ドールズディフェンスライン   作:りおんぬ

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最近はこれと言ったイベントも無く暇ですね。
かく言う私もココ最近はレベリングしかやってません。やっぱり5-2eが1ターンで済ませられるので楽ですね。まあ戦術報告書の関係でバッテリーの減りはむしろ加速してますが。そろそろ宿舎また増設しないと駄目かな。
502小隊の容姿に関してはチマチマとまとめ中です。まあ今月中にはどうにかなるかな?



Grand GuignolⅨ

「おやまあ参ったコイツはまずい、傷が痛みが止まらない! 回せ回せとワタシは言うが、残念これでは止まりもできず! 残った手段は数える程度、よって最後は道連れサ!! という訳でドーン!!」

「くっ……!!」

 

中層、『ディスカッションエリア』。

今では最早その面影すらも見受けられないが、そこでは二人の戦術人形──MGLとUMP45が相変わらず激突を続けていた。

両者共に満身創痍。

UMP45は片腕が欠損し、左足の配線が露出している。肝心の銃本体も廃銃1歩手前な有様だ。

対するMGLは仮面が吹っ飛び、融解焼損した素顔を露出。四肢にまんべんなく少なくない被害を受け、あちこちで内骨格や配線が剥き出し。グレネードランチャー本体に至っては、二つあるうちの一つがとうの昔にスクラップとなっていた。

UMP45はMGLの仕掛けたトリックを看破して以降、より積極的に接近戦を狙うようになった。

しかし、MGLとて素直に倒されるほどポンコツではない──設定を調節して炸裂圏を大きく縮小することで対応してみせた。

 

「あっはははっ! いいぞ、もっとだ!」

「煩い黙れ潰れて死ね──!!」

 

しかしそれは、自分すらも巻き込む諸刃の剣。MGLは狂ったように歌いながらも、頭の中では冷静に戦術を構築していた。

 

(うーん、なりふり構わず突っ込んでこられるのがこんなに面倒だとは。これじゃあグレネードの持ち味もほぼほぼ潰れちゃってますし、どうした事やら……まあサブアームなんて持ってないんですけどね! いつもニコニコあなたの近くに這い寄る榴弾──っと、思考が逸れた)

 

……冷静に、戦術を、構築していた。多分、恐らく、きっと。

そこで、ガチン! という音とともにグレネードの射出が止まる。弾切れだ。

 

「これでっ──終いだぁッ!!」

 

ここぞとばかりにナイフを構え、突貫するUMP45。

しかしMGLは冷静に、グレネードランチャーをまるで野球バットのように構え直した。

そして。

戦術人形特有の膨大な膂力をフル活用し──UMP目掛けてランチャーを振りかぶる!!

相手の目的に気付いたUMPが軌道変更を図るが、時すでに遅し。

 

「──終いはぁ、そっちだッ!!」

 

轟音と共に、UMP45の体が後方へと吹き飛ばされた。同時、度重なる酷使によって限界を迎えたランチャーが今度こそ内部機構を破壊されて廃銃となる。

ガクン、とMGLの体から力が抜ける。自身の分身でもあるグレネードランチャーが二丁とも壊れたことで、システムにエラーが発生したのだ。

 

(──システムチェック、銃火器の喪失により出力が大きく低下。オペレーション『戦術人形(タクティカル)』を強制シャットダウン、続いてシステムを民生品用へとシフト。以降、グレネードランチャー『MGL-140』の獲得まで全機能を85%カット)

 

破損した自身の体を支えることすらままならず、ガックリとその場で膝をつく。

ぎこちない動きでUMP45を見据えるが、彼女は瓦礫に埋もれたまま動き出す様子を見せなかった。よく見れば、その脇には無残な姿と化したサブマシンガンが一丁転がっている。度重なる損傷と実銃の喪失によるパワーダウンで恐らくセーフモードに入ったのだろう。

