ちなみに豆知識ですが、突然この手の番外編が上がる時は本編が行き詰ってます。つまり進捗はお察しください。
「という訳で最近何やら噂になっているS09地区まで来たわけだけれど」
「待て。色々と待て」
私がそういうと、横に立つ
そう、何を隠そう今私たちがいるのはS09地区。遊撃部隊が前線を放棄していいのか、という意見にはあとで答えるので今はそっと胸の奥底にしまっておいてほしい。
「なあ、なあなあなあ。まず何処から突っ込めばいいのかあたしにはもう分かんねえんだよ。教えてくれP90、あたしはあとどれくらい思考を放棄すればいいんだ」
「逆に聞くけどボクにそんなことわかると思う?」
「言われて見りゃ確かにそうだな」
「HAHAHAぶっ殺す」
「あ、あははは……」
そして始まるどったんばったん大騒ぎ。
そこでMAGと取っ組み合いを演じている金髪ショートのちびっこいのがP90。何をトチ狂ったのか今日は全身をデザートピンク迷彩の服で固めている。確かに行先は伝えていなかったが、まさか砂漠の行軍でも想定していたのだろうか?
そして最後に、その後ろで苦笑いする茶髪ポニーの長身仮面少女、MGL-140。マルチカム迷彩服の上から緑色に塗装したType3防弾ベストを身に纏い、背後にはグレネードがしこたま詰め込まれた巨大バックパックが背負われている。しかも武装はグレネードランチャー二丁持ちという漢仕様。威圧感が凄すぎる。
そこに私を入れた以上四名が、問題児の掃きだめ『502小隊』の内訳だ。
こほん、と咳を一つ。
「……という訳で、最近何やら噂になっているS09地区まで来たわけだけれど」
「「やり直すのかよ!?」」
「いや、あの、リーダー? まあ私としても素でいいっていうのは非常にありがたいですけど、その、事情の説明を……」
事情、事情か。
といっても、私は風のうわさで『S09地区に最近トンデモナイ喫茶店が爆誕した』という話を聞いただけなのだけれど。
「いやどこの風だよ。ただただ初耳だぞあたしは」
「そう? 道行く鉄血兵から聞いた話よ?」
「……そういや、最近めっきり襲撃が減ったな……そのあたりも関係してんのか?」
そう。
その噂を耳にするのと前後して、いつもなら懲りずに元気に進軍してくる鉄血人形の列がぱったりと途絶えたのだ。
それが一日二日であるならば誤情報と偶然だけで済むが、それが二週間も続けばさすがに私も看過できない。度重なる酷使で携行通信機がついにご臨終してしまったため、新型の入手もかねて今回来ることになったのだ。普通ならありえない前線の一時的放棄を敢行したのも、この事態があってこそ。でなければこんな無謀なことは決してしない。
そしてそれを聞いたMAGは、
「それを先に言えや!」
と叫んだ。言ったら言ったでどうせ『マシンガン関連じゃねえならあたしはパスな』って言うくせに。じゃあ私はどうすればいいんだ。
そういう不満の発露も兼ねて、私は無言でじっとMAGをにらみつけた。
「ちょっ、リーダー!? おい、こっち見ながら目を涙ぐませるなよ! これじゃあたしが悪者じゃねえか! っつーかなんだその技は!?」
「うわー、MAGってばいけないんだー」
「ドン引きです……」
「小学生か!!」
その後、何だかんだですったもんだはあったものの、どうにか地区内に入ることは出来た。あまりに装備がガチすぎるため、検問に居た男性の笑顔がひきつっていたのは此処だけの話。
地区内に入ってまず立ち寄ったのは、戦術人形などの装備を売っている専門店。この手の類の店は許可証がなければ入れないのだが、その点はきっちり抜かりない。事前にヘリアンに話して受領済みだ。
……なんか今にも死にそうな顔色してたけど、あとで見舞いにでも行ったほうがいいだろうか……?
そこで必要な物資を購入し、ついでに銃火器の整備をオーダー。さすがに自分でやるにも限度があるため、数ヶ月に一度程度のペースで本職の手による
銃を手放すのに伴い、整備員の手によって
「お、重いです……」
「なんで先に荷物を降ろさなかったのよ……」
その脇で、バックパックの重さに耐えきれずにMGLがダウンしていた。さすがに出力15%の民生品仕様ではあの重量には耐えきれなかったか。
それにしてもどれだけ中身を詰め込んでいたのか、そのバックパックは私とMAGとP90の三人がかりでようやく持ち運べるレベルの重量をしていた。気になって中身を検分してみれば、もう出るわ出るわ数えきれない量のグレネード。
これだけ積めていればああなるのもむべなるかなという感じだが、一方でMGLは平時どんなバケモノじみた膂力を誇っていたのかと不安にもなった。あとでヘリアンに頼んでスペックシートでも送ってもらおうか。
「ま、これでおおむね目的は達成したわね。あとは、各自自由行動ということにしましょうか?」
「自由っつったってどうすりゃいいんだよ。あたしはこの辺りの地理には詳しくねえぞ?」
「ボクもー」
「あちこちを放浪してましたけど、ここは流石に初見ですので……」
「じゃあやめにしましょう」
なんてこった、誰一人として地形すら把握できていないじゃないか。まあ、かくいう私も覚えているかと問われたら黙って首を横に振るしかないのだが。
そんな訳で、四人で噂の喫茶店へ行くことに。
「……鉄血の奴らが経営してるって話だが、マジなのか?」
「まあ、本人たちがそう言ってるんだし嘘ではないんじゃないかしら」
「……煙幕投げていい?」
「いったい何と戦っているの」
「……あっ、ええと……これから毎日?」
「焼かないからね?」
たわいもない話をしながら歩くことしばし。気が付けば、私たちは目的の場所に辿り着いていた。
シックな装飾が施された一棟の建物で、軒先につるされた木の看板には『喫茶鉄血』とだけ書かれている。
……こういうシンプルなのは嫌いじゃない。
意気揚々とドアノブに手をかけたその時だった。
「さて、中はどんな感じの──ぐふぁぁっ!!?」
内側から勢いよくドアが開かれ、必然的に私はドアで全身を強打した。しかもどれだけの力でこじ開ければそうなるのか、恐ろしい勢いで開かれたドアは吹っ飛んだ私へ向けてまさかの追撃。空中でもう一度弾き飛ばされ、今度こそノックアウトされた。
「な……ぜぇぇ……がくっ」
「ぬおおこんな所で死んでたまるかぁ!? 私は逃げるぞ!!」
「逃げんなコラァァ!!」
そうして開かれた扉の中から勢いよく飛び出してきたのは、鉄血工造のハイエンドモデル『
二人の姿はあっという間に遠ざかっていき、残されたのはノックアウトの影響で立ち上がれずにいる私と呆然としている502小隊のみとなった。
……静寂。何とも言えない空気が場を満たす。
それを引き裂いたのは、半開きのドアから姿を覗かせたもう一つの影だった。
「全く、あの二人はどれだけトラブルを起こせば……おや」
『
鉄血工造の超上位ハイエンドモデルが、S09地区のど真ん中で堂々と姿を現していた。
……両手にそれぞれグラスと
えー、という訳でしていろいろ様の作品『喫茶鉄血』とのコラボです! 面白い作品ですので是非とも読んでください(露骨な宣伝) 興味のある方は以下のURLからどうぞ!
https://syosetu.org/novel/178267/
……ところで、初めてやった502小隊の容姿の描写がコラボ回ってそれでいいのか……?