あまり関わりが上手くない提督が鎮守府に着任するお話   作:木啄

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 こんばんわ、木啄です。

 お久しぶりですか?そうでもないですか?いえ、お久しぶりかもしれません。
 更新が遅れて申し訳ありません、理由は以前書かせていただいた内容と殆ど同じで、今回もなんとか時間を見つけて書いていったので、もしかすると文章に違和感がある可能性があるかもしれませんが、その都度直していけたらいいなと思っています。

さて、それでは「鎮守府のおやすみ」編?ラストです



その11鎮守府のおやすみ その3

 一人で食べる食事より、親しい人達と食べる食事が暖かいように、この鎮守府でも皆で囲んで食事をするのが何となくあたりまえになってきている今現在、新たに鳳翔さんが加わることによって、更に賑わいを見せるのかもしれない、なんて思っていたら。

 

「本当に申し訳ない・・着任した直後にこのような事をさせてしまうとは。」

 

 厨房にて、提督は手際よく包丁で白菜やネギといった野菜を切ってはボールの中へと入れていく中、鳳翔も同じように野菜の下処理を行っていて、時々提督を見ては楽しそうに笑っています。

 

「もう、提督、謝りすぎですよ・・?私は気にしておりませんし・・それに。」

 

 「皆さんのお役に立てることは嬉しい事ですよ?」と、

笑って見せる鳳翔を提督は見てー。

 

「そう言ってくれるのは助かる・・これからも何か・・いや、ううむ。」

 

「あらあら、提督ったら。」

 

 再び楽しそうに笑う鳳翔を見て、何か妙な事でも言ってしまってはいないだろうか、と不安になってしまう提督がここに一人・・そして、そんな二人を遠回しにじーっと見つめている人物が居てー。

 

「なーんかさっきから良い雰囲気じゃね?」

 

「はい!なんというか、アイーンの呼吸?でしたっけ!!そんな感じがします!!」

 

「大潮、それをいうなら阿吽ですよ。アイーンは顔が白い人がしていたような気がします」

 

「あ・・あいーん・・?」

 

 完全にスルーする天龍と、二人の会話を聞きながら一人戸惑っているちっこい・・ではなく、暁が一人、食堂から厨房に立つ二人をまじまじと見つめているわけで。

 

「司令官、なんだか楽しそうですねー?」

 

「んー?まぁいつも料理作ってんの提督一人・・じゃねえか、お前たち手伝ってるもんな」

 

 天龍が3人に尋ねると、3人は可愛らしくこくこくと頷いている。

 

「ふーん・・やっぱりあれかねえ・・おとしやかというか・・なんつーか。」

 

「私たちとはどこか違う雰囲気ですよね!鳳翔さんって!」

 

「はい、朝潮もいつか・・鳳翔さんのような立派な艦娘になりたいです」

 

「わ、私だって鳳翔さんみたいな立派なレディーになるもん!!!」

 

 まさか調理をしている最中、こちらに向ける視線の大半・・?一部?がライバル視みたいな類の視線を向けられているとは一切知らないであろう二人。

 

「・・ところであの4人は何故こっちを見ているのだ?」

 

「さぁ・・もしかするとおなかが空いてしまっているのかもしれませんよ・・?♪」

 

 となると早く彼女たちの所に”これ”を持っていかなければならない、と提督は一人

何やら意志めいた物を見せては、その表情が真剣なものへと変化していく。

 

「ていとくさんほんきもーどでありますか」

 

「んだんだ、ていとくさん本気出すとすごい」

 

「かわいいねー」

 

 そんな二人の近くで、こっちはこっちで楽しそうに妖精さんたちがわーわーと騒いだり二人を遠回しに茶化していたりと、なんとも自由気ままな事をしていたりします。

 

「ですがていとくさんせいだいなかんちがいをしているかと?」

 

「そんなざんねんなところがまたよきだなー」

 

 わいのわいの、そんな妖精さんを遠回しに見ては

 

”「一体何をはしゃいでいるのだろうか?」”なんて思っているとー。

 

