ドールズディフェンスライン   作:りおんぬ

48 / 84
……夢を、見ている。
アレはいつだったか、
そう、アレは確か──



110BA's Recollection

……暗闇の中で、誰かが祈っている。

あれは、聖女だろうか? 何に祈っているのかは、暗くて伺えない──『祭壇のようなものへ向けて祈っている』ということしか分からない。

……ただ。

『彼女』が一心不乱に祈っているのだけは、何よりも明確に伝わってきた。

 

Amen(来たれ), Amen(来たれ), Gospel Amen(福音よ来たれ)

Amen(祈れ), Amen(祈れ), Gospel Amen(福音を祈れ)

Amen(望め), Amen(望め), Gospel Amen(福音を望め)

Amen(願え), Amen(願え), Gospel Amen(福音を願え)

 

彼女は一心不乱に祈り、何かを謳っていた。そこへ、私は歩みを進める。

その時、私はようやく気付いた。

……『私』は誰だろう? 名前も、姿も、自分のことを何一つとして覚えていない。『私』は、一体何者だ?

分からない。分からない。分からない。

──ほどなくして、『私』は思考を放棄した。この調子では、どれだけ熟考したとしても、『私』は私を思い出すことはないのだろう。であれば、目の前の『彼女』を調べるほうが、よほど理に適っている。

 

So, I'm scary, scary, scary(そう、私は恐怖した。恐怖……そう、恐怖)

So, I'm scary, scary, scary(そうね、私は畏怖した。紛れもなき畏怖)

 

彼女は歌う。彼女は唄う。彼女は詠う。

それは恐怖であり、それは絶望であり、それは空虚だった──それは、あまりにも痛ましい鎮魂歌だった。

その歌を聞いたとき、『私』は何かを思い出す。

……気付けば、『私』が立っているのは暗闇ではなく、曇り空に覆われた大地だった。記憶にない、けれどどこか懐かしい景色。

そして、どうやら地面に倒れているらしい私に手を差し伸べる、一人の青年。記憶にない、けれどもやはりどこか懐かしい、その姿。

彼は私を引っ張り上げ、快活そうな笑顔でこう呼びかけてきた。

 

Wake up! to keep the speed of sound(起きろ! 一心不乱に進んで行こうぜ)

Crack the code that written by myself(ああ、随分なお寝坊さんだったな?)

Dirt and dust damage your part(お前も俺も、どうやら邪魔者らしい)

Time is too short to count aloud(残された時間は短い、そうだろ?)

 

Wake up! Like a sleepless owl(目覚めの時間だ、眠るだなんて許されねえぜ)

Control your mind to alive Here is(お前の望みが終焉なら、俺の手を取るんだな)

an invisible cave Wake up and run(望む終着点まで、決して眠らず駆け抜けろ)

if you want an end of the dark(そうすりゃお前は“力”を手に入れる)

 

……『私』は彼の手を取った。そして、彼と共に駆け抜けた。何処にあるかも分からない。『私』の望む答えを目指して。

そして気付けば、『私』は私になっていた。無数の屍を積み重ねて山の上に立って、私は私を確立した。

 

Wake up! to keep the speed of sound(「起きろ。仕事の用意が待っているぞ」)

Crack the code that written by myself(「お前を形にするのは実に楽な仕事だった」)

Dirt and dust damage your part(「そうだ、お前には役割を与えておこう」)

Time is too short to count aloud(「次に起きた時こそが、お前の死に時だ」)

 

Wake up! Like a sleepless owl(「目覚メロ。以降、眠ルコトハ許サレナイ」)

Control your mind to alive Here is(「貴様ノ意志ハ継戦以外不要デアル」)

an invisible cave Wake up and run(……私は一心不乱に走り抜けた)

if you want an end of the dark(この終わりなき暗闇の終着点を目指して)

 

そして、雨降る荒野で、私はふと気が付いた。気が付いて、しまった。

私の背後にそびえ立つのは、今まで積み重ねてきた屍の山。彼らの放つ虚ろな視線に貫かれながら、私はふと、こう思ってしまったのだ。

“──私の今までの旅路に、意味はあったのか?”

……気付いたときには、もう遅かった。私はあまりにも殺し過ぎた。私はあまりにも進み過ぎた。

……私は、ひたすら前へと歩むことしかできなくなっていた。

 

 

Minute of the end, and dose it still hurt(ああ、私の目指す終着はいったい何処に)

In a rainy day, Let's fight for counter(降りしきる雨の中、未だ願いは果たされない)

On the silent way, when do you get calling?(諦めかけた私の脳裏で、ナニカが呼びかけた)

Look into the void, it's scary(『恐怖』が笑顔と共に手招きしていた)

 

 

……そして。

暗闇の果てを目指した先で、私は仲間に出会った。私と同じ、辿るべき光を見失った者たち。

FN MAG。P90。MGL-140。

こんな私に愛想を尽かさず今までついて着てくれた。こんな私を見切ることなく今まで一緒にいてくれた。

それだけで、私にとっては望外の喜びだ──今となっては、その礼も言えないけれども。

欲を言うならば──死ぬ前に、彼女たちに伝えておきたかった。

意識が薄れていく。大地に立っていた私の肉体(精神)が、深淵へと沈み込んでいく。

次に目覚めるのは、いつになるのだろうか。また仲間と一緒に生き抜けるようになるのは、いつになるのだろうか。

それだけを思って──私の思考は、再び闇に包まれた。

その時に耳に届いた歌声。あの聖女のものだ。

最初に聞いたときには分からなかったが、今となってははっきりわかる。

そうだ、他ならぬ彼女こそが──

 

 

Oh, I'm scary(ああ、私は恐れている). So, I'm scary.(そうだ、私は恐れているんだ)

All that I see(全てを忘れてしまう事こそが), Now, I'm scary.(私は恐ろしくてたまらない)

 

All is fantasy(全ては幻想へと還り着く)

Oh, I'm scary(ああ、最高に恐ろしい)

All is fantasy(全てが泡沫のように消えていく)

Now, I'm scary(今こそ、恐怖を抱くべきだろうか)

オリ人形のスペックシートとか需要あります? ……欲しい?

  • 構わん。行け
  • (需要は)ないです
  • いいから本編だ!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。