ドールズディフェンスライン   作:りおんぬ

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低体温症始まりましたね。木星砲滅ぶべし(アイサツ)
今はE2-4でアーキテクトと(ダンス)っています。基本武器がRPGってお前もしかして502小隊に毒されてない? 気のせい?


Grand GuignolⅤ

MAG、P90、MGL──ここまで、三人の戦闘を詳らかにしてきた。──であれば。

残るは、一人しかいないだろう。

 

旧司令部最上層、通称『アンノウン・プレース』。名前の理由は、502小隊の誰にもこの階層の部屋の用途が理解できなかったため。

そしてそこは今、110BAの独壇場となっていた。

 

「あっははははっ!! この程度じゃ足りないわ──もっと、もっとよ!!」

「このっ、▓▓▓▓▓▓(自主規制)……ッ!!」

 

狂ったように哄笑する110BAに、その相手であるHK416が叫ぶ。

それもその筈──今、アンノウン・プレースには蜘蛛の巣もかくやというレベルの密度でトラップが設置されている。MAGが魔境と評したのもむべなるかな、と言ったところだ。

そう言っている合間にも、416は手慣れた手つきでトラップを一つ解除し、その時間で110BAが二つのトラップを仕掛ける。

先ほどからこの繰り返しだ。堂々巡りすら成立していない。

 

「どうすれば……!!」

 

もしもこの場に居るのが彼女たち404小隊だけならば、容赦なくトラップを起爆して旧司令部を瓦礫の山に変えていただろう。

だが、この施設の屋上では愛しい愛しい指揮官が待っているのだ。絶対にそんな手段はとれない。

では、どうすべきか。

悩んでいる間にも、刻一刻と状況は変化していく。

 

「『人罠戦線(ドールトラッパー)』……まさかここまでなんてね……!」

「ま、お褒めに預かり光栄の至り、って所かしらね。今回は時間が足りなかったから少なめだけれど、満足いただけたようで何よりよ」

 

からからと笑いながら、110BAは手榴弾片手に言う。文章では分からないだろうが、お互いにハイライトが仕事を放棄していた。110BAは黒曜石のような瞳を淀ませて、416はトパーズの瞳を昏く染めて。

なんという修羅場。耐性のない者が見たら速やかに失禁すること請け合いだった。

 

「……それで? 愚かしくも502小隊に楯突いたのだし、当然殲滅される覚悟はできているのよね?」

『ザザッ──おい待て殺すなやめろ! 不殺って言ったよな!?』

「ああ、冗談よ冗談。少し言い過ぎたわね」

『そ、そうか……』

 

110BAが耳に着けているインカムから、男性の怒鳴り声が届く。

彼女はそれに対して、こう返事を返した。

 

「電脳は残すわ」

『いやそれ以外も残せや!!』

 

通信切断。

通信機のスイッチを切り、彼女は狂気的な笑みを浮かべてHK416を見据える。

そして、手に持っていた手榴弾を思い切り投げつけた!

 

「チッ!!」

 

416は素早くこれを撃ち落とす。

直後、バシュウッ!! という音と共に世界は白く塗りつぶされた。

その正体は、

 

「発煙手榴弾……!」

『悪いわね。煙幕はあの子だけの特権じゃないのよ?』

 

瞬く間に階層が煙で埋め尽くされ、相手の姿はおろか設置された大量のトラップすら視認できなくなる。

416は銃を構え、その場で辺りを見回し始めた。

そのままナイトスコープを覗き込むと、そこにはすでに110BAの姿はなく。

 

「……クソッ」

 

悪態をつき、416はゆっくりと歩き始める。

隅々に仕掛けられたワイヤートラップを可能な限り避け、時折解体しながら、彼女は周囲を検分し始めた。

……しかし、これだけの量を仕掛けておきながら一回も自爆していないのはどんなテクなのだろうか。文字通り蜘蛛の巣のように張り巡らされているのに、彼女の進路上には解体された罠の一つもありはしない。

 

「どうやって……?」

「知りたい?」

「ッ!!!」

 

背後から聞こえる声。たまらず背後へ向けて発砲するが、手ごたえはない。

どれだけ近ければそうなるのか──彼女の耳には、吐息の当たる感触がしっかりと残っていた。

しばらく呆然と突っ立っていた416だったが、こうしちゃいられないと再び調査を始めた。愛しの指揮官の為にもこんなところで立ち止まってはいられない。

──やがて、目の前に一つの扉が見えてきた。すりガラス越しの風景は暗闇に塗りつぶされ、伺うことができない。

 

「……ここに、指揮官が?」

 

……ノブを回す。特に施錠はされていないようだ。

ゆっくりと扉を開く。そこには──

 

──視界一面に広がる曇り切った夜空。そして先ほどまで自分たちが通っていた荒野。

 

……ついでに、どこにも見当たらない床。

 

……あれ?

 

「──きゃあっ!?」

 

バランスを崩しかけたが、すんでのところで立て直した。

急いで扉を閉め、内側から鍵を閉める。ああ、これ内鍵だったのか、とそこでようやく気付いた。

どうしてこんなふざけた扉があるのかと周囲を検分してみれば、扉の上に小さな看板が。

そこに書いてあったのは──『筋肉式マシンガンペイルアウター』。訳が分からない。

 

「……何なのよ、本当に……」

「実際訳が分からないわよね。それ、ウチの馬鹿が大喜びで増設した扉なのよ」

「!!」

 

振り返る。

すっかり煙が晴れたそこには、大量に仕掛けられたトラップ地帯にぽつりと存在する空白地帯(ブランクスポット)。そして、その中心に置かれたテーブルと二つの椅子。

110BAはその椅子の一つに座り、優雅に紅茶を嗜んでいた。

彼女は416に空いている席を勧め、

 

「まあ、かけなさいな。多分だけれど、情報交換は大事よ?」

「……、」

 

416はわずかな逡巡の末、ゆっくりとそのエリアに近づいていく。

110BAは銃を構えるどころか床に置いていて、戦意の欠片も感じ取ることは出来なかった。

故に、彼女は席に着く。着いてしまう。

その直後。

バツン! という音と共に、辺りが暗闇に包まれる。

同時に、椅子に座った416の体を重厚な拘束具がギチギチに締め上げた。

 

「なっ……これは!!」

「驚いたでしょう?」

 

そう嘯く110BA。416は怒りの表情とともに、彼女のほうに顔を向ける。

彼女は相変わらず悠然とした笑みを浮かべていたが、しかし416的に突っ込みたいところは別にあった。

 

「私謹製のダイナミック拘束椅子『がっちりチェアー』よ。どう、手も足も出ないでしょう?」

「お前も巻かれてんぞ!!」

「ええ、こればっかりは私のうっかりミスね」

 

そこにあったのは、416と同様にがっちり拘束された110BAの姿。

そして、目の前がスポットライトによって明るく照らしあげられる。

……そこにいた、不気味極まりないピエロ人形も。

416は青い顔をして、110BAに問うた。

 

「……ねえ、もしかしてアレも?」

「……ええ、アレもトラップの一環ね」

 

そして。

彼女たちは顔を見合わせ、そして言う。

 

「「──助けてぇええええええええええええええええ!!!!」」

 

──悲しいかな。

──二人そろって、ホラー系に対する耐性は皆無だった。




あ、言い忘れてましたがネゲヴ引きました
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