あまり関わりが上手くない提督が鎮守府に着任するお話   作:木啄

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 新年明けましておめでとうございます。木啄です。
更新大変遅れてしまい申し訳ありません・・というのも、私が普段書かせてもらっているのがPCなのですが、そのPCが壊れてしまい、今現在端末で書いているというのもあり、かなり時間がかかっている現状です。

失踪している訳ではないので・・そのあたりだけよろしくお願いします。


その4 提督が着任しま・・した?

 

 大本営からかなり離れた海に面した小さな町に・・・「それ」は存在した。

 

・・なぜ、「それ」と言っている理由はとても単純なもので。かなりの長い間放置されてしま

 

っているのだろう、草や木などが門の大半を囲い、もはやそこが軍の所有物なのかどうかも不

 

明といっても過言ではないからだ。

 

「・・・ふむ・・これは・・」

 

 

ーとてつもなくひどい。 それが暁の感想だった。

 

 

・・・・。

 

 

 

 敵深海悽艦による襲撃を恐れて、漁業を営んでいたであろう漁港は既に荒れ放題。そこに連

 

なる町もとことこ寂れ果て、最早ゴーストタウンなのかこれはと言わんばかりの状況である湊

 

町や港を抜けた先に、この門があるからだ。

 

「・・・・・」

 

 大本営の・・というより元帥の話によれば。少ない艦娘が今現在も鎮守府温存の任務に着い

 

ており、鎮守府としての機能は失われていないはず”だろう”という見解を持っていらっしゃっ

 

たが・・・。

 

 

 これは本当に無人かもしれない、と暁は一人、溜め息を吐き出す。

 

本当に人がいるかどうかも不明。と、いま時点でそう判断をするその理由としては

 

あまりにも”陰湿”すぎる、からだ。

 

 なんと言えば良いだろうか、人の手が加えらなくなってから雑草等が好き勝手に生えまくっ

 

た無人の民家を連想してくれるといいかもしれない。・・まさにそれだ。とはいえー

 

 

 

 ここで引き返す訳にもいかない。と、暁はうなずき、その門を越えて、歩み始める。

 

いまここにいるのは、海軍屈指の男。その精神力は伊達ではない。

 

「さて・・」

 

いくとしよう。提督はそう呟き、その足を一歩。また一歩と、歩み始めたー。

 

・・・・。

 

 進む先に必ず鎮守府がある、と頭の中で理解していたとしても、かつて道だったであろう場

 

所を進んでいく度に、提督の心の中の一抹な不安が少しずつ、ゆっくりと大きくなっていく。

 

・・今現在歩いているここが、本当に軍の所有物なのだろうかと、誰かに訪ねたくなるぐらい

 

の静けさが、この空間を支配していた。

 

 それから少しまた歩く・・といってもかなり長い間歩いている訳ではなく、振り替えるとま

 

だうっすらと門が遠くに見えている程度だが

 

”・・・・ザァ・・・ザァー・・・”

 

 

「・・・これは・・・」

 

 潮騒の音・・?どこかに海が近いということだろうかー?

 

提督はそのまま足を進ませ、少し先がゴールですといわんばかりに開けており、提督はその先へ、一歩足を踏み出すとー。

 

「・・・ふむ・・ここが」

 

 

 静かな波の音。大本営から見える海とはまた違った印象を放つ・・静かな海。

 

開口一番、なにかを考えるかのような言葉を放ちつつ、暁は一人、・・いや、たった一人なの

 

は元々だが、そのまま回りを見渡してみる。

 

 他の鎮守府と比較すれば小さいが、それでもなお存在感を示している軍港に、その対に存在

 

し、潮風による多少の塩害を受けつつも、その建物は静かに存在を示している。

 

「あれが鎮守府か・・」

 

 

 他人が見れば、それは寂れたぼろ屋敷に見えなくもないが、暁からすれば、それは立派な鎮

 

守府である。と心の中で頷いて見せる。とはいえー

 

(建物全体がどこか・・・薄暗いような・・寂しい印象だ)

 

 

 先程の港を見てきたからもしれないが、やはりそれでも寂しいものは寂しいものだ・・そん

 

なことを考えながら、暁は鎮守府の口とも言える入り口へと足を進ませた。

 

 先の門構えとは違い、この辺りはかなり綺麗にされており、人の手が確実に加えられているということが目視にて確認できる。

 

「・・ということは」

 

(やはり人がいる・・ということなのだろうか?)

