あまり関わりが上手くない提督が鎮守府に着任するお話   作:木啄

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 こんばんわ。木啄(きたたき)です。
また更新度を上げていきたいと思いつつ連続での投稿になります。

これからもよろしくお願いします。




その7 妖精さん、かんむすをつくる

 潮風が漂う海辺にて、艦娘たちが演習をしている最中、提督は工廠へと呼び出しを受け、廊下を一人歩いている今現在。

 

 潮風と共に、海の方から演習を行っているのであろう砲撃音が時々聞こえてきては、天龍の声が聞こえきたりと、相変わらず元気だ、などと思いつつ、先ほどあった出来事の一つをぼそりと呟きます。

 

「ふうむ・・・工場長・・か」

 

 ”工場長”、その言葉の意味は先程の出来事が関係していました

 

ー。

 

 さて、そんなある日の司令室。

 

 普段は秘書艦ぐらいしかあまり入ってこない部屋ですが、珍しい事に提督は机の上でわいわいと嬉しそうに報告?をしてくれている3人の妖精さんに襲撃を受けていました。

 

 

「お待たせしました提督さん。いよいよ僕たちの出番ですはい」

 

「おまたーおまたー」

 

「ふっふーん。提督さんはかわいいねー」

 

 

 わいのわいの。

 

 先週からこの鎮守府入りをした妖精さん達は、楽しそうに提督の執務机の上ではしゃいでいてとても楽しそうなんですが、そのせいで提督はお仕事ができない現状ということを彼女たちは知る由もありません。

 

 なのである意味襲撃なのです。

 

 

 

「あ、あぁ・・。それで、出番というのは?」

 

 このままでは埒があかない、そう感じた提督はすかさず妖精さん達に話しかけます。

 

 提督も提督で、彼女たちの対処法をひそかに勉強・・している訳ではありません。

 

 何故なら妖精さんとの遭遇のほとんどが彼女達の気まぐれみたいなものなのです。

普段は工廠に引きこもっていたりします。

 

「あ、そうでしたそうでした。工廠がいよいよ活用可能になりましたですはい」

 

「これでかんむすさんつくれるー」

 

「ふっふーん。提督さんはかわいいねー」

 

 (あぁ、もはや一番最後の君のその発言はまったくもって関係ないだろう・・)

 

 などと思っても決して口に出してはいけません。なぜなら、もしもそう言ってしまったが最後、彼女たち・・妖精さん達は

 

 ”「うわーそれはないわー」”のような信じられないといった表情でこちらをじっと見たと思ったら

 

 ”もう二度と動きませんが?”といった感じの不動の決意のようなものとともに

不貞腐れてしまうので、対処に困ってしまうことがしばしば。

 

 正直かなりめんどくさいと思ったりしますが。それも禁句です。

言ってしまえば最後だということを提督はわかっていました。悲しき学習です。

 

 

 

 ー”妖精さん”。

 

 ・・それは今現在の科学でも解明できない不思議な存在で

深海棲艦が現れたと同時か、その前後に出現を確認されており、もしかすると大昔から

存在していたのでは?なんていう所説もあったりと、割と不思議な存在なのです。

 

 そんな妖精さんの事も気になるけれど、その前に彼女達が言った言葉に、提督はぴくりと反応していました。

 

「”かんむすさんつくれる”とは・・?艦娘は適性検査によって選ばれると聞いている。違うのか?」

 

 提督は疑問を投げかけると、彼女たち3名は提督の言葉を真面目に・・聞いている・・はず。多分。そして

 

 

「ぼくたちでもわからんです、はい。」

 

「かんむすさん、ぼくらよりふしぎー」

 

「きっとかみさまかもしれないです?」

 

・・などと申しており。

 

 

「・・ふむ」

 

 人間にとって不思議な存在の妖精さん達が口を揃えて不思議というのだから、艦娘はそれ以上に不思議な存在なのかもしれない。いや、それは強ち間違いではないのだが。

 

 というのも、彼女たちが身に着けている”艤装”は、一般の人間には到底重すぎて装備することなど出来ず、訓練された兵士ですら不可能。

 

 しかし、何故か提督だけは不思議と艤装に触れてもそこまで重いとは感じない・・なんていう実証もされていたりと。

 

”もしかすると艦娘と提督の深いつながりが関係しているのかもしれない?”

