ドールズディフェンスライン   作:りおんぬ

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Everybody sing, Hey-o!!(歌いましょう、さああなたも手を叩いて!!)
Tell 'em turn it up, 'till they can't no more.(この熱狂を遥か天高くまで届けましょう)
Let's get this thing shakin' like a disco ball.(皆も虚実入り乱れるこのセカイで踊るんです)
This is your last warning, a courtesy call.(これが最後通告です、覚悟はいいですね?)



Travel & Trouble 3

さて、噂のパチ公は今どこで何をしているかというと。

 

『ウフフフフフ……』

『ガルルルルル……』

 

黒騎士とかち合うMAGから少し離れた場所で、今回の騒動の元凶であるハイエンドモデル『人形師(マリオネッター)』と真っ向からにらみ合っていた。

パチ公はマリオネッターを見据え、背部に搭載された火器管制ユニットを起動させて完全に戦闘態勢だ。それに対してマリオネッターは、丸腰同然の状態で悠然と微笑んでいる。

そして、彼女の肩に乗ったピエロ人形がおもむろに言葉を発する。

 

『Dinergate、ソレモ諸事情デ製造計画ガ凍結サレタ幻ノ「1.5世代」……! 欲シイ!!』

『グルルルル(特別意訳:何言ってんだこいつ)』

 

頬に両手を当てて体をくねらせるマリオネッターと、その様子を冷めた目(冷めたアイカメラ?)で眺めるパチ公。何とも言い難い光景だった。

ともあれ、こうして眺めて分かったことがいくつかある。

どうやらこのハイエンドモデル、人工声帯を損傷しているのか喋ることが出来ないようだ。少なくとも口頭のコミュニケーション機能に関しては肩に乗った人形に依存しているらしい。何故直そうとしないのかは不明。

また、どうやら自分で戦う気はないらしい。先ほどから人形を送り出すばかりで、武器を持って立ち上がろうとする気配がない。

代わりに、明らかに触れたらヤバそうなスパークを発する浮遊ユニットが現れる。その切っ先は、やはりというかなんと言うか全てがパチ公へと向けられていた。

 

『ウフ、ウフフフフフ……♪ 痛クシナイヨ、チョットビリット来ルダケダカラ……』

『ウォン!(特別意訳:それをやべーっつーんだよドアホ!)』

 

そのやり取りと共に、一人と一匹が激突する。

片や、スケアクロウよろしく大量の浮遊ユニットを侍らせるハイエンドモデル。片や、比較的高性能とはいえ常識的なレベルの銃火器しか搭載していない量産型。

すぐに結果は出るだろうと思われたが──しかし、そんなことはなかった。

パチ公は卓越した身のこなし──あんな必要最低限のパーツしかない箱型フォルムでどう身をこなすんだという質問はご法度──で、迫りくる浮遊ユニット──通称『パラライザー』の猛攻を全て躱して見せたのだ。そして、去り際にしれっとマリオネッターの顔面を踏んでから彼女の背後に着地する。

 

『アイタッ!?』

『ワフッ(特別意訳:ヴァカめ!)』

 

顔を抑えて涙目になるマリオネッター。それに対して、パチ公は何処か得意げに一言鳴いて見せた。

マリオネッターはすぐさまパラライザーを差し向けるが、機銃掃射であえなく大半が撃ち落とされた。

 

『グギギギギギ……!』

 

悔しそうに指をかむピエロ人形。マリオネッター本体も表立ったアクションは見せないが、先ほど比べて明らかに目が細くなってるし眉間にしわが寄ってるし、なにより殺気立っている。

ビッ、と彼女がおもむろに片腕を水平に伸ばした。

その直後、

 

『!?』

 

バゴムッッッ!!! という轟音と共にマリオネッターの背後の地面が割れ、そこから八本の蛇の頭が姿を現す。

マリオネッターは半ギレでパチ公を指さし、こう叫んだ。

 

『──死ナナイ程度ニ殺シナサイッ!!』

【ギャオォォォォォォン!!】

『キャイン!?(特別意訳:いやウッソだろお前!?)』

 

パチ公が悲鳴を上げる。

そして、そこへ8本の蛇の頭の主──自律人形『八岐大蛇(エイト・ヘイト・サーペント)』が殺到した。

 

■ ■ ■

 

【AAAAAAaaaaa──UuuuUUUUAAAaaaAAAAAAAARRRRR!!!!! ARRRRRRRRRTHURRRRRRRRRR!!!】

 

絶叫、咆哮。

放たれた20mm弾が、這う這うの体で逃げるあたしを容赦なく追尾する。

畜生どうなってんだええ!? 戦術人形でも扱いきれないレベルの反動してんだぞ!? それを腰だめ撃ちとかどんだけふざけた膂力してんだ!?

