あと情報の確認が不足していたため一度削除しました、申し訳ありません。
コラボ相手のssはちゃんと読み込もうな! Rioneさんとのお約束だ!
「それそれー、書類が通るよーっと!」
重機や人員が慌ただしく往来するなか、その隙間をかいくぐるようにスイスイと進んでいくちっこい影が一つ。
その正体であるP90は、ルーズリーフ冊子の形にされた分厚い書類の束を担いで仮設の検問へと向かっていた。
書類の中身は検問を通る予定の人員や車両、兵器のリストアップだ。平時であればそれらは電子データでやり取りするのだが、タイミングの悪いことに非常事態に際して怒涛の通信量で回線が瀕死の状態になっている。
だが、鉄血の侵攻軍が防衛ラインに到達する前になんとしても防御を固めたいG&K側としては、その為の機材・人員へと割く電波リソースを削るに訳にはいかない。
その為、少しでも負荷を軽くするべく効率の低下を承知で内外を通す類のデータは紙の書類をやり取りしているのだ。その為、速度に全振りした性能のP90の健脚は非常に頼りにされている。他のサブマシンガンもIDWなどと言った手すきの連中が駆り出されてはいるが、やはり速度がダンチだ。
「さあどいたどいた!」
人の股下をくぐり、ショベルカーをジャンプで飛び越え、挙句の果てには装甲車の車体と地面の間に空いた隙間をスライディングで通り抜けながら、敷地内にいくつか設けられた検問と本社を行き来する。
さて、それで目的の検問に着いてみると、何やら少しばかり揉めているようだった。今度は一体何の騒ぎだと言うのか。
手っ取り早く解決するため、P90は気合一発大きく跳躍し、視線の先で言い争っている二人の男の間に着地した。
「はぁい、双方そこまで! 何の騒ぎかは知らないけどそれ以上はボクを通してもらおうか!」
「うわっ!?」
「おおっ!?」
突然の登場に、二人揃って一歩後ずさる。
P90は検問の人員である警備員服を纏った冴えない小デブのオッサンに書類冊子を押し付けて、
「これデータ。確認の不備で斥候とかに入られても困るのでちゃんとこれのデータと照らし合わせて適宜確認すること」
「あ、ああ。助かるよ……」
「それで、これ何の騒ぎ? ああ、片方からの情報だけだと絶対事実確認でバグるから双方順番に頼むよー」
そして、検問警備員と来客と思わしきライフルなどの陰キャ戦術人形が好みそうな機動性度外視の黒コート(大いなる語弊)を着たやたら背の高い青年の話を聞く。
警備員曰く、
・データにない戦術人形の小隊が検問に来た
・通信網は軒並みパンクしているため情報の確認ができない
・あと本社勤務らしいが私も外の地区から退避してきてこの職に暫定的に就いた形なので、詳細が分からない
・その為申し訳ないが少しここで待ってもらおうとしていた
そして青年に曰く、
・鉄血侵攻に際して、近隣の基地および自由行動しているあらゆる小隊に退避、あるいは召集の命令がかけられた
・我々は別件で地区外に出ていたのだが、これに際して至急の要件ということで呼び戻される形になった
・だが、検問にデータがないからここで足止めを喰らっている
・一応上に呼び出されているから、なるべく早く本社に戻りたい
……これらを統合すると、『すんませんちょっとゴタってて書類届くまでもうちょい待ってもらえませんか』『マジで? え、こっち本社勤務なんだけど上に連絡とれないの? 呼び戻されて足止めとか信じられん』『今通信網死んでるんですよ勘弁してください兄貴』という話になる。
まあ、分かりやすくこちらの落ち度だった。だがこれ以上の速度でのアナログデータのやりとりは正直な話TASか何かの補助でもなければきびしい……。
とりあえず、事が全部片付いたらヘリアンに通信網の増強を申請しよう、っていうかなんならダイレクトに社長に話通そう……と密かに強く決意するP90だった。ついでに最低限公開しても構わない情報(特に戦術人形だけの部隊に関して)の周知も。
「……その、ごめんね?」
「いや、こちらとしても現地の状況があまりつかめていなくてな……迷惑をかけた」
「迷惑はお互い様だって。あ、ちょっとこれ借りるよ」
「あ、ああ……」
一度渡した書類冊子をもう一度受け取り、開いて中を確認する。
