あまり関わりが上手くない提督が鎮守府に着任するお話   作:木啄

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 お久しぶりです・・木啄です、はい、本当に。

失踪はしていません、現実世界の任務が長期に渡り多忙だったのでハーメルン更新がかなり遅れてしまっています、申し訳ありません。

 更新頻度がかなり遅れてしまいますが、頑張って作品を更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

 今回は戦闘描写一部有りですが、うまくできているかどうかといったところです。




その12 新しい風

 本日も鎮守府は平常運転、各艦娘達はそれぞれの任務を全うすべく、海域を進行します。

 

 太陽の光に海はキラキラと光り、そんな上を彼女たちは進んでいる訳で。

 

「おーしっ、お前らついてきてるかー?」

 

 天龍を旗艦として、大潮、暁、そして鳳翔の4名は、鎮守府の近域の海域に生息している

であろう敵深海棲艦の現状を把握する為、索敵を主とした任務を現在遂行しています。

 

「はい!大丈夫です!暁ちゃんも着いてきていますよー!」

 

 鳳翔の後ろを必死に付いてきている暁は、まだ足元が少しおぼつかないものの、艦隊を乱すことなく頑張っているようで。

 

「ま、任せなさいっ!!暁はやればできるんだから・・!!」

 

「あらあら、あまり無理してはいけませんからね・・?暁ちゃん」

 

 鳳翔の艦載機による空の目と共に天龍率いる艦隊による海上からの索敵なども行い、もし敵深海棲艦を発見した場合は、その場で対応できるのであれば戦闘、敵性因子の排除を行い、もしも厳しければ敵の様子を確認したのちに提督へ報告し、大本営に報告するという形になっています。

 

(つっても・・)

 

 天龍はそんな中、鳳翔へと周囲を警戒しながらも視線を移す。

 

”(暁はさておき、鳳翔の奴・・つい最近出てきたなんて言われてもわっかんねーぐらい動きがスムーズだよなぁ・・)”

 

 そう、驚くべきなのは人から艦娘になる所謂”転生組”という者と、今現在機密で行われている艦娘建造による”建造組”の戦闘能力が大差無いということ。

 

”(やっぱり艦の記憶っつー奴だから・・俺たちとは違うのかねえ)”

 

 などと言っては見るものの、それでも仲間であるという事実は変わらず、同じく昼夜共にする存在であることには違いは無く、今現在の任務もこうして共に遂行している事も真実であるということは、天龍が一番理解している。

 

 (提督が信じるって言ってるんだし・・俺が信じてやらねーとだめだよな)

 

 信じるという言葉の重み、それはつまり、貴方にこれから背中を預けると言っているようなもので、もしも蓋を開けた際に寝返る事があった場合、提督は真っ先に轟沈するであろう可能性だって否定できない。

 

 天龍は心の片隅でこれを危惧していた、それはつまりー。

 

”本当に彼女たちを信頼しても大丈夫に値する存在なのか否か”ということ。

そんなことを考えていると、後方から続いていた鳳翔が声を上げる

 

 「・・!索敵に反応有り、です。この先敵深海棲艦らしき艦影が」

 

 その刹那、天龍と大潮の雰囲気は一気に変わる。

 

 「陣形維持!!単横陣のまま戦闘海域に突入する!!!いいな!!」

 「了解!!!」

 

 

 (提督がこの海の先に居る、俺たちの初陣にミスは絶対許されねえ。)

 

 戦場で油断していい事など一つもない、たとえそれが雑魚の深海棲艦であろうと。

 

 「・・暁、怖くなっても俺たちの傍を離れんなよ・・一人になった時が終いだ」

 「へ・・平気よ・・!!暁だって・・戦うんだから・・!!」

 

 ”その意気だぜ、暁”

 

 天龍がニヤリと笑みを浮かべながら、鳳翔からの報告があった海域に突入する。

 

 「全員警戒!!!油断すんじゃねえぞ・・!!」

 「「了解!!!」」

 

 

 空高く鳳翔の飛ばした索敵機が上空を支配する、あとは俺たち海からの砲撃のみ。

 

 その数秒後、明らかに敵深海棲艦と見受けられる姿を発見、天龍は高々と叫びにも近い声を上げるーー。

 

「敵艦、見ゆ・・ッ!!!!」

 

 その刹那、天龍の艤装から赤い火花が飛び出す。

 

「良いか!!!こいつぁ訓練じゃねえ・・・!下手すれば死ぬ、いいな・!!このまま進撃する!敵をよく狙って撃ちやがれ・・!!情けなんてかけるんじゃねえぞ・・!!」

 

 腰に備え付けてある自慢の刀を抜刀、水面すれすれに刃先をこすり合わせるようにして進攻していく。

 

