皆は些細なことで友人関係ぶっ壊さないように気をつけようね!
しれっとやらかした上に数ヶ月くらいそのことに気付かなかったっぽいRioneさんとの約束だぞ!
いやほんと申し訳ない。そんな風に感じてるとは思ってなかったんや。
年代不明、地域不明、とにかくどこかの上空にて。
私達3人はヘリのハッチから飛び降り、まさかの3人vs数千人の大乱闘へと乗り込もうとしていた。
手に持つ銃の照準を下へと向け、肩で風を切りながらブランクが叫ぶ。
『片っ端から撃って撃って撃ちまくれ! どうせ残弾なんざ次の時には復活してんだ、気兼ねする必要は全くねぇ!!』
「薄々そんな気がしていたから残弾は別にいいけど被弾は大丈夫なんでしょうね!? 私達空にいるんだから対空に集中されたらあっという間にハチの巣よ!!!」
なんてこともないようにそう宣うブランクに苦言を呈するが、奴はそれを聞き流してさっさと銃撃を始めてしまった。
仕方なくMDRの方を見るが、彼女は彼女でケータイ片手に笑いながら銃を乱射している。少なくともまともな話は出来なさそうだ。
仕方なく、自前の相棒を構えて引き金を引く。スコープも覗かず落下中で揺れも激しい、ダメ押しに連射までしているせいで精度は期待するべくもないが、異常なまでに的が広いせいでそれでも外しようがないというのが恐ろしい。
「本当、昔の私は何を思ってこんな仕事をやっていたのかしらね──ッ!?」
そうぼやいた直後、私の目の前を一発の銃弾が通り過ぎていった。幸いにも服が少し避けるだけで済んだが、盛大に肝が冷える。
改めて自分の下を見てみると、なんとまぁ銃弾の雨あられ。この場合降っているのは自分の方だから、なんと表現するべきか。ともかく、空を裂く大量の鉛球がお出迎えしてくれることと相成った。
「ブランク!? ブラーンク!! これ本当に昔経験したのよね私!? 一体全体どうやって突破していたの!!?」
『すまん正直な話覚えてねぇ! 気合と運と根性でどうにかしろ!』
「覚えてなさいよこのポンコツ案内人──ッ!!!」
咆哮。それと同時に放った銃弾が、名前も知らない誰かの後頭部を穿った。
その後も落下しながら撃ち続けることしばし、かれこれ100人位は仕留めたか? それでもとにかく標的が多すぎる! 本当にどうやって突破したんだ、昔の私は!?
『(あれーおっかしいな、そろそろのはずなんだが……)』
密かに焦る私の横でブランクがブツブツと何かを言っているが、そんな事を気にする余裕などあるはずもなく。
さらにその間にもどんどん高度は下がっていき、だんだんと地面が近くなってくる。
そしてそこで、私はあることに思い至った。
「……そういえばブランク」
『どうした』
「これ着地どうするのよ」
そう、そういえば私は一般的にスカイダイビングなどで着地に必要なものとされているパラシュートの類を一切装備していないのだ。果たしてこれでどうやって着地するというのか。現状これでは墜落一択だ。
その問いに対してブランクは常識を疑うかのように、
『そりゃお前決まってんだろ、何のためのパラシュートで……パラシュート……パラシュート?』
そこで何かに気付いた。
ブランクは私の顔を見た後、私の背中に視線を向ける。そして再び私の顔を見て、
『……もしかしてだけど、つけてない?』
「見ればわかるでしょう?」
見る見るうちにブランクの顔色が悪くなっていく。あっという間に真っ青になったかと思えば、次の瞬間には紙のように白くなった。
『……よし、じゃあ現状お前の未来を分かりやすく教えてやろう』
「嫌な予感しかしないけれどいいわ、言ってみなさい」
『──ボルガ博士、お許しください!!!』
「何年前の娯楽だと思ってるのお前この野郎──ッ!!!」
絶賛落下、改め墜落中なのも忘れて、思わずブランクにつかみかかる。そのままがっくんがっくん首を前後左右に揺さぶりながら、私は焦燥全開で叫んだ。
「どうするのよこれぇ──っ!!?」
