しかし正直実感がわきません。生活とか何も変わんないし……。
ところで戦術人形はM4A1以外夢を見ないっていう公式設定がありましてねそういえば。
……ええいめんどっちぃ、どうせ502小隊のメンツは全員大なり小なりぶっ壊れてるし大丈夫でしょう! うん!
──昔話をしてあげようか。なんてことはない、世界が破滅に向かっていたころの、とある指揮官と戦術人形のお話さ。
あるところに、職業指揮官のお兄さんが一人いた。そして、それに付き従うたくさんの戦術人形。
指揮官は、
最初の方は、戦術人形の皆も我慢していたさ。自分の思い違いだ、きっと気にしすぎなだけだ──そんな風に、己を律して。
けれど、しばらく経つと誰もが指揮官の異常さに気付いた。
なんてことはない──彼は、自分のやる事が全て『正しい』と思う人種だったんだ。英雄症候群? 或いはマイクロマネージメント? とにかく、そんな感じのある種のナルシシズムを患っていそうな感じのね。
そう、『たとえ何があろうと』──彼は、自分の意見を曲げようとはしなかった。それが、レールを破滅一直線のそれへと切り替えてしまう愚行であったとしても。
そして、指揮官の指示に従っていた戦術人形の中に、サブマシンガン持ちが一人いた──それが、ボクだ。
当時のボクは……なんというか、こう、承認欲求が強いというか、そんな感じでね。どんな無理な指示でも、従ってた。アイツはその度にボクが結構壊れた状態で帰ってくるのが気に入らなかったみたいで、いつも不満そうだったけれど。
そして、転機がやってくる。
──激戦区の最前線で、ボクは初めて指揮官の命令に反した。
ボクの目の前には大破した戦術人形。そして、それに止めを刺そうとするハイエンドモデル──イントゥルーダー。
指揮官は、無線越しに前線を放棄して撤退しろと言ってきた。電脳のバックアップは取ってあるから、見捨てても
……その言葉が、ボクにはどうしても気にくわなかった。
ボクは指揮官の命令に反して、完全に油断していたイントゥルーダーの顔面に蹴りをぶち込んだ。もんどりうって倒れるそいつを他所に、ボクは発煙手榴弾を大量にばら撒いて、煙の中で仲間を背負って這う這うの体で帰還した。
そして、待っていたのは指揮官からの猛烈な叱咤。
もううろ覚えだし正直思い出したくもないから詳細は省くけど、まあなんというか、自分の指示に従わなかったから云々みたいな内容だった。
それから何日か経った後、ボクはある場所への単騎潜入を命じられた。
対象は、あの時かち合ったハイエンドモデル、イントゥルーダーが占拠した前線基地だ。
ボクは一も二もなく出撃し、連絡を密にしながら基地へと潜り込んだ。
……今考えれば、イントゥルーダーが電子線を得意としているというのは、きっとアイツは知っていたんだろう。
結果から言えば、作戦は失敗した。
ボクは見事に釣り上げられ、ハイエンドモデルと一対一でぶつかることになったわけだ。当然、比較的練度が高めとはいえ、小隊単位でかち合ってやっと討ち取れるか討ち取れないかの相手を、戦術人形が一体だけで対抗できるわけがない。
ボクは大破しながらも、なんとか基地を離脱した。
無線で指揮官に指示を求めるも、戦闘の余波で壊れたのか、うんともすんとも言わない。
だが、その直後、向こうから一方的に、一言だけこんな通信が送られてきた。
『──俺の指示に従わない人形は要らない。まあ、精々一人ぼっちで頑張るんだな?』
その時、ボクは明確に理解した──ボクは、
そこから先は、よく覚えている。ボクは半狂乱で逃亡し、その先で──リーダーに拾われた。
あんなボロボロで、何より壊れ果てていたボクを、見捨てないでいてくれた。
──ボクを拾い上げてくれたリーダーに、心からの感謝を。
あの時のボクは猜疑心の塊だった。人間も、人形も、何もかもが信じられなかった。一たび相対すれば、どちらかが死ぬまで殺しあうのは明白だった。
そして、その運命を十全に理解していながら、それでもなお──それを良しとしなかった、貴女へと伝えたい。
「……ああ」
──夢を見た。
もうどれくらい前にあったのかも覚えていない──今はもう戻れない、遠い夢だ。
例え人ならざる身だろうと──いや、何よりも人ならざる身だからこそ、過ぎた過去は覆せない。
……ただ、それだけの話さ。
「よっ、と」
寝袋から這い出て、立ち上がる。
どうやら、今は朝みたいだ──夜空の星は姿を隠して、東の方から日が昇っている。
見れば、近くでMAGがマシンガンの整備をしていた。
「起きたかドチビ。んじゃ、出発するかね」
「いい加減その呼び方改めないとマジで撃つよ?」
ジャキリと銃を構える。この野郎何回言っても全然ボクの呼び方直さないし、一回くらいは撃ってもいいよね?
