「確保ー! 確保ーっ!!」
「おっしゃ任せろぉ!!」
「うわっなんだお前ら!? おいやめろ流行らせコラ!」
「暴れんなよ、暴れんなよ……」
私が指令を飛ばすや否や、動ける二人があっという間にその不審者を取り押さえた。数分に及ぶ大騒ぎの末に、男は簀巻きにされてあっけなく御用となる。って待て待て、よりにも寄ってベルトリンクで縛りやがったこいつら。暴発したらどうするんだ。ハチの巣だぞ。
そうして確保した矢先、ドタバタの余波で閉まっていたドアが蹴破られる。
「指揮官大丈b……ええ!?」
「もう一匹入り込んだ! 私がとっ捕まえる!」
「リーダー任せた!」
「ハァイジョージィ、マシンガンは良いぞ!」
「なんだお前らなんてモノで縛りやがるコノヤロウふざけんなHA☆NA☆SE!!」
「ちょっ、待っ、なんなのどういう事ちょっとやめっ、ヤメロォー!」
続いて部屋に入り込んだ戦術人形──持っていた銃からして、おそらくアサルトライフルか?──は私が速やかに確保、拘束。
ベルトリンクで縛る訳にもいかないので、応急的に
「……はっ!? なに、何の騒ぎ!?」
余りにも大騒ぎしすぎたせいで、MGLが目を覚ましたようだ。しかしここで新たな問題が。
突然の事態で慌ててしまったのか、立ち上がった拍子に彼女の顔から仮面がポロリ。そうして現れたのは、ケロイド状どころか焼損した部品・内骨格までもが露出した、こういっては悪いがバケモノじみた素顔。
……なるほど、仮面で隠してるのはそういうわけか。外面は修復不能なまでに損傷してるけど、どういう訳か電脳は損傷しなかったと。それで仮面を使っているのか……誰にも見られたくないから。
で、それを真正面から直視してしまった下手人二人はというと……。
「「イ゛ェアアアア!?」」
ダイスロール失敗。二人そろって泡を吹いて気絶してしまった。
その様子を見たMGLは、落とした仮面を拾い上げ、顔にはめ直してからぽつりと一言。
「……別にいいモン、気にしてないモン……ピエロフォビアはこれっきり、良くも悪くもキミ次第……」
……あとでフォローしておこう。ショックを受けながらもピエロを演じられるだけのメンタルは大したものだが、あのままでは普通に塞ぎ込んでしまいそうだ。
それはさておき、縛り上げた二人組を前にして、私達は話し合う。
「……で、これはどう思う?」
「まあどう考えても厄ネタだよな。404小隊とかいうのの目当てはコイツらか」
「それ通る? いやその通り! 彼こそが愛の重いヤンデレに見初められちゃった哀れな青年、その名も▒▒▒▒▒!」
「……ちょい待ち、今なんて?」
「▒▒▒▒▒だけど?」
「聞き取れないのだけれど」
「そりゃあフリー素材とはいえこっちで勝手に設定いじっちゃまずいし」
「何の話よ」
いや本当に何の話だ。よく分からないが、しかしこれ以上先は掘り進めては行けないような気がする。
警笛を鳴らす直感に従い、私はそこで思考をシャットダウンした。
そして、その横で亀甲縛りされている(私がやりました)戦術人形と思しき少女に目を向ける。
「……じゃあ、こっちは? MAG、分かる?」
「マシンガン持ちじゃないから異教徒だって言うことならよく分かるが?」
「OKその口を閉じて黙りなさい。で、P90は」
「まあお察しの通り戦術人形だねー。銃の見た目からして多分アサルトライフル持ちだろうけど、そこの指揮官?と一緒に逃げてきたみたいだ」
なるほど、脱走兵か。
「逃げ出してからどれくらい経ってるかは分かるかしら」
「ちょい待ち……うわっ、もしかしなくても向こう二,三ヶ月くらいは整備してないなこれ。よく壊れなかったな……」
「なるほど」
「で、恐らく逃げてる原因は、まあ……うん……」
「アイツらだろうなぁ」
「奴らだロ? 奴らだネ! 重いよ気持ち気持ちが重い、アレを見ちゃえば誰でも逃げる!」
三人の意見が一致する。
私は直に見たわけではないので断言出来るわけではないが、恐らくドンピシャだろう。イカれている方向性がまるで違う三人(しかも一人はそもそもイカれてすらいない)の意見が一致するなど、そうそうあることでは無い。つまりそういうことなのだろう。
まあ、とりあえずの身元は割れた。それで、気にすべきは次の問題だ。
「じゃあ……誰が404小隊の相手をするか決めましょう」
一瞬で室内が静寂に包まれる。
その言葉を聞いて浮かべた表情は多種多様──MAGは面倒そうに表情を歪め、P90はやって来るであろう面倒事の後始末に顔を顰め、MGLは困惑を隠しきれない笑みを浮かべた。
総じて、一斉に私に言う。
「「「マジで?」」」
「そんなに嫌か」
「そりゃそうだ。なんであんな自制心がNot Foundしてる奴らの相手なんざしなくちゃならねえんだよ、あたしは嫌だぞ」
「キミもたいがい自制心吹っ飛んでるじゃん。まあ相手をしたいかって言われればボクも迷わず『No』と答えるけど」
「……息を潜めてやり過ごすっていう選択肢はないんですかね……?」
「「その手があったか」」
「そりゃ無理ね、申し訳ないけど」
そう言うと、皆が一斉に私の方を向く。その表情は一様に、『なんで言いきれるんだ』と言いたげだった。
そこで私は、オペレーション『免疫反応』で使って以来のスクリーンとプロジェクターを持ち出す。
そうしてスクリーンに映し出されたのは、旧司令部の外部の光景。
特に使う意味もないためほとんど死に状態だった監視システム──それがようやく日の目を見た。
旧司令部の外部には広大な荒野が広がっている。
そして、そのど真ん中を堂々と行進する四つの影。
「うん? ──げっ!!」
その正体にいち早く気付いたP90が顔を歪める。
続いて、MAGとMGLもその正体に気付き、顔色を変えた。
よく見れば、その影は人の姿をしていることが分かる。そして、その手に特徴的な武器を持っている事も。
その銃の銘を、あるいはその
「HK416、UMP9、UMP45、G11……」
──そう、404小隊である。
なんか微妙にシリアス