今はもう失われた、狩人の願い。最初の狩人たるものの物語

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夜を恐れた者の失われた話


夜明け

夜とは未知なる恐怖の温床だ。そう誰かが言った。しかしヤーナムにとって、それも狩人にとっては狂気じみた娯楽の時間であった。

そうなったのはいつだったか、そう感じたのは今だったか。たった一夜、されど一夜、その夜に狂わされ誘われた男が一人。

それは狩人とだけ呼ばれた男。枯れた羽根のような帽子と黒いコートを着用した所謂一般的な狩人装束で永き一夜を生き長らえた男である。

ルドウイークという英雄を下し、マリアと呼ばれる悪夢の番人を殺し、狩人の呪いの根源とも言える赤子を殺した。

全てはこの夜から目覚めたいが為に行ってきた事だったが、今はもう違う。この夜を味わい尽くしたい、狩り尽くし、殺し尽くしたいと心の底から思っている。まるで尽きぬ血の河のように、その憎悪は留まるところを知らない。

だからそれは必然だったのだろう。あの助言者の介錯を断ったのは。当たり前だろう、死んでしまえば朝になる。この夜からまた離れてしまう。そんなものは狩人は真っ平御免だった。

介錯をすると問われたその瞬間に、彼はその助言者を叩き斬る。何千、何万と行って来たその行動は、残念ながら車椅子を真っ二つにするに終わってしまった。

 

「成る程、君も何かに呑まれたか。狩りか、血か、それとも悪夢か?」

 

その助言者ーーゲールマンはいつのまにか背後に立ち、彼に語りかけてくる。まるで事の巻末が最初から分かりきっていたような、そんなどこか空虚な悲しい目で。

 

「.....まぁ、どれでも良い」

 

「そういう者を狩るのも、助言者の役目というものだ...」

 

ガシャン!という金属と金属が衝突する事で発せられる甲高い音が狩人の夢の花畑に響き渡る。轟々と燃え盛り、時折火の粉が弾けるかつての夢の拠点だった物を横目に、ゲールマンの背からゆっくりとそれは姿を現わしていく。

単純な機能、しかし故に鋭く美しさすら感じるほどの鋭利な刃を持った巨大な鎌。普通ならば命を刈り取られるかのような鈍い輝きを放つそれは、不思議と悲しみに覆われているように狩人には思えた。

 

それは狩人達が扱う仕掛け武器のマスターピース。そしてゲールマンが扱う自らの信念の現れ。

ーー名を、「葬送の刃」と言った

 

背中越しに鎌を形作ったゲールマンは少し屈んだ体制のまま、ゆっくりとこちらに眼差しを向けてくる。その眼差しは先程の何とも言えぬ憐れみや諦観の目ではなく、紛れも無い狩人としての瞳だった。

そして彼はゆっくりと、死刑宣告のように厳かに口を開く。狩人の首、その一点を見つめながら。

 

 

ーーゲールマンの狩りを知るがいい

 

 

 

 

 

 

「狩りだって?随分と気取った言い方じゃないかゲールマン」

 

そう軽く笑いながら私の友はそう言った。冗談は似合わないぞ、とも。全く、ふざけて言っているわけではないと言うのに何故こいつは何時もこんな感じで軽いのだ。信用に足る男なのは勿論、先生を敬っているのも勿論、重々承知しているのだが.....こういう部分は全く変わらない男だ

 

「ローレンス、そうは言うが狩りという言い方が一番適切だろう?確かにやっている事は殺戮だ、罪滅ぼしだ、独善的で見るに耐えんかもしれん。

だからこそこれは『狩り』と呼ぶべきなのだよ。血に狂った彼らに敬意を、そして誰も弔わぬ彼らに哀悼を表す。私はこれを殺戮になどしたくはない、だから獣狩りと呼ぶべきなのだ」

 

「確かにその言い分は分かるとも。狩りとは本来狩猟対象に敬意を払い、その奪った命を余す事なく享受する一つの技だ。

だが彼らは元は人なんだよ。自ら彼らをそんな獣畜生に堕としておきながら狩りを建前にするなど、何とも傲慢な話じゃあないか?

....それとも何か?君はそんな傲慢を含めた全ての業を受け入れるとでも言うのかい?」

 

飄々とした態度を一変させた友の言い分は正にその通りであった。あぁやはり、こいつは聡明だ。こんな事はそもそも間違っている、今すぐ研究を止めるべきだ。分かっている、分かっているが.....

