕方ないねー、いっちょお姉さんが愚痴聞いてあげようか」

 

 

身を乗り出して【シーサー・ペルシアン】の声真似をして言うと、ぶぼっという音とともにオルスロットの口から謎の液体が吹き出る。

 

 

「ゲホッゲボッ、……ぁっー、っその声で気色わりー事言ってんじゃねーよ!!地味に声真似の技術が高過ぎて余計気持ちが悪いわ!!」

 

「おひねりは?」

 

「兆単位の借金で一文足りともねーよ!」

 

「うわっ…私の元クランリーダーの資産、低すぎ…?」

 

「お前のプレイヤーネーム、真っ黒にしてやろうか?」

 

ちょ、ちょっとタンマ! 【調教師(テーマー)】相手に超接近戦はないって! バニラも呑気に見てないで助けて!




元阿修羅会のメンバーはこうして邂逅した。



設定が逆輸入されたら勝利!
妄想設定考えてる方が楽しいこの頃。
【裏設定】
調教師(テーマー)】という職業は直接魔石として身につけることが出来る【召喚士(サモナー)】と違い、()()して呼び出すことが出来る職業である。
メリットとしてはテイムできないレベルやモンスターとも契約できると言う点。
攻撃スキルも取りやすいので単体でもそこそこ戦えるし、契約したモンスターのレベルも上がりやすい。
デメリットとしては契約できる条件がかなり厳しく、契約したモンスターは死ぬと()()()()しないという点。
【契約の首輪】を付け、更にモンスターの了承を得ないと呼び出すことすらままならない。
割と扱い難い職業なのである。
なので例えゆずれもんがログインしていたとしても鉛筆姉(ペルシゴン)は呼ぶ気は更々無かった。
一応本職には及ばないが乗馬スキルも取りやすいため麒麟の相手をさせられていた。
サラシをがっつり巻かないといけないので最初は涙目だった模様。

まだまだ書き足りないがこの辺で
次回か次次回あたりでミーアを出したいかなー。
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