「オラ、部屋用意してやったぞ。さあ吐けすぐ吐けキビキビ吐け。こちとらテメェが馬鹿ばっかやってるせいで暇じゃねぇんだ、話す内容次第じゃドラム缶に詰めて強制送還するぞ」
「人を問答無用で椅子に縛りつけておいてそれか! ははは! 本当に相変わらずだな君は! 泣けるぜっ!」
G&Kオフィスの一角に位置する個室。
そこで、突然リンクスとアリアンロッドによるSMプレイが開催された。
その光景を見てMAGは呆れた表情を浮かべながら、
「……これ帰っても良いんじゃねぇの? なんか流れで着いてきちまったけどさぁ」
「なんかそんな気はしますね……。まあ、その、もう少しだけ待ってみませんか? 場が動くかもしれませんし……」
「ちなみに聞くけどMGL、これがそう見える?」
「……うーん」
「……まあ、普通は見えんな」
さりげなく背後で総スカンを食らっていることに気付くことなく、リンクスはアリアンロッドを容赦なく虐げ続ける。彼女の話が正しければ曲がりなりにも自分の上司であるはずなのだが、本当にあんな扱いで良いのだろうか? いやでも会話内容から察するに日常的に繰り返している対応らしいし……うーん……。
「……やっぱり帰らねぇ? リーダーの様子見に行きてぇよあたし」
「あっ一人だけ帰ろうとすんなよ、行くんだったらボクもついてく」
「おっと逃がしませんよ、逃げるなら私も一緒です」
「貴様らなぁ……」
『とかなんとか言いながら自分もしれっと退出しようとしてんの草』
『変態から逃げるな』
『サイはよ』
「逃げるに決まっているだろう馬鹿め。あと最後のはどう考えても違うだろう」
だが、MAGが部屋の扉に掛けようとした瞬間、
「あふん」
「は? ってうおぉっ!!?」
ふと気付くといつの間にか扉の前にアリアンロッドが立っており、ドアノブを掴もうとしたMAGの手は代わりに彼女の胸を掴んだ。
「おおっ!? テメェいつの間に縄抜けしやがった! また変なテク身に着けやがって!」
「通信教育とは便利なものだ、リンクスもそう思わないかね?」
「オーケー分かった、今度は抜けれない位ギッチギチに巻いてやるよこの野郎」
「お前らの性癖事情は分かったから本題入れや! あたしたちだって暇じゃねえんだぞこの野郎はよマシンガン撃たせろ!!」
「互いに欲望丸出しって言うかお前さっき散々撃ったろ!! あれだけ撃ってまだ足りないの!?」
「一日一万発感謝のマシンガンだテメェマシンガンナメてんのかこの短小サブマシンガン野郎が!!」
「良い度胸だ表出ろぶっ飛ばしてやる!!」
ぎゃいぎゃいと言い争いを始める二人。
呆れたようにそれを見ていたリンクスたちだったが、それに業を煮やしたMGLが二人の肩に手をかけた。
そして、不穏な予感しかしない満面の笑みを浮かべて耳元でささやく。
「(……このまま争って私に潰されるのと、大人しく話を聞くの……どっちがいいですか?)」
「話聞きますゴメンナサイ!!」
「おっ、おう……すまん……」
「……ヒエラルキーが見えたな。まさかとは思うがいつもこの調子なのか、
『どうだろうなぁ』
「さて、それではご対面──お目に留まれば元へと返す、五月の鯉の吹き流しというわけだ。本題へと入ろう。君たち502小隊はリーダーであるサベージ110BAの復活を望んでいる、そうだね?」
「あ、ああ……何だ急に改まって気持ちわりぃ」
「はっは! 突然罵倒されるのも悪くはないがここは本題に集中するとしよう!」
そう言って、彼女は懐からタブレット端末を取り出した。
どうやらスライドか何かを表示しているらしく、画面には『戦術人形の意識とは何たるや』というタイトルが書かれている。
その端末をこれ見よがしに振って見せながら、稀代の天才にして変態たるアリアンロッドはこう言った。
「古来より、木を隠すなら森の中と言う。であれば、戦術人形の意識は何処に行くと思う? ──スタンドアローンの結晶体たる502小隊の諸君。今から、君たちを啓蒙しようではないか」
まさかとは思うけど友人だと思ってるのも私の早とちりだったとかないよね? ……ないよね!?
すごい不安。