あまり関わりが上手くない提督が鎮守府に着任するお話 作:木啄
明けましておめでとうございます。申し訳ありません、スタックしていたデータがすべて死んでしまい、やる気が死滅してしまい、モチベーション復活まで時間を要してしまいました。
相も変わらず仕事が繁忙期のため、まだまだ厳しい現状ですが、これからもなんとか続編を仕上げていきたいと思います
よろしくお願いします
木啄より
「空調設備が整った空間って…ほんっとうにさいっこうだわ・・」
「あらあら、天龍さんたら、まだバスに乗ったばかりですよ?」
鎮守府を出たバスは、艦娘達一行を乗せて、照り付ける夏の日差しによって熱くなったアスファルトをものともしないように走っていきます。
向かっている先は大本営が運営している大きなレジャー施設で、夏になると一般開放し、宿泊施設として、冬になると艦娘等による大規模演習といった軍事などに用いられたりする場所で、艦娘達はもちろんのこと、提督も今回初めて、というわけでー。
「いやだってよぉ・・鎮守府あっついんだよ・・冷房設備の解禁が出先から戻ってきてからようやくだろ・・?もうちょっと俺たちを労わってもいいと思うんだよなぁ・・」
天龍の言うことに無理はない、と提督は苦笑いを浮かべます。
先の天龍の言う通り、今現在全鎮守府において、冷房設備の使用を一部制限、工廠といったごく一部の最小限にとどめるようにとの通達が来ており、その事情というのはー
「電力不足だって言われてもよー、俺達だって結構節制してるよな?」
「はい、司令官の執務室でさえ、明るい時間帯は電気を使っていませんし、私たちの部屋もなるべく電気をつけっぱなし・・などはしてません、そうですよね?大潮」
「もちろんです!!司令官にご迷惑をおかけするわけにはいきませんからね!!暁ちゃん!」
「ふぇっ?私・・?も・・もちろんよっ!暁も天龍さんも、鳳翔さんもみんな我慢してるわ!司令官に迷惑をかけるなんてレディーにあってはならないことだもの!」
ふふーんと言わんばかりにどや顔している暁を見て、提督は「そうか・・」と心打たれる。
「あぁいや・・皆。すまない、いつも助けられているな・・本当に」
「気にすんなって提督。助け合いはお互い様だろ?俺たちだって提督に助けられてるんだしな」
「はい、私も天龍さんと同意見です、司令官。」
はじめはボロボロだった鎮守府も、提督が何度も大本営に掛け合っては改修工事に必要な資金等の調達を行い、他の鎮守府に劣るかもしれないけれど、それでも胸を張って「ここは鎮守府ですよー!」と言えるぐらいまで改善されたのは、提督の努力の賜物です。
「これからも皆には迷惑を掛けるかもしれない、よろしく頼む。」
少し照れくさいような、どこか心がくすぐったいような、不思議な感覚に見舞われながら、提督を含めた鎮守府一行を乗せたバスは走っていくのでしたー。
・・・。
夏の心地よい風が、サービスパーキングエリアに止まったバスを、ようこそ御出ました、と歓迎するかのように、提督を包み込み、きっと海から近いのでしょう。
ほんのりと鎮守府近海の海とはまた異なる磯の香りがしてくるようです。
「近くには港町があるみたいです、司令官。」
「あぁ、そうみたいだな・・朝潮。」
数年前までは海に出る事さえ死にに行くような物とすら言われていた現状が、”彼女達”の活躍によって少しずつ、少しずつ改善されている現在。
「また昔のように、沢山の人が海に出られるように・・朝潮、頑張ります。司令官」
どこか決意めいたその強い瞳に提督はゆっくりと頷いた。
「お前ひとりじゃないぞ、朝潮。」
ゆっくりと、その視線の先を彼女たちに向ける。
自販機前で楽しそうにはしゃいでいる艦娘達を見つめ、朝潮もまた、笑みを浮かべながら
「・・はいっ!!」
そう、頷いたのでした。