ドールズディフェンスライン   作:りおんぬ

18 / 84
エルフェルトが倒せない
アイテム2号的な便利道具ありませんかね……(切実)


Bad Gateway

「で、作戦ったってどうするんだ? なにせ向こうは破甲無しでSG削り落とすようなバケモンだぞ」

 

ようやくショックから復帰したMAGが問いかける。

その疑問も当然のもので、相手は徹甲弾などの小細工一切なし、ただただ純粋な火力で以てショットガンの防御をぶち抜く化物だ。そしてそのショットガンすらいない以上、生半可な作戦では突破できない。おまけにその貧弱小隊のメイン火力が出撃不可ときた。なんというハードモード。

 

「……!!!???」

「おいP90、なんだその『コイツがこんなまともなことを言うなんて』みたいな視線は」

「実際そう思ってるんだよ、察せ」

「ひでぇ!?」

 

冷酷に言い放つP90。

MAGが瞠目するが、彼女も私も特に反論はしなかった。実際その通りだからだ。

そしてちょうどそのタイミングで、私の中で作戦の大筋は完成した。けれど、決行するにはピースが足りない。

その作戦に欠かせないピースである二人に声をかける。

 

「……そこの二人。焼夷同好会、だったかしら」

「はっ、はい!?」

「……何か?」

 

UZIが姿勢を正し、Vectorが胡乱気な視線を向ける。

そんな二人に、私はこう質問を投げかけた。

 

「爆弾テロとゲリラ戦に興味はない?」

「ちょっと何言ってるか分からない」

「……、」

 

一刀両断。

当たり前だ。どこの世界にテロとゲリラに興味津々な奴がいるというのか。いるとしてもそれは敗戦一歩手前の国の首脳か危険思想者だ。

まあ、そういう私の率いる502小隊にはP90(ゲリラ戦のプロ)MAG(乱射テロの常習犯)がいる訳だが。つくづく思うが、どうして私はこの二人を引き込もうと思ったのか。不思議でならない。ところでUZIはともかくVectorはなぜ顔を赤らめて俯いているのだろうか?

まあそれはさておき、もちろん私はノーマルだ。ボルトアクションの神に誓ってノーマルだ、断言できる。

 

「……仕方ないわね、じゃあこういうのはどうかしら」

 

リモコンを弄る。

次に映し出されたのは、倉庫にぎっちりと詰め込まれた大量の資源。

それを見た二人の視線が露骨に揺らぐ。

やがて、恐る恐ると言った調子でVectorが口を開いた。

 

「……これは?」

不在防衛線(うち)が溜め込んだ資源ね。そもそも所属人数の絶対数が少ないから、どうしても余るのよ」

 

その量は平均して三万前後(単位は一律でキログラム法に準拠)──彼女達がどこの司令部の所属か私には皆目検討もつかないが、それにしてもこの量の賄賂(えんじょ)は無視できないはずだ。

だからこそ、それは私たちが突くべき穴となる。

 

「もし貴方たちが協力してくれるなら、この死蔵してある資材の半分を譲るわ。悪い話ではないと思うけれど」

「おい『死蔵』って言いきっちまったぞウチのリーダー」

「実際死蔵でしょ。ここに所属して以来ボクは弾薬以外の保管量が四桁以上の単位で減ってるところ見たことないんだけど」

「おいおいマジかよ。で、なんで弾薬だけそんな減っちまってるんだ?」

「自分のやってきた事を少しは省みろ!?」

 

叫ぶP90。実際その通りで、502小隊が食い潰す資材のうちの九割方はMAGが原因だ。次点でP90、そしてワーストが私。火力キチと煙幕キチが揃い最強に見える(資材消費的な意味で)。

背後でぎゃいぎゃい言い争う馬鹿から努めて意識を逸らしつつ、私は二人へと語りかける。

 

「で、どうかしら。乗るか、反るか──」

 

その問いかけに、2人は顔を見合わせた。その隙をついて、私は後ろの馬鹿二人を物理で黙らせる。恐ろしく早い一撃、私でなければ見逃しているだろう。というか、自分でやっているのに自分が視認できないのはおかしい。

そのまま、何食わぬ顔で視線を前の二人に戻す。

その時、彼女たちは互いに頷きあっていた。そして、二人は私の方を向く。

 

「……まあ、乗るしかないよね?」

「それしか私達には道がなさそうだしね……どの道弾もないし配給も切らしてるし……」

「──OK'd. 契約はここに成立した」

 

壁に立てかけておいた愛銃を掴む。

リモコンを操作し、プロジェクターの電源を切ってスクリーンを格納する。

さて、五人も面子が集まれば十分だろう──そう思い、私はダウンしている馬鹿二人……もとい部下二人に声をかけた。

 

「P90、MAG」

「あいてて……んあ? どうしたリーダー」

「倉庫に行く。『アレ』を作るよ」

「……マジかぁ」

 

MAGが天を仰ぐ。

彼女は私が何を作るか理解したようだ。P90も隣で青い顔をしながら倒れ伏して……これはさっきゲンコツ落としたせいか。

ともあれ、死蔵していた資材が輝く数少ないチャンス、これを生かさずしてなんとする。

ずんずんと倉庫へ向けて歩みを進める私の背後から、こんな会話が耳に届いた。

 

「あの、MAG……さん? なんでそんな焦ってるんですか?」

「……いやあ、アイツって狙撃兵の癖にゲリラ戦に滅法強くてな。そも、502小隊の隊長はアイツな訳だが、502小隊の存在自体が本来書類上のものだけのはず()()()

「……でも、三人も在籍してる……」

「そう。あたしやP90はリーダーからヘッドハントされてここにいる」

「そうなんですか」

「だが、リーダーはその例外。『書類上の存在』という枠に追放されるレベルの何かをやらかして、結果こうなってる」

「……じゃあ、つまり……」

「そう。アイツのゲリラ戦法って味方も巻き込んじまうんだ」

「……まさか」

 

「噂は聞いた事あるんじゃねえか? 一発も発砲せずに罠とナイフだけで敵陣一つ壊滅させた、『人罠戦線(ドールトラッパー)』って奴の存在。その正体が我らがリーダーって事さ」




・110BAが502小隊に左遷された経緯①
 自分が仕掛けた罠のせいで味方が丸ごと壊滅した
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。