IWS2000が実装するというので今から期待でいっぱい。だって性能はともかくあの子すっごいかわいいんだもん。あとMk48も。
さて、もうそろそろ境界旅程も終わるし、リク短編とスペシの準備しなきゃなぁ……
「……ん……」
目が覚める。
……今はいつでしょうか? システムがダウンすると体内時計も何も無くなっちゃうのが困りものですね。
ゆっくりと体を起こして──あれ、ここ何処ですか? ……テント?
「……むー?」
ゆっくりと体を起こして、私は体を起こしました。
私の横では、リーダーが銃を抱えて昏睡しています。ところで銃口の向いている方向に張られた布に穴空いてるんですけど……暴発でもしました?
「むにゅう……」
眠い目を擦りながら、私はのっそりとした動きでドア……もといファスナーの元へ。
接続されたクリップを掴んでじーっと下ろしていくと……
「……むっ?」
鉄血工造の自律人形、Dragoonと目が合いました。
──硬直。
私の体がその場でビシッと停止し、思考も凍りつきました。
しかし、私のOSは律儀に脅威度判定だけはしっかりしてくれてまして……。
「なんだ、もう目覚めて──ごふっ!!?」
「み゛ゃあぁああああああああああっ!!!???」
私は対応に窮し、咄嗟に額へ向けて頭突きをかましました。今の一撃で私の躯体にもかなりの負荷がかかりましたが、そんなこと気にしている余裕はありません。
鉄血人形がここに居るということは、事情はどうあれMAGとP90さんはやられたと見ていいでしょう──となると、現状動けるのは私だけのはず。
私はどうなってもいいですから、せめてリーダーだけは──!?
「痛たた……待て! 逃げるな! 止まれ! 話を、話を聞いてくれ!」
Dragoonが額を赤くして涙目になりながら、私の足を掴んできました。
まずは、こいつからどうにかしないと……!
「誰が鉄血工造の言うことなんか信じる物ですか!! 離せっ、離して!!」
「知っている! 知っているから!! かく言う私も鉄血のガラクタ共は忌々しく思っているのだ! 憎んでいる、全てを──じゃなかった、話を! 頼むから話だけでも!?」
「はーなーせーっ!!」
そのままテント前で格闘することしばし。
唐突に、私の後頭部に衝撃が走りました。
「~~~~~~~!!!???」
たまらず頭を押さえながら振り向くと、そこには呆れ顔でこちらを見るMAGの姿が……あれ?
よく見ると、その後ろにP90さんもいます……あれれ?
そして、涙目でDragoonはこう言いました。
「ハァ、ハァ、だからっ、ハァ、私は鉄血ではないと、ゼェ、言っているだろう! ……何? 『俺達も鉄血じゃない』? 非実体は黙っとれ!! 話くらい、ハァ、聞けばよかろうが!!」
……ええー?
『ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……!!』
マリオネッターは現在進行形で逃亡していた。
『
というのも、マリオネッター自身は前提として戦闘行動など想定されていないのだ。いくらハイエンドモデルとはいえ、設計段階でのコンセプトからして『自律式の移動工廠』である彼女が出来る戦闘行為などたかが知れている。
ちなみに事前検証によって、『静止した目標』を相手に『ハンドガン』を『両手』で構えて命中率がようやく『半々』とかいうド級のもやしっ子具合が判明していた。自己防衛機能くらいは搭載しようと思わなかったのか鉄血工造の連中は。
『キヒッ、キヒヒッ、ヒッ、ヒッ、ヒイッ! ナンデッ、僕様ガ、コンナ目ニ!!』
分かりやすく自爆である。自身が弱いことは周知の事実なのだから、前線に出しゃばったりせずに大人しく後方で指示を飛ばしていればよかったのだ。
まあ、結果としては自身の功名心に足をすくわれたような形だ。
──そして。
今の今まで彼女を仕留める機会をうかがっていた
『……エッ?』
次の瞬間には、マリオネッターの両足……膝から下が、きれいさっぱり消え失せていた。
当然その状態では満足な歩行など出来るわけもなく、その場に倒れ込む。
突然の事に理解が追い付かず、彼女は顔をあげて周りの状況を確認しようとするが──
『ナ、何ガ──』
──それが、最期の言葉となった。