大丈夫、小隊単位の火力が少し下がるだけだよ。
「待て落ち着け。話せばわかるだろ」
「問答無用って言葉知ってる?」
「マジで撃つ気かテメェ!?」
「はっはー、冗談だよ」
銃を下ろす。
MAGはため息をつきながらも、マシンガンの整備に戻った。そんな丁寧にやって意味はあるのかって気はしないでもないけど、まあ本人が満足してるなら別にいいのかな。
まあとにかく、今のうちに出発すべきだろうね。資材は残念なことに現状有限だ、無駄遣いは出来ない。
「うう……みんみー……みんみー……」
「……なんかうなされてるし」
何やら声がすると思って見てみれば、寝袋にくるまったまま、険しい表情でMGLがなにがしかをブツブツ呟いていた。
みんみ……みにみ……MINIMI?
……なるほど、さっぱり分からない。
「マシンガンの話か!?」
「ナチュラルにボクの心を読むな気持ち悪い。MGLがうなされてるみたいなんだ」
「うなされてるだぁ?」
MAGがMGLの口元に耳を寄せ、首を捻る。
そして、整備を終えたばかりのマシンガンをすぐ横で構え、
「……とりあえずマシンガン撃てば解決するんじゃねーの?」
「しねぇわそれはお前だけだ!!」
「ええー」
「ええーじゃない!」
口をとがらせるMAG。見るからに不満そうだがそんな荒っぽい手段で諸問題が解決しそうなのはお前だけだ、諦めろ。
……やっぱり、急いだほうがよさそうだね。
「しょーがない、MGLも載せるか……えーっと、なんだっけ、アレに」
「……強化搬送車『ガトリングス』か?」
「そうそれ。っていうかなんでただのリヤカーにそんなたいそうな名前つけてるんだよ。まさかアレ改造して
「……~♪」
「おい。なんで目をそらして口笛を吹き始めた、おい」
明後日の方向を向いて露骨に誤魔化し始めたMAG。マジでやるつもりなのか。
いつまでたっても口を割ろうとしないので、ボクは諦めてMGLを荷台に積み込んだ。
現状、リヤカー……強化搬送車『ガトリングス』の荷台には、長い道のりのさなかで減った資材の隙間にねじ込む形でテントが立ててある。リーダーも今はそこで休んでいるんだ。
テントを開いて中身を覗き込むと、リーダーの隣に寄り添う黒い影。
「──敵っ!?」
慌てて銃を向けるが、よくよく目を凝らしてみると……。
かわいらしい見た目! ファンシーなカラーリング! そしてそれらに不釣り合いな物々しい重武装!
そうその子の正体は──
「パチ公! パチ公じゃんか! 今までどこにいたー!?」
『ワオン!』
そう、MAGが拾ってきたはいい物の、今までいまいちパッとする出番のなかったパチ公だった。今までどこで何してたんだお前。
「おい、そろそろ出発すっぞー」
「んー? あー、あいよー」
そんなことをしていると、MAGがこちらに言う。
私が返事を返すと、少ししてから、ガラガラと音を立ててリヤカーが動き出した。
──時間は進む。ボクらも進む。
ボクらの待ち望む『目的地』なんて、本当にあるのかな?
忘れたころにやってくるパチ公。
ちなみに『テクニカル』っていうのは、『即席戦闘車両』の名前が示すように市販の車を魔改造した一品。
見た目は多種多様で、軽トラの荷台に銃座をのっけた簡素なものから、装甲を限界まで強化したアンタそれ何処のアームズフォートだよと言いたくなるようなものまでそろってる。
リクエストは来る気配がないのでもうあきらめたほうがいいのかとそろそろ思い始めた。
とりあえず、本社に着くまでに502小隊はあちこち通りすがりの司令部に立ち寄ることがあるかもしれません。
「ウチならこのキチガイどもを招き入れても平気だぜ!」という方や「本社の南に司令部司令部があっても展開的にも地理的にもノープロブレムだぜ!」という猛者の方々はよろしければ↓の場所でどうぞ。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=213105&uid=207295
新しい敵キャラが登場しました。これは502小隊のメンツも増やすべきでは? どうしよう?
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私は一向に構わんッッッ
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これ以上キチガイを増やすな
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構わないけどリクエストさせろ
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いいから本編進めんかいドアホ!