ドールズディフェンスライン   作:りおんぬ

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なんというか、こう、はい。
めっちゃ投稿遅くなりました、シンプルにすいません。
次は頑張ります。


Doll's Defense Line - Outpost Ⅶ

前人未到前代未聞の超ド級一斉砲撃によって2体の人形もろともに吹き飛ばされた林、そこから少し離れた場所にて。

奇跡的に侵攻軍の進軍ルートから離れていたために環境破壊の憂き目を免れた小さな森林に、彼女たちは潜んでいた。

とんでもない轟音と共に地形が大きく変化する光景を眺めながら、隠れていた集団の内の一人、デストロイヤー・ガイア似の黒髪の麗人が思わずといった調子で呟く。

 

「うわお……予想はしてたけどとんでもない威力ね。あれが正規軍の戦車の性能か」

「正規採用重兵装戦車……通称“テュポーン”だね! ぶっちゃけそこらの重兵器なんて目じゃない性能だよ! どうしよう私の(これ)じゃ撃っても弾の無駄だよ隊長!」

「そもそも貴方は直接戦闘全般がダメじゃないの、ウニカ」

 

そう返され、アッシュブラウンの髪をポニーテールにまとめた少女──ウニカが分かりやすく私慌ててますといった調子で言う。その手にはハンドガンの『マテバ モデロ6ウニカ』が握られていた……なるほど確かにこれでは役不足が過ぎるというものだろう。見る限り、最低でも7.62mm口径以上のライフルかマシンガンがなければあの装甲を抜くのは難しい。

 

「それで、あの正規軍の人形を率いてるハイエンドのデータは? 何かない?」

「いやぁだーめッスねこりゃ」

 

隊長と呼ばれた麗人の問いに首を振るのは、疲れたような笑顔を浮かべる同じく黒髪の少女。一見するとその姿はM16A1のようにも見えるが、露わになったマリンブルーの両目やローポニーの髪形など細部が異なる。その胸元にはスリングを利用する形でアサルトライフル『C8-SFW』が釣られている。

 

「ちょっとウニカと協力してあちらさんのサーバーにクラックかましてみたッスけど該当なし、全情報アンノウン! とんだ隠し玉もあったもんッスよ全く」

「まあ、あんな百鬼夜行みたいな集団が混ざってる時点でだいたい予想はついてたけれどね」

「かーっ! それ言っちゃったら終わりッスよリーダー!」

 

少女が言う。しかしその口元は相変わらず笑みの形にゆがめられていた。

さて、そんな彼女たちの視線の先にいるのは、鉄血工造の侵攻軍──その内、それぞれの師団を統べるハイエンドモデルたちである。

スケアクロウ、エクスキューショナー、ハンターを始めとした既知のハイエンドはもちろん、ドリーマーやジャッジなどの存在こそ知られているがあまり能動的に攻めてくることのない防衛特化ハイエンド、さらには本来エルダーブレインの側近であるはずのエージェントまでもが出張っている。

その光景を見ながら、“隊長”──戦術人形『PGM へカートⅡ』が問いかける。

 

「エージェントがいるってことはエルダーブレインがいてもおかしくないとは思うけれど……貴方達はどう見る?」

「十中八九いるだろうね」

「……、」

 

そう断言したのは、へカートⅡと同じくガイア似の少女。白髪金目であることも相まってより鉄血工造のハイエンドに近しく思えるが、それよりも両手に持ったまあまあのサイズのガンケースとC8-SFWと同じくスリングで胸元付近に釣ったアサルトライフル『R4-C』が目を引く。

さらにその横で静かに辺りの様子を伺っていた別の少女も、手持ちのサブマシンガンである『MPX-SD』の調子を確認しながらその言葉に無言で首肯した。

 

