基本的に平日昼は忙しいので、連続三回まで自律作戦は一度にオーダーできるというのは非常にありがたいです。というわけでUX外骨格はよ落ちろ。
そのころ、屋上階では。
『緊急事態発生! 緊急事態発生!!
「ああ? なんじゃこりゃあ!?」
けたたましい声で騒ぎ立てるスピーカーに、MAGが立ち止まって眉を顰める。
好機とばかりにピエロ人形──『スケアリー・クラウン』が手を伸ばすが、間一髪のところで捉え損ねた。
MAGは鋭く舌打ちし、すぐ近くで突貫を繰り返しているUMP9に声をかけた。
「オイコラ雌犬ゥ!」
「殺すぞクソが。で、何さ」
心の底から不愉快そうに顔を歪めるUMP9。それに対してMAGは、こともなげにこう言い切った。
「──あとは任せた!」
UMP9がその言葉の意味を理解するよりも早く。
MAGは指揮官カッコカリとRFBの胴体を引っ掴み、屋上から飛び降りる──!!
唐突に訪れた浮遊感と暴風に、彼らは思わず叫んでいた。
「「ぎゃーっ!!!???」」
「イヤッホォォォオオオオオオオオウッ!!!!」
MAGは心の底から楽しそうに叫びながら、重力に身を任せて降下していく。
それを見たUMP9が追いかけようとするが、逃がしてたまるかとばかりにピエロ人形の攻撃が激化していく。先ほどまではUMP9とMAGの二人が目標だったために攻撃がある程度分散していたのだが、今は標的が一人しかいない──攻撃がそこに集中するのは道理だろう。
──嵌められた。
そのことを理解した彼女は、怒りのままに咆哮していた。
「やっ……りやがったなこの▓▓野郎────!!!!」
そんな叫びを背後に、MAG達は重力加速度によってぐんぐんと加速している。
指揮官とRFBはなおも叫び続けるMAGの体にしがみつき、悲鳴をあげながら全力で抗議していた。
「バーカ、もうほんとバーカ! 俺ら死ぬよ!? ねえこれどうなんの!? いや待て待って地面近い速い怖い死ぬカリーナ助けてくれぇえええええええええッ!!」
「やだ指揮官離さないで怖いやだ死にたくない誰か助けて死ぬんだったらゲームの山に埋もれて死にたいぃいいいいいいいいいいいッ!?」
「ハッハーッ! この程度でビビってんじゃねえぞテメェら、お楽しみはこれからだッ!!」
そう言って、MAGは懐から何かを取り出した。
それは、俗に『フックガン』と呼ばれるものだった。例によって例の如く、連射できるマシンガン仕様──フックガンはその性質上撃ったらワイヤーを巻き戻すまで使えないため、フックの装填された銃身を複数束ねることで連射を可能としている。よってガトリングガン仕様と言ったほうが正しいか?──に魔改造済みである。
いやもう節操なしかお前。一体どこに需要があるんだその珍兵器は。
MAGはそれを構えると、すぐ近くにそびえたつ旧司令部の壁面めがけてフルオートで連射した。
ズガガガガガッ!! という音と共に、三人の加速度がとんでもない勢いで食い潰されていく。しかしその体にかかるGは尋常なものではなく、あまりの荷重に耐えきれなくなったワイヤーがバツンバツンと音を立てて次々と破断していく。
そして、地面に直撃するギリギリ、さらに破断せずに残ったワイヤーが残りわずか一本になったところで──彼女たちの体はようやく停止した。
ぶらぶらとワイヤーに揺られるMAG。その脇で、指揮官とRFBは泡を吹いて目を回している。
「ふぃー、今回はギリギリだったな。やっぱ定員オーバーで無理に使うもんじゃねーわ」
とそこへ、
「逃がすかぁあああああああ──へぶっ!!??」
すぐ横を後追いで飛び降りたと思しきUMP9が通り過ぎ、地面に着弾していた。アレは痛い、間違いない。
あんなふうにはなるまいと思いながらフックガンを手を放し、3mほど下の地面に飛び降りる。
そこでは、P90が雁字搦めに縛り上げられたG11と共に待っていた。彼女はMAGに気が付くと、片手を挙げてみせる。
「よう。そっちはどんな感じだ?」
「見ての通りだよ。待ち伏せして仕留めた」
「そうかよ」
そこへ、入口から416を背負った110BAとUMP45を背負ったズタボロのMGLが姿を現した。
