あまり関わりが上手くない提督が鎮守府に着任するお話 作:木啄
前作の主人公の優月くんをこの作品に少し出すか出さないかちょっぴり悩んでいますね
今回は提督になるきっかけみたいなのを書きました。
「なぁ・・お前も聞いたか?」
「あぁ、聞いたよ。例の鎮守府の提督、解任されたんだろ??」
大本営に突如呼び出しを受け、いったい何事だろうかと思いつつ彼は大本営の中に足を踏み入れたところで、何やら物騒な会話をしている職員の会話が耳に入ってくる。
基本的な事ではあるが、艦娘に対して何かしらの強制的行為や、不正、及び犯罪行為を犯さなければ提督解任という事は滅多にない。
というのも、提督になれる人物というのは限りなく少なく、常時広報部が募集をかけているが、提督になれる素質を持つ人物が非常に少ないという現状で。
(今回は・・一人・・だったか)
彼は、そんな職員等の会話を特に気にする事もなく、奥へ奥へ、幹部等のエリート達が牛耳る場所へと足を進めていく、その目的地はー
・・・。
・・・・・。
重厚な木製の扉の前、彼は大きく何度も深呼吸をしてから、その部屋のなかにいるであろう存在の名前を心のなかで何度も復唱し、失敗がないように、と気合いをいれたところで、扉を軽く叩くと、中から声が聞こえてくる
”「あぁ、わかっているとも、満場一致で彼がなるべきであると決めたからな。上にもそう申告
している。許可は私が取っている。問題はないだろう・・と、すまないな、例の人物が来たよ
うだ、・・あぁ。あとは私が彼と話し合ってみよう。うむ、すまない。それでは」”
カチャンと電話の音が切れる音と共に、「あぁすまない。入ってくれ」という声が聞こえ、彼はゆっくりとドアノブを握りしめる
「失礼します・・”元帥”」
彼はそう言うと、海軍トップに君臨する人物の執務室へと、足を踏み入れる。
「待っていたよ。こうして君と話すのも久しぶりじゃないか・・?神楽暁(かぐら あかつき)くん」
わざわざフルネームで彼の・・暁の名前を呼ぶ元帥の表情は、どこか嬉しそうだ。
「は・・っ。閣下も御変わり無く。安心しました」
暁の言葉に、「ははは!私もまだまだ現役よ!!」と快活に笑うこの初老の人物こそ、この
海軍を率いるリーダーでもあり、海を守る要でもあるこの大本営、鎮守府に着任している提督等の総指揮官でもある。
「いやぁ、相変わらず君は本当に真面目な男だ。」
「・・・は。閣下。失礼を承知でお伺いしてもよろしいでしょうか・・?」
暁が言うと、元帥はその言葉を静止させるように手を挙げる。皆まで言うな、ということなのだろうかー?などと思っていると
「まぁ待ちたまえ。あせる気持ちもよーくわかるが、すこしリラックスしたらどうかな?」
先程から肩が物凄い固いではないか!と面白そうに笑う元帥に、暁は少しばかり戸惑うような視線を向ける。
・・他所からみれば完璧にいじられている。が、そんな事を考える余裕は彼にある筈もなく。
そんな冗談めいた?元帥の言葉に。
「は・・・はぁ。」と暁が言うと再び元帥が楽しそうに笑い、これは違うんだと楽しそうに元帥は両手を振っている
「いやぁ・・ははは。ほんとうに君は・・はは、面白い男だ。・・ふう、よし。それじゃあ本題に入るとするか・・」
すると再び肩に力が入ってしまう暁を見て、やれやれと元帥は苦笑いを浮かべる
「全くお前と言う男は。だからこそ信頼するに値する人物なのかもしれないが」
褒められているのか貶されているのかよくわからない言葉を言う元帥に、暁は口を閉ざしたまま、その先を無言で促す。
「さて、暁くん。世間話とまではいかないが、最近の様子はどうかね。各海軍基地での活躍は、めぼしいと聞くが」
「私が・・ですか。いえ、そんなことは。どれも仲間達が居るからこそ成せるもので、私一人の成果でも、ましてや活躍でもありません」
そんな暁の言葉に、やれやれと元帥は肩をすくめて見せる。
「そうかしこまるな、大本営の幹部等も、お前の評価は高いものだ。私が言うのもなんだが、これでも君を一役買っているのだよ」
「は・・・はぁ。」
突然呼び出されていったいなにがどうなって。頭のなかで整理をしつつ、暁は元帥の次の言葉を待つ
「・・・更には、お前も私も、同じ力がある。そうだろう?」
「力・・ですか」
そう言うと、元帥は机の上に視線を向ける、するとそこではー
「なんだかまじめなムードですなー」
「おっぺけーでありますか」
「たんそーほうおいしいですか?」
可愛らしい小人達。・・もとい、”妖精さん”達が楽しそうにお菓子をおっぴろげて妖精さん達のお茶会ならぬ菓子会?をしている最中で。
「そう、この子等を可視できるか否か・・だ。お前も聞いたかもしれないが、先日、某鎮守府にて不正に軍資金を服用していた提督が解任、逮捕された。・・なんでもリンゴがどうしてもほしくて・・だそうだ。よく分からないが」
そのリンゴは恐らくとてつもなく魅惑のあるものだったのだろうな・・と考えていると
「お陰さまで憲兵等が各鎮守府でそういった不正使用がないか・・とどの鎮守府も大騒ぎでな、深海悽艦の大規模な進撃はないものの、防衛力が一時的に低下してしまっているのも事実なのだ」
駆逐艦にちょっかいをだす提督を逮捕することがが主な仕事のような存在が、まともに仕事をしているのだな、と、内心で皮肉めいた事を呟いてみる。実際に言える訳もないが
「そこで、だ。お前にその部分をカバーして欲しいと言うわけではないが、放棄されている一部鎮守府の昨日を取り戻したく、お前も提督として戦ってはもらえないだろうか?」
元帥の言葉に、暁は目を丸くする
「私が・・提督・・ですか?」
それは、これから起きるであろう様々な出来事を示唆しているような、そんな衝撃でもあったー