 

 という海軍の間の暗黙の了解などが既に存在している。それ以外に立証しようが無い、というのが彼らの現状だそうでー。

 

 そんな艦娘は、生身の人間による潜在的な能力や、何かしらの因果関係などによって

艦娘になるならないが決まっているらしく、その確率もかなり低いとか低くないとか。まちまちだそうでー

 

「神様・・か、しかし、艦娘を作り出す機械とは・・工廠にあるのか?」

 

「こうじょうちょーさんが工廠にいるです。」

 

「詳しい話はこうじょうちょーに」

 

「むーぶいーん」

 

 3人の妖精さんたちの言う”工場長さん”というのは、妖精部隊の隊長さんである彼女の事でしょう。多分

 

 そんな彼女は妖精さん達のリーダー的存在・・には見えませんが、彼女たちには彼女たちなりのリーダーの取り決めの方法などが存在しているのかもしれません、恐らく。

 

 

 

・・・というわけで、今現在提督は一人、工廠へと続く道を歩いている訳で。

 

「ふうむ・・・工場長・・か」

 

 思い出すのは、先週のびしょ濡れになり、かなりしょげていた彼女の後ろ姿ですが、今現在どうなっているのかは、実は提督もあまり知らないというのが現状です。

 

 そのため、この鎮守府に着任している艦娘、および妖精さんの事もとりあえずは把握しておきたい、というのが提督の思惑ですが。

 

 悲しいかな、神出鬼没、そしてフリーダム。まさに自由を象徴するかのような自由の女神的存在の妖精さんは、気づくとお菓子をどこからともなく取り出してはおっぱじめ。

 

 どこからかお酒を取り出しては酔っ払い、どこからか変な機械を作っては大変なことをしでかす、なんていう報告も受けており、本当の敵は深海棲艦ではなく妖精さんだ、という噂もあるとかないとか。

 

 とまぁそんな感じに、妖精さんは自由に生きているわけで。

 

 ”考えていても仕方ない”。

 

 提督はいったん思考を切り替え、徐々に近づいてくる工廠の扉を目前に、一度足を止めて、覚悟を決めようとしたときー

 

 

 「こら朝潮!お前また砲身が下がってやがるぜ!!そんなんじゃ当たる弾もあたんねーぞ!!!」

 

 「は、はい!!!」

 

 「ファイトですよ!!朝潮姉!!」

 

 「おめーもだ!!!!大潮!!!」

 

 「どーーーんっ!!!」

 

 

 新たに加わった二人の艦娘を含めた総勢3名の艦娘が、今現在演習を行っている真っ最中で、天龍が主に二人を指導しており、戻る頃には朝潮と大潮がボロボロになっていることがしばしばで、提督に至っては「大丈夫だろうか・・」と若干心配になったりします。

 

 恋人もいないのに父性だけが出始めている。これは何となくピンチかもしれない提督

 

 しかし残念ながら、提督にその自覚は皆無。ある意味残念な提督なのかもしれません、多分。恐らく、きっと。

 

 「ふう、やれやれ・・む?おやおや、提督さんじゃないですか。待ちしておりました」

 

 「・・む、あぁ。すまない、待っただろうか」

 

 突如工廠の扉が開いたと思うと、そこから一人の妖精さんが出てきます。

 

 その手にはスパナを握り、服の所々が汚れていて、今まで作業していましたよというオーラが物凄くにじみ出て居る妖精さん。

 

 「-”工場長”」

 

 工廠から出てきたと思うと、服をぺしぺしと叩き、ほこりなどを払っている様子を見つつ、提督は彼女に声をかける

 

