ドールズディフェンスライン   作:りおんぬ

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Signal Green

「んで、リーダー? あらかた片付いたがどうするよ」

『ワフ』

「……そうね。じゃあ……」

「しりとりでもしようぜ」

「どうしてそうなる」

 

とある日の事。

いつもの様に、私達は戦場で鉄血を仕留めていた。

今この場に居るのは110BA()とMAG、それからペットのパチ公(仮)。P90はいつもの様に潜伏しているため不在。単騎で敵陣に突っ込む癖があるため生傷が絶えないが、引き際はわきまえているし問題はないだろう。

いきなりトンチキなことを言い始めたMAGに、思わず真顔で突っ込む。しかし彼女は相変わらず真意の読めない──訂正、『マシンガン撃ちたいもっとドンパチしたい』と心の底から思っていそうな表情で、大真面目にこう言い放った。

 

「いいかリーダー。言葉の応酬ってのは時に『口撃戦』と呼ばれるくらいに激しくなる。言葉が遠距離兵器であることを考えると、つまりこれは銃撃戦に近似できるわけだ。んで、これを秒間10発~15発のペースで続ければ、あたしらはマシンガンを撃ってることになる!! 世紀の大発見だぜこれは!!」

「ちょっと何言っているか分からないのだけれど」

「なんで分からねえんだよ」

「常識的に考えて分かるわけないでしょう」

 

一体何をどうすれば会話が銃撃戦になるのだろう。確かに世の中にはマシンガントークという言葉が存在するが「つまりはその言葉が意味する通りにマシンガンが正義っつー訳だ!」勝手に人の思考を読んだ挙句に介入しないでほしい。心なしか、パチ公も嘆いているように見える。

そんな下らないことを話している合間にも、私は目につく鉄血兵を片っ端から射抜いていく。一体たりとて通す訳にはいかないのだ。

あるいは心臓部を撃ち抜き、あるいは頭部を消し飛ばし、あるいは四肢をもいで失血死(オイル抜き)させる。

その様子を眺めながらMAGは、

 

「ひゃー、おっかねぇ。容赦って言葉を知らねえのかよ」

「これが一番確実なのよ。あと容赦なく弾幕張って相手をスクラップにするような奴にだけは言われたくない」

「さいで」

 

ガシャン、横で銃弾を装填する音が響く。

おいまさか……

 

「じゃあ一匹ずつチマチマ撃つの面倒だし、手っ取り早くまとめて排除しようぜ!」

「やめっ──」

 

私が静止するより早く、マシンガンから銃弾の雨あられと爆音が放たれる。

私が伏せ撃ちしている所の真横で撃ち始めたため、隣にいる私に諸に被害が及んできた。

具体的には、頭上から大量のベルトリンクと空薬莢が降って来る。痛い。あと爆音で聴覚が壮絶に痛めつけられる。辛い。

そして、見る見るうちに視界内の鉄血兵がスクラップになっていく。あれでは資材の獲得は絶望的だろう。

 

「ヒャッハー! ホントこの世は地獄だぜーっ!!」

「私にとっては今この瞬間が地獄よ……!!」

 

呻くように愚痴るが、今まさにこの地獄を生み出している馬鹿には届かない。マシンガンを撃っている最中のコイツは極限の陶酔状態にあるため、基本的に何を言っても無駄なのだ。

だから、これを止めるには……

 

「おっと、弾切れた。リローディン!」

「やめろ!」

「イッテェ!?」

『キャン!?』

 

おもむろにバックパックから予備弾帯を取り出した馬鹿目掛けて、たまたま手の届くところにいたパチ公をシューッ。別にエキサイティングはしない。

あわよくばショック療法で異常なところが全部直ってくれないだろうか。

 

「イテテ……あぁ? ここは何処だ、あたしは誰だ? いいやあたしこそがマシンガンだ、こればっかりは譲れねぇ」

「……、」

 

直るどころか悪化した。

どうすればこのマシンガンキチを穏便に排除できるか、私は割と真剣に考慮し始める。

結論:不可能。ああ無情。

仕方が無いので、私は馬鹿の対処を諦めて敵の残骸から使えそうなパーツを確保し始める。戦術人形どうし、銃種さえ一致すれば基本的に規格も同一のため弾薬類は流用できるからだ。

きっと本部(向こう)では私達は書類上MIA(戦闘中行方不明)位の扱いになっているだろうし、外部からの補給は望めない。よって、こうでもないと長期間はやって行かれないのだ。

 

「おーおー、惨憺たる有様だな。見てて清々するぜ」

「次、許可無しに至近で撃ち始めたら撃つから」

「サラッと殺害予告すんのやめてくれねえかな頼むから」

 

ひとしきり使えそうなものをバックパックに詰め込み、さて拠点に戻ろうとしたその時。

ザザッ──と通信機にノイズが走る。

 

「?」

「……どうしたリーダー?」

「いや、今通信機が……?」

 

耳に手を当て、周波数を調整する。

……この手のザッピングは得意だ。シリアルセキュリティのかけられたサーバーだろうが今は廃れたダイヤル式の金庫だろうが、私は不思議とそのどれもを一発で突破できた。だから、今回もきっと行けるだろう。

かくして私の予想は的中し、程なくして何処かの通信と接続される。

 

『ザザザッ──CQ,CQ! こ──らは──分隊、現在──と交戦中! 敵部隊は──めて強力、応──む! 繰り──、こちら──』

 

ノイズ混じりに届いてくるのは、何処かの小隊からの救援要請。怒涛の発砲音とセットで聞こえてくる事と通信内容を鑑みると、中隊規模の敵とかち合ったか。

銃声とはまた違った爆発音が聞こえてくる所を見ると、敵陣かグリフィンサイドに迫撃砲あるいはグレネーダーでもいるのだろうか?

まあ、知らない相手の編成事情なんてどうでもいい──私達は502小隊。今は防衛戦なんてことをしているが、本来は遊撃が本分だ。

 

「MAG」

「おうさ、仕事だな」

「ええ。P90が帰ってくる前に手早く済ませて帰りましょう」




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