戦術人形と銃は一心同体だが、だからってこんなシステムを導入しなくても良かったのでは──MGLは思ったが、しかし口に出せるほどの余裕はなかった。

今にも崩れ落ちそうな体を意志の力で無理矢理に律し、おぼつかない動きで再び立ち上がる。

 

「っ、あー……派手に、やられましたね」

 

壁に手をつき、ゆっくりとUMP45の方へと歩いていく。

バツン! という音とともに照明が真っ赤に切り替わったのは、その時だった。

 

緊急事態発生! 緊急事態発生!! 非常事態宣言(コードレッド)の発令を確認!! 10分後に本施設は「自浄」を行います!! 関係者各位は速やかに本施設を離脱してください!!

「……? ……?? ……!?!?!」

 

突然のことに理解が追いつかず、MGLの体と思考がフリーズする。

この時、地下区画では問題の自爆(自浄?)ボタンをうっかり押してしまったP90が壮絶に焦っていたりするのだが、彼女にそれは知る由もなく。

彼女は瓦礫に半ば埋もれて気を失ったUMP45を見る。

……恐らく、時間は全く残されていないだろう。先程のアナウンスを信じる限り、あと10分で旧司令部は何らかの手段でもって『浄化』される──恐らく、旧司令部の中にいる者は一人として生きて帰れないレベルの代物だ。

 

「……、」

 

MGLはこの先の未来を見据え。

そして、覚悟を決めた。

 

■ ■ ■

 

「……ン」

 

目が覚める。

鋭く目を刺す赤い光とそれを覆う無機質なノイズ、そしてけたたましく耳朶を打つサイレンと共に、UMP45は自身が誰かに『担がれている』事を知覚した。

もしや指揮官か──とそう考えた彼女だったが、どうやら真相は異なるらしい。

 

「あ……っと、変に動かないでくれませんか。正直こっちもギリギリなんですよ」

 

背負われた背中から聞こえてくるのは、にっくき相手の声。数少ないグレネードランチャーの戦術人形。確か、MGLと言ったか?

UMP45はわけも分からず、思った通りの言葉を発してしまった。

 

「……どうして助けたの」

 

それに対して、彼女はおぼつかない足取りで歩みを進めながらも、こう言いきった。

 

「死にたかったのならご愁傷さま。生憎、平然と他人を見捨てられるほど私も腐っちゃいないんですよ」

「……そっちがお前の『素』か」

「なにか問題でも……っと」

 

目の前で積み重なった瓦礫の山へ向けて、MGLがグレネードを蹴り込む。それは一際大きな隙間の中に入りこみ、金属音を響かせた。

そして。

 

「──ファイア!」

 

起爆。

爆音と共に瓦礫が吹き飛び、粉塵があたりに撒き散らされる。

粉塵が晴れた先に広がっていたのは──下り階段だった。電気系統はとっくにダウンしているらしく、その全容は暗い闇に包まれていて伺えない。

 

「……こんな事なら下層の方で()れば良かったですね。あと10分でどこまで降りれるか」

「そんな事知らないわよ。そもそもここで戦うことにしたのはそっちでしょう?」

「いやはや耳が痛い」

 

そう言いながら、ゆっくりと階段を降り始める二人。

しかし、降り始めてすぐ、何かにぶつかった。鼻面をほんのり赤く染めて、MGLの体が少し仰け反る。

 

「あいたっ」

「ちょっと、どこ見て歩いて──……?」

 

バランスを取り直し、再び前を見据えたところで──二人は気づいた。

それが、瓦礫ではないという事に。

それが、金属で形作られてある事に。

それが、鉄血人形に酷似した形式不明の自律人形である事に。

 

そして。

それが、こちらを単装視覚センサ(モノアイ)で見据えている事に。

 

『──』

 

不気味な駆動音とともに、『それ』は地面に転がっていた無骨なメイスを手に取る。

その光景を見ながら、MGLは乾いた笑いと共に呟いた。

 

「……ごめんなさい、一階層分も降りれないかもです」

 

──『自浄』開始まで、あと8分。

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