「提督、出来ました。あとはしばらく火を通せば完成ですね」

 

「・・む、すまない、ありがとう。鳳翔」

 

 鳳翔の言葉と共に再び思考を此方へと戻し、目の前でぐつぐつと煮込んでいる鍋が目の前にあって、蓋の隙間からこれでもかというとほど蒸気が噴き出しています。

 

 そこから漂う良い匂いに、鳳翔はどこか嬉しそうに微笑みながらも、はっとするかのように視線を提督の方へと向けながら、少しばかり不安そうにしています、それはー。

 

「あの子達も気に入ってくれると良いのですが・・」

 

 天龍、朝潮、大潮、そして暁の事だろうかと提督は思いながら、提督は首を横に振る。

 

 一応だが、彼女たちに好き嫌いアンケート(工場長立案)を出してみた結果、基本的に嫌いな食べ物はないという結果が分かっているので、提督も食事に関しては特にこれといって問題視している所はないそうでー。

 

基本的に好き嫌いは無かったはずだし、問題は無いだろう。

と提督は腕組をしながら考えていると。

 

「なんかすっげーいい匂いするな!今更だけど俺たちもなんかすることある?」

 

「待っているのも退屈でしたので来てしまいました。司令官、鳳翔さん、何かご命令を」

 

「大潮も手伝っちゃいますよー!!!もう大半終わってるかもしれませんけど!!!」

 

「私もお手伝いするわよ?」

 

 

 話すネタが尽きてしまったのでしょう、退屈を持て余す彼女達は提督の元へと詰め寄り、なにかやることはないかと尋ねてきています。

 

「む・・?ふむ・・そうだな、それじゃあ取り皿と茶碗と箸を、各人数分頼む」

 

「了解しました!」

 

「オッケー、んじゃいくとしますか」

 

「はい!天龍さん!」

 

「あ、暁も行くわっ!」

 

 4人の楽しそうな後ろ姿を見つめつつ、こちらもこちらでまだ準備が終わったわけではない為、あと残っている工程を済まさなければ・・と、提督と鳳翔は二人で最後の下準備を始める。

 

「ですけど・・ふふっ、嬉しいです。」

 

「む・・?」

 

 大根おろしや刻みねぎなどなど、所謂(いわゆる)「薬味」という物を準備していると、鳳翔はふと、楽しそうに笑い、そんな彼女を見て提督は首をかしげて見せます。

 

「私はまだここに・・・いえ、建造・・でしたっけ?されてからまだ数時間・・ですが」

 

 視線を手元から動かすことなく、鳳翔はそのまま言葉を紡ぐ。

 

「提督や・・天龍さん、朝潮ちゃんに・・大潮ちゃん・・そして暁ちゃん。

皆さんがこうして出迎えてくださって・・私を仲間として認めてくださって・・とっても嬉しいんです」

 

 建造という特殊な技法によって生まれたからこそ、暁や鳳翔を化け物として扱われてしまう可能性だって少なからず存在する。

 

 人から艦娘へ・・ではなく、海の底に漂っていた艦の想いから、形を作り、艦娘として生まれた、しかし提督はそれを認め、仲間として出迎え、こうして今、共に料理を作っているわけで。

 

 他人から見れば、なんて奇天烈な・・と思うかもしれません。

 

 それでも提督や工場長は、それを笑うことなく、真剣に彼女たちを受け入れようとしていて、そんな鳳翔の言葉に、提督は普段より少し柔らかい口調で

 

「・・当たり前ではないか。」

 

「・・当たり前・・ですか?」

 

 あぁ、と、提督は頷き、視線を楽しそうにお手伝いをしているあの4人組へと向ける。

 

「姿形、生まれに思想・・それは人それぞれだ。それに、暁や鳳翔は私の判断で・・その、・・作られたわけだ。」

 

 提督はそのまま続けて

 

「私は誰一人として、不必要などとは思わず、それぞれがそれぞれの役割を担い、この鎮守府を支えていけるのではないだろうかと思っている・・だからこそ、天龍、朝潮、大潮、暁・・そして鳳翔。」