パラパラとページをめくると、ほどなくして該当するデータがみつかった。
「おっ、これか。ええと、DG小隊……RF1、HG1、SMG1、AR2の小隊ね。おけおけ。……ちょっとそっちの車両の中確認してもいい?」
「構わないが」
「ありがと。じゃあちょっと失礼してっと」
彼が乗ってきたらしい軍用車の扉を開く。
開けて早々、やっぱり自分よりも背の高い執事の戦術人形と目が合った。
「おや、どうも」
「ようちみっこ、何の用だ?」
「どーもー。えっとキミは……SCAH-Hのウェイターね。それと……そっちがS&Wの方のM500のスミスか、後で覚えてろよ。それでー……うん?」
軽く挨拶をし、他のメンバーも書類と照らし合わせて手際よく確認していく。だが、ここでP90はあることに気付いた。
「……書類と違うね。二人いない。えーっと、
「ああ、その二人か。実をいうとノアが妊娠してな。三つ子だそうだ。レストはその付き添いだな」
ぶふッ!!! とあまりにも唐突かつ衝撃的な暴露に吹きだすP90。その際に気管に何かが入り込んだのか、ゲホゴホと咳き込む。その様子を見た青年……M107のバレットは首を傾げて、
「……どうかしたか?」
「どうしたも何もない! 妊娠って言った? 戦術人形が!? 噓でしょ!?」
「こんな事で嘘を言ってどうする。D08基地と言う前例があるだろう」
「それはそうだけども! そうなんだけども! あそこも凄いらしいよね!」
「ちなみに相手はレストだ」
「もうボクには訳が分かんねぇよ!! ねぇこれってボクがおかしいの!? 哲学入ってくるよ!? 人形と人形の子供は何になるんだよ!」
「純生体だし、人間じゃないのか? あるいは哲学的人形、とでもいうべきか」
「本当に訳が分からないよ……最近の戦術人形ってそんな未来に生きてるの……? いや別にボク時代遅れじゃないが!?」
「いや、誰も何も言ってないんだが……まあ、その、なんだ。とりあえず入ってもいいか?」
「はあ、はあ……ああ、もう通っていいよ……。とりあえず、ヘリアンかその辺に話通してね……今通信網がパンク寸前だから直接顔を合わせて話すこと……」
「あ、ああ。忠告感謝する」
そして、彼ら──DG小隊は車を走らせ、本社へと向かっていく。
その様子を遠い目で眺めながら、P90はおもむろに懐から煙草を取り出した。なんかもう、予想外過ぎて疲れた。他にも検問がいくつかあるが、そこはペルシカの子飼いであるIDW辺りが頑張ってくれるだろう。うん。
煙草の先端に火をつけ口に銜えて、ちらりと横を見る。そこには、同じく遠い目で煙草を吹かす検問警備員がいた。
「……警備員のおっちゃん」
「どうした、P90の嬢ちゃん」
「技術の進歩ってすごいんだね」
「……そうだな」
彼女たちの心境を知ってか知らずか、空は相変わらず青々としていた。
「……あれが502小隊、か」
「ご存知で?」
車を走らせるバレットの呟きに、助手席に座っていたウェイターが反応する。
バレットは前を向いたまま、
「ああ。昔噂に聞いたことがある。なんでも、単騎で鉄血の侵攻を食い止める小隊がいるとな……正直言って、実在するとは思っていなかったが」
「俺も聞いたことあるぞ。アレだ、頭のおかしいマシンガナーがいるんだろ?」
スミスがその会話に加わる。ちなみにこれはどうでもいい話だが、ちょうど同タイミングで『誰の頭がおかしいだとコラァ!!?』と虚空に叫んだマシンガンの戦術人形がいたらしい。真実は定かではないが。
思ったことを口にしただけであって特に会話を続ける気もなかったのか、バレットは簡潔にこう締めくくった。
「まあ、分かるのは味方になって困る連中ではないってことだな」
「それだけ分かりゃ十分だ」
「ええ、全くです」
と言う訳で今回のコラボ相手はNTK様作『人形達を守るモノ』でした。いやぁこの方更新速度がすごくてあっという間に話数が抜かされちゃったんですよ。いやまあ私がもっと早く書けって話なんですけども。
はっはっは、それにしても軽はずみで始めたコラボ募集がこんな事になるなんて震えが止まらねぇぜ。
コラボ先の作品が気になる人は以下のURLからどうぞ!
・人形達を守るモノ
https://syosetu.org/novel/190134/