ドールズディフェンスライン   作:りおんぬ

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誰とは言わないけど某作者様の『登場人物はフリー素材』宣言にはとても憧れてたりする。
まあ、ウチみたいなキチガイ共を扱う物好きは居ないと思うけど……


Bad GatewayⅢ

この前鉄材で作っておいた大量のワイヤーを手に持ち、倉庫の奥で放置されていた迷彩服を引っ張り出す。うわ、埃っぽい。

 

「ゲッホゲホッ! うわくっそ埃すげぇ!」

「これ、明らかにサイズ合わないよね……?」

「……出撃する前にその辺りの手入れが必要ね」

 

あちこちでおびただしい量の埃が舞い、誰も彼もが咳き込む。かく言う私も、さっきから咳が止まらない。

 

「ゲホゴホ……長居してるとフィルターがやられそうね。一旦外に出ましょう」

「うーい」

 

倉庫を後にする。

トラップ用のアイテムも全部外に出し、いざ扉を閉めようとした時、問題が発生した。

両手をかけ、全開で力を込める……が。

 

「……動かない」

「おいおいマジかよ。ついにぶっ壊れたかこのドア」

「むう……」

 

ギリギリと力を込める。

やがて、私の二の腕から白煙と焦げるような臭いが漂ってきた。

それを見たMAGが慌てて私を止める。

 

「待て待て待て待て! 焦げてる焦げてる! それ以上やったらアクチュエータがイカれるぞ!?」

 

手を離す。

私は両腕を振り回してみたが、さっきまでと比べてレスポンスが遅れている気がするような……? あと、腕を動かすたびに内部でギリギリ不穏な音がする。

 

「あーあ、こりゃ出撃前に修理だな」

「……そうね」

「まあその前に、コイツを閉めなきゃな……っとぉ!」

 

ガゴン! という轟音と共に、MAGのヤクザキックが鉄扉に叩き込まれる。

バキッ! っという破砕音と共に、鉄扉が片方遠くへと吹き飛んだ。

 

「……おいこら」

「……やっちまったぜ○産」

「日○に罪を被せるなーッ!」

「ゲェーッ!?」

 

P90怒りの叫び。

彼女は何処からか二丁のP90を取り出し、両手に構えた。

……あれっ、心なしか目前にプロレスなどで用いられるリングが見えるような。

 

「装弾数50+装弾数50で装弾数100!!」

「いやもう片方の銃どっから出した!?」

 

そして天高く跳躍し、

 

「いつもの2倍のジャンプが加わり、F=mgで2(m)×9.8(g)×100(装弾数)の1960火力!!」

「そこで運動方程式かよ!? いや待て待て落ち着け話せばわかる!!」

 

MAGの決死の突っ込みも空しく、P90はトップスピードで彼女目がけて突っ込んでいく。

しかもよく見たら、その口元にはピンをまとめて口にくわえる形で3つの発煙手榴弾が風に揺れていた。

 

「そして、いつもより3つ多い発煙手榴弾の粉塵爆発を加えれば、1960(火力)+50×3(粉塵爆発)の──MAG! お前をうわまわる2110火力だーっ!! 懺悔しやがれ大戦犯、稲妻十字空裂斬(サンダークロススプリットアターック)!!」

「ついにキン○マンすら関係なくなりやがった! グワーッ!?」

 

真上からの十字砲火(ただし芸が細かいことに全てゴム弾に換装されていた)を食らい、トドメの天空×字拳。相手は死ぬ。

綺麗に後方に吹き飛んでいったMAGを尻目に、P90はその場で綺麗に着地した。もしや前世は猫かなにかか。まあ、それ以前に戦術人形に前世なんてものが存在するかどうかは著しく疑問だが。

私は動きの悪い両腕で彼女を静止しつつ、呆然と立ち尽くす焼夷同好会の二人へ向けて言った。

 

「……とりあえず補給の類を済ませましょう」

「あっ、そう言えばまだだった……」

 

その一言で、やたらと覚悟に満ちた目をしていた二人が正気に戻る。さては私が特攻を命じるとでも思ったか。別にやってもいいけど許可も降りてないのに使い潰したら問題が──ゲフンゲフン、いくら正式に指揮下に入った訳では無いとはいえ、そう易々と仲間を使い潰せるような冷血になった覚えはない。