 

「......受け入れる、受け入れるさ。私には見たい景色があるんだ。この呪われた地に昔から居る神紛いの奴等に、これ以上振り回される訳にはいかない。ヤーナムに住まう民達の陰鬱でない笑顔を見たい、晴れやかな朝を見たいのだよ」

 

「朝、か.....君が言っている事は朝日を二度と拝まない覚悟をすると言う事と同義だ。夜に生き、夜に死ぬ。朝に安らぎを得る事は無い。それでも狩りをすると?」

 

「百も承知だ、ローレンス」

 

私がこの時どんな顔をしていたのかは分からない。だが確かにその決意は友の心を揺れ動かした。彼が言う血の探求も、先生の瞳を得る為の思索も断り狩人として生きる。その傲慢な決意は確かに友に伝わり、彼の首を頷かせた。

ローレンスとの儀式によりあの「青ざめた血」を召喚してから得た力。それを使って出来る事は私にはこれしか考えられなかったのだ。間違いか正解かは分からない。だからこそこれが正しい選択だと納得する為に、そして皆に朝を迎えさせる為に、私は銃と武器とあの魔物の加護を受け取ったのだ。

 

「見たまえローレンス。あの魔物の力はこんな事すらも可能なのだ」

 

そう言うと私は少し蕩けている銀の弾丸を友に見せつける。本来ならば固体ではない水銀に狩人の血を混ぜて形作った獣用の「水銀弾」は、従来の銃弾とは比べ物にならない威力を発揮する。触媒としても使えるそれは明らかに尋常なものでは無かったが、私にとっては確かな力になる物だ。

 

「水銀を固めて作った銃弾...やはり上位者という存在は計り知れないな。だからこそ君の上位者を狩るという目的には賛同は出来ないよ、そればっかりはね。下等生物は下等生物らしく、生き残る方法を模索してみせるさ、力を手に入れるのではなくてね」

 

「それについては前に賛同しなくていいと言っただろう。この力を受け取り隷属したと見せかけて奴を殺す。あれこそが全ての諸悪の根源だと私は思うのだよ.....だからいつかこの夜を越えれたならば、あの『青ざめた血』を狩ってみせるとも」

 

そう言いながら私は紙切れに「上位者狩り。上位者狩り」と書き留める。自らの本当の目的を忘れぬように、そして獣の狩りはこの上位者狩りとは違うという事を胸に刻み付けるために。

 

「全く君という人は...無謀というか何というか、危なっかしいなゲールマン...だが嫌いじゃないさ。君の事は応援している。道は違えるだろうがそれでも私は君を忘れない、だから君も私を忘れないでくれ。

今から設立される医療教会の創始者という事を、そして何より、君の随一の友人という事をね」

 

私がそのセリフに思わず微笑むと、彼もまた同じように微笑んだ。私も友も、これが上手くいくかは正直なところ分かっていない。だがだからこそ私達は道を模索し、探し、夜を生き残る。呪いを超えてみせる。例えどうなろうとこの心が折れなければ私は何度だって立ち上がれる。

 

 

 

何故ならもう私は「狩人」だからだ

 

 

 

 

 

 

 

立ち上がったゲールマンの猛攻は正に「最初の狩人」の名に違わぬ凄まじいものだった。

義足であるにも関わらず圧倒的なまでの踏み込み、老人とは思えぬその膂力、そして今までの狩りで鍛え抜かれた尋常ではない狩りのセンス。

大上段から袈裟に振り下ろされるその鎌は並みの狩人なら避けるという判断を脳が下す前に切り裂かれていただろう。

だが狩人は並みの狩人ではない。夜を生き抜きここまで生き抜いた良い狩人だ。

疾風の如く近づき振るわれた最初の狩人の一撃を、彼はすんでのところで後ろにステップする事により衣服が少し切り裂かれる結果だけで終わった。

だが最初の狩人がそれで終わる訳は無い。そのステップを見越し、振り下ろした鎌を再度左大上段に一瞬で構え直すと先程よりも更に踏み込まれた大上段切りを繰り出して来た。

後ろに本能的に避けてしまう事を逆手に取った二段構えの振り抜き、正に狩りの為の技であった。

しかし狩人はこれを腕に取り付けられた手甲の部分で何とか受け流し被害を最小限に留めてみせた。もちろん手甲ごと肉が切り裂かれ血が吹き出たが、致命傷にはならない。だが早々に命を狩られそうになったのは確かだった。

やはりこの老人はほかのどの狩人とも明らかに違う、たった二、三回しか鎌を振るっていないが狩人にはひしひしとそれが伝わって来た。

こちらの首を狩る。楽しみもせず、油断もせず、ただ相手を狩る相手としてしか見ずに淡々と命を狙う。葬いの為に振るわれるその鎌は故に無慈悲にも思えた。

ゆっくり、ひたすらにゆっくりとゲールマンがこちらに近付いてくる。ここが月明かりに照らされる明るい花畑だからいいものの、これがヤーナムの暗い路地だったとしたら獣ですら逃げ出してしまうのではないかと思う程の迫力だ。

義足の軋む音がまるで死神の足音のように聞こえる。それほどの圧迫感だった。

 

 

 

だからこそ、狩人は笑っていた。

 

 

 