何が起こった、呆然とそう零す間もなく、飛来した12.7mm弾がマリオネッターの頭部を丸ごと粉々に粉砕する。
その射線の先には──緑色の麗人が立っていた。
「……
『……聞こえてるけど?』
「どうした、カフェインの過剰摂取でついに幻聴の症状まで出たか?」
『1から10まで口に出てたんだよなぁ? ねえちょっと、一体私に何する気なの?』
「そりゃお前……ネタはもう上がってるし、なぁ?」
『何!? 本当に何!? 一体全体私の何を握ったと言うんだい!? 怖いんだけど!!』
「ま、オレが戻ってからのお楽しみだな……けっけっけっ」
それだけ言って、彼女……『翠玉の傭兵』はその場を後にする。
……その様子を遥か天高くから眺めていた、偵察用ドローンに気付くことなく。
「はあー……なるほどなるほど。ヘリアントスの指示なんですか」
「ああ。ついでに、何か不都合が起きているようであれば私も隊に加われ、とな」
Dragoon──もといXTR-12さん曰く、そういうことだそうです。まあ、連絡もなしに急に拠点にしてる場所が崩落したとかなったら焦りますよね。ええ、かくいう私もあの時はとてつもなく驚きましたよ。考えてみれば、リーダーの電脳もアレのショックでクラッシュしたようなものですし。電脳に関しては本社か一定以上の規模の専門施設じゃないとメンテナンスできませんからね……あれのせいで一気にラインを超えちゃったんでしょう。
そこで、P90さんが手をあげて、
「しつもーん。ここって本社からだいたいどのあたり?」
「むん? ああ、大体10㎞位だな。目の前の山岳地帯を抜ければすぐだ」
「あ、もうそんなところまで来てたんだ。やったね」
それを聞いて、P90さんは満足げに頷きました。
しかし、MAGは険しい顔で、
「……なあ。一つ良いか」
XTR-12はその問いかけに首を傾げ、「なんぞや」と聞き返しました。
MAGは懐から無線機を取り出し、スイッチを入れて周波数を弄ります。すると……
『……あ、これもしかしてマイク入ってる?』
『しっかり入っとるわ目ェ節穴かオラッ』
『なんだァ? てめェ……』
『◆独歩、キレた!』
『いややっとる場合か!?』
そんな声が聞こえてきました。……どこかの民間放送でしょうか?
「……この声よぉ……さっき話してる時にざっと逆探かけてみたんだが……」
「みたんだが……?」
私は首を傾げました。
この一見してどこにでもあるようなラジオ放送に、一体何の秘密があるんでしょうか?
そして、MAGは言いました。その放送の、決定的な違和感を。
「──
その言葉に。
XTR-12さんは笑みを浮かべ、周りに視線をよこします。それはまるで、
すると──
『あー、バレてたか―』
『まあいいんじゃねぇの? どうせ隠してたっていつかバレてたろうし、いっその事今公表しちゃうってのはアリだろ』
『クヒッ、ヒヒヒハハハハハッ!!』
『なかなかやるじゃない? ちょーっと時間かかっちゃったけどさーあ?』
『君ひょっとして■■■■■じゃない?』『憎悪、憎悪憎悪憎悪憎悪憎悪!! 憎悪以外感じられぬ!!』『いいじゃないか、“正義の味方”。──なんでか、妙に泣きたくなる』『感情を捨てろ、効率が落ちる』『お前はなぜ生きようとしているんだ?』『必然たりえない偶然はない』『であれば、これもまた必然だと?』『皆さんが悪から自由であることを心から望みます』『クハッ、クハハハハ!! 他ならぬそれを我らへ望むか!!』『我々は救いようもなく悪である』『罪も罰も、私たちは背負い過ぎたのだろうか』『“十二の十字”? 不足、不適、不全、欠乏、欠落、欠如!!』『為さなければならない“使命”がある』『自分を愛するように隣人を愛せよ』『問:では、その隣人が一人残らず死滅していた場合は?』『そういった意味では、貴方も立派な“迷える子羊”です』『ここに救いはないというの?』『救いなんてないさ、ある訳がない!!』『世界に救いがあるのならば、なにゆえ我らは“こう”なった?』『いいえ、探せば絶対あるはずよ!! だって──』『断じて否だ!! 探そうとも隙などあるはずがない、だからこそ──』
無線越しに、たくさんの声が、叫びが──なによりも、慟哭が聞こえてきました。
その声を聞きながら、XTR-15さんは──いや。
“