ドールズディフェンスライン   作:りおんぬ

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ひゃっはー! 血と油と煙幕と銃弾の飛び交う世紀末劇場の始まりだー!
戦闘描写多くて死にそう!!


Grand Guignol

戦況は混迷を極めている。

 

「ヒィイイイイヤッッッハァアアアアアアアアアアアアア!!!! 逃げる奴は人形だ! 逃げねえ奴は訓練された人形だぁああおあああああ!!!!」

「どうだ、ナイトスコープすら誤魔化す新型煙幕は! これでキミ達も五里霧中さ! ……あれ、これボク達からも見えなくない? そんなー」

「……頭が痛い」

 

……混迷というか、混沌?

隣でポンポンと遠慮なくグレネードを乱射しているMGLが、ヤケクソ気味な笑顔で嗤う。

 

「ウェーンヒッヒウェンヒッヒ! 回る回るよ世界は回る、弾倉までもが大回転! アイツらとことん規格外、爆撃避けるは何者ぞ!?」

「……言いたいことはよく分からないけど、404小隊が頭おかしいって言うのはよーく伝わってきたわ」

 

まあキチガイ(それ)に関しては五十歩百歩なのだが。ああ、本当にこの世は地獄だ。前後左右、ついでに鏡──どこを見てもイカれた奴しかいない。

私はスコープ越しに、P90の作った新型煙幕とやらによって極端に視界不良になった戦場を眺める。どうやらチャフやフレアの発展らしく、煙幕内では非可視光線が乱反射を繰り返しているようだ──オマケに発煙手榴弾が炸裂したと思しき地点には赤外線をまき散らす非可視曳光弾。これはひどい。

……ちなみに、以上の情報は煙幕を俯瞰して観察したもので、合っているかどうかの確証はない。正解は後で本人に聞くしかないだろう。

 

「……各員、戦況はどうなっている?」

 

幸い、反応は全員からすぐさま返ってきた。

 

『こちらMAG。やっぱりアイツらオカシイぞ、何をどうしたらマシンガンの弾幕を避けれんだ! チートか! こうなったらあたし手ずから拘束してマシンガンの素晴らしさを小一時間語っ──』

『はーいちょっと黙ってろマシンガンキチ!! ──えーと、こちらP90! 戦況はあんまり芳しくないね、なんかアイツら煙幕なんてものともしないで突っ込んでくるけど! 第三の目でも開いてんじゃないの!?』

『あっバレたクソっ! テメッ、オラァッ!!』

 

MAGの叫びとともに、遠慮のない発砲音が響く。どうやらまた出くわしたらしい。

突然襲いかかってきた音の大洪水に、私は思わず顔を顰める。すぐ持ち直してナイトスコープ越しに捜査を始めるが、やはり目立った戦果は挙げられない。

 

「お、おい……大丈夫、なんだよな……?」

『畜生面倒くさい──MGL、曳光弾換装! 出来次第煙幕内に発砲、アイツらのアイセンサ潰してやれ!!』

「オーキードーキー!」

 

ガコン、という音とともに彼女が右手に持っているランチャーの弾倉が開く。中から撃ち残しのグレネードが排出され、MGLはすかさずそこに曳光弾を叩き込んだ。

弾倉を格納し、すぐさま発砲。

六つの光の線は真っ直ぐに煙幕へと向かい、その中へすっぽりと収まった。

途端に、()()()()()眩い光を放ち始める。いや、どういうことなんだ。

 

「P90……一体何を考えてるのよ……」

『だから新型だって言ったでしょ。発煙手榴弾「ミラーハウス」、ボクが自信を持って言える自信作さ』

『うわ! なんだ! 眩しいぞ! テメェ404何しやがったぶっ殺す!!』

「二次被害が出てるけど」

『バカは人的被害に含まないからセーフ』

「アウトよ」

「……大丈夫、なんだよな?」

 

飄々と言い切るP90。

彼女と私の会話が聞こえていたのか、背後から指揮官カッコカリが不安そうに声をかけてきた。さすがに不安にもなってくるか。

日はとっくに水平線の彼方へ沈み、旧司令部は暗闇と濃霧の中に浮かび上がる陸の孤島となった。昔はこの地域で濃霧はなかったらしいが、そんなことは知ったことではない。汚染と崩壊を繰り返したこの世界が、私たちの知る全てだ。

故に。

私は端的に、問に対する答えを返す。

 

「ええ、任せなさい。私達は502小隊(Bad Gateway)、通せんぼならお手の物よ」

『あっクソしくった! リーダーそっちに一人行ったぞ!』

「オーケイ」

 

煙幕から飛び出す影が一つ。

ナイトスコープの中心に収め──発砲。

銃口から飛び出したA.T.U.B.(対戦術人形用非殺傷弾)は空を裂き、標的の額へと一直線に突き進んでいく。

そして。

 

「なっ」

 

 

()()()()()()()

 

 

道半ばで弾丸は爆散。

突然の事態に硬直する私の目の前で、さらにお返しとばかりに私目がけて一発の弾丸が飛来してくる。

 

「──くそっ!!」

「リーダー!?」

 

咄嗟の判断で銃ごと身を引くが、その途中で腕を持っていかれそうな程の衝撃を受けた。

そのまま後方へと退避し、ライフルの様子を確認する。

……わざわざ分解して内部を見るまでもない。飛来した一発の弾丸は、見事にナイトスコープに突き刺さっていた。これでは修理も出来ないだろう。

私は通信機越しに全員に指示を出す。

 

「こちら110BA──ナイトスコープがやられたわ。これ以上の支援は無理ね」

『ハッ、リーダーの銃ブチ抜くたぁ中々やるじゃねえか!』

『えっ、それ普通にヤバくない?』

「ヤバイわね」

 

今ので502小隊の戦力は大きく低下した。

MAGもP90も遠慮なく突貫しているが、やはりそれは私とMGLの支援ありき。そのうちの片方が無くなってしまった今、バカ正直に突撃を繰り返すのは得策とは言えないだろう。

数秒の黙考──そして、私は結論を出す。

 

「110BAより502小隊各員に通達。これより外部防衛線を放棄、旧司令部内で決着をつけるわ」

「はいっ?」

『……リーダー、本気?』

『ヘイ。ヘイヘイヘイ、それってYO! まさかだけど──』

 

「ええ」

 

想起するのはかつてやらかしてしまった禁忌の戦法。

502小隊(ここ)に飛ばされる遠因ともなった、最高最悪の戦場構築。

()()をやるわよ」




A.T.U.B.:対戦術人形用非殺傷弾。Anti.Tactical-doll.Un-Killing.Bullet.

アレ:110BAがかつてやらかした究極のゲリラ戦法。これは詳細を省くが結論だけいえば相手は死ぬ。ついでに味方も死にかける。
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