 

「くっそリーチが馬鹿げてんだろどう考えても!」

 

前へ後ろへ左へ右へ、縦横無尽天衣無縫に逃げ回る。その甲斐あって今は捉えられてねぇが、これじゃ立ち止まった瞬間ハチの巣にされちまう!

っつーかバルカンって2秒くらいしか連続で撃てねぇんじゃねぇのか!? かれこれ30秒くらい撃ち続けてるわけだが!

 

【──GaGH!!】

 

とそこで、ようやくガトリングの連射が止まった……というか、長時間連射に耐えかねて銃身がぶっ壊れた。

いやまあ、そりゃそうなるか。明らかに過熱して赤くなってたもんな。むしろ何故あの鎧野郎は気付かなかったんだ。

 

【Aa!?】

「──っしゃようやくこっちにも運が回ってきたか!」

 

あたしは地面をガリガリと削り、砂煙を立てながら急停止。

そして、さっきはよくもやってくれたなこの野郎とばかりにマシンガンを構え──

 

「──くたばりやがれぇええッ!!!」

 

返礼品のマシンガンだ受け取りやがれ!!

20mm弾に比べちゃ7.62mm弾は随分と貧相だが、あんな骨董品の鎧程度だったら問題なくぶち抜ける!

黒騎士はガトリングの自壊に驚いて対応が間に合わず、体の右半分が穴だらけになった。

よし、()った……っておい! 殺しちゃまずい! 中身が鎧で外敵強化されただけの人間だったらどうする!?

──しかし、あたしの心配は杞憂だった。

というのも、崩れた鎧の中から、ごっそりと機械部品が零れ落ちてきたのだ。……まあ、もしかしなくても人形だったな。

……考えて見りゃ、いくら鎧やらなんやらで外的に強化してたとしても、あのバルカンの反動は人体じゃ耐え切れねぇか。

 

【Gaaaa……Arrrr……】

 

バランスを崩し、崩れ落ちる黒騎士。

──チャンスッ!!

あたしはスタートダッシュを決め、一気に加速。そして、黒騎士めがけて一直線に駆けだした。

 

「これでぇッ──」

 

跳躍。

あたしの体はマシンガン用戦術人形とは思えないほどのパフォーマンスを発揮し、天高く舞い上がる。

そして空中でマシンガンを構え、繰り出すはあたしの誇る必殺の一撃──

 

「──くたばりやがれ、マシンガンキックゥッ!!」

 

──飛び蹴りィッ!!!

 

【GuuUUAAAAAAAAAAAAA!!???】

 

あたしの放った跳び蹴りは黒騎士の胸板を見事にぶち抜いた。

断末魔の叫びと共に黒騎士が倒れ込み、その目──いや、アイカメラか? とにかく兜のスリットに併設されたバイザー部分──から光が消える。 よし、仕留めた!

 

「ったく、手間かけさせやがって……こりゃあたしも本社に着いたらオーバーホールか? 随分と関節周り酷使しちまったからな……この短時間でどんだけ劣化したんだ、あたしのカラダ」

 

両手を開閉し、腕をぐるぐると回す……少なくとも実感できるレベルまで壊れてはねぇか。『今のところは』って前置きが付くけどな。

とそこで、煙幕に包まれたリヤカーの方で動きがあった。

くぐもった音と共に、煙幕の範囲が爆発的に広がったんだ。煙幕は恐ろしい勢いで拡散していき、そこそこ離れた場所にいたはずのあたしまでもが煙幕に飲み込まれた。

たまらずあたしは無線を起動して怒鳴りつける──おいコラテメェ、今度は何やりやがった!!

それに対して、通信先のアホ娘──P90は、こう返してきた。

 

『……ごめん、煙幕誤爆した。MGLの持ってた40mm発煙弾も含めて、全部』

 

衝撃の自白に、あたしの思考が停止する。

あたしは地面が崩れ落ちる錯覚を覚えながら、思わず全力で叫んでいた。

 

「──馬ッッッ……鹿野郎ぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!????」




編成拡大と装備強化頑張らないとなぁ
ちなみにニューカマーキチガイはショットガンになる予定です。
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