「おっ、無事だったかリーダー」
「随分と早かったわねMAG。私の秘蔵っ子はどうしてくれたのかしら」
「置き去り」
「ええ……」
困惑の声を漏らす110BA。
とそこで、彼女の視線がP90を捉えた。すると、ビクリと下手人の体が震え、さりげなく110BAから距離を取り始める。
110BAは無言でMAGに416を渡すと、底冷えのする笑顔を浮かべて言った。
「さあP90。オシオキの覚悟はできてるわね……?」
「いやぁリーダーこれは不慮の事故であって別にボクにも悪意があったわけじゃないんだよだからねっねっその手に持った道具を手放しておくれよていうかそれは何に使うものなんだよやめてキリキリ鳴らさないで待って落ち着いて話せばわかるからやめてそこはそんな物を入れる物じゃnアッ──!!」
目の前で繰り広げられるスプラッタに、MAGは思わず顔をそむけた。
そして、らしくもなく十字を切りながら、
「……迷える魂よ。まあ、その、なんだ。安らかに眠ってくれ、アーメン」
「雑だしまだ生きてるし不謹慎だからそういうのやめr待ってリーダーこれは違うのホントに話せばわかるからやめてやめて許してそこらめぇええええええええっ!!?」
ドタバタとくんずほぐれつ大騒ぎ。
半ば諦めの境地に達しつつあるMGLとMAG。だが、次の瞬間──
──ドムッ!! とくぐもった爆音が連続して響く。
私はすっかり【自主規制】な状態になってしまったP90を尻目に、旧司令部の方を見る。
見れば、入口から粉塵のようなものが噴き出していた……なんだ?
とそこで、私の頭の中に電流が走る。『自浄』って、まさか!!
「総員退避ィッ!!」
「なんだ今度は何の電波を受信したんだリーダー!?」
「ふざけてる場合じゃない! いいからとっとと逃げなさい──」
「──旧司令部が倒壊するわよッ!!」
その言葉と同時。
旧司令部の各所で小規模な爆発が起き、柱がまとめて吹き飛んだ。
自らを支える手段を喪った巨塔が、ゆっくりと傾ぎ、崩れ落ちていく。
「マジかマジかオイオイオイマジか信じらんねぇ嘘だろぉおおおおおおおッ!!!???」
叫ぶMAG。しかしさすがの対応力で、指揮官カッコカリとRFBを肩に担ぎ、足元で縛られて転がっているG11と地面にめり込んだUMP9の足を引っ掴み、即座に逃げの態勢に入っていた。約二名ほど引きずる形になっているのはご愛敬。
そしてその後ろを、私とMGLがそれぞれHK416とUMP45を担いで撤退していく。私に関しては、もののついででなんかヤバい痙攣の仕方をしているP90を背負っていたりする。
そして、這う這うの体で安全圏にまで離脱した、その直後。
轟音と共に、旧司令部は完全に倒壊──ただの瓦礫の山と化した。
──オペレーション『不在不通』完遂。
自軍成果4、自軍損害3。
総合評価『C』。
やめて! スキル『火力集中』の状態で義体を撃ち抜かれたら、編成拡大してないP90の精神まで燃え尽きちゃう!
お願い、死なないでP90!
あんたが今ここで倒れたら、崩れた旧司令部と404小隊の後始末はどうなっちゃうの?
耐久はまだ残ってる。ここを耐えれば、鉄血工造に勝てるんだから!
次回「P90死す」デュエルスタンバイ!
※以上の次回予告は全てフィクションであり、今後の展開には一切寄与いたしません。ご了承下さい
新しい敵キャラが登場しました。これは502小隊のメンツも増やすべきでは? どうしよう?
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私は一向に構わんッッッ
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これ以上キチガイを増やすな
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構わないけどリクエストさせろ
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いいから本編進めんかいドアホ!