 

ー私は、君たちの力が私は必要なんだ。

 

 

 初めて微笑む提督の笑顔。

 

 そんな表情を見て、鳳翔の頬はたちまち桜色に変わるー。

 

「・・・そ、そうなんですねっ。ありがとうございます・・て、提督・・っ」

 

 突然慌てふためく鳳翔に、提督は再び疑問符を浮かべているとー

 

「あ・・っ、そろそろですよ、提督。」

 

 時計を見ながら鳳翔は時間を促し、それを聞いて提督はゆっくりと火を消し、やけどをしないようにミトンで鍋を持ってー

 

「よし、あとは任せる。鳳翔」

 

「はい、提督」

 

 

 大きな鍋を持った提督を見て、食堂には歓声が広がっていく。

 無邪気にも近いはしゃぎ声に、鳳翔はまた一人、くすりと笑うー。

 

「ほーしょーさんほーしょーさん」

 

 一体どうしたことでしょう?一人の妖精さんが鳳翔に近寄り、その肩にちょこんと座って声をかけているではありませんか。

 

「あら・・はい?どうしましたか・・?」

 

「ていとくさん、いいひとでおすし?」

 

 その表情から一体何を伝えようとしているのかは定かではありません、しかし、提督がとても心優しい人でしょうと伝えているのは何となく彼女にも伝わっていてー。

 

「・・えぇ。とっても」

 

「そうですかそですかーー」

 

「こりゃええねー」

 

「ぱんぱかぱーん」

 

 鳳翔の言葉に満足した妖精さんは、肩から飛び降りると再び妖精さんずの元に戻っては何やら楽しそうにおしゃべりを始めたと思ったら、今度は大潮の声が響き渡ります。

 

「鳳翔さーーん!!!はやくお鍋食べましょうーー!!!!」

 

 厨房に向けて元気よく手を振る彼女をみて、あらあら、と笑う。

 

「俺たちで先に食っちまうぜー?」

 

 どこか意地悪そうに、そしてどこか楽しそうに笑う天龍、そして

 

「天龍さん、それに大潮も!もう少し待つということをですね・・!」

 

 そんな二人を見て、呆れたように朝潮が立ち上がり、咎めているところを、暁も頷き

 

「そーよー?レディーならしっかりしなきゃ・・・!じゅるり」

 

 朝潮と同じように注意しようとしているのでしょうが・・しかし、その手にはがっちりとお箸が握られておりました。

 

「ははは・・」

 

 

 そんな4人のやり取りを見て苦笑いを浮かべる提督がそこには居て。

 

「・・さ、鳳翔。鍋をいただこうじゃないか。」

 

 まだまだ他の鎮守府に比べたら小さい鎮守府、しかし、どこの鎮守府よりも暖かい何かが此処にはある・・そんな気がしてー。

 

「はいっ・・鳳翔、直ぐに参ります・・♪」

 

 ゆっくりと彼女たちの元へと歩いていく鳳翔の後ろ姿に、寂しさなんてものはなくて、

まるで暖かい輪の中へと入っていく・・そんな風にも見えたという妖精さん達のお話。

 

 

「おい!それは俺の肉だぜ!?」

 

「ふふーん!!もらったもん勝ちですよー♪」

 

「大潮?慌てて食べなくても鍋は逃げませんから・・暁ちゃん。お野菜も食べましょう」

 

「わ、分かってるわよ!レディーだもの!」

 

「提督、お飲み物のおかわりを注ぎますね?」

 

「む、す、すまない」

 

 明日から再び普段の空気に戻ることだろう・・しかし、それでも、この温もりだけはなんとしても守っていけたら良い。

 

 楽しそうにはしゃいで・・そして嬉しそうに食事を堪能する彼女たちを見てはふと、提督はそんな風に思ったとか。

 

 

 

 

 彼女たちの賑やかな声が、静かな夜に響いていく。

 

 どこまでも、どこまでもー。

 

 

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