ドールズディフェンスライン   作:りおんぬ

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0-2貧乏ラン&作戦報告書でレベリングがめっちゃ捗ります。


Grand GuignolⅡ

不在防衛線(ドールズディフェンスライン)、その要衝となる旧司令部(ポイント0)

そこは今、二つの小隊がぶつかり合う壮絶な戦場と化していた。

 

「えへ、えへへ、しーきかーん……好きっ、好きっ、好きっ、好きっ、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き好き好き好き好き好き好き好き好好好好好好好好好好好好好好好────!!!!」

「ダメだ完全にトンでやがる! こいつァショック療法は無理そうだぜシキカリィ!」

『ザザッ──略すな略すな! 指揮官カッコカリでいいから!』

 

聞き取ることすら怪しい言葉を叫びながら突撃してくる戦術人形を迎撃しながら、MAGは通信機に怒鳴る。

既に屋外の防衛線は放棄され、屋内での乱戦となっている。

必然的に屋内での取り回しに劣るマシンガンではやや不利なため、彼女はイカれた戦術人形相手での不本意極まりない格闘戦を余儀なくされていた。

相手はベージュのツインテールを揺らしながら、おおよそ通常の戦術人形では考えられない挙動で迫ってくる。

しかしMAGもさるもの、屋内なのに立体機動さながらの動きで襲いくる相手の銃撃の尽くを躱し、いなし、あまつさえ反撃までこなしている。

 

「なってねぇなぁ!! CQCくらい極めろや、このドンガメが!!」

「邪魔ァ──!」

 

再びの交錯。

その瞬間、ズンッ!! と床にヒビが入りそうな程に重い踏み込みと共に、MAGの一撃が放たれる。

平時の下手な鉄砲かず撃ちゃ当たるな姿からは全く想像のつかない、重く鋭い一撃だ。直前で意図に気付いた相手──UMP9は咄嗟の回避を試みるが、

 

「七孔噴血──」

 

その一切合切を無視して、柔らかな腹に右拳が突き刺さる。

そして。

 

「──撒き死ねやァ!!」

 

衝撃が放たれる。

戦術人形の見た目華奢な体が後方へ凄まじい勢いで吹き飛ぶ。

その勢いは凄まじく、その体は吹っ飛んだ先にあった『消耗品倉庫』と書かれた鉄扉に激突。突然の高負荷に耐えきれずに、扉はあっさりと吹き飛んだ。

それでもなお勢いは弱まることなく、扉が破られた部屋の中に積まれていた段ボールの山を盛大にぶちまける。

そこまでして、ようやく動きが停止した。

その様子を見たMAGは右手をぶらぶらと振りながら、

 

「チッ、あのジジィだったら壁までまとめてぶち破れたんだろうがな……っつーかそれ以前に一発で仕留めちまってるか。あーやだやだ」

 

そのまま踵を返して立ち去ろうとするMAG。

しかし、相手は他ならぬ()狂う(餓える)戦術人形(少女)

並の戦術人形なら一撃で大破する一撃でも、リミッター解除状態の相手に通用するかと言われれば──まあお察しの通り、そうでも無いわけで。

 

「……えへ、えへへへへへ」

 

乱雑に崩された段ボールの山の中から微かに聞こえる、気味の悪い笑い声。

それを戦術人形特有の高性能な聴力(センサ)で捉えたMAGは、静かに天を仰いだ。

 

「Holy shit……」

 

直後に、段ボール山が内側から弾け飛ぶ。

MAGが物陰に飛び込んだ直後、遠慮のない弾幕掃射が先程まで立っていた場所を通り過ぎて行った。

見れば、倉庫の中でゆらりと立ち上がる不穏な影。

 

「えへへ、えへ、えへへへ……しーきかーん……絶対逃がさないからね、待っててね……邪魔な奴らを片付ければ、本当の家族に……」

「なれるかボケ。兵器が夢見てんじゃねえぞ」

 

情緒不安定な独り言に対して、MAGが吐き捨てる。

不愉快な返答に眉を顰めるUMP9。

 

「……ねえ、邪魔なんだけど。どいてくれない? 今なら殺さないであげるからさ」

「アホ、ンな要求に誰が従うか。つーかどけっつーんならテメェらだろ、ここは502小隊(うち)の拠点だわ」

 

そう、とUMP9は呟く。

そして、ハイライト不在の双眸でMAGを見据え、手に持ったSMGを構え直した。

 

「だったら、予定通り全員殺せばいいよね! そうすれば、私たちと指揮官はずっと一緒になれる!」

「……おいシキカリ、お前一体何したんだマジで」

『……すまん、正直俺にも分からない。いったい何処で何を間違えた』

「いやあたしが知るかよ」

 

ジト目で即答するMAG。

その通信内容を聞き取ったのか、UMP9は輝くような笑顔を浮かべた。

そして叫ぶ。

 

「指揮官! 指揮官! しーきかーん! 皆来たよ、ほら怖がらないで出てきてよ! 何もしないから!」

『怖がるに決まってんだろ、お前がそう言って何もしてこなかった試しがねーわアホ!』

「えー!」

「……その、ドンマイ」

『お前のその気遣いが何より有難いぜ、MAG』

「これだからマシンガン持ちじゃない戦術人形は駄目なんだ」

『訂正しよう、お前を一瞬でも信じかけた俺が馬鹿だった』

「だろうな。他の奴らからも言われまくってるわ、直す気ねーけど」

『いや直せや!? 多分だけどお前それさえ直せば絶対『指揮官……? どこに居るの……、どこ、どこ、どこドコ何処!!』ヒエッ』

 

怒鳴り声が鼓膜を揺さぶる。

ついでに、404小隊のものと思しき声も微かにだが聞こえてきた。あれは多分HK416か? 110BAが相手にしているはずだが……。

続いて、インカム越しに盛大な爆発音が響いてきた。

それはインカム無しでも聞こえるほどに大きく、建物が揺れると共にパラパラと建材の破片が降り注いできた。

 

「あ゛ー……そうか、今上の方は魔窟になってんのか。うっは、行きたくねえー……」

「行く必要なんてないでしょ? だって、お前ここで死ぬんだし」

「誰が死ぬかボケ。あたしが死ぬ時は全世界にマシンガンを布教し終えた時だ」

 

首を傾げたUMP9に対して、MAGは吐き捨てる。その理論で行くと、向こう数世紀は稼働し続けるつもりのようだが、果たしてそれまで持つのだろうか。コイツの場合平気そうなのが余計にリアリティを誘う。

そして、

 

「ったく、マシンガン撃てねぇのはこの上なく癪だが──リーダーから不殺って命じられてんだ、従うしかねえわな」

 

そう言って、再びファイティングポーズをとり。

片手でくいくいと挑発しながら、不敵に笑って見せる。

 

「邪魔を、するなッ────!!」

「来いよ恋愛狂い(マッドラバー)。そんなに愛が欲しいってんなら、あたしの(マシンガン愛)をくれてやらぁ!!」

 

咆哮と共に襲いくるUMP9、そしてそれを迎え撃つMAG。

ラウンド2が幕を開ける。




次はP90視点ですかね。
(※今回UMP9が扉をぶち破った倉庫と、第何回でMAGが扉を蹴り壊した倉庫は別物です)
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