ドールズディフェンスライン   作:りおんぬ

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サブタイからして酷い。
でも残念、実際その通りなんだ。


ERROR 502 : BAD GATEWAY(もはや不正しかない)

バタバタと、にわかに旧司令部が騒がしくなる。

司令室に入る扉の上には、無駄な達筆で『404小隊緊急対策司令部』と書かれた紙が貼られている。

ちなみに、これを書いたのは意外にもP90。IOPは何を考えて戦術人形にこんな機能を搭載したのか、それは誰にも分からない。

 

「……さて。では、『閣議』を始めましょう。今回の議題は『404小隊をどうやって撃退するか』ね。MGL」

「Yes! ではまず、前提条件を共有しましょう!」

 

MGLがそう言って、手元のリモコンを操作する。

すると、プロジェクターが起動し、スクリーンにあるものが映し出される。

それは、今回の相手──404小隊の隊員のバストアップ写真と、彼女達の仔細なデータだった。

 

UMP45:SMG,小隊長。冷酷無比       

UMP9:SMG,狂犬。お前も家族だ       

HK416:AR,完璧主義者。酒が入るとヤバい  

G11:AR,観測手兼狙撃手。ナルコレプシー疑惑

「だいたいこんな感じ。カオスだヨ、カオスだネ?」

「「「なるほど、わからん」」」

 

どういうことなの。

胸に抱いたその感想は小隊員全員が一致していたようで、私達は同時にその言葉を言い放った。そしてその気持ちは説明している側も一緒らしく、MGLは苦々しい表情を浮かべている。

だが、そこで折れることなく説明を続けられるのが彼女の長所だ。逆に言えばいくら地雷を踏みぬこうとも気にせずに邁進してしまえる短所でもあるけれど。

MGLは思わず纏いかけた道化師としての殻を脱ぎ、

 

「それでまあ、だいたい予想はついていますが目的は向こうで捕縛している男性でしょう。ついでに一緒にいた戦術人形も」

「そう言えばP90、結局アレは誰だったの?」

「んー?」

 

私が問うと、P90は閉じていた目を片方開いてこちらを見た。おい、もしかしなくても寝る気満々だったな?

 

「あー、あの娘ねー。多分だけど、アサルトライフルの『Am RFB』だよ。まだ502小隊(ここ)にいなかった時にチラッと見た……ような、気がする」

「確定ではないのね……」

「なーんだ、やっぱりマシンガンじゃねえのか。つまんねぇ」

「いや、見れば分かるだろ。マシンガンはマガジンじゃなくてベルトリンク式だぞ」

「マガジンの奴もあるんだけどなぁ」

「ザクマシンガンでも撃ってろフリーク」

 

MAGの発言に、P90が苦言を呈する。MAGは良くも悪くもマシンガン以外に興味を持たないし、仕方が無いこと……では別にないな。

もっと外部のことを気にしろ。だからこんな窓際部署(と自分たちのことを思い込んでいる特殊部隊)に入ることになったんだ。

そこで、MGLが話題を本来のものに戻す。

 

「それで、どうやって撃退しましょうか! このままだとあの仮称指揮官をお持ち帰りするついでに私たちまで潰されかねませんが」

 

そこで、真っ先にMAGが手を挙げた。嫌な予感しかしない。

 

「はい、MAGさん」

「あたしがマシンガンでアイツら殲滅しちまえば簡単だぜ!」

「却下よ」

「却下ですね」

「ド却下だ」

「何故だァ!!」

 

泣き崩れるMAG。当たり前だ。

明確な交戦状態にある訳でもないのに、どこの世界に対話抜きで殲滅しようとする輩がいるのか。旧時代の国家であるアメリカとソ連だってそんな事しなかった。核戦争にはなりかけたけど。

ショックでノックアウトした馬鹿は放っておいて、P90が続いて手をあげる。

 

「仕方ない、じゃあボクが行こう」

「何を以て『仕方ない』としたのかはさておいて、どうやるの?」

「まず煙幕をばら撒くでしょ」

「ふむ」

「そして視界不良に乗じて404小隊に接近する」

「ほうほう」

「で、交渉。まあ、指揮官カッコカリは差出してもいいから、コッチに危害を加えないと約束させる」

「うん」

「もし決裂したらその場で殲滅しよう」

「……うん?」

「まずリーダーが向こうの小隊長の頭を吹き飛ばしまーす」

「えっ」

「で、その後私が残った三人のうちランダムで二人を仕留めまーす」

「えっ、えっ」

「で、ラスワンをMGLかMAGがスクラップしちゃえば一丁上がりって寸法さ!」

「「ストーップ!!」」

 

私とMGLが全力で制止する。良かった、彼女はまだ常識的だった。そしてP90がまともだと少しでも信じていた私が馬鹿だった。

 

「よし、じゃあ二人がダメだと分かったところで、貴方に意見を聞くとしましょうか。MGL」

「私ですか!?」

「じゃあさっきの案で行く? 確実に目をつけられるけど」

「……どうにかしましょう」

 

涙目になりながらMGLが言う。

なんか悪い事をしているようで罪悪感が湧いてくるが、しかし私では良案は思い浮かばない。精々が『旧司令部にたどり着く前に全員ヘッドショットする』くらいだ。さっきの二人と大差ない。

しばらく頭を抱えて悶々と思い悩んでいたMGLだったが、何かが思いついたのかハッとした表情で顔を上げた。

 

「……何かいい案が?」

「さっきのP90さんの案を応用しましょう」

「……あれに応用する余地があるとでも……?」

「そーだそーだ、あたしの案が一番手っ取り早いぞー」

「少し黙ってろ火力バカ」

「煙幕チビが何言ってやがんのかねー」

「「……あ゛っ?」」

 

ガタン、と音を立てて、MAGが席を立つ。彼女が親指で扉を指し示すと、P90は頷き、同じく席を立つ。

彼女達二人が司令室を後にしようとした辺りで、私は声をかけた。

 

「はいそこー、ストップ・ザ・お前ら」

「「だったらコイツをどうにかしてくれ!!」」

「無理ね。ほら、ドラム缶に詰められたくなかったらとっとと席につけ

「「了解(copy)!!」」

 

流れるように脅迫をかけ、バカ二人を席に座らせる。

どうやらコイツらは使い物に無さそうもないので、私はMGLの案を採用する事にした。

 

「……で、もう貴方の案を採用するのがほぼ確定になった訳だけれど。どんな案なの?」

「え? あ、はい。ええとですね、大筋は先程のP90さんの案を利用して、もし交渉が決裂した場合は即座に撤退、後日嵐が過ぎ去ってから再度旧司令部に帰還するという感じ、なんですけど……」

「決定」

 

よし、それで行こう。

……が、その前にやる事がある。

 

「じゃあ、行きますか」

「はい? ……え、どちらへ?」

 

そんなの、決まっているだろう。

私は扉を開けながら、MGLの方を向いて言った。

 

「餅は餅屋よ。──この事態の原因に一番詳しそうなのが二人、とっ捕まえてあるでしょう?」




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