「頑張って・・あなた達・・」

 

 初の戦闘だというにも関わらず、鳳翔は凛とした表情のまま、矢筒から矢を一本抜き取っては、水平線の先を見据え・・構え・・矢を上空へと放つ。

 

 空を飛ぶ鶴の如く、矢は上空を飛び、その瞬間赤い炎と共に艦載機が現れる、中に乗っているのは・・妖精さんだ。

 

(へえ・・やるじゃねえか・・)

 

「暁の砲撃始めるわ・・!!見てなさい・・!!!」

 

 真っ直ぐに構えた単装砲を器用に扱い、敵深海棲艦に向けて砲弾を放つ。

 

 その真剣な表情、仲間たちを守るという強い意志にも近い何かを天龍は悟った。

 

「あの子たちを残して先にへましちゃったけど・・次はそんなことしないんだから・・!!」

 

「-暁・・」

 

 それは間違いなく、”艦の記憶”そのものなのだろうかー?

 

「鳳翔、暁に遅れを取るわけには行かねえよな・・!大潮!!!」

 

「はい!!!大潮っ!!撃ちますよー!!!!!!どーーーーーーーん!!!」

 

 敵からの砲撃を天龍の刀が弾き・・砲弾を斬り、仲間たちを守る、その瞬間を狙うようにして大潮、暁が砲撃を浴びせ、敵の進攻を防ぐように鳳翔の放つ艦載機の攻撃が深海棲艦を襲う。

 

 まだまだ粗が多い連携であることに違いはない、しかし今現状で最高の連携であろうと天龍は考える、慢心はいけない、しかしこいつらならばきっと乗り越えられる。

 

 心の中にあった一抹の不安など砲撃と共に消え、今心に有るもの・・それはー。

 

”誰一人欠ける事無く仲間と共に鎮守府に帰る事”だけだった。

 

「・・ククッ・・硝煙の匂いは最高だなぁ・・!!おい!!」

 

「天龍さん、油断してはいけませんよ」

 

「あぁ・・わぁってるって!!」

 

ー作戦を無事成功させて、俺達は帰るぞ!!!

 

 

 

・・・。

鎮守府、司令室にて。

「司令官、報告です。」

 

「続けてくれ、朝潮。」

 

 敵深海棲艦との交戦が始まる直前に飛ばした鳳翔からの連絡を最後に、10分以上の間、司令室には緊迫した雰囲気に包まれている。

 

 秘書艦である朝潮は仲間からの通信を聞きながら、その情報を素早くメモに取り、その内容を目にしたとき、一瞬何か揺らぎみたいなもの、そして・・ほっとしたような、安堵に近い表情へ変わったとき、提督は全てを察した。

 

「・・旗艦天龍による第一艦隊、軽傷。作戦は成功、今現在鎮守府に帰投中との事です。やりました、提督。」

 

「・・・あぁ。そうか・・」

 

 例え戦果としては小さいものなのかもしれない・・しかしー。

 

「朝潮、彼女たちが直ぐに戻ってきたらドックに入渠出来るよう工場長達に連絡をして貰っても構わないか」

 

「はい!直ぐに行ってきます!!」

 

 提督は朝潮の残したメモを見つめながら・・何時間もため込んでいたのかと錯覚するくらいの大きな・・安堵に近い溜息を吐きだしてはー

 

”「・・よかった。」”・・そう呟いて見せた。

 

 ・・・例え、大本営からしてみればこの戦果は小さなものなのかもしれない

しかし、しかしそれでも彼女たちは戦いのけた、敵深海棲艦との交戦を。

 

「・・さて、私も出向かなければ」

 

 彼女たちの凱旋を、そしてこの目に焼き付けておかなければならない。

 

 この鎮守府のリーダーである私が、彼女たちの安らげる場所を、人々の安住の地を守らなければならないのだから。

 

・・・。

・・・。

 

 夕方に染まる赤い海、その水平線の彼方から4人の姿が此方へとやってきている。

「大潮・・皆・・無事でよかった・・」

 

「あぁ・・そうだな、朝潮」

 

 提督の隣でじっと海を見つめる朝潮の視線の先には、こちらに元気よく手を振る大潮と、そんな大潮を見て私もやったほうがいいのかしらと迷っている暁・・そして、そんな二人を見て笑顔の鳳翔、そしてー。

 

 そんな仲間たちをまとめ上げ、無事に鎮守府へと導いた天龍の姿が、そこにはある。

 

 

 そんな二人の間を海風が通り抜ける・・それは今まで感じたどの海風よりも心地よく、これから更に輝くであろう彼女たちを祝う海からの贈り物とすら感じたー。

 

 

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