全くUMP9の姿を見かけません。スプリングフィールドは4体くらい落ちたのに……
「────」
マガジンを入れ替え、弾頭を非殺傷の物に入れ替える。基本的に.338ラプアマグナムは当たれば即殺だけれど、故意に弾頭を弄ってしまえばギリギリ殺さない程度の物に仕上げることができる──今回の弾頭もその試験の一環だ。ちなみに想定用途はMAGの鎮圧で、作ったのはつい数日前。晴れ舞台が来るのが早すぎる。
さらに、煙幕による激しい視界不良に対抗して照準器を交換。今装着したのは最新式、赤外線検知式のハイテクサイトだ。まあどう言いつくろっても違法パーツであることに変わりはないし、むしろ変にハイテクな分壊れやすくて扱いづらいのだけれども。
そうしてサイト越しに煙幕の中を覗くと、ド近接で殴り合い
「「マシンガンを讃えよ! マシンガンを讃えよ!!」」ズンドコズンドコ
「……、」
……無視だ、無視。相手にしたって良いことは無い。
そして、タイミングを伺い続けることしばし──二つの影がクロスカウンターを決める形で殴り合い、その動きが停止する。
今だ!
「──そこっ……!!」
発砲。
轟音と共に非殺傷弾頭が放たれる。
続けてボルトアクションで再装填し、すぐさま二発目を撃ち込んでいく。
それらは音速をはるかに超越した速度で空を裂き──
寸分違わず目標のこめかみをブチ抜いた。
ばたり、と力なく倒れる二つの影。
サイト越しにそれを確認した私は、思ったことをそのまま口に出していた。
「……あれぇ??」
おかしいな、確か私は胴体を狙ったはずなのに。どうしてダブルヘッドショットを決めているのか。
呆然とする私の耳に、呆れた声をしたP90からの通信が届く。
その一言は、今の状況をこれ以上ないほど端的に表していた。
『……ワンターントゥーキルゥ……』
110BAの手によって見事なダブルヘッドショットを決められる数刻前。
原因は目の前のコイツ。
「ああああああアアアアアア■■■■■■────!!!!」
「なんだお前は……!?」
部下を蹴散らしながらとんでもない速度でやってきた一体の戦術人形。しかも信じがたいことに、ダミーリンクによる編成拡大はおろか最低限の武装すらしていない。
あまりにも無謀すぎる突貫に、にわかに
補佐であるDragoonが咄嗟に銃を向けるが、発砲よりも早く戦術人形──MAGがその懐に入り込む。
「くっ、貴様に手は出させn──ッ!?」
「うるせえ邪魔だ。マシンガン使ってねえなら……死ねよ」
ドスの利いた声と共に飛ぶ拳一発。一体どんな威力をしているのか、Dragoonの駆るモビルワーカーが一瞬でスクラップにされた。
「うわあああ! 機関部の熱が……ゆ、誘爆す──!!」
轟音と共にDragoonの搭乗していた機体がパイロットもろともに爆散する。
突然の事態に呆然とする
「マシンガンおいてけ! なあ! マシンガンだ!! マシンガナーだろう!? なあマシンガナーだろお前!!」
叫ぶMAG。
さらにそこから例の怪文書発言と来て、
貞操の危機──そう思った
『こちら
「たっ、助けてくれ
『……はい?』
「マシンガンおいてけぇええええええっ!!」
「ぎゃあああああああっ!!?」
通信機を放り出し、恥も外聞もなく逃走する
しかしあっさりと回り込まれ、いよいよもって後がなくなる。
そして……
▼その時不思議な事が起こった!
「……畜生、ふざけやがって! 誰がテメェなんか、テメェなんか怖かねぇ!!」
……不思議なことというか、追い詰められすぎてタガが外れただけなのだが……まあそれはさておき。
「野郎オブクラッシャーァァアアアアア!!!」
拳一つで立ち向かっていった。オイオイオイ死ぬわアイツ。
そして壮絶なキャットファイトの末に、クロスカウンターを決めた二人に襲い掛かる非殺傷弾。
それらは完全に動きが停止していた彼女達のこめかみを正確にブチ抜いて見せた。
「「ぐっはぁっ!!?」」
ゆっくりと二人の身体が崩れ落ちていく。
最後にその視界に映ったのは、呆れた顔をしながらズタ袋を二つ持つドチビの戦術人形だった。ああせめて死ぬならこんなチビ野郎ではなくエージェントに膝枕されながら逝きたかった。
「誰がドチビじゃい!」
がっつりと後頭部を蹴飛ばされ、今度こそ意識が沈み込んでいく。
あと、意識を失う最後の瞬間までMAGが「マシンガン置いてけぇ畜生ォ!!」と叫んでいたのは気のせいであると信じたい。誰かそうだと言ってくれ。
──オペレーション『免疫反応』完遂。
自軍成果18、自軍損害1。
総合評価『A』。
非殺傷(ただし対象は戦術人形に限る)。
ゴム弾詰めたハンドガンでも当て方次第では骨折させれるのに、ライフル弾で人体相手に非殺傷はどう考えても無理ゲー。たとえ手足の先に当たったとしても複雑骨折からの失血死余裕。