 

 

そんなことを考えていると

 

「・・あの。すみません、ここは海軍の所有です。海軍に関する関係者以外は基本立ち入りを禁止されています。なにかこの鎮守府にご用でしょうか」

 

 ふと、背後から声をかけられ、暁はくるりとその声の主を確認するように振り返ると・・。

 

そこには凛とした表情。そして堂々とした姿勢で、暁の前に静かに立ちふさがっている一人の女の子だった。

 

・・・。

 

・・・。

 

 目の前に一人の少女。暁から一切目線を動かす様子もなく、彼女は再び口を開く。

 

「・・聞こえていましたよね?この鎮守府に何かご用でしょうか?」

 

 その少女は、少女から見ればかなりの大男だろう暁に、一切臆する事もなく、かの憲兵とま

 

ではいかないものの、それ相応の凄みを微かに感じ、暁は内心驚いて見せる。

 

「・・・すまない。今日付けでこの鎮守府に着任することとなった、神楽暁だ。」

 

 

 暁がそういうと、彼女は首をかしげて見せる。

 

「・・・新しい・・司令官・・ですか?」

 

「・・・あぁ。大本営直令だが・・。」

 

 ・・・それから少しの間沈黙が流れたと思いきやー

 

「っ!!し、失礼しました!!新しく着任される司令官に対し、出すぎた真似を」

 

 慌てて敬礼し、そのまま硬直。先程とはうって違い、どこか瞳も揺らいでいる。

 

「いや、そこまで固まらなくてもいい。直してくれ」

 

「はっ!」

 

 彼女はそのまま敬礼を解除。びたーん!!!という表現が似合うといっても過言ではないく

 

らいのピンとした姿勢のまま待機してしまっている。

 

「・・いや、もう少し力を抜いてくれて構わない。・・しかし、大本営からの通達は受けていないのか・・?」

 

 彼女は若干姿勢を崩しつつも、暁からの質問に対し、真剣な眼差しで首を縦に振る

 

「申し訳ありません。今現在この鎮守府の管理を任されているのは”私一人しか居ません”なので、大本営からの連絡も一切いただけませんでした・・」

 

「・・・連絡が来ていない?」

 

「は、はいっ」

 

 

 連絡がしっかりと行き届いていない事に対し、あの元帥め、何か非常事態が発生していたら

 

どうするつもりだったんだ。と内心毒づきつつも、いまここでこの少女の前で元帥に対する不

 

満を口にするわけもいかない。

 

「・・ところで、ええと。」

 

「・・はいっ!私になにか・・?」

 

 

彼女の真剣な眼差しに、暁は言葉がでなくなる。

 

・・そう。彼は非常に残念なことに、軍人としては非常に優秀な男であることは間違いないのだが、それ以外に関してはてんでダメな・・残念な男なのだ。

 

「あ・・いや・・その・・なんだ。」

 

「・・・・??」

 

 先程とは全く違う暁の様子に、彼女は首をかしげているとー

 

「・・その。君の名前を、聞いてもいいか・・?」

 

 

 単純に名前を教えてくれと言えばいいのに、なぜこの男はそんなにももったいぶるかのよう

 

にしているのだろう。と誰かが見ていたらきっとそう思ったに違いないでしょう。恐らく。

 

 しかしそんな残念な男に対しても、彼女は元気よくうなずき、再び敬礼をするとー

 

「はいっ!!朝潮型駆逐艦一番艦!!!朝潮です!!司令官!!!!」

 

 元気よく、名前を名乗るこの朝潮という少女の前に、暁は若干うろたえるもー

 

「そ、そうか。あ・・朝潮・・だな。これからよろしく頼む」

 

 ・・たった二人から始まろうとしているこの鎮守府運営。果たして上手く行くかどうかは今現在の時点では不明・・しかし。

 

「はい!!よろしくお願いします!司令官っ!」

 

 この・・目の前にいる娘と共に、進めるだけ、進み、やれるたけの事をやろう。

 

暁は・・いや、”提督”は、帽子を深々とかぶっては、この鎮守府の未来を見つめるかのように、海にも負けない・・この青い、青い空を。

 

眺めて見せたー

 

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