当たり前であろう。彼がやりたいのは戦いだ、命と命のやり取りだ。一方的な狩りではない。獣相手では感じられない対峙する相手の意志が、目が、吐息が、狩人が真に求めるものであった。

その場で立ち止まり狩人は散弾銃を構える。相手に対する警告などではない、命のやり取りをしようという彼なりの闘争の合図である。先程の鎌の二振りで怯えるような狩人ではない、という事だ。

最初の狩人はその銃口を見据えながらも尚、変わらぬ歩みで狩人に近づいていく。

鎌の切っ先は全く震える事無く、悠然と、確実に迫り来るその死を狩人は恐れない。

 

 

そして鎌が風を切る音と銃口から鉛玉が出る音が同時に辺りに鳴り響いた。

 

 

 

 

 

私の弟子が水銀に血を混ぜた弾丸を迫り来る魚人の頭に放ち、易々とその頭部を抉り、弟子の背後から銛を構えて迫り来るまた違うタイプの魚人を手に持つ葬送の刃で私は瞬く間に切り裂いた。魚人は低い呻き声を上げながらフジツボだらけの地面の上に倒れ伏し、ピクリとも動かなくなる。

 

「ありがとうございます、師よ。背後からの奇襲に気付かないとは...私もまだまだですね」

 

「あぁ....気をつけ給えよマリア。彼らは今までの奴等とは訳が違うからな...」

 

陰鬱を極めた異形の都と化した漁村に私達は来ている。狩人として獣を狩っていた私と弟子のマリアは、ある日にビルゲンワースのとある学徒達から保護依頼を頼まれた。

曰く、不可思議な漂流物が海から流れ着いた漁村がある、と。そこにはその漂流物から賜った神秘により人間を超越した者たちが居るらしく、私達はそれを探りたい。とも言っていただろうか。

どこか爛々と光る目を私は敢えて無視しつつ、その依頼を受けた。

研究には参加はしていないが私もマリアもビルゲンワースに所属する狩人だ。であればそれを受けるのは義務に近い、私はそう判断した。

.....いや、それは嘘だ。本当は私も知りたかったのだ。その漂流物から齎されたその神秘とやらを、そしてその漂流物とやらを。

もしもこれが上位者の仕業であったのならばーー私の本分を全うし、夜明けにまた一歩近づくであろう。

私がこれを受けたのはその好奇の狂熱からだ、それは認めよう。

だが、マリアは違う。彼女をこんな狂熱に付き合わせるわけにはいかない、だがマリアはこれについて行きたいと言った。

誰かを守る力が自分にあるか、確かめてみたいと。

 

その純粋な瞳を見て私は.....何も言えず頷くしかなかった。

彼ら学徒が何をするかは火を見るより明らかだ、恐らくは最近流行っている頭蓋の中身の瞳探しだろう。見当違いも甚だしいが...だが先生は許可してしまった。

それが新たな知見になるのであれば、やって損はないだろうと。

つまり漁村は確実に人が見るべきでない有様になるであろう、だからマリアにだけはそれを見せる訳にはいかない。狩人の誇りを傷つける事だけは避けねばならない。だから私は学徒達を敢えて避けるように動き、彼らの動向をマリアに見せないようにした。

聡明な彼女が彼ら魚人が「未だ意識を保ち各々生活している」事など、特に悟らせてはいけないのだ。

 

だから私は彼らが何か知能的な動きを見せる前に早々に彼らを狩る必要がある。

私は鎌の刃部分を持つとそれを接続部から勢いよく外して棒部分を折りたたみ、背に背負うと同時に素早く銃を左手に担う。

そうする事で現れるのは鎌よりも遥かに扱いやすい大ぶりな曲刀だ。

一つの武器ではあらゆる状況に対処し難い、であれば二つの機能を併せ持つ武器を用いる。それが私の答えだった。

マリアが敵に感づくよりも前に素早く確実に仕留める。これはその最適解だった。

 

そして私は油を壺に注ぎ運ぶという人間的な動きをしていた魚人をマリアの目に入らぬ内に瞬時に近付き、突進した勢いに任せて曲刀で胸を突き刺した。

 

 

 

 

 

 

 

心臓を抉るようなその一突きを、狩人は身体を捩って何とか交わす。

相手が即死する部位、ただその一点のみを正確に狙って放たれたその曲刀の突きは目では捉えきれぬ速さだった。

故に狩人はそれをあらゆる戦闘経験からどんな攻撃が来るかを改め予測し、その結果それを見事に回避してみせる。だがその回避を見ても最初の狩人の表情は全くもって変わらない。

