ドールズディフェンスライン   作:りおんぬ

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秩序乱流、なんとか最終ステージまで行けました。
これを書き終わった段階で2回クリアしたのであと1回どつけば完全攻略ですね。此処まで長かった。


Dio santissimo misericordia de mi 9

──落ちる。

──堕ちる。

──墜ちる。

 

元は地面だった瓦礫と共に風を切りながら落下していく。

やがて、四方を上へと流れていく岩壁に覆われていた視界が一気に開けた。……暗闇に覆われたという点では、逆に閉ざされたと表現しても大して変わりはないが。

荒野のすぐ下に広がっていたのは、巨大な洞窟。辛うじて視認できる滑らかな壁面や時折見つかる鍾乳石などを見る限り、おそらく天然ものだろう。しかしこの暗さとは言え最下部にあるであろう地面が視認できないとは、この洞窟はどれだけ広いのか。

私が空けた大穴から差し込む光だけを光源として、私達は降下していく。しかしこれだけでは標的を探すのには明らかに不適格だ。

 

「ブランク、捜査(チェック)!」

『くっそこうなりゃヤケだヤケ! スーパー通り越してハイパーまかセロリ状態になった俺をなめるんじゃねぇぞ!!』

「ハイパーもスーパーもそもそもまかセロリ状態が初耳だけど!?」

『今適当に言っただけだ気にすんな! そらブチかませMDR!』

「いや私ィ!? いいよやるけどさぁ!」

 

バッ! と同じく落下中だったMDRが上着の前を開け、服の内側を露わにする。するとどうやって見た目のラインを誤魔化していたのか、大量に作られた上着の内ポケットにはたっぷりの電子機器や申し訳程度のサブアームが格納されていた。あれだけ詰め込めば確実に外から見えそうなものなんだけど……人形義体の神秘だ。

そして彼女が取り出したのは、中折れ式の単発グレネードランチャー。そこに黄色くラインが引かれた弾頭を詰め込むと、斜め上へと向けて発砲した。

風切り音に紛れてぽん、と気の抜けた音が耳に届く。

数瞬遅れて、照明弾がまばゆい光を放って辺りを照らしあげた。

そこにあったのは……

 

「──これは!?」

 

そこにあったのは、四本足の巨大な複合空母とでも言うべき威容。

その巨躯はあちこちに損傷や劣化の形跡が見られ、相当使い込まれているのか、あるいは相当の旧式かという2択のイメージを見るものに抱かせる。が、しかしそれでもその圧倒的なサイズはそれらの印象を打ち消すに余りあるだろう。

それを視認したブランクが、風切り音にも負けない大声で言う。

 

『見えたぜ――あれが今回の標的! 今回相手にするテロリスト共の巣窟!』

 

 

『自律移動式大型拠点「マザーズ・ドゥエリング」!!』

 

 

その言葉と同時。

ヴィーッヴィーッ!! というサイレン音が辺りに響き渡り、バンッ!! と目の前で巨大拠点──マザーズ・ドゥエリングが窓という窓から赤い光を放ち始めた。それが意味するものは極めて明白――即ち、緊急事態だ。

巨大な機体のあちこちでサーチライトが起動したと思えば、それらはまっすぐにこちらを捕捉し照射した。

……まあ、そりゃあんな大きな爆発音鳴らしながらエントリーすればバレるか。

ともあれ、あそこまででかい図体だ、こんな閉所じゃ武装一つ動かすことすらままならないだろう――それはうっかりすれば自身の存在がそのまま露見しかねない悪手だ、おいそれと出来るはずが――

 

『やべぇぞ目に見える砲塔が全部こっちに旋回しようとしてやがる!! 本当に何考えてんだマジで!?』

 

――なかったはずなんだけど。

どうやら向こうとしてももうなりふり構っていられないのか、最短最速でこちらの存在を消しに来たというわけだ。そうまでしてでも存在を隠蔽したいのか、単純に気が動転しているのか。

まあ、どのみちやることは一つだ。

 

「ブランク、MDR! ――適当な甲板に飛び乗るわよ!」

『「いやそれマジで言ってる!?」』

 

何か文句を言われたような気がしたが、私の音声センサには何のログもないということにしておこう。

勢いを維持したまま、私達は敵地へと乗り込んでいった。

 

■ ■ ■

 

