真・恋姫†夢想 ~黒足物語~   作:みつお・ライブ

4 / 6
 どうも、ミツオ・ライブです。遅くなりましたが、四話目が出来上がったので、投稿します。

 今回は拠点のような物です。まぁ、あまりストーリーには関係ないっす。


それではどうぞお楽しみ下さい。



第四歩 想いの強さ

 ーーある晴れた日の中庭ーー

 

 

 まるで、舞いでも習っているかの様な流麗な動作で、中庭を堂々と歩く孫策。その姿は隙がなく、それでいて美しかった。

 

 「う~ん、良い天気ねぇ」軽く伸びをしながら、軽やかに孫策が呟く。

 

 「こんな良い日に政務なんて......気が滅入っちゃうわね」一気に落ち込んだ様子の孫策。少し悩んだ様子を見せる。

 

 「うん、決めた。サボっちゃおう♪」クルリと向かう方向を変え、弾んだ足取りで城下へ向かった。

 

 

 

 

 

 「雪蓮ッ! どこに行った雪蓮ッ! はぁ......全く、また雪蓮の悪い癖か......」血相を変えて叫ぶ周瑜。孫策を探して居るようだが、肝心の孫策は城下である。

 

 「......ふふっ、王としての責務を放棄し、遊びに行くとは......タップリとお説教が必要だな、伯符......」修羅のごとき表情で、周瑜は笑う。

 

 

 「ん? あそこに居るのは......冥琳ちゅわぁ~ん!」

 サンジは周瑜が居ることに気付くと、恋の嵐を巻き起こしながら、周瑜の元に走り寄っていく。その速さは、人知を超えていた。

 

  「さ、サンジ殿。何をそんなに急いでいる」迫り来るサンジの凄まじい迫力に、周瑜もたじろいだ。

 

 「レディが困った顔をしている。急ぐ理由は、それだけで充分だ......で、何があったんですか、冥琳ちゃん?」口調はおどけていたが、顔はいたって真面目なサンジ。"困ったレディは放っておけない"そんなサンジの真摯な気持ちが詰まった一言だった。

 

 「......実は雪蓮が、王の責務をほっぽりだしてだな......どこかに、恐らく城下へ遊びに行ってしまったようなんだ」絞り出すように言い放つ。大分滅入った顔をしていた周瑜に、サンジは特性の疲労回復ドリンクを持っていく旨を伝える。ついでに孫策を見つけたら、連れてくる約束もするサンジだった。

 

 話によると、程普も孫策を探しに行ったようだが、サンジの耳には届かなかった......

 

 

 ーー呉都、城下町にてーー

 

 

 

 「さてと......冥琳ちゃんに栄養ドリンクも届けたし、雪蓮ちゃんはどこに行った~?」鼻の下を伸ばしながら、孫策を探すサンジ。

 そんな矢先だった。

 

 耳をつんざき、絹を裂いた様な声が辺りに響いた。何かを考える前に、サンジは走り出していた。

 

 ーーあんな悲鳴をあげた女性が近くにいる。......どこの誰だか知らねぇが、美女を泣かせてたら承知しねぇぞ!!ーー

 

 髭を生やした男が、後ろから女性を羽交い締めにしていた。女性の首には、鈍く光る包丁が当てられている。

 

 「てめえ! レディに何してやがる!」怒りがメーターを振り切り、髪が軽く逆立ったサンジが吠えた。頭に黄色の頭巾を被った長身の男が、サンジのあまりの迫力に思わず怯む。

 

 「ひっ、う、うるせえ! 早く食うもんか、金を持って来やがれ!」男のその言葉に、女の家族らしき女性が悲痛な呻き声を漏らす。

 

 「我が家も何も有りません! どうか、どうか殺すなら、娘ではなく私を......」

 

 女の言葉がそこでとぎれた......。

 

 

 

 キンッ......純度の高い鉄同士がぶつかる音が響く。

 

 シュボッ......オイルの焦げる香りが立ち込める。サンジがくわえたタバコから、独特の香りの煙が漂う。

 