見切れてはきている、だが劣勢に変わりはない。鎌による攻撃に若干慣れてきたかと思った矢先、鎌を変形させて曲刀と銃を最初の狩人は携えた。

離れていれば銃を、近付けば曲刀を。

こちらが攻めれば散弾で足止めし、こちらが引けば持ち前の身のこなしで瞬時に距離を詰めて曲刀によるラッシュを繰り出す。

右袈裟、左袈裟、三連上段切りから反撃予測でバックステップしてからの散弾。

銃によるカウンターを予測して瞬時に横に飛ぶと共に前に弧を描くように勢いよくステップし、銃弾を躱しつつ斬りつける。

正に人外、常識範囲外の動き。それを義足の老人がやってくる事に狩人はただただ感嘆した。

彼はもう笑っていない。戦うという事全てに集中しているからだ。ありとあらゆる可能性を考えその先を行かなければならない。

そこまで集中していたからだろうか、ふと狩人は剣戟を避けている最中に気付いたのだ。

 

 

 

 

最初の狩人の刃に込められているのが、贖罪の念であるという事に。

 

 

 

 

 

 

断末魔と共に、巨大なイカか何かを組み合わせたような悍ましくも神秘的な物体が倒れ伏す。

漁村の奥深く、不可思議な漂流物が流れ着いたとされるその空間は上位者が作り出す空間、「悪夢」と同化していた。

何かの力を経由せずに直接悪夢と同化させるなど今までの研究の中でも全く聞いた事が無い。それほど強大な上位者だったのだろう。

現実では死んで漂流物と化している。しかしその上位者の強い感応する精神は悪夢となり、その悪夢の中で上位者ーーゴースは二度目の生を授かった。

 

 

だから私はそれを狩ったのである。

 

 

自ら祝福した漁村民達を殺された恨みからかすぐさま襲ってきたゴースは、確かに強かった。

雷を自在に操り、此方を的確に追い詰めて仕留めるそれを見てやはり神だと思ったものだ。

だが私は狩らねばならない。本当の悪夢を狩る為にはここで上位者を狩り、力を証明せねばならない。

そしてあの魔物を、狩る。

だから私は全力を尽くした。マリアを海岸前の小屋の中で待機させ、自分一人で戦った。

振り払われる触手を下に屈み、上に飛び、ある時は切り払って避け続ける。

降り注ぐ雷に打たれぬように絶えず動き回り、少しずつ、しかし確実に相手の身体を傷つけていった。

そうして生まれた一分の隙に、私は鎌を人間の女性を模したような箇所に突き刺すと力任せに縦に引き裂いた。

青白い鮮血のようなものが吹き出し私の身体を汚すと共に、ズシンという音が海岸に反響する。

やった、やったのだ。夢に隠れる神紛いを「殺してみせた」

私の心が満たされる。また、今まで弔ってきた数々の獣達も安堵しているように私には思えたのだ。そんな暇など、無かったと言うのに

 

私が言い様のない達成感に浸っていると、急に背後から狂気じみた声をかけてくるものがいた。

後ろを振り向くとそこには学徒達がいた。一様に頭をほじくり返したであろう漁村民の頭部を持ち、常に笑みが張り付いているのを見て異常者か何かに見間違えたが。

 

「おお.....あの上位者を仕留めた.....」

 

「研究材料、とても良いサンプルだ」

 

「試せ、全て試せ。解剖し、採取し、死姦しろ。あらゆる物を試して瞳を探すのだ」

 

 

そんな事を口走りながら彼らは普段運動をしない学者とは思えぬ速さで駆け寄ると各々その死体を好き勝手にし始めた。

あるものは身体を切り取り胎盤のような器官を採取しようとし、またあるものは内に巣食う寄生虫を無理矢理取り出し頭蓋と共に保存瓶に乱雑にぶち込み、そしてあるものは女性器のような器官を発見して死姦した。

私ですらも吐き気を催すような、地獄という表現すら生ぬるい冒涜的な光景が眼前に広がる。そして私はやはり.....止められなかった。

好奇心と奴等に対する恨みが、きっと私を留まらせたのだろうと思う。

 

 

 

「これは.....何なのですか」

 

 

 

鈴の鳴るような凛とした声。聞き間違えようもないその音が私の背後から発せられる。

あぁ、ダメだ、それだけはダメだと思っていたのに。何故来てしまったのか、何故待てなかったのか。

いや、マリアは私を心配して来てくれたのだろう。落葉とエヴェリンを強く握っている手がそれを物語る。ならば尚更これは、彼女にとっては最悪の光景だ。

 

「マリアこれはーー」

 

そう言いかけたと同時に彼女の剣が私に迫ると葬送の刃を打ち付けて私ごと後方に弾き飛ばした。

そしてマリアはすぐさま落葉を捨て去ると勢いよく胸倉を掴む。その瞳はもう純粋ではない。憤怒と失望と悲しみと、様々なものでぐちゃぐちゃになっていた。

 

「師よ!!答えてください!!これは!一体何なのです!!ただの守護だと聞いていました!漁村にあるサンプルを持ち帰るための護衛だと!!しかしこれは.....!あの人達がやっているのは狂気染みた蛮行です!!狩人は、あんな人達を守る為に居るんじゃない!!」

 

立派な理想だと私は素直に思った。狩人という物がよく分かっている。昔の私に、よく似ているとも思う。

だから私は何も言えない。ただ、押し黙ってしまった。

 

「貴方も...!狂人だ!!こんな蛮行に加担した貴方も狂人だ!!現にここに居たのは獣じゃない、理性ある人間じゃないですか!!ただ静かにひっそりと暮らしていた彼らを殺して殺して殺し尽くした!!