 「いえいえ、大丈夫ですよー。ボクらもようやくセッティング完了したとこです」

 

 「あぁ・・ええと。例の艦娘を作る・・というものか?」

 

 提督が尋ねると、妖精さん・・もとい工場長は首を縦に頷く

 

 「ですです。ご覧になられますか?レシピがあればすぐにでも取り掛かれます。はい」

 

 「レシピ・・?ふむ。とりあえず見せてもらっても構わないか?」

 

 「ぜひぜひ」

 

 

 こっちこっちーと、工廠の扉の間からほかの妖精さんも手を振っています。

 

 どうやら提督になついてくれた・・のでしょう。一人と一匹は工廠の中に姿を消し、後に残るは潮風と、心地よい太陽の日差しだけでした。

 

ー。

 

ー。

 

「ほう、これが・・・」

 

 工廠の中に入ると、直感でこれだ、というものが目の前に設置されていた。

 

「ようこそ提督さん、ぼくたち妖精ファクトリーへ」

 

「「妖精ファクトリーへーー!!」」

 

・・・・いつの間にか工廠が妖精ファクトリーに変わっている。どいうことでしょう。

突っ込んだら負けですか?そうですか。

 

「・・・よ、妖精ファクトリーというのか。ふむ」

 

 しかしそこは提督、たとえ妖精さん達が妙なことを言い出しても、それを理解しようと必死になるところがまた妖精さんたちから好印象を得ている・・という風のうわさ。

 

「この水槽みたいな所からかんむすさんが出てきます。ちなみにこれが材料を入れる所と・・レシピを決める入力装置です。タブレットみたいなものです。入力してから素材を充填、すると時間が表示されて、その時間が経過するとかんむすさんが出てくる仕組みです」

 

 つまり、レシピ。というものを回すと、艦娘が完成する。という仕組みらしい。

その構造は機密事項で、知ってしまうと大変なことになるらしく、触らぬ神に祟りなし、とでも言いたいのかもしれませんし、単純に妖精さんも理解していないのかもしれません

 

 そんな時、ふと提督は疑問を浮かべる。

 

「む、しかし、朝潮や、天龍、大潮達は・・?彼女たちはその・・造られたのか?」

 

「彼女たちは”オリジナル”です。言わば人からの転生でしょうか。提督さんでいう適正というやつですね。潜在的に組み込まれている艦の記憶で、ここから出てきたかんむすさんがもしも同じ型のかんむすさんであれば、それは姉妹である、と認識します。」

 

 なんとも難しい話だ。と提督は考えながら、工場長の話を聞く。

 

 

 要するに、オリジナル・・もとい、適性検査によって造られる艦娘は、精神的に脆弱なところが多く、精神的なダメージなどといったもので、直ぐに精神病院へ入院する・・といった案件が起きているらしく、そんな少女たちを出したくはないという思いから、海軍では密かに妖精さんとともに艦娘を作り出す・・といった研究をしていたらしい。

 

 というのも、もともと艦娘になる存在的な力の源は”海底”に存在しているらしく。それを妖精さんが偶然にも見つけて”艦娘”を作り出した、というのが艦娘の起源でー。

 

「そうですねぇ・・艦の記憶とでも言いますか、残留する思念といいますか。そういった形ある思いが結晶化されたものをもとに戻す・・というのが近いのかもしれません。だから私たちも、どんなかんむすさんが出てくるのかわからないんです」

 

 レシピもある意味それに近いもので、つくるというよりは儀式に近い、と工場長は語る

 

「まっ。百聞は一見に如かず!早速つくってみましょう、提督さん」

 

「そ、そうか。わかった。とりあえずやってみるとしよう」

 

 

 真剣な表情を浮かべる提督と、わくわくといった感じの緊張感がまるでない工場長。

なんともいえないアンバランス、だがそれがいい。

 

 などと周りの妖精さん達は思っていたー。

 

 

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