 

 「オッサン腹へってんのか?」口の端しから煙が漂う。

 

 「ッ! ああ! そうだ、腹が減ってんだ! こうでもしなきゃ、飯も食わしてくれねえだろうが! "この国"は!」

 

 「オッサン、そのレディを解放してついてこい。腹減ってんなら、飯ぐらい、俺が作ってやる」

 

 「ふざけんな! はいそーですかって、ノコノコついてくとでも思ってんのか?! お前が、飯を食わしてくれる保証は! どこにあるってんだ!」

 

 「俺はこの国の"コック"だぞ。腹減ってる奴が目の前にいて、飯食わしてやらねえ理由がどこにある?」

 

 その言葉があまりにも真っ直ぐ過ぎて、その目があまりにも澄んでいて、男は一瞬言葉を失ってしまった。

 

 

 

 

 

 「はあああぁぁッ!」鬼神のごとき気合いと供に、人混みに紛れていた孫策が獣の顔負けの早さで飛び出す。

 

 そのまま男の包丁を蹴りあげ、唖然とする顔に拳をいれる。ガクンと糸が切れた様に、男が後ろに倒れこむ。 いち早く事態に気づいたサンジと、それに続く先程の家族らしき女。二人が、それぞれの美女の元へと走る。

 

 「流石雪蓮ちゃん! 強い雪蓮ちゃんも素敵です!」デレた顔でサンジが褒める。後ろでは、先程の女性が助かったと抱き合っていた。

 

 「ありがとサンジくん♪ さてと、この賊をどうするかだけど......」

 

 「牢屋にぶちこむ前に、飯を食わしてやっても良いかな? 雪蓮ちゃん」

 

 「......この人は、貴方が大好きな美人を傷つけようとしたのよ。本気なの?」

 

 「だがそいつは、雪蓮ちゃんの大事な"国の民"なんだろう? だったら、腹減ったままじゃダメでしょう」口から煙がのぼる。

 

 驚く孫策。しかし、すぐその表情は慈愛で染まる。

 

 「そうね、そのとおりね。ふふっ、サンジくんには楽しませて貰ってばかりね♪」孫策が笑顔で告げる。

 

 「伯符殿ッ、ここにいらっしゃったか......全く仕事をすっぽかすなど、言語道断ですぞ......むむっ、おお! サンジ殿。先日のくれいぷとやら、美味であった、礼を申す」後ろからあらわれた程普。どうやら孫策を追って来ていた様だ。

 

 「あちゃー、見つかっちゃったわね......はぁ、わかったわよ徳謀......帰る、帰るわよ」何だか仕事をしたい気分と、誰ともなく呟きながら孫策はその場を後にする。

 

 「サンジくん♪ 後はまかせたわよ~」ヒラヒラ手を振る孫策。

 

 「任されました! 雪蓮ちゃんッ! おら、さっさと起きろ」サンジは男を揺り起こす。

 

 「う、うぅん......はっ! お、俺はどうなるんだ?!」狼狽する男。取り敢えず殴られた事は覚えている様だった。

 

 「飯は食わしてやる、腹一杯な。そんでその後は、自分の犯した罪を償え」タバコを揉み消しながら、サンジは真っ直ぐ男に告げた。

 

 「......わかった、どんな罰でも受けよう」覚悟を決めた顔で、男が言った。

 

 「まぁ、先ずは腹ごしらえだ。罰を受けんのも、仕事探すのも、先ずは腹を満たしてからだ」ぶっきらぼうに、サンジが男に言った。

 

 「変な奴だな、あんた......ま、飯食わしてくれんだ、感謝する」吹っ切れた様子の男は、清々しい顔をしていた。

 

 「そうしろ。もう二度と、雪蓮ちゃんに迷惑かけんなよ」歩き出すサンジの後ろを、男と数人の警備兵がついていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーー後に、呉で有名な飯店の料理長になる男。もちろんサンジは、そんなことは知るよしもなかったーー

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。