貴方がやっているのは葬いなんかじゃない!!『殺戮』だ!!自らのための独善的な!好奇を満たす為の殺戮だ!!」

 

マリアはそう言い放つと私の頬を一発殴りつける。その勢いはあまりに強く、受け身も取れずに私は吹き飛ばされて地面に転がった。

そんな私も見もせずにマリアはゴースの死体を好き放題していた学徒のひとりの首を跳ねる。何か学徒が言おうとしていたようだが、どうせ碌でもない事だろう。

そうして全員の首を跳ねると、彼女は泣き腫らした目をこちらに向けて、ただポツリと言った。

 

「.....これで私も貴方と同じ、ただの誇り無き殺人者です。身内の学徒を気に入らないという理由で斬り殺した哀れな狂女。

さようなら、私はもう貴方を師とは呼ばない。私も自分を狩人などとは言わない。

...ただの、マリアです」

 

 

悲しげな目で、彼女はそう言って私の元から去っていった。

自分は一体何をしているのだろう?罪を背負って、命を享受して、尊ぶのが狩人では無かったか。

狂熱に突き動かされ、狩りを建前にしているのが狩人なのか?

違う。断じて違う。だがもう私は罪を犯した。私は永劫の呪いを受けた。殺戮者、狂人、そしてゴースそのものの、歪んだ呪いを。

あぁきっとここからそうだったのだろう。私の刃がただ相手を葬るものではなくなったのは、自らの罪を振り払うように振るうようになったのは。

きっともうずっと前から罪を背負いきれなかったのだろう。自分のしていることを誇りだと思い切れず、ただただ中途半端に行った結果がこれだ。

夜に生き、朝を皆に見せる。そんな希望はもう無くなっていた。あるのはただただのしかかる、贖罪の念ばかりだった。

 

 

 

 

「カハッ!」

 

鎌へと刃を変形し直した最初の狩人が空中で翻りながら鎌を構えて迫り来るが、振り抜かれた刃を背後に体重をかけて間一髪躱し、逆に相手の土手っ腹に蹴りを打ち込み地面へと転がす。

彼の刃はその実葬る為の刃ではない、自らの罪を振り払うような、それを忘れぬように自らに刻んでいるような、そんな贖罪の刃だ。

だからだろうか、最初の狩人の刃が今は軽く思える。むしろ振るうたびに自分自身を傷つけているような、そんな風にも狩人は思えた。

だからといって彼の技が見切れた訳では無い。速く、正確で、力強い。だが罪の重さで彼の腕は確実に鈍っている。

一歩どこか踏み出せぬのは罪の記憶が邪魔するからか、力が入り過ぎているのはそれを振り払おうと必死だからか。ならばそこに付け入る隙があると彼は睨む。

狙いは一つ。彼がそれを意識外に持っていったその瞬間に痛烈な一撃を叩き込む。

狩人はノコギリを鉈へと展開してよりリーチを広げると避けに徹する。

鎌を後ろ手に力を溜めての回転斬りをローリングで潜り抜け、自分の身体ごと相手を上空に打ち上げる切り上げを同時に飛んで刃を踏み、最初の狩人を飛び越えるように避け切る。

最初の狩人も着地した瞬間に武器を変形させ、遠距離にいる狩人に向けてスラグ弾を込めた強力な一発を撃ち込むがそれを狩人は右にステップして難なく避けた。

息もつかせぬ攻防、息を一つ吸う間に同時に詰め寄り、吐いた時には曲刀と鉈を打ち合う。

先程ならばまた同じような攻防が繰り替えされるきっかけになる打ち合いだが、今回は違う。

狩人の狙いは一つ、その素っ首ーー

 

「ぐっ.....!?」

 

 

ーーを鉈で狙ったように見せかけた、義足に向けての下段足払いである。

あんな粗末な義足を巧みに使いこなしているが、やはり感覚は無い。

だから狩人は狙ったのだ、戦いが白熱し、また攻防が繰り替えされるきっかけとなる「先程と同じような打ち合い」を。

最初の狩人は強い、人外だ。その意識を逸らすのならば、今しかない。

全盛期ならば通用しなかった、だが彼はもう違う。最初の狩人は罪によって押し潰されている、だからどこかに迷いもあれば憂いもある。

きっと最初の狩人はどこかに破滅願望があったのだろう、自分を殺して欲しいと思っていたのだろう。だから彼は義足を払われ、狩人は浮いた身体に全力の鉈による叩きつけを食らわせた。

