初めまして、みつお・ライブです。
今回、小説やライトノベルが好きすぎて、無謀にも執筆の真似事をしてしまいました。どうか最後までお付き合いいただけたら幸いです。
海賊達は逃げていた。
シャボンディ諸島と呼ばれる島で、自分達より遥かに上の強さを持つ追っ手から、命からがら逃げていた。
無情にも一人の追ってが海賊に追い付き、表情の無い顔で口を発する。
「旅行するならどこがいい」頭にクマ耳の帽子を被った、ニメートルを越える大男が訊ねる。がしかし、答えなど待たずに、肉球のついた手で次々とその場にいた海賊を何処かへ"弾き跳ばしていく"。
その九人の海賊達は、一人また一人と、なすすべもなく消えていく仲間を見て明らかに動揺して見えた。
しかしその時、怒りが頂点に達っしたかのように男が一人叫ぶ。
「コノヤロウ! 俺の仲間に何をした!」仲間の制止を振り切り、黒のスーツに身を包んだ金髪の男が、機械のように表情の無いその大男に蹴りかかる!
百キロを越える鉄球を凄い速度で分厚い鉄の壁にぶつけたような轟音がその場に響く!
凄まじい威力で蹴られた筈の大男は、まるで何事も無かったかのように、無表情のまま無造作に無精髭をはやした金髪の男を"弾き跳ばした"。
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......波の音が聞こえる......
「ん......ここは何処だ......」痛む頭を押さえつつ、ボロボロの姿で男は立ち上がる。
「そうだあいつ等は! ナミさん! ロビンちゃん!」立ち上がるなり男が叫ぶ。
「ルフィ! ウソップ何処だっ! チョッパー!」辺りを見渡しながら、力の限り叫ぶ。
「返事をしてくれフランキー!! ブルック! マリモは......まあ大丈夫か」少し落ち着きを取り戻した男は、改めて辺りを見渡す。
「あらぁん、目が覚めた見たいねぇん」何処からか現れた全身筋肉の男が、クネクネと身をよじらせながら言った。
「誰だッ!」全身に鳥肌がたつ。関わるなと本能が警告の鐘を鳴らすが、誰だと聞かずには居られなかった。
「そうねぇ、ぁたしは貂蝉、通りすがりのしがない漢女よん♪」貂蝉と名乗る、髪の代わりに揉み上げを三つ編みにした男に、嫌悪感を露にしながら、
「......まあ良い、俺はサンジだ」サンジは言った。
「俺の仲間を見なかったか、背の高い骸骨とか、帽子被ったトナカイとかなんだが」サンジは訊ねる。
「ぅーん、残念だけどサンジきゅんのお仲間は見かけてないわねん」貂蝉は言う。
「そうか......しかし、ここはいったい何処なんだ?」サンジは独り言のように呟いた。
「ここがどこか知りたいのねん♪ そうねぇ、サンジきゅんが今まで"存在していた世界"じゃない事はたしかねぇん♪」しなをつくりながら貂蝉は言う。
「......あぁ?」―-はぐらかしやがって......俺が今まで居た世界じゃないだと? 意味が解らねぇ......―-サンジは軽く貂蝉を睨む。
「どぅふふふ♪ 混乱してるみたいねぇん、どうしたら信じてくれるかしらん?」貂蝉が言った。
「サンジきゅんの生い立ちを語れば良いかしらん♪ それとも"この世界"について話せば信じてくれるかしらん?」
嫌な予感がした。と言うのも、目の前に居る貂蝉が嘘をついてる様には見えなかったからだ。
「......俺の生い立ちくらい、調べれば誰にでも解る」嘘だ。そう簡単に調べられるほど、平凡な人生ではなかった。
「ッそうだ! ビブルカードは!」慌てた様にサンジは腰ポケットから一枚の紙切れを取り出す。
「何......反応しねぇだと......」サンジは絶望し、崩れ落ちそうになる身体を何とか堪える。
「どう? 少しは理解してくれたかしらん♪」頬に片手を添えながら貂蝉が言った。
―-どういう事だ、ビブルカードが反応しねぇ......こいつのいう通りここは別世界なのか? ダメだ考えがまとまらねえ!―-
「くそッ!」海に向かって駆け出そうとするサンジ。が、先の戦闘で傷ついた身体は動いてくれず、その場にうずくまってしまう。
「そんな身体で無理しちゃダメよん」心配そうに貂蝉が言う。
「仲間に会いたい気持ちもわかるわ、けど、先ずはあたしの話を聞いてちょうだい」宥める様に貂蝉は言う。
「......話を聞かせてくれ」―-とりあえず行くあても無い。ここが別世界なんて鵜呑みには出来ない。が、あながち否定も出来ない、か......―-
「仲間の皆に会いたいわよねん?」真面目な顔で貂蝉が訪ねた。
「あぁ、当然だ!」思わず語気を強める。
「そうよねぇ、ぁたしだったら早くご主人様に会いたいと思うもん♪」ぶりっこをする様に身をよじらせながら貂蝉が言う。
「本来ならサンジきゅんはここに来る筈じゃ無かったの。でも手違いで、貴方はここに降り立ってしまった...... だから申し訳無いけど、サンジきゅんにはこの国を平和に導いて欲しいのよん♪」ウィンクしながら貂蝉は言う。
「俺一人で平和に出来るとは思えねぇんだがな......」苦虫を噛み潰した様な顔でサンジは言った。
「大丈夫♪ この国にはサンジきゅんのどぅわ~い好きな、キレイな乙女ががたくさんいるからねん♪ サンジきゅんにはそんな乙女の、手助けをして欲しいのよん♪」クネクネと身をよじらせ、ぶりっこの姿勢をとりながら貂蝉が言った。
「......解った、協力しよう」―-利害は一致している、今はこいつしか頼るあてもねぇ......出来る限りやってやるか―-ふとサンジは気がつくと、自身の胸元をさぐる。
「なあ、この世界に"タバコ"はあんのか?」
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あれから、貂蝉に簡単な治療を受け一時間ほどたった後である。
「くそッ! まさかタバコがねぇとはな......」仕方が無いと、おもむろにタバコを取り出す。
キィィンと、純度の高い金属同士をぶつけた音が響く。シュボッと火の灯る音と共にオイルの焦げる匂いが拡がる。愛用のジッポを口元に運び、くわえたタバコに火を灯した...... 目の前に広がる海を見ながら、肺一杯に煙を吸い込む。
「ふーっ...... これからは少し、我慢しねぇとな......」旨そうに煙を吐き出しながら呟いた。
「しかし、何者なんだ? あいつは......」まさか跳んでいくとは思いもしなかった。行き先はもちろん知らない。
サンジはおもむろに振り返る。
「あの土煙...... 何かがこっちに向かって来ているな」本調子とは言い難いが、相手にそれは関係無い。何が来ても良い様に、両手を自由にして足を開きじっと目の前を見詰める。
......馬だ。馬の上に人が跨がっている。女だ! しかもナミさんやロビンちゃんに、勝るとも劣らない美女が二人もこちらに向かって来ている!
「別世界も悪くない! おーい! そこの美しいお嬢さーん!」サンジは走り出していた。眼を貪欲に輝かせて、身体中の痛みも忘れて、ただがむしゃらに走り出していた。
―-向こうが何故こちらに走って来ているか。そして、何故武装しているか等、考えもせずに......―-