「エージェント単騎であればまだ可能性は低かったけど、本来防衛戦に特化しているドリーマーやジャッジがいるってことはそれだけ近くに守りたい対象があるはず。あの……アグリゲイターだっけ? を守るメリットはどう考えてもないし、だとすれば……」

「エージェントよりもさらに重要な保護対象がいる、ってことね」

 

首肯。

それを確認したへカートⅡは、

 

「だったら話は早いわ。さあて、少しばかり働くとしましょうか。アッシュ、出せる?」

「はいさー!」

 

重苦しい音と共に、アッシュと呼ばれたデストロイヤー似の少女が持っていた2つのガンケースを地面に降ろす。それぞれのケースを開くと、中には小分けにされたパーツ群が収まっている。彼女は慣れた手つきでそれらをくみ上げていき、あれよあれよという間に巨大な榴弾砲が完成した。

その様子を見ながら、ヘカートⅡは指示を飛ばす。

 

シーカー(ウニカ)アッシュ(R4-C)と私の直掩に回って……まあ、どちらかというと貴方が介護される側でしょうけど。それで、ヴァルキリー(MPX-SD)はまぁ……いつも通り好きにやりなさい。エイト(C8-SFW)はそれについて行って」

 

そして、最後にこう締めくくった。

 

「それじゃああ始めましょう。手っ取り早く大火力で攪乱した後にトンズラ決め込んで、最後に手柄だけかっ攫って夕飯はドン勝よ」

「「「おー!」」」

「……、」

「ヴァルキリー、まだ戦闘状態ではないし最低限返事くらいは返してくれると嬉しいのだけど……」

 

その言葉に合わせて、その後ろに並んでいた少女たちが元気に返事(若干約一名だんまりだったが)を返す。

一見してただの民兵の集まりにも見える彼女たちの異質な点としては……もれなく全員がヒトならざるもの──この場合は戦術人形であるという点か。

“404 Not Found”とも“502 Bad Gateway”とも異なる秘匿された第三の人形小隊──誰が呼んだか“409 Conflict”。

元をただせば鉄血工造のハイエンドモデルである異質な存在『PGM へカートⅡ』をトップに、『C8-SFW』『MPX-SD』『マテバ モデロ6 ウニカ』『R4-C』の5人によって成立する独立遊撃小隊である。

 

■ ■ ■

 

……結論から言えば、『傍観者(バイスタンダー)』がそれに気付けたのは直感に等しい奇跡だった。

 

「──!? 『集合体(アグリゲイター)』ァッ!!」

『■■■……■■■■■■■!?』

 

咆哮。

バイスタンダーの叫びにただならぬ事態が起こっていると気付いたのか、あるいは単純に崩壊しきった探査網が奇跡的に敵性反応を検知したのか。

とにかく、アグリゲイターは咄嗟に首を振った。姿勢が大きく傾ぎ、その背中に乗ったバイスタンダーが振り落とされそうになるがそれどころではない。

しかし、その凶弾を避けるにはその体はあまりに巨大で……何よりも、鈍重に過ぎた。

轟音と共に、その身体がごっそりと削り取られる。膨大な量の金属部品と生体部品が撒き散らされ、辺り一帯に雨あられと降り注いだ。

その様子を見ていた『無頼人(ルフィアン)』が驚愕する。

 

「ハァ!? オイオイどうなってる、一体どこから何が飛んできやがった!!」

『私が知ったことか! この規模の破壊、榴弾の類としか考えられん! 総員全周警戒、次が来るぞ!!』

「榴弾か! ってことはこの辺にいるんだな任せろ!!」

 

言うが早いか駆けだすルフィアン。超近接特化型ハイエンドの面目躍如と言うべきか、その速度には目を見張るものがある。

だが、

 