骨が軋み、肉が裂け、最初の狩人の血が辺りに幻想的に舞う。

 

義足からは、まるであの日の再現をするかのように血が垂れ流されていた。

 

 

 

 

 

「ッああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

余りの痛みに私は叫んでしまう。脚にまるでマグマをかけられているかのような、そんなどうしようもない灼熱の痛みが私を襲った。

甲高い鳴き声をあげる聖職者の獣が燃え盛りながら、私の片足を握り潰したからだ。

骨が飛び出る、皮膚や肉がはじけて友だった者の炎で燃える。まるで苦しんでいるかのような獣の鳴き声を聞きながら、私は自分に喝を入れると咄嗟に加速を使った。

脚を握り潰す、つまり私を捕縛したという事。であればあの獣は必ず一瞬は立ち止まるだろう。

掴まれたのは油断であった、だがならばそれを好機に変える。

加速で掴まれて使えなくなった脚を強引に引きちぎり、猛烈な速度で左に跳ぶと同時に鎌を思いっきり横一文字に振り抜いた。

ズプリと胴体に刃が刺さる、グジュグジュと音を立てながら燃え盛る血を吹き出し、そしてその獣は上半身と下半身が見事に泣き別れた。

隕鉄で形作られた葬送の刃はその振り抜かれる速度において威力と切れ味が増す。私はその特性を生かし、この聖職者の獣を真っ二つに斬り伏せたのだ。

下半身が後ろに倒れ、上半身がべたりと地面に落ちてくる。だがその獣は死なない。ジタバタと腕をめちゃくちゃに振り回しながら私に突進してきた。まるでクロールのように迫るそれを私は痛みを頭から切り離してよく見て対処に当たった。まずは左の一撃を躱す、右の一撃を躱す、再度の左の一撃を躱した直後にその腕に加速を使って無理矢理何とか片足で飛びのり、背中に刃を食い込ませてフックの要領で這い上がった。尚も暴れ回るその獣の首に刃を何とか食い込ませ、加速のタイミングを見計らう。

 

 

そして私は一気に、その喉笛を斬り裂いた

 

 

その獣は、ピクリとも動かなくなった。かつて聖職者であったこの獣は哀れにも警句を忘れて力を求め、遂には獣と成り果てたのだ。

広々とした大聖堂の真ん中で燃え盛るそれを見た時は、何とも言えない悲しみが私を襲ったものだ。

そうかそうか、お前もまた間違えてしまったか。自らの好奇に打ち勝てず、獣を何とか制御しようと自らを実験台にした結果、最初の聖職者の獣と化した。何とも愚かで物語チックじゃあないか。

 

 

「なぁ、お前もそう思うだろう?ローレンス...」

 

 

私もお前も、結局は道を逸れてしまった。獣の愚かも克服出来ず、私は青ざめた血の傀儡と化してきている。恐らくこれが最後の葬いだろう。

物言わぬ屍を見つめながら、友が獣になっても持っていた瞳のペンダントを見つめる。それはウィレーム先生から送られた、教えを忘れぬ為の物であった

 

「知らぬ者よ...かねて血を恐れたまえ...か。全く、私もお前も酷い有様じゃないか。私は足を、お前は命を喪った。お前が居なくなった医療教会は、最早ただの実験施設と成り果てるだろうよ.....」

 

どうしてこうなってしまったのか、ただただ後悔ばかりが胸中に湧き上がる。

罪に押しつぶされた私と、自らが罪の象徴となったローレンス。どちらもただの愚か者じゃないか。

結局はあの神紛いにはどうする事も出来なかった、立ちはだかる宿命を捻じ曲げる事は出来なかった。もう私には、あの狩人の夢に囚われる選択肢しか残されていなかった。

せめて罪を祓う為に、これからの狩人達を朝に目覚めさせる道しかない。こうするしか、私の罪は軽くなりそうもなかったのだ。

足から止めどなく流れる血と燃え盛る血もまた、決して交わらずに床を汚していた。

 

 

 

 

 

 

 

結局は全て間違いで、結局は全て終わりだ。私はずっとずっとそう考えてきた。義足から流れる血を見ながら、どうしてもあの日を思い出さずには居られない。どちらも道を間違えてしまったあの悲しみを忘れ去れる訳は無い。

時折友の夢を見る事があった。あの頃のまだ何も知らぬ、無垢な時代の夢を。そうして目覚めると今の自分がいかに空虚かを考えずにはいられなかった。

彼も道を違えた狩人なのだろうか?それは分からない。だがここまでの狩人は居なかった。成る程たしかに良い狩人だ。

このまま終わるのならば悔いは無い、慈悲も情けも葬いもなく。ただ死ぬだけになったとしても。この罪を背負うのは、もうこりごりなのだ。

 

 

 

 

 

 

だから、諦めるのか?

