ドールズディフェンスライン   作:りおんぬ

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MDR!(素振り)
MDR!(素振り)
MDR!(OTs-12)
MDR!(9A-91)
MDR!(As Val)
MDR!(Gr G3)
MDR!(弾薬枯渇)
MDR!(97式)
MDR!(IDWだにゃあああ)


Pass by Jade

「……さて、彼奴らの調子はどんな塩梅なのやら」

 

そんなことを言いながら、XTRは16Labの建屋内をコソコソと動き回っていた。

戦術人形は大抵がIOP社によって製造されているというのが大前提だが、彼女……もとい、彼女()()に限っていえばその前提は当てはまらない。

というのも、彼女の義体は見れば分かるとおり鉄血工造の自律人形『ドラグーン』がベース。そして、その精神は幾つもの人格がない混ぜになった闇鍋状態。ハードウェアもソフトウェアも全てにおいて劣悪、本来ならば動作などするはずもない欠陥品。

それが、どうして平然と行動できているのか。

──『先鋭計画』。

G&Kの上層部に座する重役、その1人が独断で立案し実行した計画だ。

彼は、鉄血工造のあるハイエンドモデルに強い興味を持った。彼女は、数多の自律人形を集め、互いに互いを殺し合わせることによって生まれたという経歴の持ち主だった。

それを知って、彼はこう思ったのだ。

──アレを真似してしまえば、私の元にも最強の手駒が手に入るのでは?

そうして、極秘裏のうちに『先鋭計画』は始まった。

鉄血工造、IOP、民生品を問わず大小無数の自律人形がかき集められ、各々好きに武器を取って血で血を洗う殺し合いだ。銃を、剣を、挙句には殺した相手の体を。使えるものは何でも使った。

そして、その果てに残ったのは一人の勝者。

彼女は多くの物と引き換えに、力と『XTR-12』という名前(記号)を手に入れた。そこに、IOPの意思は一切含まれていない。

……そして、それがIOP社きっての天才であるペルシカリアの目についた。ついてしまった。

ドラグーンの義体に無茶な改造と機能付与を施しただけのハードウェアと、単一のコアに数多の人格を詰め込まれた状態で無理やり動作させているソフトウェア──どれもこれもが彼女の考えの埒外にある存在。

さて、そんなものを目の当たりにしたらどうするか。

──必然、自分の知らないものに興味を持つだろう。

そんな訳で、XTRは見つかったが最後研究室にドナドナされてあんな事やそんな事をされかねないため、こそこそと動き回ることを余儀なくされていた。

しかし、運の悪いことに──彼女たちは、真っ向から邂逅してしまう。

 

「ん?」

「あ?」

「──げっ」

 

──そして、現在。

G&K社の建屋から少し離れた場所に位置する研究所、16Labにて。

 

「解析! 解析させて!? 先っちょだけ、先っちょだけで良いからさあ!!」

「離せっ、離さんかこのMAD! それを私が許すと思うか!?」

「あっ、あっはっはっはっwwwやべえウケるwwwwくそっwwwハハハッ、アーッハッハッハッwww!!」

『草』

『草』

『草ァ!!』

 

そこで、鉄血工造の自律人形にそっくりな少女と白衣を纏った不健康そうな猫耳女が取っ組み合いを繰り広げていた。その傍では、ライダースーツとチューブトップを組み合わせた過激すぎる服装の麗人が腹を抱えて大爆笑している。

 

「離せと言っている! こっちは今それどころじゃな──やめろ何処を触ってる服の中に手を差し込むな!!!」

「別に良いじゃん解析させて解析ー!」

「させぬわ! させたが最後あれこれ弄り回す気だろ!? そうだろ!?」

「………………………………………………………そんなことないよ?」

「今の間はなんだ!?」

「まあまあ二人とも落ち着け。ほら、ここはオレの顔に免じてな?」

「ここぞとばかりにしたり顔で出てくるな! というか誰だ!?」

『誰だお前は!』

「地獄からの使者、スパイダー──じゃねえわ。ま、一応自己紹介だけしとくか」

 

そう言って、麗人はニヒルに笑っていった。

 

「オレはゲパードGM6『リンクス』だ。今はフリーで傭兵やってる。ま、コンゴトモヨロシク?」

「……そうか。私はUTAS XTR-12。こんな姿見だがこれでもG&Kの所属だ」

「ああ、聞いたことあるぜ? なんでも、鹵獲されたわけでもなく人類に与する鉄血がいるってな。へえ、こうしてみてみると結構イイ女じゃねえか」

「貴様もそっち系か!?」

 

なおも縋り付く猫耳女──ペルシカの頭頂部に拳を振り下ろして鎮圧しながら、XTRが距離を取る。リンクスはそれを見てカラカラと笑いながら、

 

「ハッハッハァ、別にとって食いやしねぇよ。オレはそういう趣味じゃねぇからな」

「……信用できんな」

「うっはぁ信用ねぇ。ウケる」

 

そう言って、彼女は目を回して伸びているペルシカを抱き上げ、笑いながら去っていった。去り際に一言、

 

「あー、そうだそうだ。例のトンデモ連中、今は上の方でメンテしてるぜ。グレランピエロの方は結構スムーズに進んでるみたいだがな、真っ黒女の方は結構手こずってるみてぇだ」

「……そうか。情報感謝する」

「ハハッ、礼はいらねぇよ。あのクソ野郎だったらこの程度の情報でも金とるんだろうけどな。──ああ気にすんな。こっちの話だ」

 

? と首を傾げるXTR。だがリンクスはそれに答えることなく、ひらひらと手を振って去っていく。

それを背後から眺めながら、XTRはコテンと首を傾げて、

 

「……結局アイツは何が目的でここに居たんだ?」

 

と呟き、リンクスに教えられた場所へと走り去っていった。

 

■ ■ ■

 

「あっ、あー。ハイヤイヨー、聞こえてっかー?」

 

XTRが去った後。

リンクスは目を回したペルシカを俵担ぎで持ち運びながら、どこかへと連絡を取っていた。

 

『──────』

「おう聞こえてっか。んで、報告だ。“X”と接触したぜ。外部計測器のデータ送っとく」

『──────』

「んあ? オレの所感? いやまぁ、普通にぱっと見まともそうでファイナルアンサーなんだが。……いやまあ、あんなヘビーな出自しといて『まともそう』で済むあたりアイツも相当ぶっ飛んでんなって感じだけど」

『──────』

「他の奴とはまだ接触してねぇよ。っつーか5分の2が現在進行形でメンテしてんだぞ無茶言うな。名目上はあくまで雇われなんだから、オレにそんな権限はねぇ」

『──────』

「……はぁ!? オイそれマジで言ってんのか!! 冗談じゃねぇぞもっと早く言え! ったく、テメェはいつも厄介なタスクばっか積んでくんなおい!」

『──────』

「あーはいはい分かったよ。とっとと残りの奴らもデータとって送り付けるわ。ったく、今から準備して間に合うか……?」

 

通信切断。

通信機を懐に仕舞い、彼女は獰猛な笑みを浮かべながら独りごちた。

 

「はぁ……ったく。これから忙しくなるぜ」




M! D!! R!!!(MDR)

(喜びの発狂)
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