製造契約50枚ぶち込めー! 代用コアも10個ぶち込めー!
資源は安牌で6/6/2/4だ!
うへへこれで我が司令部にもM590が──
「あんたが新しいボスか……。シカゴタイプライターだ、夜露死苦っ!」
「なーんか向こうはすごいカオスなことになってるなぁ。ま、カオス度合いじゃこっちも似たり寄ったりだけど」
「■■■■■……!!!」
通信機越しに聞こえてくるバカ騒ぎに眉をひそめながら、P90は煙幕に包まれた地下階層を歩いていた。
周りはひどい有様で、壁には無数の弾痕が刻まれていて天井の照明群はもれなくスクラップ。あちこちで破壊されたスピーカーが耳障りなノイズを垂れ流していた。
さらに、時折何処からともなく不穏極まりない唸り声が聞こえてくる。状況からして、恐らく音源は敵対状況にあるG11だろう。
(……この階層はもう駄目だな。場所を変えよう)
そう考えたP90は、地下階層のある一角へ向けて歩みを進めた。
カツン、コツン……とブーツのヒールの床を叩く音が反響する。それに混じり、ぺたりぺたりとおおよそ靴を履いて歩いているならあり得ない足音も聞こえてくる。
彼女は、そののっぺりとした足音が自分へ向けて近付いているのをしっかりと感じ取っていた。
そして。
「■■■■■■■■■■────ッ!!!」
「騒がしいっ、これでも食ってろッ!!」
「■■■■■■!!?」
とびかかってきたG11を受け止め、その口に閃光手榴弾をねじ込み、そのまま明後日の方向に蹴り飛ばす。
バンッ!! という音と共に一瞬だけ辺りが昼間のように明るくなり、続いてG11の悲鳴のような声が響き渡った。
その隙に、P90は目の前にある下り階段の手すりを横から飛び越え、さらに一つ下の階層へと飛び出していく。
「なんだよアイツ、もうただの獣って言われたら信じちゃうぞボクは! しかもよりにもよってこの階層か!」
そこは110BAが作りに作ったトラップや兵器の数々を応急的に保管しておくための階層──通称『トリックルーム』。
相も変わらずおぞましい量の兵器が保管されている。
……というか、なんか増えてる?
「さてはまたなんか作ったなリーダー」
イイ笑顔で武器を量産しまくる110BAの姿が脳裏をよぎる。
とそこで、背後から凄まじい轟音が響いた。
『■■■……■■■■■───ッ!!!!』
「うっわぁ荒れてる。あれだな、キレたときのリオ〇ウスとかその辺みたいな感じだな」
そんな見当違いの感想を抱きつつ、彼女は手早くうずたかく積まれたトラップの山に手を伸ばした。
いくつか目的にそぐいそうなものを見繕い、片っ端から仕掛けていく。
血塗れ(に見えるような塗装の施された)トラバサミ、対戦術人形高性能シビレ罠、落とし穴のタネ、地雷型タル爆弾……どこかで見たようなものから明らかに物理法則を無視しているオーパーツまで、とにかくありとあらゆる物を仕掛けた。
仕上げにこれでもかと追い煙幕をぶちまけ、1m先も見えないような状況を作りあげれば……簡易式ではあるが、ゲリラ戦の環境が出来上がりだ。
あとは、G11が自分から突っ込んで自滅するまでただ座して待てばいい。
「〜♪」
『■■■■──!!!』
方向とともに、階段のあたりで轟音が鳴り響く。
同時に、ドンガラガッシャンと豪快な音を立てて山がいくつか崩れた。
積もりに積もった年代物の埃が大量に巻き上げられ、煙幕と混ざりあって見えなくなる。
P90はケホケホと軽く咳き込みながら、
「あーあー、こりゃ酷い」
と洩らして辺りを見回す。
その時、バチンッ!! という甲高い音とともに、「いったぁーい!?」という悲鳴が聞こえてきた。音からして、どうやらトラバサミに引っかかったらしい。しかしそこは戦術人形、すぐに閉じたトラバサミをこじ開ける音が響き、銃声が連続して炸裂した。どうやらスクラップにされてしまったようだ。
しかし向こうはどうやら罠を避けるという選択肢が頭から抜け落ちているらしく、高圧電流がスパークする音や地面に穴が開く音、挙句の果てにはド派手な爆発音までもが響いてくる。
P90は恐怖した。『アイツ本当にただの戦術人形なのか?』と。
しかし、恐ろしいことにここは愛(方向性は不問)さえあれば大抵の事はなんでも出来る世界線。
並み居る罠を全て引っかかってから脱出・破壊するというプロレスラーも裸足で逃げ出すレベルの所業をかましてなお、G11は健在だった。
「何処……何処にいるの……指揮官……?」
が、フィジカルは健在でもメンタルはどうやらとびきりの危険域にまで達しているらしい。P90の事を指揮官(仮)と誤認でもしているのか、虚ろな表情で地下階層を闊歩していく。
その際にひっくり返ったダンボール箱とすれ違ったが、彼女はそれをスルーした。
……中に、先程まで相手にしていた敵が収まっているとも知らずに。
「(やっべー! マジやっべーー!! 簡易潜入キット『
中では、P90が冷や汗をダラダラ流しながら箱に備わった小さな穴越しに外を見ていた。
当然、G11が地下階層を歩き回っているのは視認している。
これは、まずい。非常にまずい。
「(勘づかれる前にここを脱出しないとな……。地下だと煙幕張れるから便利だけどその分自爆しそうだ! この階層だとなおさらに! とっとと上に上がってここを閉鎖しないと……)」
ダンボール箱が少しだけ持ち上がり、そそくさとその場を後にする。非常にシュールな光景だった。
その時。
カチリ、という音と共に、P90は足裏に固い感触を覚えた。
「……?」
足をのけ、下を向いてみると、そこには──『Warning! ゼッタイ押すな!!』と書かれた、これみよがしな赤いボタンが。
「……、」
P90の思考が停止する。
バンッ!! と地下階層の照明が全て非常時を示す赤色に切り替わり、けたたましい警報音が響き渡った。
『緊急事態発生! 緊急事態発生!!
「……あー……」
P90は天を仰いだ。
そして──
「──逃げろっ!!」
簡易潜入キット『
少し遅れて、事態に気付いたG11も地下階層を離脱して行った。
残されたのは、膨大な量の兵器の山。その時、積み重なった鉄の塊が不気味に蠢き──
『──、』
その中から、一つの赤い光点が姿を覗かせた。
爆発オチなんてサイテー!