 

 

 

 

 

 

思い出せ、私は何だったか。思い出せ、私は何を約束したか。思い出せ、私は何を目指していたか。

こんな罪滅ぼしが狩人の在り方だったか?違う、そんな筈はない。命を尊び、弔う。それが狩人であった筈だ。

私は決して友を忘れぬといった、だから逃げてはいけないんだ。あの記憶から、警句から逃げてはいけない。

だから私は....皆に夜明けを与えたい、そう願っていた筈だ。皆が安心して朝日を浴びれる、そんな街を。

 

だからそうだ、罪から逃げてはいけないんだ。

この刃はいつからこんなに重くなってしまったのだろう。

いつから葬いを忘れていたのだろう。

いつから夜明けを迎えさせるのではなく、また罪が増えたと考えるようになってしまったのだろう。

そうだ、だから、葬わなければならないのだ。

眼前に立つ彼に、こんな苦痛を味わわせてはいけないのだ。

こんな罪を、背負わせてはいけないのだ。

だから狩らねばならない。血に酔っていようと狩りに呑まれていようと悪夢に魅せられていようと...彼はただの狩人だ。

私の遺志など継がせるわけにはいかない、まして咎人のものなど。

だからまだ、目覚めるわけにはいかないのだ。

 

 

 

私は、月に向かって咆哮した。あの忌まわしい月明かりが今だけは、あの狩りの日の夜の月のように見えた。

 

 

 

 

 

 

最初の狩人が月に向かって咆哮し、青いオーラをその身に纏う。鎌を持つ手も、瞳も、何一つ変わっていないように見えるが、彼の中にある何かの枷が完全に外れたように狩人には思えた。

この戦いで彼が何かを思い出したか、或いは死に迫る事でようやく本気を出してきたか。分からない、だが意志の力であろう事は狩人でなくとも容易に想像出来た事だろう。

鉈にしていたその仕掛け武器をノコギリへと折り畳み、咄嗟に攻撃出来るように眼前の最初の狩人に全神経を集中する。

一歩、近付いてくる。二歩、義足が軋む音がする。

 

そして三歩目に、最初の狩人は「消えた」

 

先程までが疾風ならば、これは正に迅雷のように。視界になど到底捉えきれぬ速さで移動した最初の狩人は一瞬で彼の背後に回り込むとヒタリとその鎌を首に据える。

成る程、これが本当の、最初の狩人の狩りか。

そう頭で考える前に、刃が首に食い込むが、その力に逆らわずに身体を逆くの字に曲げ、何とか切断だけは免れる。

勢い良く振り返りノコギリを振るうがそれを最初の狩人は高く飛んで躱す。...高すぎるほどに飛んで。

不味い、そう肌で感じた時にはやや遅く。離脱しようとした時には遅すぎた。

加速によって増された勢いは猛烈な風の刃を生み出すと、狩人の身体を飲み込んだ。

荒れ狂う不可視の刃が腕も足も腹も際限なく傷付け狩人を吹き飛ばす。あのマリアのような血族の女王の力を持っていない只人でありながら、その技巧は正に人外を超えた領域に達していた。

狩人は吹き飛ばされながらも何とか受け身をとるが、最初の狩人は搔き消えると横から鎌を横一文字に振るってくる。反応が一瞬出来ない程の速さだったが何とか狩人はノコギリでそれを受け止める。

だが振り抜かれた鎌から最初の狩人は即座に刃を抜き取り、持ち手の部分と曲刀部分を擬似的な二刀の武器として振るってきた。

腹に突き出される持ち手を横に飛んで避ければ間髪入れずに回避先を潰す様に曲刀が迫り来る、それを屈んで避けると次にはその振るった勢いのまま回転し、頭目掛けて曲刀と持ち手が振るわれる。

持ち手が当たれば衝撃により隙が出来、一瞬で首が狩られてしまうだろう。刃はもう言わなくとも分かる結末だ。

だから狩人は咄嗟に散弾銃を撃ち放ち最初の狩人の体躯を強制的に吹き飛ばす。幾ら全盛期に戻ってきたとは言え、この至近距離の散弾銃は避けきれなかった。

怯んで後ろに下がったその好機を見逃さず、狩人は思いっ切り真一文字にノコギリを振りかぶる。

獣の狂人な皮すら切り裂くそれを最初の狩人はーー待っていたと言わんばかりにスムーズな動きで持ち手を畳む。

そして背中に背負うと予めスラグ弾を装填していた散弾銃を、今振り抜かれんとしている右腕の肩に向かって撃ち放った。

強大な獣ですら一発で怯ませて隙を作る為のそれは狩人の体制を大きく崩し、胴体を露わにさせる。

 

「君...死を受け入れたまえよ」

 