さて、実りのない……というか身もふたもない? 講義を終えて。

――その知らせは突然やってきた。

 

『緊急! 緊急!! 作戦参謀、指揮官、人形小隊長……ああもう面倒くさい、ともかく参謀部および部隊を率いる立場にいる者は大至急ブリーフィングルームに集合せよ!』

 

ザザッ、とノイズが入ったかと思えば、スピーカーが勢いよくがなり立ててきた。

それを聞いたMAG達は首を傾げて、

 

「……今度はなんだ?」

「厄介事でしょ」

「ンなこた声の調子で分かるっつの。なんでそんな厄介事になってんのかって話だ」

「しーらない。ほら、とにかく行ってきなよ小隊長代理」

「げっ、そういやそんな事言ってたなリーダー……マジで? あたし行くの?」

「そうでしょ」

「今からでもお前に押し付けたり出来ねぇかな……小隊長代理代理的な」

「代理の代理って出来るんですかね……?」

「いや無理だろう、常識的に考えて」

『せやな』

「オーマイファック!!」

 

たまらず悪態をつくMAG。

しかし一応他ならぬ110BAにそれを任されたという責任感もある程度はあるのか、ぶちぶちと文句を言いながらも一人でブリーフィングルームへと向かっていった。

さて、3分も施設内を歩けばすぐそこには目的地。

扉に手をかけ、迷うことなく開ける。

 

「はいどうもー、502小隊小隊長代理のFN MAGだぜーっと……いや何だこの空気」

 

中に入ると、薄暗い部屋の中で集待った誰もかれもが静かに頭を抱えていた。ヘリアンはその限りではなかったが……その顔色は紙のように白く、眼を閉じて悟ったような笑みを浮かべ、ダメ押しに口の端から血が垂れていた。よく見れば全身が小刻みに震えているし、その手には紫色の胃袋型のマークがシールされた明らかに危険物の香りがするプラスチックボトルが握られている。

なんか誰に話しかけてもまともな応答が得られそうになかったため、MAGはプロジェクターによってスクリーンに投影された情報からある程度の状況を類推した。

 

「……なーるほど、遂にあちらさんがカチコミかけてきたか。ほうほう、未知の大型ハイエンドモデル『集合体(アグリゲイター)』なあ……うん」

 

これだいぶキツくね?

何の気なしにMAGがそうつぶやくと、頭を抱えていた集団の何人かがそのまま崩れ落ちた。

ヘリアンは相変わらず今にも死にそうな風体でMAGに抗議する。

 

「お前な……分かっていてもそういうのは言わないものだぞ……」

「いや、こればっかりは明確にしねぇと駄目だろ。これどうすんだ、SMG連中とRF連中……とにかく射程か回避に自信のある連中限界までかき集めればどうにかなるもんなのか?」

 

そう問いかけると、ヘリアンはこう答えた。

 

「……現状この周囲に控えている人形を限界まで徴兵しても数が足りない、と言うのが実情だ。一定の範囲内にある基地には救援を要請しているが……間に合うかどうかは、正直賭けだな」

「正規軍連中は無理そうか? どうせこの事態は把握してんだろ、アイツらがアホみたいに保有してるトンデモ兵器の一つでも借りれりゃ御の字だろ」

「……逆に聞くが、頼れると思うか? アイツらを」

「すまん今の発言は忘れてくれ。浅慮だった」

「そうするさ……」

 

さてどうするのが最善手か、と首をひねるMAG。無理もない、いくら歴戦のマシンガンキチと言えどもこの規模の防衛戦は彼女も未経験だ。これを一人で考えるのは厳しい物があるだろう。

こうしている間にも、着々と鉄血の軍勢は侵攻を続けている。侵攻経路から推測するに、どうやら他の基地には目もくれず、電撃戦気味にトップを叩くつもりらしい。各地に建てられた基地を含めれば莫大な規模になるとは言えど、上層部が壊滅すれば混乱は免れないだろう。そこを潰すつもりか。

――決戦の時が、すぐそこまで迫ってきていた。




まもなく次章に突入します。シートベルトを確認し、急展開もしくは超展開にお控えください。

えー、というわけで次章は大コラボ合戦にしたい予定だったりしたような気が無きにしも非ずと言うのもやぶさかではないのです。
ごめんなさい分かりやすく言います、次が事実上の最終章なのでコラボ相手募集です。

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