ドールズディフェンスライン   作:りおんぬ

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……もはや何も言うまい!
やれぃ、隻狼っ!!(バサーッ)


Doll's Defense Line - Outpost Ⅷ

場所は戻ってG&K本社、その一角にて。

 

「おいそっちはどうだ! 準備済んだかまな板ドチビピンク!」

「ぶっとばすぞコラ? あと今はピンクじゃないからな! ちゃんと目で見てものを言──節穴だったね忘れてた、ごめん」

「よしきたカメラ止めろ、そろそろ白黒はっきりしといた方がいいと思ってたんだ」

「いい度胸だ速攻でケリ付けてやるよ」

「「やめんか!!」」

 

初っ端からガンつけてにらみ合うP90とMAG。状況が変わっても相変わらずなバカ二人をMGLとXTRが拳で制圧して本題に移る。

 

「さて、こうして小隊が揃うのは久方ぶりではないのか? まあ私は110BAが倒れたから臨時の代理で突っ込まれただけなのだがな」

「そう言うなって、リーダーなら歓迎してくれるさ。なんせ502小隊(ウチ)は際物馬鹿者外れ者で構成されてる事に定評があるからな」

「馬鹿者が何か言ってる」

「あ?」

「は?」

「はいはい際物が止めてあげますから大人しくしましょうね。じゃないとぶっ殺しますよ」

「正体現したねMGL? ボクは信じてたよ、こいつ絶対素は物腰が丁寧だけで行動は荒っぽいって」

「はてさて何のことやら」

 

目を逸らすMGL。

それを見てこいつらに音頭は取れないと悟ったか、XTRが口火を切った。

 

「さて、瀬戸際も甚だしいところではあるがどうにか準備は整った。ちなみに鉄血工造の侵攻部隊はし小規模な戦闘を行ってはいるが全体で見れば止まることなくなおもこちらへ侵攻中だ」

「……率直な疑問なんだけどさ、耐えきれると思う?」

「無理だろうな。あちらが最大戦力を維持した状態で接敵した場合秒速で食い破られて終わりだろうさ」

「ダメじゃん!」

「だが、結論を出すのはまだ早い。何のために502のような部隊があると思っているのだお前たちは?」

「「……?」」

「えぇ……」

「嘘だろおい……」

 

P90とMAGが顔を見合わせて揃って首を傾げ、その様子を見てMGLとXTRは静かに天を仰いだ。

こういう時に110BAがいてくれれば……あれ、そう言えばあいつもあいつで結局何がどうしてこんな窓際小隊の指揮してるんだろうか。

元々所属していた基地で何か重大なトラブルがあったと聞いてはいるけど、結局具体的に何があったかは全然知らないな……?

 

□ □ □

 

さらに場所は変わり、IOP本社地下。

正しく新品、出来立てほやほやの巨大な機体を前にして、腰に手を当てて呵々大笑する少女とダウンして床にはいつくばっている女性がいた。

 

「よし、よし、よし! ひとまずはこれで完成だ! はっは、急ごしらえにしてはいい出来だろう!」

「こ、こんな重労働は久しぶりだ……」

「……私が言うのもなんだが虚弱すぎないか? この体になる前でもこの程度の肉体労働はこなせていたぞ……」

「ひぃ、ひぃ……も、元々男な君と比べられても困るね、うっぷ……」

「ま、それもそうか。最低限完成してからぶっ倒れただけありがたいと思おう」

「き、君は女性を労わるということを覚えようか……」

「すまんね、今は私もこの通り女だ。異性ならまだしも同性、まして私と同レベルかそれ以上の天才様に気を使う気はさらさらないな、はっは!」

*IOPスラング*!」

 

息も絶え絶えに反論する女性。

しかし少女はそれを一言で切り捨て、それを聞いた女性は忌々し気に吐き捨てる。

そんな女性を他所に、少女は目の前の機体の腕をコンコンと叩きながら言う。

 

「しかしまぁ、バラしてみて思ったが……パラデウスというのも存外イカれた組織の様だな。生体ユニットどころではない、ELID感染者をそっくりそのまま兵器の中にぶち込むとは……」

「……確かカルト教団だって話でしょ? 材料なんて向こうから集まってくるってことね」

「はあ、悪辣この上ない」

 

ともあれ、と少女は区切る。

そして、「よっ」と機体にかけられていた梯子に足をかけながら言った。

 

「制御方法自体は唾棄すべきものではあるが、しかしそれのおかげで搭乗ユニット化する際に助けられたのもまた事実だ。全てが終わったら全員丁重に葬るとしよう」

「先に私たちが死ぬことにならなきゃいいけどね……」

「はっは! その場合に備えて無縁仏でも拵えておくか?」

「私がボッチだと言いたいのかい君は!?」

「……、」

「おい! 何か言え! せめて肯定か否定かはっきりしろ! こら! そんな『てへ☆』みたいな顔したって誤魔化せないぞ!」

 