 

 

そして最初の狩人の手が、彼の内臓を掴み引き抜いた。

 

 

 

 

激痛により狩人の視界は一瞬暗くなる。何百と味わった死の感覚だ。だがこの死は違う、この死は目覚めだ。夜が終わり、朝を迎えてしまうという事だ。

駄目だ、それだけは甘んじて受け入れられない。

この腐れた夜を終わらせると決めた、この哀しい老人の咎も何もかも背負ってあの悍ましいまでに憎い青ざめた血をブチ殺すと決めた。そしてこの夜を終わらせ人を超え、上位者を殺す上位者となる事を、必ず為すとそう決めた。

だから臓腑を引き抜かれて尚何とか両の足で地を踏みしめ血を鱈腹いれて傷を癒す。乱れた呼吸をゆっくり整えると、強い決意をあの最初の狩人に向ける。

 

 

 

そんな物はお断りだ

 

 

 

フッと、最初の狩人がその仏頂面を崩した気がした。

 

 

 

 

 

 

ある時に、嗄れた灰狼が夢を訪れた。その男は愚かしいほど優しく、そして啓蒙的真実に決して狂わぬ強い狼だった。

 

 

ある時に、同胞喰らいの鴉が夢を訪問した。その女は確かな信念と誇りを持って、狩人狩りという呪われた業を甘んじて受け入れていた。

 

 

ある時に、異邦の神父が夢に入り込んだ。その男は家族を守る為に獣を狩るという単純ながら、家族愛に溢れていた。

 

 

そしてある時に、名も知らぬ異邦人が夢に誘われた。

まるで何も知らぬ男はヤーナムの地に埋もれると思ったが、その男は今や確固たる信念を持ち遺志を継いだ、強すぎる狩人になっていた。

 

 

きっと彼は私が継いだ物以上の物を背負っているのだろう、在りし日の私の信念を、狩人たるものを思い出す様な彼の目は、少し嬉しかった

 

 

 

 

 

 

鈍い金属音と共に葬送の刃が弾き飛ばされる。空中をクルクルと舞うと花畑にサクリと墓標のように突き立った。

加速と共に振り下ろされたその鎌を鉈の接続部分で受け止め、そこからノコギリに折り畳む事で刃を挟み込み、そのまま勢い良く腕と手首を捻って最初の狩人の得物を弾き飛ばしたのだ。得物を持たぬ狩人など最早ただの木偶に等しい。勿論素手で戦う狩人も居たには居たが、残念ながら最初の狩人は徒手空拳にはあまり明るくはない。

それにこの狩人にそんなものが通用するとも思えなかった。

突き刺さったその鎌を手に握り、引き抜く。ふわりと死を携えたような白さを持つ花びらが辺りに舞う。狩人はゆっくりと、項垂れている狩人に近付き首に鎌を当てる。

永い永い狩りの終わり。一人の老人の夢が覚める時だ。

 

老人は、黙して語らない。ただ狩人に首を差し出していた。最初の狩人としての葬いの意志は、今一人の狩人に受け継がれる。その瞬間が、今であった。

狩人がゆったりとした動きで鎌を振り上げていく。苦痛を生まぬようにただ一瞬で首を切り取る為に、正確に、骨と骨の隙間を狙う。

限界まで振り上げられたその鎌の動きがピタリと止まると共に、夢の家が焼ける音だけが辺りに鳴っている。

そうして鎌が振り下ろされるその瞬間に、ポツリと、最初の狩人は呟いた。

 

 

 

 

「全て、長い夜の夢だったよ...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初めての狩りを行った狩人が居た。強靭な獣達を狩り、自らの血と獣の脂や返り血で衣服を汚しつつも、何とか一夜を乗り切った狩人であった。

ふと、闇に包まれた裏路地に光が差し込んでくる。巨大な像が密集して形作られたオブジェが置いてある噴水広場に出てみると、街の全てを照らし出すような朝日が昇っていた。

 

美しいと、素直に思った。血に塗れたその身体を丸ごと浄化していくようなそんな朝日は、正にその狩人がこの呪われた地に齎したいものであったのだろう。

その狩人は鎌を畳み、銃を背中に背負って、ただ光を見やる。その光景こそ、彼がヤーナムの街に齎したい物。狩人が業を背負ってまで皆に見せたいもの。「夜明け」である。

勿論また夜になるだろう、行き先も分からぬ暗い夜がまたやってくる。ならばその度に夜明けを迎えさせる。夜の闇に呑まれぬように、狩人は夜を駆ける。何度でも何度でも夜に生き、朝を守る。幾度繰り返されようとも必ず夜明けを人々に見せる。

 

 

 

 

 

 

ーーそれがその狩人の、失われてはならぬ願いであった




文字数がやばくて草が生えますよ.....ここまで読んでくださりありがとうございます!
ゲールマンが好きすぎるんや...


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