「いや待てどの辺だ!? っつーかあんなバ火力出してくる兵器に近寄れんのか俺!?」

『馬鹿を言っている場合か! 距離を詰めれる詰めれないの話ではない、とっとと接近して殴れ! 貴様にはそれしか出来んだろうに!』

「ンなこた百も承知だエセ紳士!」

『はいはいこちら「不眠家(インソムニア)」がお送りするよ。ただいま進行ルート上に大量の煙幕ばら撒いて足止めを図る何かを確認……まあ間違いなく敵だろうね。ついでに例のトンデモ火力砲に紛れてこっちをチマチマ狙撃してくる奴もいるみたい。ついでに電子戦仕掛けてくるやつも。いやぁ楽しいね、個性豊かだ』

「よっしゃ俺はそっち行く! クソ芋砲撃野郎はテメェらに任せた!」

『オイコラ直掩の意味わかってるのか貴様!? あっ待て止まれ!』

 

そうこうしている間にも、断続的に轟音が響き渡る。

だが、ここでバイスタンダーが動いた。

 

「チィッ、アグリゲイター! 背に腹は代えられん、偏向障壁を最大出力で起動しろ! 最悪今は本体と火器管制さえ保持出来れば問題はない、崩壊したパーツ群は後で拾って適当に付け直す!!」

『■■■■■■!!!!!』

 

ジェネレーターの駆動する重厚な音がアグリゲイターの体内から響き始め、同時にその巨躯を半透明のフィールドが覆い、なおも飛来するとんでもない威力の砲撃をいとも簡単に受け止める。しかしそれと同時、バチバチと明らかに異常発生のサインであるスパークを放ちながらその身体が少しずつ崩壊し始めた。

さらに、ガコォン、という音と共に取って付けたかのように接続されていた巨大な砲塔が稼働する。

 

「ええい、例の“災厄”といい手に負えんバ火力の持ち主しかいないのか、この戦場は!! アグリゲイター、照準補正はこちらで受け持つ! まずは一撃適当に打ち込め!」

『■■■……■■■■■■■!!!!!』

『不明目標α、なおも移動を続けながら砲撃中~。ついでに不明目標βも依然健在、ただしあくまで本命はアグリゲイターなのか損害は比較的軽微……これ変に狙い定めるよりも地形ごと巻き込んだ方が早いよね?』

「……それもそうだな。よしアグリゲイター、やれ。兵装自由使用(ウェポンズフリー)だ、我々に盾突くガラクタ共を消し飛ばせ!!」

『え、そこまでやる? それは聞いてな──』

 

『インソムニアの焦ったような声を黙殺し、バイスタンダーが叫ぶ。今度は咆哮こそしなかったが、それに応えるように巨体の各所に据えられた巨砲が一斉に稼働した。

そして。

 

『■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!!!』

 

轟音、閃光。

先ほど『放浪者(ストレイド)』が独断で放った砲撃とは文字通り桁違いの威力と物量を誇るそれらが、ただ一つの目標へ向けて情け容赦なく放たれた。

その威力たるや、ただの余波だけで非装甲機械が消し飛び、装甲人形が溶け落ち、ついでに先ほどから落ちる落ちないのチキンレースを繰り広げていたバイスタンダーが今度こそ振り落とされるほど。

その絶景──あまりにも非常識を極めた絶句必至の光景──を見たインソムニアは簡潔に一言。

 

「わぁすごい。こんなんじゃ死亡確認もできやしないしむしろ無用な伏兵のリスクが増しただけだね」

「そう思うのならなぜ焚きつけたのです……」

「残念だけど故意じゃないんだよなぁ」

 

さて、この心の底からお冠な代理人サマをどう宥めるか。

彼女の思いはそこに集約されていた。




と言う訳で今回のコラボ相手はめーりん様作『さすらいの矛盾小隊』でした。ハイ拍手! 皆も読もうな!(大遅刻の弁明はもう諦めた)
これで外部からの協力者は全員出揃いましたかね。
コラボ先の作品が気になる人は以下のURLからどうぞ!

・さすらいの矛盾小隊
https://syosetu.org/novel/192970/
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