さて、修理修理……。

 

■ ■ ■

 

修復と補給を終え、ついでに迷彩服の清掃も済ませた。後は装備を今一度確認すれば、完璧なゲリラ部隊の完成という訳だ。

 

「傾注!」

 

姿勢を正した部下(臨時含む)を見据え、私は今回の作戦概要を説明する。

作戦名(コードネーム)『免疫反応』──侵入者(イントゥルーダー)という名のウイルスを撃退するには、この上なくちょうどいい作戦名だろう。

 

「今回の作戦はゲリラ戦。目的は侵入者(イントゥルーダー)及びその指揮下の鉄血兵に対し、水際で限界まで出血を強いることにある。止めを刺せれば万々歳ね」

「リーダー、質問があるんだけど」

「何、P90」

「さっき提示されたハイエンドの写真の出処も気になるけどそれはさておいて、敵の数はどれくらいなのさ。いくらキチガイ小隊として有名な502小隊(ボク達)でも数の暴力だけは覆せないよ」

 

P90がひと目でわかるほどに逸る気持ちを抑えながら私に問う。確かにアレと彼女には()()()()()()()()があるようだし、トドメを指すためにそれを確認するのは当然か。ちなみに写真はたまたまVectorが所持してたのでそれを拝借した。偵察の帰りに襲撃されていたらしい。

……ところで、いつから私の受け持つ隊はそんなぶっ飛んだ称号を得ていたのだろうか。……いや元からか? 私を筆頭として何処かしら頭のネジが吹っ飛んでる奴しかいないし……。

ともあれ。

 

「アレにどれだけの指揮系統があるかは不明。けれど、前例から考えてもハイエンドが単騎では一個大隊程度が限界ね。だから、最大でも1200体──一人あたり240体倒せば行ける計算よ」

「いや脳筋か!!」

 

UZIが突っ込む。Vectorは何も言わなかったが、表情からして同意見なのだろう。

しかし、私の率いる502小隊は涼しい顔をしていた。当然だ、私が効率的な鉄血の殺し方を骨の髄まで叩き込んだのだから。

 

──一つ。

バカ正直に正面からかち合うな。アイサツ前のアンブッシュ上等、トラップだって存分に使え。卑怯だと思うなら、それがお前の敗因だ。

──一つ。

使えるものは最大限に使え。敵の銃だろうがなんだろうが、なんならその辺に転がっている石でも上手く使えば相手は殺せる。

──一つ。

対多数の相手の時には同士討ちを誘発させろ。数に劣る以上はその数を逆手にとるのは当然。むしろ戦力差による慢心がある分、単騎よりも弱い。

──一つ。

誰も信用するな。味方なんて概念はゲリラにはない、鉄血兵だろうがIOP製人形だろうが視界に入ったら敵対対象と思え。

──一つ。

感情的になるな。計算づくで動き、最少の消費で最大の結果を生み出す一つの機械として己を定義しろ。『理性』とは我々の持つ最大の武器だ。

 

以上、総称して『サルでもわかるゲリラ五ヶ条』。実経験を元に私が作り上げたものだが、これさえ覚えておけば個人でのゲリラ戦は少なくとも安泰と言っていいだろう。

まあ、私が何を言いたいかと言えばだ。

 

「では、作戦を説明する。──見敵必殺(サーチアンドデストロイ)見敵必殺(サーチアンドデストロイ)だ。アンブッシュだろうとトラップだろうと手段は問わない。最少の消費で最大の戦果を上げなさい」

「「Sir, Yes sir!!」」

「サーじゃねえだろぶっ飛ばすわよ」

「「Yes ma'am!!」」

「……あー、えっと……了解(Copy)?」

「……了解(log)

「よろしい」

 

 

 

「では、諸君。楽しい楽しい戦場へ行きましょう?」




MAG「ところであたしのマシンガン壊れたままなんだが」
110BA「敵のマシンガン奪えばいいでしょ」
MAG「さては天才か?」
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