騒ぐ女性を無視して、するすると梯子を上って機体に乗り込む少女。

そのままコックピットのシートに座り、パチパチとボタンを操作。

最後に両手で2本のレバーを掴み──

 

「はっは! では行くとするか! ──『軍団兵(レギオナリウス)』、起動!!」

 

──一気に前に押し込んだ。

機関が始動し、アイカメラが光を放つ。

 

「火器管制よし、駆動系統よし、偏向障壁よし、システムオールグリーン! 動いた、動いたぞ! 理論上上手くいくとは分かっていても実際に動くとなれば感動もひとしおだな! はっは!」

『ええい勝手に進めるんじゃないっての!』

 

ブン、とコンソールに『SOUND ONLY』の文字が表示されたかと思うと、外にいる女性の声がコックピットに響く。それと同時、警報音と共に『軍団兵(レギオナリウス)』を載せたエレベーターが上昇を始めた。

 

「はっは、すまないなペルシカ! やはり幾つになってもロマンというのは捨てがたいものだ! 全く、この私がメカに搭乗して出撃するとかまるで夢の様だぜ!」

『後の事を考えれば悪夢にご招待ってところなんだけどね……』

「それは言わないでくれたまえよ! そういうのは気にしたら負けだと相場が決まっている!」

 

ガコン、と音を立ててエレベーターが停止する。

そして、前方のハッチが開き、外の光景がアイカメラ越しに少女の視界に飛び込んできた。

 

「さあ、では征こう! 『軍団兵(レギオナリウス)』、アリアンロッド=アレサ! 出るぞ!」

『ああもう行って来い! 死んだら承知しないからな!』

 

携えるは四つの腕、そして実体弾・非実体弾問わずハリネズミのように積載された火器の数々。

人類の未来を守るため、機械仕掛けの重装歩兵が戦場へと躍り出る。

 

■ ■ ■

 

階段を駆け下りる。

あれだけ警報が騒ぎ立てていたというのに、艦内はいっそ不自然なほど静寂に包まれていた。

だが気にしている余裕はない、変に接敵してタイムロスにならないならそれでもありがたいと自分の中で完結する。

 

「──桂ァ! 今何キロ!?」

『ヅラでも桂でもねぇしキロ単位で走ってもねぇよ! 状況のわりに余裕そうだなお前!?』

「概算で600mってところだねー」

『お前も計測してんじゃねぇよ律儀か! っつかケータイ見ながら走るんじゃねぇ前方不注意ィ!!』

 

軽口を叩き合いながらも走り続ける。

そして、私が直感的に『近い』と感じ取った時、ブランクが叫んだ。

 

()()()()! そこにテメェの求めてる奴があるはずだぜ!!』

「ご忠告どうも!」

『礼には及ばねぇ、どうせ俺達はここまでだからな!!』

「は? 一体何を──!?」

 

奇妙な発言に振り返った直後、私の目の前で轟音が響く。

脇道から内装を盛大に砕きながら現れたのは、見慣れた形の装甲と見慣れない緑のカラーリングをした人形の集団。

ブランクとMDRをシールドバッシュで後方へと弾き飛ばしたその姿に、私は叫ぶ。

 

「Aegis!? どうしてこんなところに──!!」

『うるせぇテメェはとっとと前見て走れ! こっから先はテメェの問題でこっちは俺等の問題だ!』

「え、待ってナチュラルに私もカウントされてる? 普通に嫌なんだけど」

『腐ってもアイツのメンタルモデルに居候してる身分なんだから黙って働けよもー!!』

 

ブランクの言葉に押され、私は後ろ髪を引かれながらも再び前を見て走り始める。背後からは発砲音と装甲が銃弾をはじく音、そして光学銃特有のピュンピュンという気が抜ける発射音が聞こえ始めた。

だが私は前を見る。結局アイツが誰なのかは分からなかったが、少なくとも言っていることは確かだ。私には私のやる事がある……はず。やっぱりあんまり腑に落ちてはいないけれど。

走る。走る。走る。廊下の最奥が目に入る。

私は閉ざされた両開きの扉に辿り着いた。

 

「──せぇっ!!」

 

一片も躊躇う事無く、力任せに蹴りを叩き込んで開け放つ。

──そこは艦橋だった。

各所にコンソールが配置された旧世代の大型兵器特有の非合理的なユニット配置と、前方に配置された巨大なガラス窓。

……そして。

明確にこちらを認識する『誰か』がそこに立っていた。

 

『……やあ、君か。久しいね』

 

その姿を見た私は。

ただ一言、呆然と口にする。

 

 

「……指揮官……?」




投稿めっちゃ遅くなってほんとにゴメンナサイ!!
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